「無関心の災厄」 -- 第二章 ワレモコウ
epilogue 新たなるはじまりのエピローグ
約束の日曜日、オレは指定された桜崎駅南口から遠ざかるように、学校へと足を向けていた。
駅前の道でシリウスの事件の時の若い刑事を思い出し、駅からのびる坂を登るときに『才女』萩原加奈子が殺された日の事を思い、目の前に立ちはだかる神楽山を見上げて梨鈴の事を思い出した。
たった1年。
その間に、オレの身には幾つもの珪素生命体《シリカ》の痕跡が刻まれてしまった。
夙夜の言う事が本当ならば、それは、他の珪素生命体(シリカ)にとって磁石のようなものだという。オレと夙夜と白根という磁石が固まっている限り、永久に珪素生命体《シリカ》を引き寄せ続けてしまう――災厄は終わらない。
学校の敷地に入り、部活動の練習をしている運動部の横を通り抜けて文学部の部室へ。
戸を開けると、見慣れた部屋がオレを出迎えた。
2年前に入学して、運動する予定もなかったからなんとなく文学部に入部して、夙夜に会って先輩に会って、梨鈴と出会って。シリウスがいて、白根が来て……とうとう、望月までやってきやがった。
長いな、2年って。
高校生らしからぬ結論をだして、オレは携帯端末で時刻を確認する。
白根との約束は10時。
そろそろ行くか。
ぱたんと扉を閉じたオレの背後では、数日間この部室に放置していたワレモコウから紅の色が消え、茶色くかさかさに乾いた花が幾らか散っていた。
変化が来る。
オレの望んだ、望んでいない、世界の変化が来る。
逃げたい。
逃げたくない。
逃げられない。
逃げちゃ駄目だ……絶対に。
――オレが世界を選んだのだから
世界の狭間から抜け出したが故、自らの操り糸に絡め取られた道化師は、もはや何処へも逃れ得ぬ。
両手足でもがけばもがくほど、考えを廻らせれば廻らせるほど、さらに奈落へと堕ちて逝く。
ワレモコウの窓向こうに広がる空はどんよりと曇って、梅雨の到来を告げていた。
(第二章 終了)
お読みいただき、ありがとうございました!
■□ あとがきてきななにかしら □■
「無関心の災厄」第二章ワレモコウ、最後までお読みいただきありがとうございました!
今回は、もう、難産でした。
無計画に書き始めたもんですから、人が出てくるわ出てくるわ、まあわらわらと。
でも、これでようやくだいたい全員です。あー、あと一人くらいは増えるかもしんない(汗
これだけいると、もはや書いてる本人が把握しきれていない。
というわけで、登場人物総まとめ。
■ 柊 護 (ひいらぎ まもる)
相変わらずツッコミな主人公。
いじめっ子が登場したりクラスメイトに非難されたり、ストレス溜まり気味。がんばれ。
そろそろいろんなことが出来るようになってほしいけど、喧嘩の強いマモルさんとか見たくないので修業させるかどうかは今のところ保留。
■ 香城 夙夜 (こうじょう しゅくや)
普段はへらへらした天然マイペース、その中身は野生のケモノ。
相変わらず、扱いが非常に難しい。出しゃばり過ぎると話が終わっちゃうけど、この人が出てこないと話が進まない。なんとかしてくれ、マモルさん。
前回よりいろんな人とコミュニケーションをとったり、マモルさんの言う事をちゃんときいたり、少し成長しているようにも見える。
■ 白根 葵 (しらね あおい)
相変わらずナゾ。
次回の冒頭でいろいろ明らかになる……かもしれない(未定)。
ほんの少しだけ組織を離れ、自分で考えるようになった。というか少しばかりマモルさんの言う事を聞くようになった。けどやっぱり夙夜優先。
もうちょっとでいいから可愛らしいところを見せてほしい。
■ 篠森 スミレ (しのもり すみれ)
京都編なので、ほぼ未登場。
次回からまた活躍してねー!
*****たぶん、ここから初登場。多いよ!
■ 望月 桂樹 (もちづき けいき)
夙夜に名前をカタカナで呼ばせてみたらまるで甘味のような名前になった。
マモルさん好き。いじめるの大好き。
デフォは白衣だけど、たまにスーツとかも着ます。いちおうイケメンという設定。マモル視点なのでそんな描写はこれから先、一回も出ないけど笑
目的はまだ謎。きっと白根さんと一緒にちょっとずつ分かっていくでしょう。
■ 風峰 光喜 (かざみね こうき)
金髪のにーちゃん。
最後にちょっと出ただけですが、このヒトはこれからまだまだ働きます。うさぎ少年のヒナタくんとセットで。
幼稚園の保育士である早瀬さんには頭が上がりません。
ユウという子供のために窃盗しちゃったりしましたが、どうやら足を洗ったようです。
■ 溝内さん (本名不明)
京都府警の女警部さん。年齢不詳。
このヒトはこの先どうなるかわかりませんが、京都で困ったら誰かに助けを求められるようにと思って、京都府警に借り作っときました。
もしかしたらこれでサヨナラの可能性も。
<クラスメイト>
■ 矢島 隆弘 (やじま たかひろ)
黒田 誠 (くろだ まこと)
土方 陽平 (ひじかた ようへい)
男三人衆。
矢島は暑苦しい応援団で脳ミソ筋肉、黒田と土方はセットで、本文には出てませんが二人とも軽音部です。同じバンドのギターとベース。
矢島は運動部つながりで相澤さんとも仲がいいみたい。
黒田と土方は、よくアオイさんにちょっかいだしてます。冷たくあしらわれますが。
■ 相澤 藍(あいざわ あい)
大坂井 美穂(おおざかい みほ)
女の子二人組。
本当は、春に殺された萩原加奈子と3人組でした。
相澤さんは長身で(たぶんマモルと一緒くらい)日に焼けていてすらっとして、女の子にもてるカッコいい女の子。
大坂井さんは逆にちっちゃくて童顔で、マモルいわく小学生。彼女はこれからも結構からんでくるかな。
なんだかまだまだいたような気もしますが、書き終わった時点で覚えてるのはこれだけ。
記憶の新しい内にメモ(←自分のため
はてさて、話の内容は、なんだかいろいろ書きすぎて結局何やってんみたいな感じですが。
この話に限っては、読みやすさより自己満足がモットーなので、解説するつもりも何にもありません。目的と手段と結果がずれてても、知らないよん。
今回苦労したのが、関西弁の表記。難しいです。そのまま書いたら意味不明な言葉になるし、漫画とかで使われている言葉にすると不自然だし。
っていっても、東京もんのマモルの台詞だって、口に出せば不自然だからいっか。
舞台を京都にしたのは意味があるんですが、まあ自分が住んでて書きやすいって言うのは一番の理由ですね。土地勘あるし、特別調べなくても書ける笑
おそらく東京と京都を行ったり来たりする感じに話が進んでいくと思います。
うーん。全部解決した時、マモルさんはいったいいくつになってるんだろう……?
ぼんやーりとした予定では、解決まであと4編くらいかなぁ?
ううむ、ここから先はちゃんと考えて書かないと、ラストまでたどり着けないよ!
次章の掲載はいつからになるかわかりません^^;
現時点で半分しか書いてないので……orz
書き終わってから、また週一更新にしようかな。
どこかで見かけたら、またよろしくお願いします。
ではでは、ありがとうございました!
2010.8.7 早村友裕
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オレにはちょっと変わった同級生がいる。
ソイツは、ちょっとぼーっとしている、一見無邪気な17歳男。
――きっとソイツはオレを非日常と災厄に導く張本人。
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