No.160585

飛天の御使い~第参拾弐幕~

eni_meelさん

蜀との決戦が迫る中、洛陽の一刀はある人物との再会を果たす。
その人物とは一体何者なのか。
そして、決戦の幕は切って落とされる。

恋姫†無双の二次創作です。

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2010-07-25 15:57:38 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:3544   閲覧ユーザー数:3191

はじめに

 

この作品の主人公はチート性能です。

 

キャラ崩壊、セリフ崩壊、世界観崩壊な部分があることも

 

あるとは思いますが、ご了承ください。

 

 

冀州・鄴

 

劉璋との決戦を控え、北郷軍の主だった面々は鄴に終結していた。一刃たちと許昌に赴いていた朱里と詠、曹魏の面々、孫呉の面々。しかし、その場所に一刀の姿はない。まだ合流出来ていないのだ。

 

「先程、荊州へ放っていた間諜から劉璋がこちらに向かって挙兵したとの情報が入った。報告ではその数は100万を超えるという。」

 

一刃の言葉にざわめきが起こる。

 

「100万!?劉璋の所がいくら大きいとはいっても100万もの兵を用意できるなんて・・・・。」

 

そう言葉を漏らすのは曹操。

 

「我らの兵数はかき集めても50万にいくかいかないか。倍以上ある兵数では生半可なことをしては勝てんな。」

 

周瑜も暗い表情でそう言う。

 

「ご主人様や恋さんが合流できていない以上、こちらだけで対処しなければなりません。洛陽には急ぎの伝令を出しましたので恐らく戦場での合流になるでしょう。」

 

朱里はそう説明すると続いて詠が発言する。

 

「ただ一つだけこちらが有利なことがあるわ。それは将の質と数。これまでの戦いで分かったのは、劉璋側には兵を率いることの出来る優秀な将が少ないということ。兵の数が多いのは厳しいとこだけど、それを操ることの出来る将がいないのは不幸中の幸いね。ただの兵だけなら策でなんとでもできるわ。」

「しかし、奴らには奇怪な連中もいる。しかも強い。単独での戦闘なら奴らに遅れを取ることになりかねんぞ。」

 

詠の言葉に孫権が口を挟んだ。

 

「確かにそうです。しかし、将の数でいうなら我が軍は圧倒的です。相手の将が出てきたら複数の将で当たることを基本に考えてください。将の数はこちらの方が多いですが、相手の将の個の実力は計り知れません。対敵将向けの人選と、兵を率いて敵の兵に当たるための人選を分けて考えたほうがいいでしょう。対敵将の部隊の方は敵将が出てきたらそれに集中してください。他の兵は別の部隊で受け持ちます。」

 

 

そういって朱里は部隊の編成を発表する。

 

「まずは一刃さん率いる部隊、一刃さんを筆頭に愛紗さんと鈴々ちゃん。」

「分かった。」「・・・・・・・・・・。」「応なのだ!」

 

「次に張遼さん率いる部隊、張遼さんを筆頭に徐晃さんと趙儼さん。」

「任せろや!」「葵、頑張るよ!」「頑張ります!」

 

「次に曹操さん率いる部隊、曹操さんを筆頭に夏侯淵さんと許緒さんと典韋さん。」

「分かったわ。」「分かった。」「「はい!」」

 

「次に孫権さん率いる部隊、孫権さんを筆頭に甘寧さんと周泰さん。」

「任せておけ!」「「はっ!」」

 

「次に馬超さん率いる部隊、馬超さんを筆頭に馬休さんと馬鉄さん。」

「「「了解!」」」

 

「最後に趙雲さん率いる部隊、趙雲さんを筆頭に黄忠さんと張任さん。」

「ふっ、任されよ。」「「分かりました。」」

 

「残りの白蓮さん、関靖さん、曹仁さん、曹洪さん、張昭さん、張承さん、孫尚香さんは兵を率いて敵兵に当たってください。本陣まとめに私、補佐に賈詡さん。荀彧さん、鳳統さん、周瑜さん、王粲さんは部隊ごとに指示を出す役目に就いてください。これによって個々の部隊の動きに対応できるようにします。ご主人様と呂布さんが合流次第、劉璋のいる本隊へと突撃するための部隊を編成します。以上が今回の戦の方針です。」

 

朱里の言葉を聞いてそれぞれの部隊の準備のために各員持ち場へと向かった。

 

 

洛陽

 

「父様、母様、ねねはこれから恋様たちと共に劉璋との決戦に向かいます。父様と母様の仇、きっととってみせますから。ですからねねのことをどうか見守っていてください。」

 

そういって墓前に花を添え手を合わせる陳宮の後方から恋も手を合わせる。

 

「・・・おじさん、おばさん。恋がねねを守ります。2人の仇もきっと・・・・・。」

 

手を合わせ目を瞑る。そんな2人のもとに左慈を抱えた一刀がやってきた。

 

「恋、ねね。今しがた鄴より伝令が入り、劉璋が侵攻を開始したそうだ。我々は戦場へ直接向かうことになるが、大丈夫か?」

 

一刀のその言葉に2人は立ち上がると静かにコクリと頷いた。

 

 

だが、そんな一刀たちに近付いてくる影が。

 

「『北郷一刀』、さんですね。」

 

その言葉に一刀はとっさに振り向く。そこには白装束を纏った一人の女性が立っていた。

 

「誰だ、君は?」

 

そんな一刀の言葉に女性は微笑んで話しかけてくる。

 

「お久しぶりです、16年ぶりくらいですかね。覚えてらっしゃらないかもしれません。あの時の私は『男』でしたから。」

 

女性のその言葉に一刀は首を傾げる。

 

そんな一刀に向かって女性は自分の名を名乗った。

 

「私の名は于吉。」

「っ、于吉だと・・・・・。」

 

女性の言葉に一刀は警戒をあらわにする。そんな一刀を制すように女性は話し始める。

 

「北郷さん、あなたにお伝えしなければいけないことがあるのですが・・・・。出来ればあなただけに。」

 

もとより16年前のことなど恋やねねに聞かせられることではないと思った一刀は、恋やねねに軍を編成するよう指示を出し、于吉についていった。人気のないところまでやってきた2人は話を始める。

 

「北郷さん、その抱えている左慈もまた16年前あなたたちの前に立ちはだかったあの『左慈』の生まれ変わりなのです。」

「っ、左慈が・・・・・。」

 

「前の外史では貂蝉が説明したと思いますが、もともと『剪定者』と呼ばれる者は、その外史の人物に置き換えられて存在しています。ですので私や左慈、貂蝉などはその外史にいた人間の置き換えられた姿なのです。あなたの知っている三国志は男性のものでしたが、この外史そして以前の外史は女性が英傑として存在する三国志の世界。そんな外史に存在していた私たちもまたもともとは『女性』だったのです。つまり今の私や左慈は置き換えられる前のこの外史に存在している人間なのです。あの外史崩壊以後、私と左慈はこの外史へと転生しました。貂蝉もこの外史に転生しましたが、再び剪定者として置き換えられてしまった。それが6年前、天の国であなたをこの外史へと導いた貂蝉なのです。しかし、貂蝉は剪定者として生きることを拒否しました。そのために神仙の力を奪われこの外史へと逃げ込んだ。お気付きでしたか?神仙の力を与えられた人間は性別が女性から男性になるのです。それは、余計な感情を生み出させないようにするため。しかし、貂蝉は女性としての性が強かったのでしょう。あなたもご存知の通り、あんななりでも女性としての心を持っていました。それ故に、前の外史崩壊時に願ってしまったんです。北郷さん、あなたやその仲間たちと一緒に過ごしたいと。その思いが結果としてこの外史を誕生させ、あなたの分身をもこの世界へと転生させた。だが、それは剪定者としては絶対にやってはいけない禁忌の法でした。そのために貂蝉は数年間行動を制御されていたのです。そして、哪吒たち剪定者たちが、その外史つまりこの世界の消滅を目的として行動を始めた。それを食い止めようとした貂蝉はあなたの前に再び現れ、あなたをこの外史へと導いた。そのことで哪吒たちに神仙としての力を奪われこの世界へと逃げ込んだ。それが5年前です。力を奪われた貂蝉は以前の姿でこの世界で生きてきました。そして今、あなたたちの傍にいる。」

 

「っ!まさか・・・・・。」

 

于吉の言葉に一刀は驚愕する。

 

「そう・・・・、貂蝉のこの世界での本当の名前は『任紅昌』。彼女には封印された字があります。それが『貂蝉』。本来の歴史とは違った生き方ではありますが、彼女は紛れもなく貂蝉のもとの姿なのです。しかし、彼女にはその時の記憶はありません。でも無くなったわけではありません。いずれ時がくれば彼女はその記憶と向き合うことになるでしょう。」

 

于吉のその言葉に一刀は王允との話を思い出した。5年前、洛陽近郊の森の中で徐栄という男に発見されて保護された舞華。その出生は謎に包まれていた。演戯では絶世の美女として存在していた貂蝉が、舞華ならそれは妥当だということ。そして神仙の連中が舞華を付け狙っていたのにも納得がいく。

 

「しかし于吉、何故君はその事を知っているんだい?今の話では、この外史では神仙との関わりを持っていないことになると思うのだが・・・・。」

「そうですね、確かに私には神仙の力はありません。というよりも私の存在はあなたにこの事実を伝えるためだけのもの。それは『あの時』貂蝉と約束したことですから・・・・・。」

 

そういった于吉の身体が少しずつ透けていく。

 

「北郷さん、どうかこの外史を、私の『友』が全てを犠牲にしてまで築いたこの世界を守ってください。この世界に住む全ての人たちが笑顔で暮らせる世界を・・・・。」

「分かっている。それが俺がこの世界へ来た理由だからな。」

「頼みましたよ、北郷さん。」

 

そういうと于吉の身体は完全に消えてしまった。一刀は于吉のいたところへ一瞥すると恋たちの待つ所へと急いだ。

 

 

荊州国境

 

大地を埋め尽くすほどに展開された劉璋率いる蜀軍総勢100万。対するは金色の十文字の牙門旗を筆頭に曹魏の牙門旗、孫呉の牙門旗をはためかせている北郷軍総勢50万。そんな中、100万もの軍勢を掻き分けて突出してきたのは蜀軍を率いる劉璋と臣下の張松・法正・孟達だった。そんな劉璋たちに対するため突出したのは一刃、曹操、孫権だった。

 

「おや、北郷の姿が見えぬようだがどうしたのかな?」

「劉璋様、おおよそこの軍勢の数を見てどこかで震え上がっておるのでしょう。」

「とんだ臆病者じゃわい!」

「「「「ははは・・・・・。」」」」

 

完全に小馬鹿にしたように笑う劉璋たちに曹操と孫権は激高し

 

「あんた達のような小物相手に北郷自ら出る必要もないのよ。私たちだけで相手してあげるわ。」

「戦が兵数だけだと思ったら大間違いなことを思い知らせてやるわ。」

 

そう言い放つが、

 

「ふん、小娘どもがいくらほざいてもいいが状況を弁える事だな。」

 

そういうと劉璋は自陣へと戻っていく。一刃たちも戦闘態勢を取りながら敵の動きを見ていく。

 

 

 

 

そして北郷対蜀の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

あとがき

 

飛天の御使い~第参拾弐幕~を読んでいただきありがとうございます。

 

今回は蜀との決戦直前の動きを描いて見ました。

 

そしてとうとう舞華の正体も明かされました。

 

まぁ、散々あちこちで伏線をちらつかせていましたから

 

何を今更と思われているでしょうが・・・・。

 

次回は正真正銘の蜀との決戦です。

 

執筆の時間がいかに作れるかがポイントだとは思いますが

 

なんとかペースを維持しながら投稿できるように頑張ります。

 

拙い作品ではありますが、楽しんで読んでいただけたらと

 

思います。

 

応援メッセージや感想、コメントなどいただけると

 

作者のやる気へと繋がりますのでヨロシクお願いします。

 

 

 

~今後の予告の抜粋~

 

「そんな・・・・どうして・・・・。」

 

呆然と戦場を見つめる舞華の視線の先には・・・・・。

 

 

 

 

 

 

寝ている一刃に向けて舞華は寂しげな瞳で見つめる。

 

「この人は私の幸せを奪った人。そしてもう一つの幸せをくれた人。」

 

舞華は部屋の扉をそっと閉める。少しの隙間から部屋の中を覗き

 

「さようなら、私を愛してくれた『2人目』のあなた・・・・。」

 

そう呟くと部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 


 
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