No.158435

真・恋姫†無双 董卓軍√ おまけ物語其の一

アボリアさん

皆様お久しぶりです
本作品は董卓軍√のアフター(という名のおまけ)です
予定としては思いついたネタ物語と董卓軍メンバーの幕間を一人一つずつ投稿する予定です
今回はネタ物語一つと恋さん、ねねさんです
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告いただけると有難いです

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2010-07-17 17:23:16 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:13284   閲覧ユーザー数:9731

 

おまけ物語その一

 

 

どうしてこんな事になってしまったんだろうか

 

「恋しゃんは、一刀しゃんを独り占めしすぎでしゅ!!」

 

「……そんなことない。月のほうが、いつも一刀と一緒。ずるい……ヒック」

 

ついさっきまでは和やかな雰囲気だったのに、何でこんな事に……!!

 

「ゆ、月?ちょっとおちついて……「詠ひゃんはだまってて!!」ヒィ!!」

 

「恋殿!!もうそのくらいに……「ねね、五月蝿い」うう、恋殿~!!」

 

詠とねねが二人を止めようとするのだが、両方とも一言で黙らされてしまう

 

そんな光景を戦々恐々と眺めつつ、俺は事の元凶へと視線を送る

 

 

「……予想外だったわ。まさか月がこんなに弱かったなんて」

 

 

「アレはウチも予想外やったわ。恋も表情変わらんもんやから、調子に乗ってやりすぎてもうたなぁ……」

 

 

元凶が二人して何か言い訳めいた事を話していた

そのくせ我関せずといった呈で遠巻きに眺めている姿に腹が立ったが、そんなことより此方の方が一大事だった為、無駄と知りつつ俺も二人の間に割ってはいる

 

「あの~、月?恋?二人共それぐらいに……」

 

「恋しゃん、こうなったらはっきりしゃせましょう!!」

 

「望むところ……!!」

 

「だからやめろってーー!!」

 

俺の話を全く聞いてくれない二人

 

その足元には…大量の、空になった壷が転がっていたのだった……

「九醞春酒法……ですか?」

 

「ええ。前に一刀から聞いた天の国の酒……日本酒、と言ったかしら。その製法を私なりに工夫した製法よ」

 

月の問いに華琳が答える

暫く前に例の謹慎が解け、月が長安に戻ると同時に華琳は魏国へと戻っていったのだが、今日はその酒について上奏するために長安に出向いてきたのだという

 

「日本酒って、作り方みたいなものは説明したけどうろ覚えな上に基本的な事しか話して無いぞ?よくそれで作れたな」

 

確かに以前華琳が訪れた時にそんなことを話した覚えがあったが、昔酔っ払ったうちの爺さんに無理やり聞かされた知識だったので麹がどう、とか醸造がなんだ、とか断片的にしか憶えていなかった為ろくな説明はできていなかったはずだ

 

「元々酒造りには興味があったし、南陽に住んでいる郭芝という役人が貴方のいっていた作り方に近い製法を研究していたのよ。それで、その製法を改良したっていうわけ」

 

「ふぅん、なるほどな」

 

俺はそういいながら酒の入った壷を覗き込む

九醞春酒は濁りもなく、見た限りではまさに日本酒のようだった

 

「なあ華琳!!その酒ウチ等の分もあるんか!?」

 

霞が期待に満ちた目で華琳を見つめながら言う

先ほどまでは何とか自分を抑えていたようだが、我慢の限界に達したのか興奮を隠し切れずにいた

 

「ええ、それなりの量を用意してきたわ。折角だし此処に居る面子で試飲しようかと思っていたしね」

 

「よっしゃーーー!!さっすが華琳や!!」

 

自分の分もあると聞いて喜びを隠そうともせずはしゃぐ霞

 

「大盤振る舞いだな。……でも、そうなると雪蓮や桃香には残念だったな」

 

そう俺が呟く……今雪蓮達は国境警備の任を受け、城に居ないのだった

「残念というより、それを狙って来たのだけれどね」

 

俺のつぶやきに華琳は嘆息しつつ答える

 

「え?何でだ?」

 

「雪蓮が居たら持って来た分を全部飲まれてしまうでしょう?それに、貴方は知らないかも知れないけど桃香は酒癖が悪くてね……」

 

「あ~雪蓮は納得。でも桃香の方は意外だな」

 

普段の温厚な桃香しかみていない俺にとっては酒癖が悪いと言うのは以外だった

 

「あの子も飲むと一気に変わるわよ。人に抱きつくわ、絡み酒だわで……ま、居ない者の話はこれくらいにしましょう。皆、飲んでみて……」

 

「ん~旨い!!恋、華雄、お前等も飲んでみいや!!」

 

そういって仕切りなおす華琳だったがそれを聞いたと同時に霞はもう飲み始めていた

 

「……ここにもウワバミが一人いたわね。ま、いいわ。酒飲みの意見も貴重だし。さ、月も飲んでみてくれるかしら?」

 

そういって月に杯を渡す華琳

そんな華琳に月は苦笑しつつ答える

 

「え、え~と……気持ちは有難いんですが、私お酒は苦手で……」

 

そういって遠巻きに断ろうとする月

そういえば月が酒を飲んでいる所って見たことがなかった

もっぱらお茶を飲んでいるイメージがあったからな

 

「あら、折角の酒を断ろうと言うの?」

 

嗜虐的な笑みを浮かべつつ華琳がいう

……絶対からかって楽しんでるよ

 

「い、いえ!!そんなわけでは……」

 

そんな華琳の思惑にも気づかず、必死になって否定する月

 

「なら、一口くらい飲んでみてくれないかしら?この酒なら普通のものとは違って苦味も少ないし、飲みやすいはずよ」

 

「う……はい、では折角なんで一口だけ……」

 

華琳の強い勧めに遂に折れた月が杯を取り、口に含む

すると先ほどまでの不安そうな顔とは一転、驚きの顔をしながら言う

 

「あ……本当に苦く無いです。寧ろ甘いくらいで、本当に飲みやすいですね」

 

その言葉に満足げに頷きつつ、華琳が答える

 

「そうでしょう?私の自慢の一品だもの。これなら飲めるでしょ」

 

そういって次の杯を勧める華琳

 

「はい。これならいくらでも飲めちゃいそうです」

 

その勧めに応じるように、月はどんどんと飲み進めていく

 

「おいおい、大丈夫…「おー!!恋、良い飲みっぷりやん!!」……あっちはあっちでもう出来上がってるし」

 

霞達の方を振り向くと、霞に酌をされる恋が次々に杯を開けているのが見えたのだった

 

「おい霞。流石に飲ませすぎだろう」

 

そんな二人を見かねた華雄が注意を促す

 

「だーいじょうぶやって!!恋も旨そうに飲んどるし。なあ、恋?」

 

「……ん、美味しい」

 

「せやろせやろ?いやあ恋っち意外にいける口やなあ~」

 

そういって調子付いた霞が更に杯を勧め、対する恋も無表情でどんどんと杯を開けていった

 

(……本当に大丈夫か?)

 

そんな光景に一抹の不安を抱える俺だったが、この時はまさかあんな事態になるとは全く予想していなかったのだった……

そうして冒頭の場面へと繋がっていくのだった

 

 

「こうにゃったらけっひゃくをつけまひょう、恋しゃん!!」

 

もやはべろんべろんで、ろれつもまともに回っていない月が叫ぶ

 

「……望む、所」

 

対する恋も、言葉はしっかりしているものの、心なしか目の焦点があっていないように見えた

 

「恋しゃんなんか、この、項羽の剣で~」

 

「それってこの間畑で見つけたって言うボロ剣の事?というか月、それは剣じゃなくはたきよ?」

 

「……この、方天画戟の錆にしてくれる…ヒック。……貂蝉は、渡さない」

 

「恋殿!!それは箒ですぞ!?と言うか貂蝉とは何者ですか!?」

 

二人とも、最早言ってる事もやってる事も意味不明だった

……ただ、なぜか貂蝉の名を聞いた時、謎の悪寒にさらされたが

 

「……おい華琳。この酒どんだけ強いんだよ」

 

事の元凶たる華琳に耳打ちする

 

「精製をしっかりしているから、普通の酒よりは強いわ。それでもここまで見事に酔っ払うとはね」

 

こんな状況になっても尚他人事のように言う華琳

 

「他人事みたいに言うなよ。何とか二人を止めないと……」

 

「大丈夫よ。あれだけ酔っ払っていれば飛将軍呂布とはいえまともに歩くことも出来ないでしょ。それに暫くすれば…〈ドテンッ!!〉…ほらね」

 

月と恋、二人共が急に糸が切れた人形のように倒れこんでしまう

 

「月!!月しっかり!!」

 

「恋殿―――!!」

 

そんな二人を介抱するため、詠とねねがそれぞれを連れ退室していったのだった

 

 

「……なんなんだ、このカオスな状況……」

 

「かおす、ていうのがどんな意味かは分からんけどとりあえず片付けするべきや無い?」

 

霞の言葉にうんざりしつつ、俺達は床に散らばった壷の片づけを始めるのだった……

 

次の日、二人は完璧な二日酔いにより苦しんだのだが、聞いた限りでは二人共あの場で起こったことは全く憶えていないとのことだった

 

 

俺達はあの出来事を無かった事とし、今後一切二人に酒を飲ませすぎないことを固く心に誓うのだった……

 

恋 おまけ物語

 

 

「~~♪」

 

「ご機嫌だね、恋」

 

「ん……お手伝いもしたし、一刀とお出かけ。楽しみ」

 

ある日の事、俺と恋は街に向かう為、中庭を歩いている所だった

それというのも、先ほどまで仕事をしていた俺の元を恋が訪ねてきて、お手伝い(内容は以前月との仕事を手伝った時と一緒だった)をしてくれたのが発端だった

それでそのお礼としてお昼を一緒に食べに行こうということになり、街へと向かっているのだった

 

(ま、仕事もキリはついてたし、息抜きと思えば悪くないよな。恋だって良かれと思って手伝ってくれてたわけだし)

 

そんなことを思いながら中庭を歩く

すると中庭の、よく俺と月がお茶を飲んでいる休憩所に誰かが座っているのが見えた

 

「あれは……桃香?」

 

そこにいたのは少し物憂げな顔をして座っている桃香だった

 

「あんな所でどうしたんだ?……恋、すこしいいかな?」

 

「……ん」

 

その様子が気になった俺達は桃香に話しかけてみることにしたのだった

 

「よっ!!桃香」

 

「うひゃう!!!」

 

俺が後ろから少し大きな声で話しかけると、よほどボーっとしていたのか桃香は変な声を上げて驚いていた

 

「え?……あ、一刀さんに恋ちゃん。驚かせないでくださいよ~」

 

先ほどの大声が俺達のものだと気付いた桃香が頬を膨らませて抗議してくる

 

「ははっ、御免御免。ところで桃香、こんな所で何してんだ?」

 

「え、え~と……仕事の途中だったんですけど、少し休憩を……」

 

しどろもどろになりながらそんなことを言う桃香

……目をこれでもかと泳がせながらじゃ全く説得力が無いんだけど

 

「ふ~ん。……で?何を、黄昏てたんだ?」

 

「うぐっ。え、え~と」

 

なんとか言い訳をしようとしていた桃香だったが、良い言い訳が思い浮かばなかったのか観念したように語りだした

「……愛紗ちゃんや鈴々ちゃん、私の義妹の事を考えてたの」

 

「それって関羽さんや張飛ちゃん?」

 

「うん。二人共元気にしてるかなぁ、って」

 

そういって少し寂しそうに話す桃香

 

(そっか、そりゃそうだよな……)

 

いくら責任をとる為、王としての勉強の為とはいえ今までずっと一緒に居た人達と会えないと言うのは心細いものなのだろう

そういう俺だって、此方の世界に来たばかりの頃はなんともいえない不安感を感じたことがあった

 

「もちろん月さん達には良くしてもらってるし、皆と居るのも楽しい。でも、二人に会えないのが、偶に寂しくなっちゃって」

 

ごめんなさいこんな話して、と無理やり笑って言う

 

 

 

「桃香、寂しい。なら」

 

 

 

「え?うぷっ!!」

 

 

 

恋はそういうといきなり桃香に抱きついたのだった

 

「れ、恋ちゃん?」

 

いきなりの事に困惑する桃香

 

だが恋は一向に離そうとはしなかった

 

「恋も昔、寂しかった。でも、一刀にこうしてもらって寂しくなくなった」

 

そういってギュッと抱きしめて恋が続ける

 

「家族と会えないの、寂しい。だったら、恋がお姉さんになってあげる。だから、元気出して?」

 

「恋ちゃん……」

 

抱きしめられていた桃香も恋の言葉が嬉しかったのか、感極まったような顔をして答える

 

「……うん、ありがとう。恋お姉ちゃん」

 

そうして暫くの間、桃香は恋に抱きしめられ続けるのだった

「ありがとう。もう大丈夫」

 

暫くした後、桃香は晴れやかな笑顔で言う

 

「恋ちゃんの言葉、嬉しかったよ。じゃあ、私仕事に……って、きゃ!!」

 

そういって仕事に戻ろうとする桃香だったが、恋に服をつかまれつんのめってしまう

 

「桃香も、一緒にご飯食べに行く」

 

「え、でも恋ちゃん、私仕事が……」

 

桃香がそういうと首をフルフルと振って恋が答える

 

「お姉ちゃん」

 

「え、あの、恋ちゃ……」

 

「お姉ちゃん」

 

「その……」

 

「お姉ちゃん」

 

「……」

 

「……」

 

「……恋お姉ちゃん」

 

「ん。じゃ、一緒に行く」

 

完全に恋のペースだった

このままじゃ堂々巡りになりそうだったので俺が口を挟む

 

「諦めろ、桃香。恋が一度言い出したら聞かないから」

 

「…うん、そうだね。それじゃ、ご一緒させてもらおうかな」

 

俺の言葉を聞き、桃香は諦めたように言う

 

「……ん、じゃあ急ぐ」

 

恋はそういうなり袖を引き、早足で歩き出す

 

「え?ひゃ!!ちょ、早すぎるよ~」

 

ほとんど恋に引きずられるようにして、二人が歩いていく

恋は言うまでもなく嬉しそうだったし、桃香も困りながらもどこか嬉しそうに見えたのは、俺の見間違いでは無いと思う

 

「一刀も、早く」

 

「ああ、分かってるよ」

 

そうして俺も、そんな二人の後を追うのだった……

音々音 おまけ物語

 

 

ある日、久しぶりの休日と言う事で惰眠を貪っていた俺の元に訪問者があった

 

「一刀はいるですか!!」

 

「……ねね?なんだ朝っぱらから」

 

未だに眠たい体を起こしつつ、目をこすりながら俺が言う

 

 

「今から一緒に遊びに行くです!!」

 

 

これ以上無いほどに胸を張り、堂々と言うねね

 

「……さ、寝なおすか。ねね、扉は閉めておいてくれよ?」

 

そういって布団を被る俺…全く、日が上がって間もない時間だと言うのに

そうして気持ちよく眠ろうとする俺だったが……

 

 

 

 

 

「ち~ん、きゅ~、キーーーック!!!」

 

 

 

 

 

「へぶぅ!!!」

 

突然の衝撃により強制的に目を覚まされる事になったのだった

 

「痛いよ!!何すんだよ!?」

 

俺の寝ているベットの上で仁王立ちをするねねに抗議をする

 

「友の誘いを断って、あまつさえ寝なおそうとするお前が悪いのです!!」

 

「だからって蹴る事無いだろ。……それに、遊びに行くとしてもこんな朝っぱらからじゃなくてもいいだろ?」

 

俺がそういうとねねはウッと言葉を詰まらせる

 

「で、でも、今日は恋殿がお仕事で居ないので予定が無いですし、折角の休みなのですから早く遊びに行きたかったのです……」

 

そういって少し申し訳なさそうな顔をするねね……そんな顔されたら何にもいえないじゃないか

 

「……まあ、この時間からでも朝市ぐらいは開いてるかもな。じゃ、準備して行ってみるか?」

 

俺がそういうとねねは顔をパァッと輝かせる

 

「うん!!そうするのです!!では早く準備するのですぞ!!」

 

「はいはい、わかったわかった」

 

そうして俺は着替えを済ませ、ねねと一緒に街へと繰り出すのだった……

 

「おおーー!!見たこと無いものがたくさんあるですぞーー!!」

 

「はいはい、はしゃがないの。それにしても珍しいものが多いな。」

 

朝市では長安ではあまり見かけない、蜀や呉の特産品などを取り扱った市を見て

 

 

 

「今更だけど、何でこの世界に洋服があるんだろうな……。西洋風の服だから洋服じゃなかったんだろうか?」

 

「何をブツブツいってるですか。いいから早く見てみるです」

 

呉服屋に行けば並んだ色々な洋服を見て周り

 

 

 

 

「おお、孟徳新書があるですぞ!!」

 

「本当か?華琳の奴、本当に何でもやるなあ……」

 

「一刀、こっちにある八百一っていう本は……」

 

「絶対に中を見るなよ!?」

 

本屋に行けば将棋の本や兵法書、あと焚書にするべき本を見て

 

 

 

 

「旨いのです!!今度は恋殿もつれて来るです!!」

 

「その時は店の人に迷惑をかけないようにするんだぞ?」

 

昼になれば昼食を取り、その後もいろんな所を見て回ったのだった

「で、結局こうなるわけか……」

 

夕方になり城へと帰る帰り道、俺は両手に恋への土産を抱え、背中には……

 

 

「うぅ~ん……むにゃ」

 

 

先ほど疲れて寝てしまったねねを背負っているのだった

 

「ま、あんな早くからあのテンションで居れば仕方ないか」

 

折角の休みだというのにくたくたになってしまったがそれでも幸せそうに眠るねねの顔を見ると、こんな休日も悪くなかったかな、と思ってしまう

 

「こんどは、あっちにいってみるですぞ~……」

 

「はいはい、また休みになったらな」

 

ねねの寝言に答えつつ、俺は帰り道を進むのだった……

 


 
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