体育が終わって体操服で歩いていると、廊下で恭介
と会った。
「体育だったのか?」
「うん、バレーのトスとかをやってきたよ」
何気なく髪の毛をいじりながら、そんな会話。
「ん? 最近髪が伸びてきたんじゃないか?」
「え、そう?」
最後に床屋に行ってから2ヶ月は経ってたっけ。
恭介が僕の髪の毛をしげしげと見つめていた。
「ど、どうしたの?」
「いやな、その髪の長さでツ……」
「……なんでもない。忘れてくれ」
そんなそっぽ向かれながらそう言われると余計に気
になっちゃうじゃないか。
「僕の髪がどうかした? ね、恭介?」
横に回り込んで顔を覗き込んだ。
「ぐっ……」
なぜか恭介の顔が真っ赤。
「僕の髪、おかしいかな?」
「そんなことはない……まぁ、ただその、なんだ……」
恭介が意を決したように僕を見つめてきた。
「理樹」
「なに?」
「そっ」
恭介の声が裏返っていた。僕が首をかしげていると。
両肩をしっかりと押さえられた。
「その髪の長さでツインテールが出来るか試してみないか!?」
「え、えええっ!?」
「ちょっとでいいんだ!! 試させてくれ!! そしておまえのツインテ姿を見せてくれ!!
できれば体操服のままで!!」
その必死な表情に気圧されてしまう。
「ダメか!?」
「いやいやいやいや!!」
首を横に振ったけど、恭介の真剣で真っ直ぐな瞳が僕を捕らえて離さなかった。
「……恭介は……えと……そ、そんなに、み、見たいの?」
「ああ、見たい」
「……………………じゃ……ちょっとだけなら……」
恭介がそこまで見たいって言うのなら断れるわけがないじゃないか……。
3分後。
僕の後ろに回りこんで髪のリボンを結んでいた恭介の手がピタリと止まった。完成だ。
僕は軽いステップで恭介の方に向きかえった。
「えと、似合うかな……恭介?」
「……」
「ツインテールなんて初めてだけど、どうかな?」
両方の結ばれた髪を、手のひらでもてあそぶ。
「……」
恭介は、完全に沈黙していた。
「恭介?」
「ね、恭介?」
「……」
も、もしかして全然似合ってないのかな……。
恭介の期待をむげにしちゃったのかな、僕……。
「ねぇ、恭介……?」
恐る恐る恭介の顔を下から覗き込む。
「僕……似合ってなかった……?」
「……」
「……ぼ、僕……」
次の瞬間。
「理樹ぃーっ!!」
突然恭介が動き出した!!
ガバーッ!!
「え!?」
しかも力いっぱい抱きしめられた!
「な、な、なに!? どうしたの、突然!?」
「理樹は、理樹は……ッ!!」
「俺の嫁ぇーーーッ!!」
「は!? いや…え!? えええええーーーっ!?」
この日以来、僕たちにはバカップルという不名誉な称号が付けられたのだった……。
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リトルバスターズ!のSSです。体育の後、体操着で歩いていた理樹が恭介に呼び止められて……。
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