No.165038

デペイズマン・シード 3rd season;②

リリカルなのはA's後×デジモンアドベンチャー(ただし時間軸は02後:ED展開無視)八神つながり 真面目に連載第3話その②
多分、こっから太一さんのカリスマ度がムダに上がるかと思われ。
予告と大分展開が違ってきちゃってるけどキニシナイ。
っつーかデジ組が全員出るのか不安だ・・・
とりあえず13という数字は間違ってないです。ただ不吉だなぁ(笑

2010-08-11 19:19:04 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2813   閲覧ユーザー数:2718

 

 

「ソーセージ、戻したほうがえぇやろか」

「大丈夫だろ。日持ちするし、持ってな」

「えぇの?」

「それは、そういう冷蔵庫だからな」

 

 

 

 

 

  3-2

 

 

 

 

 

パステルカラーの家々の内、ひとつに入っていくヤマトにはやては黙ってついていった。

途中みかけた「動く卵」とかなにやら毛玉饅頭らしきものやら、聞きたいことはすでに飽和状態だったが、今の混乱状態で聞いたところで全うな意味での質問ができるとは自分でも思わなかったからだ。

滑り込んだ部屋は外見と違っていたって簡素なログハウスといったつくりのリビングで、広い部屋の中央には巨大な13席を置いた円卓。

アーサー王伝説かいなというどうでもいい感想を一瞬抱きかけるものの、周囲にはなぜかいくつもの毛布とモニターだとかパソコンだとかが散乱していて、非常に見かけはアンバランスだ。

そのPCから、部屋にすでにいた一人が顔を上げ、お帰り、と出迎える。

 

「戻った」

「おつかれさま。どうだった?」

「いや、うん。丈。悪いんだけど太一を呼んでくれないか?太一だけを」

「わかったけど、保障はしないよ?それで、その娘は」

 

出迎えためがねのひょろながな少年、青年になりかけた年頃となるか、丈はヤマトの申し出にタイピングで応えながらも、困ったように首をかしげた。

 

「あ。八神はやてって言います」

 

その目線に名乗る。

穏やかな笑みは家族の一人を思わせた。

苗字が原因だろう。ほんの少し見張った目が疑問を歌う。

 

「あ。太一兄ちゃんとヒカリちゃんはいとこで」

「あぁなるほど。城戸 丈です。

・・・・・・・・・・・なぁヤマト、もしかして」

「いや。"違う"んだ」

 

あいまいなやり取りが不思議だった。

それでも彼らには会話が通っていて、それはややこしく聞こえる。

 

「違うて?」

 

気になったのは当然で、問うのも自然。

少年二人が顔を見合わせ、なんとも言いずらそうに揃ってはやてを見た。

 

「詳しくは太一が来てから話すよ。コーヒー?紅茶?」

「え、あじゃぁ紅茶で」

「OK 。丈はコーヒーでいいか?」

「うん。悪いね、ヤマト」

 

死角になっていた扉の向こうはキッチンらしい。

お湯を沸かす音が聞こえてくる。

 

「あぁ、適当に座っていて。太一も手が空いていればすぐくると思う」

「ありがとぉ」

 

そうは言われたものの、「選ばれた」人間が座るべくと用意されたような円卓というのは非常に座り心地が悪い。

別にその席に名前が刻まれているわけではないのだが。

 

キータッチ音と、お湯を沸かす音。

奇妙なデュエットをBGMにはやては思考を整理する。

 

 ①この世界は、第97次管理外世界となにかしらの関係があるらしい。

 

それが最大の収穫だろう。なにせ知り合いに逢ってしまった。

 

 ②とりあえずその知り合いは管理局に対して嫌悪、もしくは敵対心を抱いている。

 

補足した事実から今は目をそらした。

とりあえず自分はその彼らの拠点に招かれたのだから。

 

 ③とりあえず、管理局は地球(第97次管理外世界)とこの世界の関係を知っているのか。

 

・・・・・・・・・・知らないだろう。

知ってるとは思えない。

知っていたらわざわざはやてを派遣する理由はないのだから。

大体次元を渡る技術はあの世界においてはまだまだ夢物語なのだ。

だが彼らは現在、確かにここにいる。

話を聞く限り、あっさりといとこもここに来れるらしい。

 

 ④ヤマト兄ちゃんのパートナーといわれていた「ガルルモン」について。

 

聞く限り、姿を変えたあのなぞの毛皮生物はガブモンとその呼ばれていた。

呼ばれて、返事して、んではやてにわざわざ名乗ったのである。

つまるところ、日本語を、あっさりと当然のようにしゃべったのだ。

衝撃とかって話ではない。

同時に納得した。

 

(情報よこさんわけや)

 

姿はともかく、相手は間違いなく「知的生命体」である。

そんな連中を「生体サンプル」なんぞと回収するのはそりゃ抵抗されて当然だ。

そうでなくっても、普通の生物なら自分の命の危機に抵抗するものなのだから。

頭の出来で捕獲だなんだの倫理を決めるのこそ人間のエゴだということもわかっているが、コミュニケーションもなしに一方的に、そんな真似をしたとなれば嫌われて当然だろう。

むしろ管理局が野蛮人扱いされる側だ。

そして黙っていたということは、彼らが「しゃべれる」ことがわかっていたということで。

 

「最悪やん」

「え?どうしたの」

「あ、なんでもありませんっ」

 

思わずつぶやいた言葉に不思議そうな声。

人がよさそうというか、誠実そうというか。

そんな言葉がふと彼には似合う気がした。

 

「そういえばはやてちゃん、でいい?」

「あ、はい」

「ヤマトに何かされなかった?」

 

・・・・・・いきなりなにを。

 

「あ、いやあのね。かなり勢い込んで飛び出していったから。

相手をあんまり確認しないで攻撃とかしなかった?」

 

あいつどこか早とちりなところがあるから。

 

「いえっ、大丈夫でしたよ、されかけましたけど」

「・・・・・・・・・・・誰に、なにをされかけたの?はやてちゃん」

 

絶対零度の声が突然聞こえた。

明らかに自分の知っている声なのに、全く違う名前を呼ばれているような気分になりながら、ぎぎぎ、とはやては声の方を見た。

自分が怒られたわけではないのに、なんだろうこの恐怖、と考え、ふと思い出したのはお話大好きの親友だ。

一部ではOHANASHIとかって表現されていたりする、砲撃言語を駆使するあの先輩魔法少女である。

がたんっ、と大きな音がした。

次いで水音。

いとこの少女から引き剥がすように目線をはずし音のほうを見ると、壁に張り付いて逃げようとしていて出来ないヤマトの姿が見えた。

せっかくのコーヒーや紅茶を、どうやら取りこぼしてしまったらしい。

木の床には、水溜りとかわいらしいカップ。割れていないのは幸いというべきか。

 

「ひ、かりちゃん…」

「こんにちわ、ヤマトさん。タイミングがよかったです。

・・・・・・・・・事実が隠されちゃうところでしたから」

 

にっこり。

少女の笑顔はとっても綺麗だった。

主に純粋な闇の色彩で。

 

「あー、ごめん、ヤマト」

 

丈の声がいっそ白々しく響く。

 

「あの、その太一は?」

「お兄ちゃんも来てますよ。外でアグモンにつかまっちゃったけど、すぐ来るんじゃないかな」

「そう」

 

すごい緊張感がそこにはあった。

その中で交わされる普通の会話はとげとげしさとかってかわいいものじゃなくて、なんというか痛々しい。

 

「テイルモン」

 

ぽつり。少女がその名を呼んだ。

え?と思った途端、天井からなにやら白い塊が落ちてきて、ヤマトの後ろに回り、巨大な手でその首と片腕を押さえる。

見事に鮮やかな技だ。

 

「ぐげっ?!」

「はやてちゃん」

「はひっ」

 

それをさせた少女はいとこにすごく笑顔をむけた。

花の咲いたようなとはいう、やさしい笑顔だ。

なのに、対応するはやては声が裏返っていた。

最初っから比較的物騒な様を見せられていたお嬢様方相手なら平気だったが、「おとなしくておしとやかなやさしいいとこ」が豹変する様など、普通人はみたくない。

 

「ちょっとヤマトさんにろくに確認しないで女の子に攻撃しようとしたことと、人気投票一人勝ちだった過去とかをおしおきしてくるから、待っててね」

「ちょっ、後半は俺のせいじゃっ?!」

「ごめんね、ヤマト」

 

彼を抑えていた手の主が謝罪した。

大人っぽい、女性の声だ。

だがその大きさは彼の3分の1もなくて、姿も白くて、尻尾が……

 

「にゃんこさんやぁ」

「テイルモンていう、私のパートナー。あとで紹介するね」

「あ、うん」

 

逆らわないほうがいいことぐらい、すぐにわかったのでうなづくしかない。

どだいはやては接近戦が専門外だし。

 

「ぁあああああ」

 

拘束され、ドップラー効果気味に絶望の声を上げながら引きずられていくヤマトたちと入れ替わりに太一が入ってきた。

首にオレンジ色のミニマム恐竜を乗っけている。

・・・・・・・・重くないんやろかと首を傾げてはいけないのか。

いけない気がする。

 

「あれ?はやて。お前車椅子どうした」

「まずそこなん?!」

「他に何があるよ。

てか、もしかしてお前が選ばれたのか?」

「へ?選ばれたて」

 

どういうことやと聞こうとしたが、違うみたい、と先に丈が言葉を滑り込ませた。

さっきのやり取りの間、完全に気配がなかった。

見事としか言いようがない。

しかも先ほどの水溜りもカップも片付け済み。

・・・・・・・すばらしい。

 

「じゃぁなんで普通の人がここにいるんだよ」

「それは。事情を把握しているのはヤマトだけみたいなんだけれど、困ったことに、今ヤマトはちょっとヒカリちゃんが話があるってつれていっちゃったものだから」

「そうなのか。んじゃちょっと待つか」

 

「たいちー。このひとだれー?

あいつらとおなじにおいがするよぉ」

 

ぺちぺちとオレンジ色の手が太一の頭の上で弾む。

あー、そうだなぁと聞かれた彼が応える。

 

「こいつははやて、俺のいとこだよ。

っつーか、あいつらって、じくーなんちゃらか。なんで」

「時空管理局や。まぁ、そやなぁ。

・・・・・・・・・・・あえて言うなら二重スパイ候補?」

 

首をかしげながらも、自分で言ってて、泣きたいくらい自身の立場を表しているよう気がした。

 

 


 
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