No.155773

真・恋姫†無双~真・漢ルート~ 第五話:一刀、流される

大鷲さん

名前がややこしいですが、隠しルートである『漢(かん)ルート』の再構成した『漢(おとこ)ルート』です。

ガチムチな展開は精々ネタ程度にしか出て来ないのでご安心ください。
ただし、漢女成分が多分に含まれるかもしれませんので心臓が弱い方はご注意ください。

2010-07-06 23:13:11 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4404   閲覧ユーザー数:3695

一刀は現在、仲間とはぐれ一人の女性といる。

特に問題がないように思えるが、問題は一刀の服装。

現在、一刀は下着だけの状態で、大きな布を被っているだけの姿である。

 

焚き火を間に挟み二人は向かい合っている。

その焚き火の傍らには木の枝に刺さった魚がある。

 

美味しそうな匂いに一刀の腹がなる。

女性はそんな一刀を一瞥し魚が焼けたのを確かめてから手渡す。

 

 

女性「……ほら焼けたぞ、食え」

 

一刀「あ、ありがとう」

 

 

腹が鳴ったことが恥ずかしいのか赤くなる一刀。

女性は気にした風も無く自分の分の魚に噛み付く。

 

 

一刀「……その、華雄さん」

 

華雄「ん、ふぁんだ?」

 

 

口に魚を含んだまま返事をする女性。

 

彼女の名は華雄。

一刀たちが洛陽で逃がしてあげた董卓の部下だった女性である。

 

一刀がいかにして彼女に出会い、こうして魚を食べているのかと言うと、話は1時間程前まで遡る。

 

 

 

第五話:一刀、流される

 

 

 

幽州を目指して旅をする一行。

男女比6:0という脅威の数字であるむさ苦しい旅。

 

そんな旅の途中で華佗から医学、干吉からは読み書き、そして左慈から武術を学ぶことになった一刀。

 

悲劇は華佗と共に薬の材料を採りに森へ入ったところから始まる。

幽州に向かう途中の邑に立ち寄った際に、薬学として薬草を手に入れるために二人だけで森に言ったのが問題だった。

 

森を進んで行くと徐々に川の音が大きくなる。

 

ついて見ると川は荒れており、水量が増している。

 

 

一刀「うわぁ、川が増水してる……」

 

華佗「上流のほうで雨でもあったんだろう

   しかし、ここには橋があったはずなんだが……参ったな、目的地はこの川の先なのに…」

 

 

そういって困ったと言うような顔をする華佗。

 

貂蝉たちを連れてきていれば抱えて飛び越えられたかもしれない。

もちろんお断りであるが……

 

 

一刀「あっ、あそこの岩から飛び越えればいけるんじゃないか?」

 

華佗「おい、あまり迂闊に近づくと危ないぞ」

 

 

華佗に注意されながらも不用意に川に近づく一刀。

すると雨の所為で地面がぬかるんでいたため足を滑らせ川の中へ落ちてしまった。

 

 

華佗「一刀ッ!」

 

 

叫ぶかだの声を聞きながら一刀は下流へと流されていった……

 

 

 

 

そして下流で魚を獲っていた華雄に拾われた。

 

このまま下流で待っていれば左慈たちが迎えに来ると思っていたが、すでに1時間は経過している。

もしかして見捨てられた?と呆けている一刀に華雄が魚を食べないかと誘ってくれて、今に至る。

 

 

一刀「……確か、董卓ちゃんのところの将ですよね?」

 

華雄「…………」

 

 

一刀の言葉に視線を鋭くする華雄。

 

そう長くは無いだろうが視線をはずさない両者。

沈黙を守っていた華雄がようやく口を開く。

 

 

華雄「そうだ

   しかし、劉備軍の張飛に敗北し……落ち延びた」

 

一刀「やっぱり……」

 

華雄「情けない話だ

   御優しい董卓様を守ると言っておきながらあのような安い挑発に乗るなど……っ!いつかこの手で董卓様の仇を……」

 

一刀「ヤル気満々なところ申し訳ありませんが、……董卓ちゃん生きてますよ?」

 

華雄「なん…だと……!?」

 

 

驚きのあまり某死神漫画のキャラクターのような台詞を吐く華雄。

しかし即座に正気に戻って一刀に掴みかかり持ち上げる。

 

 

華雄「どういうことだ!事細かに説明しろ!!」

 

一刀「っぁ!く、首が……」

 

 

本来であれば服の胸元でも掴むのだろうが、現在の一刀は上半身裸のため掴む者がない。

つまり今華雄が一刀を持ち上げているのは首を持っているからである。

 

何とかそのことを伝えようとするが上手く声が出ない。

 

 

華雄「首?董卓様の首がどうしたんだ!」

 

一刀「いや……かゆ・・・・うま……」

 

 

一刀の体から力が抜ける。

一刀は気絶してしまったのだった。

 

 

 

 

華雄「……すまなかった」

 

一刀「いいよ、命の恩人でもあるし……」

 

華雄「それでも、すまない」

 

 

 

未だ首に違和感があるのか首筋をさすりながら笑いかける一刀。

 

それでも華雄は引かずに頭を下げる。

少々頑固なのではないかと一刀は思い始めていた。

 

 

一刀「それで、董卓ちゃんだけど………」

 

華雄「どうした?」

 

一刀「いや……人がよさそうな子に預けてきたんだけど……名前が分からないんだ……」

 

華雄「…………」

 

 

一刀の発言に絶句する華雄。

 

真名ならば仲間の少女との話で聞いているがそれではどうしようもない。

 

 

一刀「まあ、いい子だったよ

   元々連合軍に不信感があったみたいで、快く保護してくれたよ」

 

華雄「だが!董卓様は討たれたと聞いたぞ」

 

一刀「ああ、それは嘘の情報だよ

   詳細を聞けば董卓の風貌は董卓ちゃんとは似ても似つかない怪物になってるよ」

 

 

貂蝉と卑弥呼が時々兵士に止められるが不審者だと思われるだけで、前からよく止められていたので特に変化は無い。

 

 

華雄「そうか…生きておられるのか……」

 

 

そういって涙を流す華雄。

そんな華雄を一刀はじっと眺めていた。

 

 

華雄「ごほん、まあ……生きておられるならば良いのだ

   しかし、お前は何故董卓様を助けた?」

 

 

少し経ってから少し顔を赤くした華雄が目をそらしながら尋ねる。

普段からあまり人に弱いところを見せたがらない彼女が涙を他人に見られたため少々恥ずかしかったようだ。

 

 

一刀「たまたま洛陽の近くの町で董卓の暴政が虚偽の情報かも知れないって知ってさ

   黙ってられなくてね……仲間に助けたいって言ったら力を貸してくれたんだ」

 

華雄「そうか……しかし、変わっているな

   董卓様を連合に差し出せば相応の褒章も手に入っただろうに…」

 

一刀「ん~、確かにお金はあったほうが良いけどそこまで困ってないし……」

 

 

少し考えるが特に金に困ってもいない。

一刀は、左慈や干吉と一緒に皿洗いや土方の短期バイト、華佗の手伝いをしているため小遣いは意外にあるのだ。

 

 

華雄「何も金だけではない、それなりの地位ももらえたかも知れんぞ?」

 

一刀「それこそ地位とかあってもね……それよりも可愛い女の子の方は大事だよ」

 

華雄「そうか……」

 

 

またも二人の間に沈黙が訪れる。

元々二人の接点など助けられたことと董卓のことだけ、何か話題は無いものかと考える一刀。

 

 

 

 

一刀「そうだ、華雄さんは

華雄「華雄でいい」  …華雄はこれからどうするの?」

 

華雄「……強くなる」

 

 

考えた結果は今後について聞くこと。

 

その一刀の問いに一言だけで華雄が答えた。

 

 

華雄「董卓様が御無事なのは分かったが、私が行けば匿われていることが露見しかねない

   ならば……露見しようとも私が守れるように強くなれば良いのだ!」

 

 

力強く叫びながら立ち上がる華雄。

必然的に一刀が見下ろされる形になる。

 

そんな華雄を眩しいものを見るように目を細める一刀。

 

 

華雄「お前は『どうする』のだ?」

 

一刀「…………」

 

 

そんな一刀に華雄が聞く。

しかし、一刀は黙ってしまった。

 

 

なぜなら、今の一刀に明確な目的は無い。

 

いきなり別の世界に飛ばされ、成り行きで『天の御使い』と呼ばれ、この世界のことを知るために旅をしている。

仲間に恵まれ、少なからず絆も手に入れた。

 

だが、何をするのか、明確な目標が無い。

 

 

一刀「俺h

??&??「「ごしゅじんさまああぁぁぁ!!!」」

 

 

一刀の言葉は聞き覚えのある咆哮にかき消される。

次いで着弾音。

 

土煙が晴れた先には2体の漢女が仁王立ちしていた。

 

 

華雄「ば、化け物!?」

 

貂蝉「だぁあれぇがあぁ!!」

 

卑弥呼「化け物かぁ!!!」

 

 

ビビる華雄に2体の漢女が吼える。

 

眼光を光らせるその姿は人外にしか見えない。

 

 

 

 

一刀「貂蝉に卑弥呼?」

 

卑弥呼「ぬう、ご主人様なんともセクシーな姿に……まさか!

    ついに大人の階段を早足跳びで駆け抜けてしまったというのか!!」

 

貂蝉「な、なぁんですって!?ご主人様の『初めて』が!!」

 

一刀「な、何を!」

 

 

布を羽織っただけと言う一刀の格好にあらぬ妄想に耽る漢女たち、華雄も意識してしまったのか顔が赤くなる。

 

華雄は顔を赤くしながらも己の武器『金剛爆斧』を振り上げる。

 

 

華雄「化け物め!我が武の前に倒れるが良い!!」

 

卑弥呼「むっ、……でええぇい!」

 

 

咆哮と共に貂蝉たちに特攻を仕掛ける華雄。

 

しかし、その突撃はあっけなくはじき返されてしまう。

 

 

華雄「なぁ!……貴様、できるなッ!」

 

卑弥呼「ふむ、これでも向かってくるか

    貂蝉よ手出しはするな、…ぬぅん!」

 

華雄「ぐぅ、くそっ!」

 

 

何度武器を振るおうとも貂蝉たちを捉えることが出来なかった。

 

十数合の後、華雄の息が乱れ始める。

 

 

華雄「くぅ……私は…」

 

卑弥呼「筋は悪くは無い

    だが相手が悪かったな」

 

一刀「華雄!」

 

 

地にひざを着いてしまった華雄に一刀が駆け寄る。

 

息が荒く、ひどく汗をかいている。

特に怪我は無いが様子がおかしい。

 

 

一刀「もしかして……」

 

華雄「何を……?ひゃあ!」

 

 

華雄の額に手を当てると熱くなっていた。

他にも以上はないかと口を開いてみてみたり、脈を図ったりする。

 

華雄はますます赤くなるが一刀は気付かない。

 

 

一刀「ん、風邪かな、念の為に華佗に診てもらった方がいいもね」

 

華雄「風邪を?確かに気だるいと思っていたが……」

 

 

華雄は敵兵から逃げるために常に気を張っていたため、本人が思っている以上に衰弱していた。

そんな時に川におぼれた一刀を助け、布面積が少ないのを良いことに火にじっと当たっているだけだったために風邪をひいてしまっていたのだ。

 

一刀は自分に使われていた布を下に敷いて華雄を寝かせる。

下着姿になるが気にしていられない。

 

 

一刀「卑弥呼、華佗を呼んできてくれ

   貂蝉は何か食料を頼む」

 

卑弥呼「任された!(目の保養!)」

 

貂蝉「おーけいよん(脳内に保管完了よん)」

 

 

そういって走っていく二人。

 

一刀は華雄にじっとしているように言って自分の服を取りに行く。

火の近くにおいていたお陰で大分乾いていた。

 

 

 

 

服を着て戻ると華雄が座って自分の武器を見ていた。

 

 

一刀「華雄、寝てないと…」

 

華雄「……私は弱いな…」

 

一刀「風邪を引いてたんだ…万全なら負けてないさ」

 

 

一刀の慰めの言葉に首を横に振る華雄。

 

 

華雄「馬鹿にするな

   相手の力量を推し量ることぐらいはできる……今の私では勝てん」

 

一刀「華雄……」

 

 

弱気な華雄の言葉に病気だから気が弱くなっているのだと思う一刀。

 

しかし、その直後に華雄が獰猛な笑みを浮かべる。

 

 

華雄「くっくっく、そうだ『今』の私では勝てん

   だが、運が良い……これほどの強者に回り逢えたのだからな!

   目下の目標はアイツやらを超えることだ!!」

 

一刀「(ああ、華雄……熱で頭が…)」

 

 

実に愉快そうに笑う華雄。

そんな華雄を一刀は気の毒な子を見るような眼差しで見る。

そこに貂蝉たちが来る前のような尊敬の念は微塵も無い。

 

一刀「……華雄、ゆっくり休もう

   君は疲れてるんだよ」

 

華雄「ああ、奴らに勝つにはまず体を直さねばな

   今に見ているが良い、奴らを倒し、私は更なる高みに至ってみせる!!」

 

 

その後、華佗が到着し、華雄の風邪は無事完治した。

それは同時に一刀たちの旅に新しい仲間が出来たと言う事でもあった。

 

 

 

 

おまけ

 

 

一刀「そう言えばなんでこんなに遅くなったんだ?」

 

華佗「ああ、実は…

 

 

回想

 

 

華佗「一刀!……くそ!流れが速いな」

 

貂蝉「華佗ちゃん!!」

 

華佗「おぉ、貂蝉

   丁度良かった、実は…」

 

貂蝉「それよりも村で急患よん

   なんだかお腹が痛くて仕方ないみたい」

 

華佗「なんだって!急ぐぞ貂蝉!」

 

 

回想終了

 

 

華佗「…と言うわけでな

   …それでお前のことは忘れていたんだ、悪かったな」

 

左慈「華佗から報告を受けた時は死んでると思ったぞ」

 

干吉「まあ、無事だったから良いじゃないですか」

 

 

一刀「……ソウダネ」

 

 

この仲間たちはあまり信用できないような気がしてきた一刀だった。

 

 

 

 

あとがき

 

皆様、こんばんは。

 

大鷲です。

 

ついに女子が仲間に参入しました。

何故華雄かと言いますと、この段階で自由に動き回れる子って存在を忘れられた華雄くらいなもので……

 

一応フェイントとして行き先を『幽州』にしたので白蓮を期待した人もいたらうれしいです。

それに今公式サイトの着せ替え投票で『友達』として人気が高そうなので華雄です。

 

大鷲は好きなんですけどね、華雄。

袁家の方々も結構好きです。真・漢ルートでは特に目立つ予定はありませんけど……

 

 

次回予告

 

仲間も増えたし……

        拠点イベントだ!

 

次回、『漢達の休日Ⅱ』にご期待ください


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
46
4

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択