注意
この話は虚数空間です。
痛いと思います。
それでもご容赦いただける方はお読みください。
ご容赦いただけない方は――
ゴメンナサイ……
報告がおわり、あとは雑談となった――
「どう、秋蘭、男になってみない?」と華琳がいった。
華琳よ、唐突に何をいう。
その表情はいけない!
夢見がちの年頃の少女にふさわしい顔だが、口元から滴る雫が痛々しい。
その夢がどんなものか窺い知ることはできるが、直視できるものはよほどの勇者である。
「ほぅ……」と秋蘭が見下す。
「みおろす」のではなく「みくだす」のである。
そして秋蘭の瞳の奥に潜むのは獣のそれ、何か起こしてはいけないものを目覚めさせてしまったのか。
だが華琳はそれに気付いていない。
早く気付かないと、大事な大事な1ターンが終わってしまう。
「華琳!後ろ!後ろ!」そんな声援もお約束なのか届かない。
「残念!逃げるとお答え頂きたかった」
無常にも華琳のターンは終了してしまった。
秋蘭は一気にテンションを高め、ピンクのオーラにつつまれる。
この状態なら一気に瞬殺も可能だろう。
そして、妄想中の華琳から不用意な一言が放たれる。
「どう、秋蘭?ごっ!?「秋蘭さま――だろ?」 」
見るもの誰しもが心奪われ、10点と採点せざるを得ない程、秋蘭は高々と華麗に右脚を蹴り上げ、一気に振り下ろした。
その美しい軌跡が華琳の頭頂部に降りそそぐ。
あれは神をもねじ伏せることができる動きだった、と秋蘭は振り返る。
そのまま華琳はきれいに石床に前のめりに倒れ、頭を踏みつけられた。
衝撃で石床が砕け、破片が飛び散る。
飛び散る破片を顔に受けながらも、瞬きすることなく、足元の華琳をにらみつける。
さらば、華琳、その気高き精神を忘れない!
その場で見ていれば涙を流さずにはいられないだろう。
だが、「いたい、いたい、しゅーらーん……(グッ!)さまー、踏んでるよー」
なんとも暢気な声をだす。
「しゅーらーん……(グッグッ!!)さまー、足どけてー」
この場においても呼び捨てにする華琳、意地でも「さま」をつけさせようと踏み続ける秋蘭。
さすが、好きにすればいいさ。
「流石は華琳……「さま~」 それでこそ我が相手に相応しい」
ニヤッと笑みをうかべ、足をはずす。
よっこらしょっ、といって起き上がり、身体の前面についた埃をぱんぱんと払い落とす華琳。
傷一つないのは、秋蘭が手加減したわけではなく、華琳の真の力なのか。
「で、しゅーらーん……「さ!ま!!」 」
西瓜も真っ二つといわんばかりに手刀を頭に振り下ろす。
ゴチンと音がして涙目になる。
「いった~い」どんだけ可愛い生き物ですか。
「しゅーらん、さま……ダメ?」
涙をいっぱいためて上目遣いでおびえる小動物のように問いかける。
うっ!?
秋蘭は上を見上げ、鼻血をおさえるのに必死だった。
神の領域を手中におさめたとも思えたが、華琳のアタックであっけなく手から転げ落ちた。
神よ!貴女は私にいくつの試練を与えるのか!
うるうると期待あふれる眼差しで見続ける華琳。
秋蘭の返答次第で、嬉々として抱きついてくるか、どこからかとりだした得物で一刀両断にするかどちらかであろう。
秋蘭は一呼吸して返答した。
「私は、お――」
「あっ!春蘭だー! おーい、しゅんらーん!」
華琳は駈けていく。
人は意志の力で、手から転げ落ちたと思っていた神の領域をもすくい上げることができるのだ。
その時、秋蘭は10m以上の距離をとんだ。
2人をくの字に蹴り飛ばし、スコアに200点が加わった。
……つづきません
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フルーツ果汁100%
なにとぞご容赦ください。