No.165436 一刀の記憶喪失物語~呉√~PART2戯言使いさん 2010-08-13 10:51:38 投稿 / 全4ページ 総閲覧数:9413 閲覧ユーザー数:7176 |
「・・・(ちゅぱちゅぱ)」
「・・・・明命」
「はい。何でしょうか」
「・・・(ちゅぱちゅぱ)
「かじゅと・・・・一体どうしたのよ」
「いえ、私は特に何も。あ、そんなに吸いついちゃらめぇですよ」
「何も・・・じゃないでしょ。一体どんなことを教え込んだのよ!」
「はぁ、私はただ『胸は小ぶりの方が素晴らしい』と『かじゅとは明命お姉ちゃんのことが大好き』としか教えていませんが」
明命はさも普通かのように、かじゅとを侍らせながら出席していた。かじゅとはというと、明命の隣に腰を下ろし、自分の指を吸う代わりに、明命の指を舐めていた。明命は片手の指を舐められたら、次はもう片方の手を差し出し、そして舐められた方の手の指は自分で咥えていた。
「明命お姉ちゃん明命お姉ちゃん」
「はーい。何ですか、かじゅとさま」
「あの人、おっぱいお化け」
「はい。よく出来ました。あれだけ大きいと邪魔なだけですからね。私ぐらいがちょうどよいのですよ」
「あい!明命お姉ちゃん大好き!」
「はい。私も大好きですよー」
きゃきゃ、うふふとしている明命と一刀に、ビキっと蓮華の額に青筋がたった。雪蓮は面白いことになった・・・と、内心微笑み、亜莎と穏は少し不貞腐れたように俯いた。
「あら、そう言えば祭は?」
雪蓮は辺りを見渡した。そう言えば祭がいない。よく、二日酔いで会議に遅れることはあるが、一刀がこんな状態の時に酒を飲みすぎることはないだろう、と不思議に思った。
「今朝はまだ見てなかったな・・・・明命。何か分かるか?」
「いえ・・・あ、そう言えば、今朝、私が厠に行っている間だけ、かじゅとさまをお預けしました。その時はまだご健在でしたが・・・」
「ん?『だけ』ってことは、それまではずっと一緒だったのかしら」
「もちろんです。世話役として、お風呂も睡眠も・・・・はぅ、夜にいきなり起こすから何かと思えば「明命お姉ちゃん・・・・一緒に厠に来て」って涙目で言ってきた時のかじゅとさまは可愛いかったですぅ」
「明命!さすがにそれは駄目よ!即刻、かじゅとの世話役から外すべきよ」
「何をおっしゃいますか、蓮華さま。かじゅとさまからお願いしてきたのですよ?」
「それでもよ!呉の王である私の命令が聞けないのかしら!?」
「あーあー、聞こえない」
「ん~~~~!!」
いつもなら、二つ返事で引き下がる明命が、今日に限っては強気だった。それも、傍で見つめる一刀の存在があったからだ。蓮華は嫉妬で頭がどうにかなりそうだったが、王として、みなの手本として、唇をかみしめて耐えた。唇からは、血がにじんでいた。
「あらあら、蓮華ったら、そこまでかじゅとの厠の世話をしたかったのね・・・・それで、祭は?かじゅと、何か分かるかしら」
明命にべったりだった一刀が顔を上げると、無邪気な笑顔を浮かべた。
「あい!あのね、祭お姉ちゃんが「ほれ、今じゃ。おっぱいを吸うのじゃ!」って言ってきたから、吸ったらね、「らめぇぇ」って言ってね、ビクビクしてた」
「・・・・・・・・」
「でもね、僕まだ吸いたかったから、吸ってたら「ら、らめなのぉぉ」って言って、ビクビクしてね、それで動かなくなっちゃった♪」
「・・・・そう。これも種馬の力なのかしら・・・・」
「か、かじゅとさま!?今日は私のお胸をお吸いください!」
「こら明命!そんなの許されるわけないでしょ!?」
「あーあー、聞こえない」
「むっかーーーー!」
そんな光景を見ていた冥琳は、大きくため息をつき、穏と亜莎の方を見た。二人はその視線に気がつくと、小さく頷いた。
「明命。今日付けでお前のかじゅとの世話の任を解く。次からは穏と亜莎に任せる。異論はないな?」
「えっ!?そんな・・・・」
「異論はないな?」
「うぅ・・・・そうだ!かじゅとさまに決めさせましょう」
明命は考えた。そう言えば、必ず自分を選ぶだろう、と。昨日一日中、一刀にそう思いこませた成果があれば、絶対に自分を選ぶ、と思っていた。
「ふむ。かじゅとよ。お前はこっちのお姉さんと、明命、どっちらよいか」
「んーー・・・・明命お姉ちゃん!」
「かじゅとさま・・・・!!」
感動した明命が一刀に抱きつく。しかし、相手はあの戦乱を勝ち抜いた軍師。ただの武官に負けるはずがない。
「かじゅとさ~ん?」
「??穏お姉ちゃん?」
「ほぉら、おっぱいですよ~。こっちに来たら、いくらでも吸っていいですよぉ~」
ばいんばいん、と揺れる乳。揺れる乳。揺れる乳。(大事なことなので、3回言いました)
「はっはっは、穏さま!おっぱい教育も完璧なのですよ!?それぐらいで、かじゅとさまが動くはずがありません!!」
「・・・・行く」
「かじゅとさま!?」
「・・・・ごめん」
「はい?」
「・・・自分に嘘はつけない」
「なんですとー!?」
一刀は自分にも相手にも正直なのでした。
一刀は明命から離れて、穏と亜莎の元へと向かった。
穏は作戦が成功したことを喜び、笑顔だが、対して亜莎は憂鬱だ。胸につられて来た一刀に、自分の胸は似合わない。でも、一刀と離れたくない。そう思った。亜莎は物で釣ることにした。
「そ、そうだ!かじゅとさま。ごま団子食べます?」
「あい」
作戦が成功したことを喜び、はい、と今日のおやつ分のごま団子を渡す亜莎。しかし、一刀はそのごま団子を受け取ると、それを眺めたまま固まった。
「あ、あの・・・それ、私の手作りなんですが・・・・変な所がありましたか?」
「ううん。あのね、前にもこのごま団子食べたことある気がするの」
「へぇ・・・・かじゅと、話してみなさい」
それを聞いていた雪蓮は、にっこりと笑顔でその続きを促す。もしかしたら、記憶を戻す鍵になるかもしれないと思ったからだ。
「あのね、僕と女の子の二人でね作ったの。ごま団子。とっても美味しかったの」
「へぇ、その女の子って誰だか分かる?」
「ううん・・・・分からない。でもね?とってもとっても大好きな子なの!」
「!?」
「大好きで大好きで、でね?とっても可愛くて、その子も僕のことが好きで、それでいっぱいお喋りしたりしてね」
「あ・・・あぅ・・・・」
「どうしたの?亜莎お姉ちゃん」
「な、何でもありませんよ・・・かじゅとさま」
「でも、お顔真っ赤だよ?もしかして、その女の子のこと知ってるの・・・?」
「あぅ・・・・知ってると言えば、知ってますが・・・・」
「誰なの?僕の大好きな女の子は誰なの?」
「あぅ・・・や、やっぱり言えません・・・・」
「ねー、どうして?どうしてなの?」
「だ、だってその子は・・・わ、わた・・・・もう許してくだぁい!」
だっ、と走りだす亜莎。追いかけようと一刀が思った時には、すでに遠く彼方へ行ってしまっていた。
「ねぇ、どうして逃げたの?雪蓮お姉ちゃん」
「さ?どうしてかしらねー・・・・記憶を失っても、女たらしなのね(ぼそ)」
「そうだぁ。かじゅとさま?この本を見て、何か思い出すことはありませんかぁ?」
そう言って、穏が取りだした本は、一刀がこっちの世界の文字を勉強するために、一緒に勉強した『孫子』だった。
穏は思った。亜莎のことを『大好きな女の子』として、微かに覚えているのなら、きっと自分のことは『もっともっと大好きな女の子』と言ってくれるに違いない。もしくは、それに勝る告白が聞けるだろう、と。
一刀はその本を受け取ると、いきなり震えだして、そして泣きそうになった。
「なっ!?一体どうしたのですかぁ?もしかして、嫌なことを思い出したのですか?」
「あのね・・・女の子と勉強してたことを思い出したんだけどね。僕、その人のことも好きだったの」
「そ、そうですか。では、どうして?」
「あのね?その人、普段は優しいのに、たまに無理やり僕の服を脱がすんだ」
「・・・・・」
「やめてって言ってるのに、無理やりズボンを脱がして、襲いかかるんだ。怖いよぉ、穏お姉ちゃん」
「・・・・・あー、よしよし」
「もしかして、穏お姉ちゃんは知ってるの?」
「えー・・・あ・・・・」
他の武将たちの批判するような視線が穏に突き刺さる。穏は冷や汗をかきながら
「そ、そんな奴はこの穏お姉ちゃんがやっつけちゃいますよぉ~」
「凄い!さすが穏お姉ちゃん!無理やり服を脱がすような変態お姉ちゃんとは違うね!」
「あ、あはは。この穏お姉ちゃんに任せなさい」
その後、戻ってきた亜莎と、穏によって、一刀は世話をされることになった。
祭は結局、お昼を過ぎた頃にようやく部屋から出てきたが、世話役が明命から亜莎たちに変わったことを聞いても、自ら一刀の世話を引き受けようとはしなかった。ただ、たまに一刀を見つめる視線が、妙に色っぽかった。
続く
おまけページ
『もし、夢が叶ったら』
詠の場合
「あっはっは、詠は可愛いなぁ」
「な、何言ってるのよ!馬鹿じゃないの!?死ねば!?ふんっ!」
「(´・ω・`)」
次の日。
「た、大変だよみんな!ご主人様が『詠に死ねと言われたので死んできます』って手紙を残して消えちゃったよ!」
「えっ・・・嘘でしょ!?なんで僕の言葉なんかで・・・・」
「うぅ・・・・ご主人様の居ない世界なんて、生きてる意味ないよ。私もご主人様の元に行くよ・・・・ばいばい、みんな(グサ)」
「桃香さま!くそっ!私もあのお二人が居ない世界になど興味ありません!今行きます、ご主人様、桃香さま!(ぐさ)」
「はわわ、私も(ぐさ)」「あわわ、うえぇぇんご主人様ぁ(ぐさ)」「主・・・くっ(ぐさ)」「ご主人様・・・母子共々、黄泉への護衛を努めます。ごめんね、璃々(グサ)(グサ)」
「えっ!?ちょっとみんな!?そうだ、月!月は!?」
「詠ちゃん・・・・」
「月よかった・・・・」
「詠ちゃんのせいで、みんな死んじゃった」
「えっ?」
「恨んでやる・・・・(ぐさ)」
「そ、そんな月まで・・・・どうして・・・・どうして・・・・!?」
こうして蜀の武将たちは、詠の一言により、全滅したのだった・・・・・。
「はっ!・・・・・夢かぁ」
あたりを見渡すと、中庭の平原だった。どうやら、自分はそこで寝てしまったらしい。
「おーい。詠。昼寝か?」
「なっ!違うわよ!」
「照れるなって・・・詠は可愛いなぁ」
「な、何言ってるのよ!馬鹿じゃないの!?死・・・・」
「ん?どうした」
「うぅ・・・・死んだら嫌だからね!?うぇぇぇん!(だき)」
「お、おい詠!いきなりどうしたんだよ」
「まだデレることも出来ないけど、きっと覚えます。だからずっと傍に居てよぉ。うえぇぇん」
今日も蜀は平和です。
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呉√PART2です。よろしくお願いします。
呉√は主に乳と乳と( ゚Д゚) ビニューの話です。
次回、最終回です。その時にアンケートの発表するので、何か読みたいものがあるのででしたら、アンケートにご協力くださいねー。