・・・・
赤く染まる校舎に、一人の男が恨めしそうにある二人を見ていた。
男は、唾を飲みある決心をする。
「よぉ、帝人!・・・・・・ん?そこにいんの誰だ?」
なるべく、自然にかつフレンドリーに声を掛けた男の名は紀田正臣。
正臣は、隣にいる恨みの対象に目をやった。
「あっ正臣。今、帰り?一緒に帰ろうよ。この子は後輩の黒沼青葉君だよ。」
「へぇー?」
(よーく知ってるよ。俺から帝人を奪った敵だからな。)
「っえ、もしかしてこの人が紀田先輩ですか?竜ヶ峰先輩から紀田先輩のことは聞いてますよ。こんにちは黒沼です。あ、青葉でいいですよ」
(お前の先輩になったつもりはない(心せまい)!!)
「うん。じゃ 青葉!でOKかなー?」
「はい」
ニコッと笑った青葉に正臣は、もっと顔をしかめる。
(くそっんな顔したってお前の腹の裏は判ってんだぞ!俺は騙されねぇ!!」
「どっか寄っていく?おいしいワッフルの店知ってんだ」
(み・・・・・・帝人ぉぉ!!ワッフルって可愛いなぁおい!もう普通の女子高校生じゃねーか!!)
「いいですね。行きましょう。」
「おう、行こうぜ!」
「うわぁ、さすがに女の人ばっかだな・・・・・・」
帝人に連れられて来た場所は、最近できた女性に人気のワッフルの店だった。
「俺行きますよ先輩。どれがいいですか?あっ俺はキャラメルソースワッフルがいいです」
「じゃ、チョコソースで」
「俺は・・・・・・(帝人と同じにしたいが)イチゴソースにしよ!」
「はいっ、では持ってきますんでどこか席で待っててもらえます?」
そういって、青葉は駆けていった。
帝人は、一番右側の窓の席を選れぶと、正臣は迷はず帝人の隣に座った。
「あ・・・・・・青葉っていい奴だな。気配りできるし。」
「うん。いい子だよね。青葉君って」
すると帝人は、ポっと顔を赤らめた。
それを、正臣は見逃さなかった。
(なんで、赤くなるんだよぉぉおお!!)
そして、約5分たった所に青葉はやって来た。
「ここにいましたか。探しましたよ~」
そういって人数分のワッフルを一人一人に渡す。
そして、帝人の前の席に座った。
(なんで、わざわざ帝人の前の席に座るんだよ!俺の前の席の方が近かったじゃねーか!!)
「・・・・・・あ おいしい。キャラメルソースが少し苦くて、甘いワッフルに合っていますね」
(あんたは、グルメリポータかっ!)
「え?どれどれ、僕も食べていい?」
そう言って、帝人は席を立って青葉の顔に近づけた。
(ギャーーーーーー!!)
「み・・・・・・帝人!俺のもうまいぜ!?」
とっさに正臣は、立ち上がって帝人の肩に腕を回した。
「へ!?何・・・・・・正臣」
一瞬、正臣と青葉の目が合った。
青葉は、二ッと口を開けて笑った。
(このヤロ・・・・・・)
「紀田先輩。竜ヶ峰先輩は俺のを食べたいって言ったんですよ?俺のを食べるべきです!」
「あ・・・・・・?いいや!友達である俺のを先に食べるべきだ!!」
「ま・・・・・・正臣!?青葉君も何言ってんの・・・・・・」
いきなり始まった、喧嘩(?)におたおたする帝人。
「もう、いいじゃないですかぁ!いつも紀田先輩は竜ヶ峰先輩と肩並べて帰ったりしてるんですから、今日ぐらい」
「っんなもん関係ない!」
そう言った、刹那。黒い影を纏った帝人が怒りに手が震えてた。
「二人共!いいかげんやめて!お客さんが見てるよ、やめないと・・・・・・刺すよ?」
帝人の手に握られていたのは、ボールペン・・・・・・。
(怒ってんのか?・・・・・・でもなぜ、ボールペン・・・・・・?)
「み・・・・・・帝人・・・・・・?」
恐怖に顔を引きずる正臣に対し、青葉は・・・・・・
「竜ヶ峰先輩・・・・・・!!」
目にハートマークを浮かべて喜んでいた・・・・・・。
こいつらの関係ってそういうこと・・・・・・?
正臣は、二人の中にあるSとMを垣間見たのであった・・・・・・。
(俺は何も見ていない・・・・・・。)
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帝人を巡って正臣と青葉の争いが勃発!?