No.158578

真恋姫無双~ありえたかもしれない外史AF~ 第4話 式典×闘技場 

ちいたさん

投稿です。生暖かく見守ってください。

2010-07-18 01:18:56 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:12731   閲覧ユーザー数:10142

この作品は原作のキャラの性格が変化したり時代背景が変わったりします。またオリジナルな展開などもいれようと思っています。

なので原作好きの方また特定のキャラが好きな方はスルーしてください

 

平和記念式典の朝、城の倉の中で一刀は美羽からもらった背中に十文字の刺繍がある服に袖を通した。さらに、両手に黒い手袋をつけ左手を頭上に掲げて一言。

  「時が来たね……」

詠 「何を言ってるのよ……あんたは」

後ろで一刀の言葉を聞いて呆れたように言う詠。その隣には月が控えていた。この二人が朝食と一刀の着替えを持ってきたのである。

  「いや……何となく言ってみた。…特に理由はない」

詠 「あっ…そう」

  「そう言えば前夜祭はどうだった?」

月 「はい……すごく楽しかったです」

  「いいね~……」

月の言葉を聞き一刀はため息をつく。そこで一刀は思い出したように言う。

  「……そうだ…詠」

詠 「……なによ」

  「昨日、詠から貰った報告書読んだよ」

詠 「……それで」

  「俺が考えていた街の区画整理とか取り組んでくれてたんだね」

詠 「あんたがボクに押し付けたんでしょう」

一刀が消える前に一刀は現代の政策や思想、技術や娯楽、また自分が考えていた政策などを書き残していた。そして、それを詠に託していたのである。

  「街の区画整理に関しては報告書を見る限り完璧だな…」

詠 「当然!ボクがやったんだからね」

  「ありがとうな……詠」

詠 「べ、別にあんたのためにやったんじゃないんだから!!」

そう言って顔を真っ赤にしてそっぽを向く詠。そんな詠を見てクスクスと笑う月。一刀もまた詠の態度に苦笑をする。そして、一刀は新しく用意した漆黒のマントを纏う。

月 「一刀さん……どこか行くのですか?」

  「街に行ってくる。それで警備隊の本部に顔を出してくる……警備のことで打ち合わせしてくる」

詠 「…ていうかあんた出歩いちゃ駄目でしょ」

月 「そうですよ。他の人に見つかっちゃ駄目ですよ……」

  「それなら大丈夫だ……」

二人の疑問にそう答えると一刀の姿が消える。

月 「えっ……」

詠 「へっ……」

突然消えた一刀に驚く二人。すると再び二人の前に一刀が現れる。

  「どうだ?」

詠 「はぁ……もう何でもアリね……あんたは」

一刀の非常識ぶりにため息をつく詠。詠の言葉を聞き笑う一刀。

  「じゃあ行ってくる」

一刀はそう言ってマントについているフード被るとそのまま倉を出て行った。

 

街に出た一刀はその活気に驚いていた。道は人でいっぱいにあふれ、露店がたくさん並んでいた。

  「お祭り騒ぎだね……」

そう言って露店を見て回る一刀。すると一刀は誰かに肩を叩かれる。

  「ん……?」

兵士「すまないが顔を見させてもらえないか?」

警備の兵士が一刀に職務質問をしてきた。一刀の姿ははたから見ると全身黒ずくめであり怪しさ全開であった。とりあえず一刀はフードを外す。

  「うん……ちゃんと仕事をしているみたいだね」

兵士「何を言っているん……だ」

一刀の顔を見ると兵士の顔が驚きの表情になる。

兵士「あ、あなたは……」

  「静かに……とりあえず本部に行こうか」

兵士「は、はい!!」

一刀の言葉を聞き兵士は頷く。そして、一刀は再びフードを被るとそのまま兵士を連れて歩き出した。

 

 

本部に着いた一刀はそのまま兵士と警備の打ち合わせを行った。打ち合わせが終わり一息ついていると外から一際大きな音が聞こえた。

  「この音は……」

兵士「記念式典が始まったようです。」

椅子に座っていた一刀は窓からその様子を見る。

  「この後、四国の王が宣誓をして永遠の平和を誓う……か」

美羽の晴れ舞台を見たかった一刀は残念そうに呟く。

  「そう言えば武闘祭はどこでやるんだい?」

兵士「武闘祭はあそこで行います」

そう言って兵士が指をさしたのは一際大きい建物であった。

  「あれは……闘技場か」

兵士「式典とかもあそこで行われています。」

武闘祭はどうやら一般にも向けて観戦ができるようになっていた。さらには武闘祭での賭博も行っているらしい。賭博自体を国で管理を行っているのである。

  (普段は競馬とかをしているからな…)

一刀は詠からの報告書を思い出していた。この国営の賭博は一刀の提案である。

兵士「実は私も武闘祭は家族で見に行くのです……」

そう言って兵士は懐からチケットを見せる。

  「そうなんだ………あれ?君、結婚していたんだ?」

兵士「はい……実は赤壁の戦いの後にすぐ……子供も先日生まれたばかりでして」

  「それはめでたい。何か贈り物をしないと……で相手は?」

そう言って他愛もない世間話をする一刀であった。

 

記念式典が行われた会場では今からちょうど武闘祭の抽選が行われるところであった。武闘祭はまず四つのグループに分けられトーナメントの予選が行われる。そして、その予選の勝者が準決勝に進むことができるというものである。現在は参加する武将達が中央に集まってきている。観客席の中でも最も良い場所に各国のトップが席を取っている。

桃香「今年はどうなるのでしょう?」

華琳「ええ楽しみね」

蓮華「全く姉様は……」

冥琳「蓮華様……諦めましょう」

蓮華と冥琳が見つめる先には雪蓮が観客に向けて手を振っていた。

華琳「ん……どうしたの美羽?さっきから何か落ち着かないわね」

美羽「な、何でもないのじゃ」

美羽の様子がおかしいことに気づいた華琳が尋ねるが美羽は何でもないと答えた。

華琳「あら……そう」

そう言うと再び華琳は中央を見つめる。

各国の参加武将は以上の武将が参加する。

蜀   愛紗・鈴々・星・翠・蒲公英・焔耶・猪々子・斗詩・華雄・桔梗

魏   春蘭・秋蘭・季衣・流琉・凪・真桜・沙和・霞

呉   雪蓮・祭・思春・明命

仲   恋

という面子となっている。

 

観客は抽選が始まる前から異常に盛り上がっていた。そこで急に美羽が立ち上がる。

美羽「いきなりすまないのじゃ!!」

突然の美羽の発言に隣にいた華琳達や中央にいた武将、さらには観客までもが美羽の方向を見る。

美羽「突然じゃが妾から一人推薦したい人物がいるのじゃ!!」

美羽の発言にどよめく観客。隣にいた蓮華達が質問する。

蓮華「美羽……突然ね」

桃香「うん……驚きだよ~」

華琳「で……その人物とは誰よ?」

美羽「うむ……今から呼ぶのじゃ」

華琳の言葉に頷く美羽。そして、美羽がある方向を見るとそこに一つの人影が現れた。その人影は漆黒のマントで全身を覆っていた。フードを被っているので顔を見ることができない。その人物はそのまま中央にむかい歩き始めた。むかってくる人物に武将達が警戒の色を浮かべる。

春蘭「貴様は一体何者だ」

春蘭の問いかけを聞きその人物は立ち止まった。

 

突然、現れた漆黒の人物とはもちろん一刀である。事前の打ち合わせ通りに一刀は闘技場の中で今までの様子を見ていた。そして、美羽の合図と共に現れたのである。

  (……やれやれ…なんでこんなことを……)

一刀は周囲の様子を伺うが観客達は突然現れた人物に困惑気味であり、参加する武将達は警戒していた。一刀は恋と華雄を見るが恋は正体を知っているので不思議そうに武将たちを見ていて、華雄は我関せずとばかりによそを見ていた。

華琳「悪いけど認められないわ……美羽」

華琳は美羽の提案を却下した。

華琳「己の誇りを国の威信をかけて武を競うこの武闘祭に得体のしれない人物を参加させるわけにはいかないのよ」

  「………………」

美羽「そ、そこを何とか」

華琳「無理ね……そうでしょ桃香、蓮華」

桃香「ふぇ!あ…はい!そ、そうですよね……」

蓮華「確かにそうね……」

さらに華琳は立ち上がり一刀に視線を移す。

華琳「あなたもそんなふざけた格好をせずに顔を見せなさい」

  「………………」

一刀は視線を美羽に移す。美羽も一刀の視線に気づいてジェスチャーでフードを取るように指示する。しかし、一刀は一向にフードを取ろうとはしなかった。

美羽(何をやっておるのじゃ~一刀)

一向に指示に従わない一刀に美羽が焦りだす。

  「………………」

華琳「……春蘭!!その者を取り押さえて顔を曝しなさい」

春蘭「はっ!!」

華琳がそう言うと春蘭が一刀に手を伸ばす。しかし、次の瞬間一刀の姿が消える。

春蘭「な、何!!」

突然消えた一刀に春蘭ら他の武将や観客達がざわめく。華琳が席を立ち上がり目の前の光景に驚く。すると華琳は後ろから気配を感じた。

  「後ろ……がらあきだよ?曹操さん」

華琳が振り向くとそこに一刀が現れた。突然現れた一刀に桃香や蓮華も驚いている。

華琳「なっ……」

  「……顔を隠しているのはあんまり顔に自信がないからな」

そう言って一刀はフードをどかして顔を見せる。

華琳「あなたは……」

桃香「え?え?」

蓮華「うそ……」

フードを取った一刀は満面の笑みで手を挙げて一言。

  「どうも~……北郷一刀です」

 

  「どうも~……北郷一刀です」

一刀はおどけた感じで挨拶をする。しかし、誰も何の反応をしない。闘技場全員が静まりかえっている。

  (あれ?……無反応)

あまりの無反応ぶりに一刀は慌てて美羽に近づき耳うちをする。

  「おい……誰も驚いていないぞ……」

美羽「あれ~おかしいのじゃ……」

  「美羽がやれって言ったからやったんだぞ……それがこの様か……」

美羽「知らないのじゃ……一刀が悪いのじゃ」

作戦発案者のあまりの無責任な発言にに一刀がムッとした顔になる。

  「何だよ!!一昨日からあんな倉に閉じ込めておいてそれはないぞ!!」

美羽「一刀が妾の指示を聞かないからいけないのじゃ!!」

  「美羽の指示がお粗末だからだろ!!」

美羽「何じゃと!!ていうか一刀うるさいのじゃ!!妾の繊細な耳が壊れるのじゃ!!」

  「そう言う美羽の方がうるさいぞ!!」

美羽「いや、一刀の方がうるさいのじゃ!!」

  「い~や、美羽のほうが……」

華琳「そこまでにしなさい………」

口論を始めた二人に華琳が中断に入る。二人は同時に華琳の方向を見る。

  「何だよ!!今、美羽と話してるだろ!!」

美羽「そうじゃ!!一刀と話をしているのじゃ!!」

プチン  何かが切れた音がした。

華琳「いい加減にしろーーーーーー!!!!!」

華琳の怒号が闘技場に響いた。

 

後書き

一刀の登場がかなりグダグダになってしまいました……本当はもっとかっこ良く登場させるつもりだったのに……。美羽の頭の中では推薦して許可を取ったあとに正体をばらすというものでした。まあ結局この通りにはいきませんでした。まあ、あまり一刀と美羽の口論する所を書けなかったので書けて良かったです。

 

どうでもいい情報

一刀が黒の手袋をつけているのは意味はありません。気分によってつけたりしているただのお洒落です。

服は前に美羽から貰ったものと同じで色や背中の刺繍が違う服が何着もあります。見た目は銀魂の神○です。実は一刀がいなくなった後も、美羽が街に出るたびに一刀の為に服を買っていたのでかなりの種類の服が一刀の部屋に置いてあります。

マントはフード着きで何着も持っています。これと色違いのマントを美羽と七乃も持っています。以上のことは本編ではほとんど出ることのない作者の脳内設定です。この情報は軽くスルーしてください。


 
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