No.155231

真・恋姫†無双 董卓軍√ エピローグ

アボリアさん

董卓軍IF√ エピローグです
本作を持ちまして董卓軍√は終了となります
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告いただけると有難いです
エピローグなのに長くなってしまい、また無理やり皆を出した為ごっちゃになっていますw
最後に この作品をお読み頂いて、本当にありがとうございました!!!

2010-07-04 16:01:09 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:18260   閲覧ユーザー数:13373

「ふぅー、やっぱり月の入れたお茶は美味しいなぁ」

 

「ありがとうございます、一刀さん。…ふふっこのやりとりもなんだか懐かしいですね」

 

そういって月が微笑む

 

蜀との戦いから二ヶ月ほど経ったある日、俺と月は昔の本拠である天水の城の中庭でお茶を楽しんでいた

あの戦いの後、魏、呉、董、馬、公孫、そして蜀を交え大陸の今後についての話し合いが行われた

その話し合いにより俺達董卓軍を中心として残りの五国がそれを支える五国鼎立の統治とすることが決まったのだった

それにより君主国である俺達は国号を「朔」―俺の世界での新月の呼び方で、新しい月の国、形が無いところから満月に向かって進んでいく、という意味を込めて皆で話し合った名前だ―として、長安を首都とした朔王朝の始まりをもって乱世の終結、そして新時代の幕開けとしたのだった

 

…その君主たる月が何故こんな所にいるのかといえば、例の罰というやつだったりする

大陸の話し合いと一緒に行われた話し合いにより、月は半年間の仕事関係を除く王権の剥奪及び天水にて謹慎、更に今回の被害者である俺の傷が治るまで面倒を見ることになったのだった

王の謹慎なんて前代未聞かとも思ったが、月はその処分をあっさりと受けた

その間代理をしてくれる事となった華琳曰く、「昔に戻ったつもりで頭を冷やしてくるといい」らしいが…恐らくではあるが、今回のことで色々とあった月を休ませてやりたいという気持ちもあったんじゃないかとも思った

そして劉備…桃香はといえば、蜀国を除く領地である荊州及び漢中の没収、董卓軍の皆に真名を許すこと、そして一時的に蜀王の座を辞して、王としての器が育つまでの間華琳や雪蓮の元で侍女兼王見習いとして働く事になったのだった

その間の蜀は龐統ちゃんが代理国主を勤めることとなり、諸葛亮ちゃんは今回の事もあってかそのサポートに回る事となった

 

それとある意味一番の問題点である荊州の統治はといえば…民の遺恨を除く為、という事でなぜか俺個人が統治することに決まってしまったのだった

まあ、そんなことをいっても象徴として居るだけであって、政務は他の文官さん達が取り仕切ってくれるという話だったので渋々了解させられたのだった

 

「しっかし、こうやってると本当に昔に戻ったみたいだな」

 

お茶を飲みつつ呟く

 

「そうですね。詠ちゃん達は朔のお仕事で居ませんけど、本当に懐かしい気分です」

 

「そうだな…。でも、月と二人っきりっていうのは少し嬉しいかもな」

 

俺がふざけながらそういうと、月は顔を真っ赤にして反論する

 

「か、一刀さん!?もう、ふざけないでください!!…わ、私も、一刀さんと二人っきりなのは、嬉しいですが…」

 

最後は恥ずかしくなったのか、声が若干小さくなり顔を真っ赤にして俯いてしまった

…やばい、めっちゃ可愛い

 

「ははっ、ごめんごめん」

 

俺はそういいながら月の頭を撫でる…昔だったらこんなことをしてたら、詠のやつが…

「くぉるあーー!!僕の月になに手を出してんのよーー!!」

 

そうそう、こうやって…え?

驚いた俺が振り向くとほぼ同時に、謎の飛来物により頭に物凄い衝撃を受けた

 

「痛えぇぇ!!なんなんだ一体!!」

 

そういって謎の飛来物…ドロップキックを受けた俺はその張本人に向かって叫んだ

 

「ふんっ!!僕が居ないからって油断したわね一刀」

 

俺達の目に前にはそういってふんぞり返る詠の姿があったのだった

 

「詠が何でいるんだ…」

 

「詠ちゃん!!いきなり何てことするの!!…せっかく、いい雰囲気だったのに」

 

そう俺が聞こうとしたところに月が割り込んでくる

 

「ぼ、僕が居ない間に月に手を出させるわけにはいかないでしょ!!」

 

詠はそういうと月を連れ、少し離れた場所で話を始める

 

(それに月!!一刀に関しては一緒に頑張ろうっていったでしょ!?)

 

(…ごめん詠ちゃん。でも、せっかく二人きりなんだから…致し方なしだよ♪)

 

(ゆ、月ぇぇ!?)

 

…遠くでこそこそと話してるから良くわかんないけど、何か詠が打ちひしがれたように手を地面についていた…一体、何の話をしてるんだ?

 

「全く。着くなり早々、騒がしいやつだ。まあ、久しいわけだしわからんでも無いがな」

 

後ろからそんな声が聞こえ、そちらを振り向く

するとそこには華雄が立っていた

 

「華雄?どうして此処に?」

 

「ああ、仕事のついでにな。実は…」

 

そういって華雄が事情を説明してくれる

その話によると、冀州で賊が出たらしく、その討伐だという

ちなみにその賊というのが…袁紹と、袁術だったらしい

冀州にて自身の新たな国、仲を勝手に建国、独裁国家を気取っていたらしい

その話を聞いた華琳、雪蓮は半分呆れながらもその討伐を決め、それで華雄と詠が派遣されたのだという

 

「袁紹達…まだ、大陸にいたんだ。というか冀州って…」

 

わざわざ昔の領地まで戻ってそんなことをやっている袁紹達に呆れながらいう俺に、華雄が賛同する

 

「ああ、敵ながら豪胆というか…。しかも壊滅こそ出来たものの、突然の砂嵐のせいで奴等には逃げられてしまった」

 

「強運過ぎるだろ…」

 

「まあ、そんなわけで近くまで来たのでな。行軍を少し離れ、此方に寄ったということだ。それで、調子はどうだ?」

 

そう聞いてくる華雄に俺は笑顔で答える

 

「うん、もう傷の方はしっかり治ったよ。ありがとう、心配してくれて」

 

「そ、そうか」

 

そういうと華雄はなんだかモジモジとして、顔を赤くして言う

 

「そ、それなら、もし良かったらなんだが、これから一緒に街にでも…「お~っと。抜け駆けは許さんでぇ?華雄」なっ!!」

 

その声と同時、俺は後ろから腕を回され、引っ張られてしまう

 

「霞!?何で此処に!?」

 

「ん~?騎馬隊の演習で近くまで来たもんやから、そっちは副官に任せてこっちにきたんや。そんなことより一刀、一緒に酒のまへんか?いい酒もってきてん」

 

「いや、演習ほっぽって来ちゃ駄目だろ…」

 

「まあまあ、硬い事言いなや。あいつ等かて、いつまでもウチが居らんといかんようでは役に立たんからな…って、うわ!!」

霞がそう言っていると、いきなり腕が離れる…かと思ったら、また新に俺に抱きつく人物が居た

 

「華雄と霞ばっかり、ずるい。恋も…」

 

「恋!?」

 

「恋殿だけでは無いのですぞ!!ねねも居るのです!!」

 

「ねねまで…お前等も、仕事はどうしたんだよ…」

 

結局全員揃ってしまった事に嬉しい気持ちの反面軽く頭痛を覚えつつ、俺は問いかける

 

「…………終わった」

 

「明らかに怪しいけど、まあいいや。…で?ねねは?」

 

「恋殿が居る所にねねありなのです!!それに、友なのですから見舞いの一つぐらい当然なのです!!」

 

「見舞いは嬉しいけど、仕事はしっかりしないと駄目だぞ?」

 

やっぱり抜け出してきたらしい二人に更に頭痛を覚え、嘆息しつつ言う

…今頃、華琳のやつ怒ってるだろうなぁ

 

「おい恋!!いつまで抱きついているつもりだ!!」

 

「せや!!ウチん事無理やり引っぺがしおって!!」

 

「恋殿、そろそろ離れた方が…」

 

「…恋、久しぶり。だから、別にいい」

 

 

「「「良い訳あるかぁ!!」」」

 

 

華雄と霞、ねねが無理やり恋を引き剥がす…それを少し残念だと思ってしまったのは内緒だ

そんな風に皆が大騒ぎをしていると…

 

「あ、あの…董卓さん、北郷さん。お元気でしょうか?」

 

その声に俺達が振り向くと、皆一様に驚いてしまった

俺達の視線の先には…今日一番の意外な訪問者、桃香が立っていたのだった

「劉備さん…」

 

月が若干硬い声でそう呟く

 

「あ、あはは。やっぱり、まだ真名では呼んで下さらないんですね」

 

対する劉備さんはそういって少し寂しそうに固い笑いをする

桃香の登場により月だけでなく、他の皆も若干ぎこちない感じとなってしまっていた

 

「そ、それで桃香さん。今日はどうしたの?」

 

そんな重苦しい雰囲気を振り払うべく、俺がそう質問する

 

「あ、はい。今日は華琳さんにお二人の様子を窺ってくるように言われまして…。それに北郷さんにはもう一度、ちゃんと謝らないと行けないって思ったんですが…」

 

そういって皆を見る桃香

 

「私、皆さんの空気を悪くしちゃったみたいで…ごめんなさい。又、出直してきます」

 

そういってばつが悪そうに帰ろうとする桃香…だがそれを止める声が上がった

 

「待ってください。劉備さん」

 

「え?」

 

その声の主…月の言葉に桃香が立ち止まる

 

「様子を見に来てくれたことは、ありがとうございます。でも、貴女にはまだわだかまりがあることも事実です」

 

「うん…。それは、分かっています」

 

月の言葉に少し寂しそうに桃香が答える

俺はそんな二人に今口出しするべきでは無いと、二人のやり取りを見守っていた

 

「私自身貴女に、そして蜀に対して罪悪感がありますから」

 

「……」

 

 

「でも、私がそんな風では駄目ですよね」

 

 

「え?」

 

 

突然の言葉に驚く桃香

それに構わず月は続けた

 

「決着がついた今、平和な世の中になった今になって、私達がいがみ合っていては犠牲になった人達に申し訳が立ちませんから」

 

そういって月は桃香の前に立って手を差し出す

 

 

「私は、あなたの事を許します。もし、貴女も私の事を許してくれるなら、この手を取ってください。そして、大陸の平和の為…いえ、何より私自身がなりたいから、友達になってください。…桃香さん」

 

 

そういって笑いかける月

 

「いいん、ですか?」

 

「言ったじゃないですか。私が友達になりたいんです。もちろん、貴女が良ければですが…」

 

「も、もちろんだよ!!ありがとう、董卓さん!!」

 

そういって月の手をしっかり握る桃香に月が言う

 

「私の真名は月です。これからは、力をあわせて頑張りましょう」

 

「うん!!これからよろしく、月さん!!」

 

月がそういうと、感極まったのか桃香は半泣きになって月に飛び付こうとする…のだが、その肩をガシッと掴む手によって阻まれてしまった

「ちょい待てや、劉備」

 

その腕の主…霞がドスの利いた声を出す

 

「あ、ちょ、張遼さん…」

 

先ほどとは一転、うろたえるような顔をする桃香

そんな桃香を自分の方に引き寄せ霞が続ける

 

「…月が許したんや。ウチ等が許さんわけにはいかん。ウチ等かて悪かったとおもっとるしな。…でも、落とし前だけはつけんと気が済まんのや」

 

その言葉を受け、桃香が真剣な顔で答える

 

「…もちろんです。私に出来る事ならなんだってします」

 

その言葉に霞がニヤァと悪い笑みを浮かべる…怖いですよ、霞さん

 

「言うたな?何でもするんやな?…だったら、一杯付き合えや」

 

 

 

「…へ?」

 

 

 

「お互いを分かり合うには酒飲んで愚痴言いあうんが一番や。ホンマは一刀と飲むつもりやったんやけど、まあええやろ。それとうちは霞でええ…さ、いくで」

 

気の抜けた返事をする桃香を引っ張る霞

 

「いえ、でも、そんなこと…」

 

そういってなんとか抵抗しようとする桃香だったが、霞とは反対側の肩を華雄にがっちりと抑えられてしまう

 

「何でもするといっただろ?私もいいたい事は山ほどあるからな。まあ、霞の絡み酒は大変だと思うが我慢しろ」

 

「え?え?」

 

「誰が絡み酒やねん。お~い恋、ねね、それに詠もこいや!!劉備…桃香にウチ等の愚痴ぶつけたんでぇ!!」

 

「…わかった」

 

「望むところです!!ねねも言いたい事がたくさんあるのです!!」

 

「はぁ…ただ飲みたいだけじゃない…。仕方ないわね。僕も付き合ってあげるわよ!!」

 

「えぇ~~!!そんなぁ、助けて月さ~~ん!!」

 

そんな叫び声をあげながら庭の隅の木陰へ連れて行かれてしまう桃香

 

月はといえば、俺と一緒にそんな皆を笑って送り出していたのだった

「月、友達とはいってもあれは止めてあげないんだね」

 

「一刀さんだって分かってるんでしょう?本気で嫌がってはいませんよ。…打ち解ける事が出来たみたいで、良かったです」

 

「…そうだね」

 

そうしてその光景を遠目から眺めていると、更に俺達に声がかかった

 

 

「よう月、一刀。調子は…」

 

 

「お~い一刀!!月!!見舞いに来たぞ…ってなんだ!?何で華雄たちが居るんだ!?」

 

「もうお姉様がもたもたしてるからさき越されちゃったじゃな~い」

 

「翠に蒲公英じゃないか。お見舞いありがとう」

 

見舞いに来てくれたらしい二人に礼を言う

…一瞬赤髪のポニーテールが見えたのは気のせいだっただろうか?

 

「皆で宴会を開いてるみたいですので、翠さん達も参加して行って下さい」

 

「そういってもらえるなら入れてもらおうかなぁ。…おーい!!私も入れてくれよ!!」

 

そういって霞達の下へ走っていく翠

 

「もうお姉様ったらぁ」

 

蒲公英もそう言いながらもそちらへ走っていくのだった

 

 

「…うん、時機が悪かっただけだよな。…ん、こほん、お~い一刀、ゆ…」

 

 

「はぁ~い一刀!!月!!元気?」

 

「…久しいな、ふたり共」

 

…また何か見えた気がするが、なんなのだろうか

 

「今度は雪蓮と冥琳さんか…。見たところによると、冥琳さんは無理やり連れて来られたみたいだね」

 

明らかにノリの悪い俺の言葉に雪蓮が頬を膨らませて反論する

「ぶぅ~。折角お見舞いに来てあげたって言うのに、一刀ったらノリが悪い~。何で此処に!?とかあるでしょ?」

 

「あれを見てもらったら分かると思うけど、もうその突っ込みは飽きちゃってね。それより仕事は?」

 

仕事っという言葉にビクッと反応する雪蓮…やっぱ抜け出してきたのか

 

「そ、そんなことより私も宴会に入れてもらおうかな~。桃香も居るみたいだし、私が助けてあげないとー」

 

そう棒読みで言いながら宴会に参加していく雪蓮

それを眺めつつ、冥琳さんが嘆息しながら言う

 

「…すまんな北郷、月…。仕事については最低限の引継ぎをして来た。それでも華琳殿は怒っているだろうがな。…それでは、私はあの馬鹿が羽目を外しすぎないか見張ってくるとするよ…」

 

そういって冥琳さんも皆の方へと歩いていく…心なしか、背中が煤けて見えた…

 

「冥琳さんも大変だなぁ…それと」

 

俺が後ろに視線を向けると、そこには…

 

 

 

 

 

「うう、どうせ、私なんて…!!」

 

 

 

 

 

何故か隅っこの方でうずくまっている白蓮さんが見えたのだった

 

「白蓮さん、お見舞いに来てくれてありがとう。嬉しいよ」

 

「ありがとうございます、白蓮さん」

 

そんな白蓮さんの所までいってそう言う俺達

 

「うう、一刀、月ぇ!!ホント、本当にお前等はいい奴だなぁ!!」

 

そういって感極まったのか泣き出してしまう白蓮さん

 

そうしてひとしきり泣いた白蓮さんだったが、桃香の悲鳴にも似た声を聞くとやれやれといった風に立ち上がり、皆の輪に加わっていった…あの人、本当にいい人、かつ苦労人だなあ…

「でも…」

 

月と二人で皆の方を見ながら俺が呟く

その視線の先には…皆が大騒ぎをしている光景があった

 

霞は桃香に絡み、華雄は静かに酒を飲み、恋は無表情ながらぐいぐいと酒を飲み、ねねはそれを見て心配そうにしていて、詠は酔っ払ってしまったのか皆に怒り散らしていた

 

他の皆もそんな彼女達を中心にして大騒ぎをしていたが、共通して言えるのは皆笑顔だった事だった

 

その光景は俺達の…何より月の望んだ光景だったのだった

 

 

「…月、これからも頑張って、国の全員がこの笑顔を出来る世の中にしていこうな」

 

 

俺がそういうと、月はしっかりと頷いて答える

 

 

「はい。もちろん皆で力をあわせて、ですよ」

 

 

そういって微笑む月

 

その笑顔は、あの時守ると誓ったその笑顔よりも輝いていて

 

(この笑顔を、この光景を、ずっと守っていこう)

 

俺は改めて、自分自身の心に、誓ったのだった

 

 

 

 

おまけ

 

 

「桃香はうまくやっているかしら…」

 

長安の城にある政務室で仕事をしている華琳がそう呟く

 

「ま、相手はあの月なんだから心配する事も無いでしょうけどね。それより問題は…」

 

そういって華琳は目の前に積み上げられた書簡、竹簡を見上げて溜息をつく

その書簡は朔国だけの物ではなく、魏国のものも混じっていた

 

「流石に半端じゃない量ね…。まあ、代理国主を受けてしまったのだもの、これぐらいは当然かしら」

 

華琳は今、謹慎中の月に変わり朔国の代理国主として政務に奔走していたのだった

とはいっても代理なので、重要な案件は天水に居る月に送っているのだが新しく興した国なので、雑多な案件が山積みになっていたし、魏国を任せている桂花たちからも案件が送られてくるのでその仕事は膨大な量となっていたのだった

 

「貴女も悪いわね、秋蘭。私の仕事に付き合せてしまって」

 

「いえ、武官は比較的暇ですし、華琳様の為とあらばなんて事はありません」

 

「そう、ありがとう。…さて、それじゃあ頑張りましょう」

 

「御意」

 

「とはいえ…私にこれだけの仕事をさせるのだから、月にはいずれそれなりの礼をしてもらわなきゃね」

 

さし当たって、月達が帰ってきたときには一刀にでも改めて長安の都を案内させようか…と、そんなことを考えていた華琳のもとへ伝令が入るのだった

 

「曹操様!!袁紹、袁術討伐の軍が帰って参りました!!ですが…」

 

「ですが?」

 

「はっ…華雄様と賈詡様は天水に寄ってくるとの事で、軍だけの帰還でございます」

 

 

ぴくっ

 

 

「まったく、詠にも困ったものね。仕事が山済みだって言うのに…ま、いいわ。たまには顔を会わせて来るぐらい…」

 

「曹操様!!騎馬隊が演習より帰ってまいったのですが、張遼様が寄るところがあると申され、副官の方が率いてまいりました!!」

 

 

イラッ

 

 

「あの子は…!!ま、まあ、寄り道くらいは…」

 

「大変でございます!!呂布将軍の姿が見えません!!将軍付きの軍師、陳宮様も同様でございます!!」

 

 

プチッ

 

 

「た、大変申し上げにくいのですが…孫策様と周瑜様が仕事を抜け出し、天水に向かったとのことです。周瑜様が引継ぎをしてくださった為、仕事は回っておりますが〈ボキィッ!!!!!〉ヒイッ!!」

 

いきなりの音に驚く伝令が恐る恐る華琳の方をみると…その手に持っていた筆が真っ二つに折れていたのだった

 

 

 

 

「秋蘭?仕事の重要さもわからない愚か者たちには、お仕置きが必要よね…?」

 

 

 

 

「仰る通りでございます」

 

間髪入れず秋蘭が答える

 

(皆すまない。私ではこの華琳様は止められん)

 

「そうよねえ…。秋蘭、これより私はあの馬鹿どもに仕事とはどういうものか、しっかりと教えてあげに行くことにするわ。留守は頼むわね」

 

「御意にございます」

 

(霞、恋、ねね、華雄、詠、それに雪蓮殿、冥琳殿…貴女達は、龍の逆鱗に触れてしまったようだ。…また、生きて会えることを祈っているぞ…!!)

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ、楽しみね…!!」

 

 

 

 

 

 

 

そういって楽しそうに笑う華琳

 

だがその顔は…乱世の奸雄の名に恥じないものだったという……

 


 
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