No.155930

恋姫ランド31 「一姫の七夕~星空の二人~」

さん

今日は七夕。

さあ、一姫が織姫となって貴方を待っています。
例によって○○に入るのは貴方の名前です。

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2010-07-07 17:38:14 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:4482   閲覧ユーザー数:3910

此処は聖フランチェスカ学園。

この学園には創立以来、一つの伝説があった。

それは7月7日の七夕の日に、愛し合う二人が短冊に願いを込め丘の上にある笹に吊るすとその愛は永遠を約束されるというものだ。

え?元は女子高じゃないかって。

ある意味、女子高だからだ。

 

そして、当然彼女はその騒動に巻き込まれる事になる……

華琳は今、一姫の部屋の前に立っていた。

 

華琳「うふふ、一姫、今度は逃がさないわよ」

 

バレンタインの時、一姫に逃げられた華琳は今度こそ一姫を逃がさない為にまだ寝てるであろう早朝から一姫確保に動き出したのだった。

 

秋蘭「しかし華琳様、どうやって部屋の中に?一姫の部屋には電子ロックが掛けられていてそうたやすく中には入れませんが」

華琳「秋蘭、貴女知らないの?電子ロックはね、ヘアピンで開けられるのよ」

 

そう言いながら華琳は本当にヘアピンで電子ロックを解除していく。

 

秋蘭「またそんな分かりにくいネタを……」

春蘭「おおっ!さすがは華琳様!!」

 

カチャカチャ……ピーーーー!

 

部屋の扉が開き、中に入ると其処には誰も居なかった。

机の上を見ると『旅に出ます。捜さないで下さい』と書置きがあった。

 

華琳「ふっ……ふふふふふふふ。逃げられると思ってるのかしら?……逃がさないわよ!!春蘭・秋蘭、追いかけるわよ」

二人『御意!!』

その頃一姫は隠れながら待ち合わせの場所に向かっていた。

 

一姫「え~と、ここには誰も居ないみたいね」

 

そう言いながら木陰から姿を現せた。

 

一姫「邪魔をされてたまるものですか。急がないと」

 

そして駆けだそうとすると…

 

霞「何処に行くつもりや?一姫」

 

そう声をかけられた。声のする方に顔を向けると木の枝に腰かけている一人の少女が居た。

彼女の名は霞、胸にサラシを巻き男子制服をはおった女の子である。

言うまでもなく彼女も一姫に惚れている一人である。

 

一姫「し、霞…な、何か用?」

霞「何か用かなんてつれないな~~。さ、一緒にこの短冊を吊るしに行くで」

 

その手にはピンク色で自分と一姫の名が相合傘で書かれた短冊があった。

 

一姫「じょ、冗談でしょ…お断りよ!!」

霞「嫌や、嫌やも好きの内や。照れんでもええって」

一姫「誰が照れてるのよ!!心底嫌がってるのが判らないの!?」

霞「判らへんな~~」

 

木の枝から飛び降り、霞は一姫に近づいて行く。

 

一姫「こ、来ないでよ…」

 

一姫は後ずさって行くが霞はゆっくりと近づいて行く。

 

凪「一姫先輩!!」

 

其処に来たのは一年後輩の凪。

凪は一姫を庇うように霞の前に立つ。

 

凪「一姫先輩、ここは私が押さえておきます。早く逃げて下さい!!」

一姫「ありがとう、凪。お願いね」

 

凪にお礼を言うと一姫はその場から逃げだした。

 

霞「あっ!待たんかい、一姫!!」

凪「待ってください、霞先輩。そんな無理やりなんて駄目ですよ」

 

追いかけようとする霞の前に凪は立ちはだかる。

 

霞「あ~~、逃げられてもうた。どないしてくれんねん、凪!!」

凪「す、すみません!!」

霞「…ま、ええか。今回は凪で我慢しとくわ」

凪「はえ?」

 

そう言うと霞は凪を捕まえて引きずって行く。

 

凪「あ、あの…霞先輩?一体何を……」

霞「こんな事もあろうかと、ちゃんと凪との分も用意しといたんや」

 

ウインクしながら霞は懐からもう一枚の短冊を取りだした。

其処には霞と凪の名が相合傘で書かれていた。

 

凪「し、霞先輩?」

霞「今日は寝かさへんでーー!!」

凪「い~~~や~~~!!」

 

凪の耳には何処からともなくドナドナが聞こえて来たといふ。

一姫「はあはあ…待っててよ○○。今行くからね」

 

一姫は隠れながら進んで行くが、そんな彼女の前にあからさまに不自然な盛り上がりがある地面があった。

 

一姫「(…まったく、しょうがないわね……)何処にいるのかしら桂花」

 

そう、ボソリと呟くと木陰から小さな人影が飛び出して来た。

 

桂花「お呼びですかっ!お姉様ーーーっ!!」

 

駆けて来た桂花はお約束通りに自分が掘った落とし穴に落ちて行った。

 

桂花「きゃあああ~~~~~!!」

一姫「じゃあまた明日ね、桂花」

 

桂花は穴の底で走り去って行く一姫の足音を聞いていた。

 

桂花「お姉様~~~…でも、こんな意地悪なお姉様も好き」

駆け続ける一姫は校舎の角を曲がり、目的の場所に向かおうとするが其処には何人もの女生徒が待ち伏せしていた。

 

先輩女子「いたわよ!さあ一姫、もう逃げても無駄よ!!」

後輩女子「お姉様!!ぜひ、私と愛の誓いを!!」

一姫「あ、あはは、あははは……」

 

周りを囲まれ、逃げ道を捜している一姫の目にある人物が映った。

 

一姫「(あれは…いいモノが居た!!)お~~い、及川っ!!」

 

一姫がそう呼ぶと女生徒全員の視線と殺意が一人の男に集まる。

その隙を付いて一姫は女生徒達の包囲網から逃げ出す。

 

一姫「私は先に行くから例の場所に逝っといてね♪」

 

その後ろ姿を見送りながら及川は感激の涙を流していた。

 

及川「か、一姫……やはり俺達は結ばれる運命に。例の場所やな、よっしゃ、逝っとくで……例の場所って何処や?…って……あれ?」

 

そんな及川はようやく殺気をみなぎらせた女生徒達が自分の周りを囲っているのに気がついた。

 

及川「あ、あの~~…例の場所って何処だか知りませんか?」

女生徒達『地獄に決まってるでしょ』

及川「ですよね~~」

女生徒達『一度ならず、二度までもーーー!!』

及川「ギャーーーーーーー!!」

 

及川終了……敬礼!!<(;;)

その頃一姫は校舎の影から顔を出すと孫家の三姉妹が牽制し合っていた。

 

雪蓮「一姫と一緒に短冊を吊るすのは私よ。貴女達は引きなさい」

小蓮「何言ってるのよ!!シャオに決まってるじゃない!!」

蓮華「いいえっ!!これだけは譲れません!!」

 

一姫(まったく、あの三人は…まあいいわ、今のうちに)

 

こうして三姉妹はいがみ合ってるうちに終了した。

一姫「ここを抜ければもうすぐよ」

 

そう言い、一姫は校舎裏を抜けようとするが、

 

桃香「ご主人様、見~つけたっ♪」

 

桃香が突如、後ろからしがみ付いて来た。

 

一姫「と、桃香!?何時の間に」

桃香「えへへ~~、ご主人様の居場所ならお見通しだよ」

愛紗「さあ、ご主人様。桃香様と一緒に短冊を」

鈴々「鈴々達からは逃げられないのだ。もう諦めるのだ!!」

一姫「え…で、でも短冊に書けるのは二人の名前だけだよ。愛紗達はそれでいいの?」

 

一姫は最後の悪あがきと三人の仲間割れを促してみるが、

 

愛紗「我等三姉妹は常に一緒です。つまり、桃香様とご主人様が居られる場所には私と鈴も一緒にいるという事です。何の問題もありません」

鈴々「そーいう事なのだ。お姉ちゃん、いい加減観念するのだ」

桃香「さ、行こうご主人様。永遠の愛を誓いに……」

一姫(うう~~、そんな~~。助けて。○○)

 

三人に引きずられて行こうとしていた一姫だが、そこに思わぬ助けが入った。

 

華琳「待ちなさい!!一姫と永遠の誓いをするのは私よ!!」

 

桃香「華琳さん!?」

 

秋蘭「さあ、一姫から手を放してもらおうか」

春蘭「華琳様、ここは我等にお任せを」

 

愛紗「貴様ら如きに邪魔はさせん!!」

鈴々「帰り打ちにしてやるのだ!!」

 

四人はそれぞれの武器を手に取り、ぶつかり合う。

 

華琳「さて、桃香。大人しくここから立ち去りなさい。それとも私と貴女が大っ嫌いな闘いをする?」

 

華琳はそう言いながら絶を桃香に向けるが…

 

キインッ!!

 

華琳「なっ!?」

 

桃香は靖王伝家で絶を弾き返す。

 

華琳「やる気ね」

桃香「私は本当は闘いなんてしたくない。でもご主人様を守る為に、ご主人様との愛と平和に満ちた世界の為にあえて私は闘う!!」

華琳「……何処のアンドロメダ座よ貴女は…」

桃香「問答無用ーー!!」

華琳「何の!!」

 

こうして六人はそれぞれの相手と闘いを始めた。

 

一姫「え~~と、じゃあ私は行くからね」

 

ちなみに彼女達が一姫が居ないのに気付いたのは力を使い果たし一歩も動けなくなってからだった。

それからも色々な邪魔が入り、ようやく目的地に着いたのは夕陽が沈かけ、星が瞬き始めた頃だった。

 

一姫「や、やっと着いた……」

 

一姫が丘の上を見上げると青年が一人、沈んでいく夕陽を優しげな眼差しで見ていた。

 

一姫「……○○」

 

一姫の呼びかけに青年は振り向く。

 

○○「よお、一姫」

 

青年はニカッと笑いながら右手を差し出す。

 

一姫「何が、「よお」よ。此処に来るまでどれだけ苦労したと思ってるの?」

○○「そいつはお互い様だ。俺だって散々苦労したんだぞ」

 

言われてみれば彼の制服はいたるところがボロボロだった。

 

○○「まったく、何度死ぬかと思った事か」

一姫「大丈夫、あなたの丈夫さは私が保証してあげるわよ」

 

そう言い、私は彼の顔に付いている汚れなどをハンカチで優しく拭う。

 

○○「おお、サンキュな」

 

視線を背けた彼の頬はさっきまでの夕陽の様に真っ赤だった。

 

○○「さて、始めるか」

一姫「うん♪」

 

そして私と○○はお互いの名前が書かれた短冊を笹の葉に吊るした。

 

 

それから暫く手を繋ぎながら空を見上げていると夜空一面に天の川が架かった。

その光景に目を奪われていると視線を感じ、○○の方に向き直ると彼はじっとわたしを見つめていた。

とたんに私の顔は真っ赤になり顔を背ける。

 

一姫「な、何よ……//////」

 

普段のおちゃらけた感じと違う心の中までしみ込んでくるような優しい眼差し。

駄目だ、とてもじゃないがまともに直視できない。

 

○○「一姫」

 

だが、○○はそんな私の顎に手をやり自分の方に向き直させる。

 

一姫「え……ちょ、ちょっと待って……何を…」

 

突然の事に私は逃げようとするが○○は繋いだ手を放そうとしない為逃げられなかった。

もっとも、本気で逃げる気もなかったのだが……

ゆっくりと近づいて来る顔に私は観念してゆっくりと目を閉じる。

 

一姫「ふむっ」

 

重なるだけの、ただそれだけの短い口づけ。

でも私には永遠にも近い、天にも昇るような口づけだった。

 

○○「織姫星と彦星は一年に一度しか出会えない。でも、俺達は……」

一姫「うん……離れたりしない。ずっと…一緒だよ」

 

私は甘えるように○○の胸に顔を埋めた。

 

そんな私達を祝福する様に笹に吊された短冊は風にふかれて揺れていた。

 

 

7月7日、私達は星空の下、永遠の誓いを立てた……

 

終わり

あとがき

 

少し、やり過ぎたかな?

 

この話で幸せになれる人がいればいいなあ。

 

さて、近況報告。

 

以前言っていた桂花END再構成は書いてはいるけど色々な変更点が浮かんできて、書き直したりしてるのでもう少しかかりそうです。

 

魏√ENDでは役満シスターズ編が書きたくなってきた。

 

でも、最近は暑いのでなかなか制作意欲がわかない。ああ、クーラーが欲しい。

 

とりあえず頑張っています。でわ、この辺で。


 
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