「直枝。ちょっと変なこと聞いてもいい?」
放課後。二木さんの仕事を手伝い、今は休憩中。
「どうしたの二木さん。そんな改まって。」
「直枝がハーレムをつくってるって噂、本当なの?」
「ぶふーっ!?」
休憩がてら飲んでいたお茶を吹いてしまった。
「これが答えというわけね、直枝?」
お茶をぶっ掛けられて二木さんが静かに怒ってる!
「違います!断じて違います!」
「それはいいから………。さっさと拭きなさーい!」
「は、はい~!!」
辺りを綺麗にして、改めて二木さんに向かいなおる。
「僕がハーレムって。どういうこと?」
「うちのクラスの子が言ってたのよ。いろんな女の子
や男の子を侍らせてよろしくやっているらしいから気
をつけたほうがいいって。」
「絶対ありえないし、何で男も混ざってるのさ!」
「そんなの私に聞かないでよ。実際のところどうなの?」
「だから、みんな友達ではあっても、ハーレムなんて全く考えてないよ。」
「本当かしら?そんなこといって、実はこうして手伝ってくれているのもそのハーレムに
私を加えるための作戦だったりして。」
「そんなつもりじゃ決して無いから。安心していいよ。」
「………あっさりそういわれるのも傷つくわね。確かに私なんて他の女の子たちに比べた
ら魅力なんてないでしょうけど。」
なんか、急にいじけはじめた。何がしたいんだこの人は。
「二木さんに魅力があるなしで手伝ってるんじゃないってば。」
「へぇ~。あくまで無実だって言い張るのね?」
ぐぅ、なんか妙に今日の二木さんはしつこい。このままやられっぱなしなのも癪だ。事
実ならともかく無実なんだから…。なんでもいいから主導権を握らないと。
「そ、そんなことを聞いてくるなんて、もしかして二木さん。嫉妬してる?」
苦し紛れの一言。こう言えば、きっと彼女のことだ。はっ?何言ってるの?バカじゃな
い?とかいってこの話題は終わるはず!
「そうよ………。悪い?」
クラッときた。二木さんみたいな美人が僕に対して嫉妬している。
「え?あっと……。その。」
潤んだ目が僕を捉える。視線を外すことが出来ず見つめあう。
「直枝…。」
そう言って二木さんは目を閉じた。これはひょっとしてキキキキ、キスっすか!?
「ゴクッ。」
おもわず唾を飲んだ。よ、よし女の子にここまでさせておいて決めないと男じゃないよ
ね。行くぞ!あと20センチ。10センチ。5センチ!
「おっと。そこまでだ少年。」
「え?」
なんとロッカーの中から来々谷さんがビデオカメラを片手に出てきた。
「理樹君も男じゃないか。お姉さん感心したよ。ハッハッハ。」
「出てくるのが少し遅いんじゃない?もう少しでキスされるところだったわよ。」
え?え?どういうこと?
「ふむ。それはそれで撮ってみたい絵ではあるな。」
「ふざけないで。それよりも早く返して。」
「わかっているよ。そらっ。」
そういうと来々谷さんが懐からビデオテープを二木さんに投げてよこした。
「全く。いつのまに撮られてしまったのかしら……ブツブツ。」
二木さんも何か撮られていたんだろうか、弱みになるような何かを。
「二木さん、それは…。」
「な、直枝には関係ないことよ!」
「相手のことを気にしてる場合か?君の醜態を撮ったテープ。どうしてくれようか。」
そうだった。しかし、来々谷さんが相手では実力行使じゃ敵わない。
「僕はどうしたらいいの……?」
「話が早くて助かる。何、またいつもの女の子同士のお泊り会に参加してもらえればいい
のさ。女装でな。」
「ええええっ。またなの?勘弁してよ……。」
あんな恥ずかしい思いは2度とごめんだ。
「それならそれで仕方ない。理樹君のこの醜態を肴に皆で楽しくやるだけさ。」
「………やります。」
勝ち誇った来々谷さんを前に、僕は力なくそう答えた。
「作ってるじゃないハーレム。直枝の馬鹿…。」
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リトルバスターズ!シリーズ小説コンテストの3作目です。