No.157547

幻・恋姫†無双 第4話 『外史の御遣い』

奏斗さん

ようやく投稿……そして、ようやく本編開始です……
頑張って書いてますよ、本当に……

2010-07-14 00:22:38 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:1479   閲覧ユーザー数:1315

《前書き》

 

 

 

 

 

ようやく、外史に入りました

ここからは、オリジナルとなっていくので、質が下がるかと思います

そこらへんは勘弁してくださいな

 

 

 

それと、分かっていたけど、投票の意味がありませんでした……

落ち込んでませんよ……凹んでいるだけです

まあ、とりあえず、その話によって変えていこうかなと思います

 

 

 

話はここまでにします

それでは、お楽しみください

「……」

命は空を見上げる。

「何処だ、ここ?」

目を覚ますと、荒野が、更にその先には、日本では見ることの出来ない、まるで中国の水墨画に出てくるような光景が広がっている。

「来たんだな……」

俺は外史にいるのか。

「とりあえず……起きないとな」

大地に横たわったまま、深く息を吸い四肢にゆっくりと力を込めて行く。同時に身体に損傷がないかを掴んでいく。

「やっぱりか……」

起き上がって、腕を見てみると血がうっすらと付いていた。

「無理は出来ないな……」

一刀は無事なのだろうか。

「まあ、混乱してるだろうな……」

溜息をつく。

「まあ、何とかするだろう……恵まれている奴だしな」

今の俺とは違ってなと、自嘲しながら、辺りを見渡す。

「いや、俺もまだ、見放されてないのかね……」

漆黒の木刀が、そこにあった。

命は、漆黒の木刀を手に取り、立ち上がる。

「さて、まずは金でも稼ぐかね……」

そんな時だった。

三人の少女が、こちらに駆けてくる。

「ふむ、なんとかなりましたね……」

眼鏡をかけた少女が荒い息をしながら言う。

「そうですね。まあ、いいじゃないですかー、あのお兄さんも星ちゃんのおかげでぶじでしたしー」

頭に玩具を載せ、飴を持った金髪の少女が話す。

「私のことは置いといて、今、二人は曹操殿に会う訳には行きませぬしな」

星と呼ばれた、槍を持つ青髪の少女が応える。

「すまないが、そこのお嬢さん方。少し、尋ねたいことがあるのだが……」

近くに寄ってきた少女達に声を掛ける。

「なんですかー?」

「風、気を緩めては……!?」

風と呼ばれた金髪の少女を、眼鏡をかけた少女が止める。

「稟、その方は、おそらく平気でしょう。身に纏う雰囲気が教えてくださる」

星と呼ばれた少女が言う。

「そう言って下さるとは、ありがたい……。ところで、貴女方の名前を教えて下さらぬか?我が名は命、姓は両儀、字はない」

「でしたら、それがしから。我が名は趙雲、字は子龍と申す」

青髪の少女が名乗る。

「では。風の名は程立、字は仲徳ですよー」

金髪の少女が言う。

最後に眼鏡の少女が言う。

「今は、戯志才と名乗っております」

「ふむ……。では、先程、呼び合っていたのは、あだ名か何かですか?」

まさかと思うが、星、風、稟と呼び合っていたのは……

「お兄さん、何処の人ですかー? 真名を知らないなんて」

「マナとは?」

ここは聞いておいた方がいいか……。

「 “真名”とは、本人が心を許した証として呼ぶことを許した名前であり、本人の許可無く “真名”で呼びかけることは、問答無用で斬られても文句は言えないほどの失礼に当たります」

志才が答えてくれる。

やはり、そうか……。

「しかし、今日は不思議な日ですな。真名を知らぬ男性に二人も出会うとは」

趙雲が言葉を漏らす。

「ちょっと待った。その男とは、白い服を着たものか?」

まさか、一刀ではないだろうか、という考えが頭を過ぎる。

「そうです。煌く白い服を着た男性でした」

志才が応える。

「やっぱりか……」

「ふむ、お知り合いか……しかし、となると」

趙雲は少し考える。

「もしかして、彼は『天の御遣い』で、貴公は『地の御遣い』でしょうか?」

「『天の御遣い』? 『地の御遣い』?」

命は聞き返す。

「『東方より飛来する二筋の流星あり。白き流星、天より飛来する。その流星、天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静する』という管輅の予言がありました」

志才が言う。

「なるほど、それで『天の御遣い』な訳か……では、『地の御遣い』とは?」

「そうですね。その続きなのですが、『黒き流星、地より飛来する。その流星、地の御遣いを乗せ、治世を戻す』というのなのですよー」

程立が言う。

「なるほど、確かに俺の服は黒い……。それで、お三方、その白い服の男性は何処に行ったか教えてくださらぬか?」

命は聞く。

「盗賊に襲われているところを星に助けられ、曹操殿、いや、太守が連れていきましたよ」

「ありがとう、志才殿。それから、子龍殿にも、お礼を」

趙雲にも頭を下げる命。

「気にする必要はござらん」

笑いながら言う。

「それとここは、何処だか教えてもらえると助かるのだが……」

「ここは陳留の郊外ですよー」

程立が説明してくれる。

「陳留? となると、ここは兗州なのか……」

「ふむ、真名を知らぬのに、地名を知ってるとは不思議な御仁ですな」

趙雲が苦笑している。

今はそれどころではない。聞き流していたが、曹操が陳留にいて、しかも、太守。正史とも演義とも明らかにいる場所が違う。とりあえず、程立がここにいるということは、黄巾の乱は終わってなさそうだが、確信が持てない。

「確かに、そうですな。もう一つだけ質問を。現在の年号は光和で、皇帝は劉宏様ですか?」

「そうですよ? 当たり前のことを聞くとは、星の言う通り不思議な人ですね……」

志才が教えてくれる。

まだ、黄巾の乱が始まっていないと思っていいのかもしれない。この後は、群雄割拠の時代となるはずだ。一刀は、曹操の下にいるということは、このあと、間違いなく出てくる。とりあえず、洛陽の方に行ってみるとするか。

「ありがとうございました、子龍殿、仲徳殿、志才殿」

「いえいえー、ところで、お兄さんは何処に行くんですか?」

「そうですな、洛陽の方に行ってみようかと思っています」

三人が驚いたような顔をする。

「止めておいた方がいいと思いますよ? 洛陽は今、とても荒れています」

志才が忠告する。

「そうでしょうな……だから、行くんですよ」

「ふむ、そうか。なら、引き止める訳には参りませぬな」

子龍が言う。

「忠告だけは、胸に留めておきますよ。では、機会があれば」

三人に手を振る。

目指すは、都、洛陽。

「行きましたね、本当に……」

漆黒の後姿を思い浮かべ、稟が溜息を吐く

「しかし、星が闘いたいと言い出すのではないかと、ハラハラしましたよ……」

「いや、闘いたいとは思いもせぬよ……」

星が苦笑と共に言う。

「彼の持つ“気”に呑まれてしまった。いや、この場合は、空気といった方が正しいのかもしれぬ……」

「空気ですか?」

要領を得ない稟が不思議そうに聞く。

「そう、これを見てみなされ……」

そういって、手の平を見せる。そこには、汗が手の平を覆っていた。

「っ……! まさか、星ほどの武人が……」

「お兄さんは、人ですかねー?」

風が疑問を浮かべる。

「分からぬ。しかし、風よ、いつ、そのことを疑問に思ったのだ?」

星が聞いてみる。

「初めてみたときからですかね。もしかしたら、妖怪の類なのかもしれませんね~。邪な雰囲気を持ちながらも、眼は正常ですしー、邪仙のような狂気に囚われている訳でもありませんしね」

ふふふ、と笑う風。

「まあ、何にせよ、あの御仁とは闘おうという気が削がれるのですよ」

「そうですか……では、あの人は強いですか?」

「それは、確かに気になりますねー」

稟と風が興味の色を顔に出す。

「そうですな……強いけど、弱いかと。それよりも、恐ろしいといった方が正確かも知れませぬな。風のいうように妖という言葉に当てはまるのかも知れぬ……」

「強いけど、弱いですか?」

稟が聞く。

「強さが、掴み難いのさ。弱いかと思えば、強い影が、強いかと思えば、弱い影が見え隠れするのでな」

星が空を見上げる。

「不思議な方でしたねー、稟ちゃん?」

風は、稟に同意を求め、頷き合う。

「あなたが、未来から来たことは分かったわ」

髑髏をかたどった髪飾りを付けた金髪の少女が言う。

「分かってもらえてなによりだよ、曹操」

溜息を付く一刀。

「大きな疑問が解決したところで、もっと現実的な話をしてよいか? 北郷」

青髪の女性が切り出す。

「南華老仙の古書を盗んだ話だっけ、夏侯淵?」

一刀が聞き返す。

「そうよ。あなた、そうつらの顔をみたのね。なら、捜査に協力しなさい」

曹操が言う。

「分かった。行く当てもないしな……俺に出来ることなんて、そんなもんだろう」

「そうでもないわ。あなたの言う未来の知識、私の覇業の大きな助けになるでしょう。それに未来から来たなんて、突拍子もない話を信じる人なんて、そうはいないはずよ」

「そりゃ、そうだろうな」

一刀は、しみじみと思う。

「北郷は、天の御遣いなのか?」

赤い服を着た女性が、いきなり聞いてくる。

「なんだ、夏侯惇、いきなり?」

「いや、巷で噂を耳にしたもんでな……」

「姉者の言っている噂とは確か、『東方より飛来する二筋の流星あり。白き流星、天より飛来する。その流星、天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静する。黒き流星、地より飛来する。その流星、地の御遣いを乗せ、治世を戻す』という管輅の予言だったか?」

夏侯淵が予言を思い出す。

「分からないな……曹操たちから聞いた話と、“東方”が住んでいた日本を示すなら、違うとは言い切れないけど……」

一刀が悩む。

「多分、あなたのことでしょうね。次から名乗るときは、“天の御遣い”と名乗りなさい」

曹操が言い出す。

「了解。ということは……やっぱりそうなるんだよな……」

一刀は空を見上げる。

「……そうだわ。そういえば、一刀の真名を聞いてなかったわね。教えてくれるかしら?」

曹操が思い出したように切り出してくる。

「へ? 俺のことを真名ってやつで呼んでくれるのか?」

「あなたの態度次第だけどね」

「真名か……似たようなものは合っても、真名なんてないんだよな」

「どういうことだ?」

夏侯淵が聞いてくる。

「俺のいた世界に真名なんてないんだ……真名に似たのは最近できたけど。だから、基本的には、一刀っていうのが、真名に当たるのかな……?」

でも、あれは、真名に近いといえば、近いんだよな……偶然にしても出来すぎだろ。

「……っ!」

「な、なんと……」

「むぅ……」

あれ……驚いてるよ……?

「……へ? ど、どうしたんだ? 三人とも」

「いや。少々、予想外だったものでな……」

夏侯淵が答える。

「ならば、貴様は初対面の我々に、いきなり真名を呼ばれることを許していたと……そういうことになるのか?」

夏侯惇が聞いてくる。

なるほど、そういうことだったのか……。

「まぁ、そっちの流儀に従うなら、そうなるのかなぁ?」

「こちらもあなたに真名を預けないと不公平でしょうね」

「へっ?」

曹操さん、今、何とおっしゃいましたか?

「一刀。私のことは華琳と呼んでいいわ」

曹操が言ってくる。

「いいのかよ?」

「私が良いと言っているんだから、構わないわ。……あなた達も良いわね?」

「承知しましたとお応えましょう。我が真名は秋蘭だ」

夏侯淵が言う。

「むう……仕方ない。春蘭だ」

夏侯惇が言う。

「それと、一刀? あなた、真名に近い名前があるって言ったわよね?」

曹操……いや、華琳が聞いてくる。

「あ、ああ……」

「それをあなたの真名としなさい」

華琳が凛とした声で言ってくる。

「分かった。なら、改めて、俺の真名は、天斗だ」

「そういえば、さっき、何か言いかけていたわよね?」

華琳が聞いてくる。

「いや、さっき、俺が『天の御遣い』で間違いないって言ったよな?」

「確かに言ったわね」

「もしかすると、『地の御遣い』と知り合いかもしれない……」

「「「……っ!」」」

あ、やっぱり、驚くよね~。

「どういうこと、説明しなさい、天斗!」

華琳が怒鳴る。

「そうだな……俺がこっちに来るとき、俺以外にもう一人、いたんだよ」

「なんですって?」

「俺の友達なんだけどさ」

「その者の名前は?」

華琳が少し焦った声を上げる。

他の二人の視線も刺さる。

あまりに真剣な眼で、気圧される。緊張を解くために、一拍、呼吸を置く。

「そいつの名前は、命。両儀命だ」

《後書き》

 

 

 

 

 

文章だけで表現するのは、難しいですね……

第三者の視点から書いていたのですが、それだと限界を感じて、第一者の視点も取り入れてみました

とりあえず、何とか慣れたいけど、難しいですね

 

 

 

物語をやったことない人でも分かるように書くつもりですが、分かりにくい点は勘弁してください

 

 

 

まあ、こんな感じで進めていきたいと思います

では、次回をお楽しみに!

《解説》

 

 

 

 

 

☆物語について

前回の解説で、正史を基盤にするといいましたが、急遽予定を変更します

プレイしていたら、演義が基盤になっていたのですよ……サブタイ見ろよ、俺

ですから、基盤は演義で、その上で正史を取り込めるだけ取り込みたいと思います

 

 

 

☆曹操について

なんていうかですね……このゲームは有難いのか分かりませんが、結構いい加減に出来ています

分かりやすくするための製作者側の配慮なのかな?

曹操は生まれが豫州の沛国というところです。後の魏の本拠地、許昌がある場所っていう方が馴染みがあるかも

次に184年に黄巾の乱の功績により治めた地域が、青州の済南というところです。ここで、仕事をきちんとしていたため、兗州の東というところの太守に任命されます。陳留の隣の郡ですが、病気を理由に赴任を拒否、故郷に帰ります。

189~190年に、霊帝が崩御すると袁紹・何進らは宦官誅滅を計画したが、董卓は、機をみて少帝を廃し、献帝を即位させ、曹操を驍騎都尉に任じてともに事を謀ろうとした。曹操は陳留に逃れ、私財を投じて兵を募り、袁紹を盟主とする董卓討伐軍に参加した。

191年に袁紹により、東の太守に任命。今度は、赴任しました。

192年、兗州の刺史・劉岱が青州から来た黄巾軍に殺された。そこで鮑信らは曹操を兗州牧に迎えた。ここで兗州の州牧になります。

曹操を無闇に移動させず、わかりやすくしようとした結果こうなったのかなと予測。

実際に、陳留にいたのは1、2年だったみたいですね

 

 

 

☆役職

間違いがあったので、訂正してあります。

後漢は、国を “州”という単位で13に分けています。ここの政治を行う人を“州牧”といいます。そして、州の監視官がいて、これを“刺史”と呼ぶのですが、まれに刺史が政治を行っていたようです。この刺史、州牧より給料が安く、地位も低いです。それと、州の中にも例外があります。“司隷”という州です。ここは、首都圏なので特別行政区だったようで、 “司隷校尉”という役職の人が支配してました。

さらに、州を約8つに分割し、それを“郡”といいます。ここは “太守”と呼ばれる役職の人が治めていて、地方行政の中核です。陳留もこの郡にあたるので、趙雲が本編で言っていた『陳留の刺史』というのは、間違いとなります。ちなみに、この時代に“国”というのは、この郡にあたるようです。といっても、これも例外でして、皇帝の一族が封建された場合のみ“国”と呼ばれるそうです。ここを治める人は、太守ではなく“国相”と呼ばれます。

この郡を、約10に分けたのが、“県”です。大きな県を治めるのが、“県令”、小さな県を治めるのが“県長”と呼ばれる人たちです。

ちなみに、治める人達を正確には、“行政官”と呼び、すべての行政官が一つ上の行政区分の行政官ではなく、皇帝が直接支配していたため、中央集権的な支配となっていました。

 

 

 

☆戯志才について

実際にいた人物のようです。荀彧の推挙で曹操の軍師となり、曹操に大変気に入られたが、若くして病死した。曹操は、戯志才の死を惜しみつつ荀彧に「彼が死んで策略を相談できる相手がいなくなった。貴公の出身である潁川には優れた人物が多い。誰か彼を継ぐ人物はいないか」と問うと、荀彧は郭嘉を推薦したようです。

この偽名は、自分の前任の人の名前のようです。


 
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