「よしよし、こっちおいで」
なのはちゃんは家に来てからずっと猫と遊んでいる。
確かに、なのはちゃんは最近忙しくなってきたという管理局での仕事と学校の両立で疲れているし、わたしも最近なのはちゃんとゆっくり話せてなかったから家に呼んでお茶を飲みながらのんびりしてもらおうと思っていた。
それに猫たちと触れ合えばきっと楽しいし、癒されるだろうと考えていたのでこれはこれで予定通りなのだけど。
なのはちゃんが来るなりみんな、なのはちゃんの方に行ってしまいわたしが全然話せないでいる。
なのはちゃんの楽しそうな顔を見るのは好きで自分も嬉しくなるけど、せっかくフェイトちゃんたちもいないのだからもっとわたしを見てほしい、その笑顔をわたしに向けてほしいと思ってしまう。
猫に嫉妬するなんてと思ってしまう。
気持ちを抑えられなくなったわたしは猫たちと遊んでいるなのはちゃんを後ろから抱きしめた。
「にゃっ……すずかちゃん?」
「ごめんね、でもこうされるの嫌?」
「嫌じゃないけどいきなりだから驚いちゃって」
「なのはちゃんが猫と遊んでるのを見てたら我慢できなくなっちゃって」
最初は驚いていたがすぐに向きをかえてわたしに向き合う形になってくれた。
「こんなわたしなんて嫌だよね? 猫に嫉妬するなんて……」
「そんなことないよ。わたしのほうこそごめんね、せっかく家に呼んでもらったのにずっと猫とばかり遊んじゃって」
「それはいいの。猫と遊んでもらって疲れをとってもらいたいと思っていたから。それなのに」
そこまで言うとなのはちゃんは何も言わずに抱きしめ返してくれた。
やっぱりなのはちゃんは優しいと思った。
なのはちゃんは来たときより幾分か普段のような感じになってきていたが、まだ疲れているような表情をしている。
普段は疲れていてもあまり表に出さないのにそれが出てしまっているというのはかなり疲れが溜まっていたのだろう。
思い出すのは前になのはちゃんが大けがをしたこと。
その知らせを聞きたときは嘘だと思った。
でもそれは本当のことで。
だからなのはちゃんが表情に出すということはかなり仕事が大変なのだろう。
わたしは魔法は使えないから近くでなのはちゃんを護ってあげることはできない。
だから
「なのはちゃん、これからお昼寝しようか」
「でも……」
「ううん、なのはちゃん疲れてるでしょ? また何かあったらいけないから」
「ごめんね、気を使わせちゃって。今度のときはもっとお話しとかしようね」
なのはちゃんは横になるとすぐに寝息をたてはじめた。
近くで護ってあげることができないのならせめて、帰って来たときに安心していることの出来る場所になろうと思った。
end
・お読みいただきありがとうございました
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すずか×なのはです
相変わらずの文章ですが、それでもよろしければお願いします