No.158829

METALGEARCROSS~OUTERHEAVEN~ 第5話

この作品について
・MGSと真・恋姫†無双のクロスオーバー作品です。
・続きものですので前作一話からどうぞ。http://www.tinami.com/view/99622

執筆について。

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2010-07-19 00:58:41 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1406   閲覧ユーザー数:1312

「RAY・・・」

 北門城壁の上に到着していたジェームスとケインの目の前には、巨大な二脚兵器が咆哮をあげていた。

メタルギアRAY。

核兵器は搭載していないものの、その戦力は水陸両用機として空母の戦略的価値を低下させるものだ。

それが目の前に十機いる。

かつてFOXHOUND司令は十数機撃破したらしいが、守るべきものが後ろにある以上十二分な数だ。

「さあ旦那、どう料理する?」

「何、マンタ料理にしてやれば済む話だ。一刀を待つまでもない」

 伝説はそう言い放ち、RAYに接敵するために城壁を飛び降りる。

「へいへい」

 そう言ってジェームスはその辺に配置してあった武器からFIM-92Fを担ぐ。使い切りの誘導式ロケットランチャーだ。弾数に制限があるが動きの速いRAYには非常に有効な武器だろう。

「さあ派手に行きましょうか」

 

 

五話・外 因縁 ~METALGEAR~

 

 

 Wolfを走らせていた一刀は、成都の中央公園に差し掛かっていた。

「東門から転送の反応・・・?」

 Wolfを急速停止させ、コンソールに表示された観測結果を凝視する。

「何だ、このデカさは・・・30×10×10m」

 戦車や装甲車の比ではない大きさだ。やや小降りの戦艦といった趣だ。

電波障害が発生している以上、ジェームスとケインには連絡を入れることができない。どうやら単独でこれに当たらなければならないということだ。

だが中央公園にいることが幸いだった。ここから東門までは一直線だ。東門に向け再びバイクを走らせる。

「陽動とは・・・やってくれるな」

 分隊したのが功を奏したか。この陽動に引っかかっていれば、成都はこれから転送されてくる兵器に蹂躙されるところだっただろう。

この質量で突撃すれば城門なぞ無いようなものだ。

「Wolf、RGL40とM240、それと大型高周波ブレードを」

『Yes,Sir.』

 Wolfの電子音とともに機体前部にあるバインダーが解放され、右のバインダーからグレネードランチャーRGL40と機関銃M240が、左からは大型の高周波ブレードが手に取りやすい位置まで展開される。

腰にマウントしていた高周波ブレードとそれらを取り替え、左手に大型の高周波ブレードを持つ。対大型兵器用の兵装だ。

「Wolf、データベースに似たような兵器がないか検索してくれ」

『Here you are』

「ピースウォーカー計画・・・BIGBOSSが関与した事件だな」

 なるほど、データベースにあるデータより少し小振りにしたものが今回の兵器のようだ。

しかし兵装は大口径砲、ガトリング砲台、マシンポッドに垂直発射ミサイル、火炎放射器に対地爆雷と多岐にわたっている。

「なるほど、一筋縄ではいかないようだな」

 東門が見えてきた。

見張りの兵士がいるが、今のなりですぐに自分とわかる兵士はいないだろう。強行突破の方が何かと都合がいい。そう思い速度をさらに上げる。

「御使い様!お帰りなさいませ!!」

「え?」

 自分を歓迎する声に思わず東門の手前でバイクを止め、バイザーを上に上げる。

「話は関羽将軍から聞いています!お帰りなさいませ!!」

 柄にもなく目頭が熱くなる。

東門の避難所に集まっていた住民達も自分を歓迎してくれている。

嗚呼、自分はこんなにも慕われていたのか・・・。数多の命を奪い、奪わせた自分がこんなにも・・・。

「お帰りなさい!御使い様!」

「関羽将軍から聞いたときはそれはそれは・・・」

 老若男女、様々な人々が一刀の周りに集まってくる。

愛紗から聞いているとはいえ、皆自分の姿を恐れずに集まってきてくれた。

「・・・みんな、今からここは戦場になる。成都城まで避難するんだ」

「御使い様がやっつけてくれるんだよね」

 足下に集まってきた子供達の頭を撫でる。

「ああ、私が守る。みんな急げ!!」

 一刀の鶴の一声で非戦闘員は兵士に守られながら成都城に向かって避難を開始する。

「東門開門!!関羽に東門に近づくなと伝令を出せ!!」

「了解!!」

 

 

「・・・」

 嵐の前の静けさ。

少し北に向かえば、ジェームスとケインが死闘を繰り広げているだろう。

その静けさは、地響きによって途切れることになる。体積から考えて、転送の際に発生する衝撃波は計り知れない。

逃げる気は無論無い。負ける気も毛頭無い。そして勝つ気は溢れている。

RGL40を構え、スネークアームにはM240を持たせる。

「来る」

 目の前に現れたのは、まさに大型戦車と形容するにふさわしい蹂躙兵器だった。

しかしその巨体に怯むことなく接敵を開始する。

超弩級の大型戦車に向かってグレネードランチャーとマシンガンを一斉掃射する。ある程度予想できたことだが、分厚い装甲に包まれたアレはこの程度の攻撃は意に介さないだろう。黒煙が晴れても傷一つついていない。

「火力より火薬が足りないか」

 大型戦車は目の前だ。衝突を避けるため、慣性を保存したまま大型戦車の下部分を滑るように通過し、そのまま後ろに躍り出る。

「Wolf、レールガン起動。サイトをバイザーへ転送」

『Yes,Sir』

 奥の手だ。バインダーから巨大な銃が姿を現す。

電磁加速砲、レールガン。ハンドガンを無理やり改造したような半端物ではない。

開いているスネークアームとレールガンを接続、その巨大な銃を脇に抱え銃口を蹂躙兵器に向ける。同時にWolfを走らせ、再び接敵を開始する。

バイザーに転送されているサイトには電力チャージのゲージが表示される。

「ショウタイムだ」

 ゲージが満たされたのを確認し、最大電力でレールガンを発射する。

狙うは足。無限軌道だ。

白い閃光を描いて脚部にタングステン弾頭が突き刺さる。

手応えあり。レールガンはヘリを初めとする現行兵器を一撃で鉄くずに変える威力を持つ。

その威力に煽られ巨体が竦み、足が止まる。

『自己防衛モード移行』

「何?」

 大型戦車が左右のキャタピラを逆に動かし、旋回を開始する。その巨体から想像できない旋回速度に驚き、ハンドルを横に切りその巨体を回避する。

機体横に装備されていたガンポッドとガトリング砲台がこちらを向く。

「ちぃ!!」

 いくら口径が小さいとはいえあの数の砲門には晒されたくない。

FCSシステムの先読みをくぐり抜け、再びレールガンで無限軌道を打ち抜く。

再び直撃。しかし大型戦車は一瞬動きを止めるものの、何事もなかったように再び一刀を追い回し始める。

(・・・?)

 違和感を覚える。決定的・・・否、致命的な射撃を放った。

しかし狙っていた無限軌道は動きを止めることなく、また攻撃を受けた形跡も残っていない。

「Wolf、レールガンは当たっているのか?」

 仮にも現人類、最速の弾丸だ。避けられていることはないかもしれない。

しかしレールガンの威力を考えるともう少しダメージがあってもいいはずだ。

『No Critical』

「どういうことだ?」

 コンソールに簡易図が描かれ始める。

「射撃の寸前に僅かずれている・・・」

(まさかセンサーがこちらの銃口位置を読み取り、瞬時に致命打を避けているのか・・・しかしどこにそんなセンサーが)

「武装にでもついているのか?」

 どちらにせよ、射撃兵器があまり役に立たないのを見ると、張り付いて武装を壊すのが効果的だろう。加えてもろい部分をピンポイントで狙撃できないのであればなおさらだ。

バインダーの中にマシンガンを格納し、大型高周波ブレードを取り出す。

「Wolf、最大速度で接敵。私が張り付いた後は自己思考で行動しろ」

『Yes,Sir!』

 すぐさま弾幕の中に急展開する。

「あまり蛇を舐めるなよ!!」

 手をかざすと目には見えない電磁場が発生し弾幕をそらし始める。

その間にもWolfは加速を続け、大型戦車への接近に成功する。一刀はスネークアームとファンデルワールス力を利用して大型戦車の後方に張り付く。

主の体重を失ったWolfはすぐさま離脱する。

一方、大型戦車は一刀が張り付いたのを確認すると、その場で大きく回転し始める。ただでさえ巨大なので、遠心力も半端ない。

「くそっ!」

 張り付く位置を間違った。中心部に張り付くことができれば遠心力の影響は少なかったが、中心部は弾幕に突っ込むことになる。少なくとも動物的感覚ではそんな危険なところに突っ込めなかった。

張り付きが限界に達したとき、それを読んでいたWolfが危機一髪で彼を背中に載せる。

「いいセンスだ。Wolf」

『Thank You』

 そうこう言っている間にもガンポッドが展開され、こちらに弾幕が文字通り降ってくる。

「ちぃ!」

 再び前方に意識を集中し、電磁波防御帯を発生させる。

しかしこちらの電力は限りがある。あちらはジェネレータ内蔵だ。スタミナが違う。

手詰まりだ。遠距離では無駄弾を撃たされる。近距離では張り付きすらさせてくれない。せめて近距離と遠距離を同時に畳みかけることができればいいのだが。

『Reinforcements』

 しかし世界はご都合主義で動いていた。

Wolfのその一言に続くように、大型戦車にミサイル弾が突き刺さる。

援軍だ。

『これまたデカ物だな!』 

『一刀!城壁まで迎えにこい!』

「お前がこい!年寄りか!!」

 北門のRAYを一掃したケインとジェームスが到着した。

東門に敵増援が現れたのは知らないはずだ。いろいろと理由はあると思うが、今のタイミングでの援軍は非常にありがたい。

「近中遠全距離から一気に畳みかける!こっちは小さいなりにゲリラ戦法で行くぞ!」

『了解!』

『承知した!!』

 

―――戦争はまだまだ終わらない。

 

 

おまけ:機械設計秘話

一刀「Hydra、Wolf起動」

九蛇「Cyclone!」

犬車「Joker!」

機械「MaximumDrive!!」

一刀「・・・中の人、立木文彦さんだったのか」

機械「LoyalStraightFlash!!」

一刀「何で機械に落ち着けと言わねばならんのだ」

玲二「俺のWolfは玉川砂記子さんだぜ」

三狐「タチコマだと!それは俺の役目だぁ!!」

※大塚明夫さんは攻殻機動隊で玉川砂記子さんと共演されています。

 

 * *

 

長いけど雑記。

おまけについて

MGCからのおまけコーナーは、趣味全力全開の設定裏話をどんどん公表します。おそらく元ネタ全てを網羅できる方は多くないと思います。でもやるよ。

友人に言われましたこと

おまけが本編を全部台無しにしているらしいですが、きっと気のせいです。

蛇腹剣について

戦国BASARA弐見てて思ったのですが、竹中半兵衛の蛇腹剣とケインのそれは結構イメージが近いです。ケインのほうがもうちょっと力強い感じかなぁ。

ちなみにケインの蛇腹剣はほとんど切れず、鞭に近いです。

絵について

琉架が描く絵が間に合わないことがあります。っていうか今回もうすでに間に合ってない。私の表現力不足もありますので、彼の絵と併せてご覧ください。

 


 
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