魏漢軍、定軍山に敗北。主将夏候淵重傷を負って長安に逃げ帰る―――
多少の誇張はあったが、蜀が大陸各地に流したのはそんな噂だった。それを受けて雌伏の時から立ち上がった勢力がある。先の合肥合戦の和睦の条件として呉王孫策が引退に追い込まれ、彼女の妹孫権が即位した孫呉だ。
彼女は蜀の諸葛亮が持ちかけてきた同盟の申し込みを、姉の孫策や大都督周喩らとよく相談し、出した結論は孫策のこんな一言に込められている。
「魏の配下で大陸の平穏を待っている・・・っていうのも大陸の民にとってはいいかもしれないけど、我が孫呉の民はそんな大人しい性格じゃないのよねー」
同盟を結んだ呉と蜀の動きは素早かった。張衛が先の織田舞人の乱入によって乱戦となったなかで討ち死にした為に城主不在となった漢中南鄭城に魏延を入れて長安への備えとし、さらに呉は蜀とともに魏に味方した荊州の劉綜を攻め、呉は江夏の地を、蜀は夏口の地をそれぞれ奪取した。
先代の太守劉表が亡くなり、長子である劉埼が蜀陣営に付いたために幼主を擁して戦わざるを得ない荊州軍は両軍の勢いを支えきれず魏領樊城に総退却。樊城主曹仁の庇護を受ける事になった。
諸葛亮率いる蜀軍と周喩率いる呉軍の連合軍は10万の軍勢でこれを包囲。漢中からまだ戻ってきていない曹操・織田舞人率いる主力が戻ってくる前になんとか魏の荊州防衛の要所であるこの城を攻略しておきたいところであった。
しかし、この城を守るは曹一門の老将曹仁。彼の二つ名は―――
『金城鉄壁』である。
「かっかっか・・・壮観じゃのう。将たる者、一度はこれほどの軍を指揮してみたいものじゃ」
樊城の最上階で、ぐるりと城を囲む敵軍を一望して曹仁は笑った。敵の連合軍10万に対して曹仁軍は7千。この寡兵で、華琳が戻ってくるまで待たねばならないのだ。
しかしこの樊城は魏軍の南を守る最重要拠点とあって、ただの堅城ではない。一代の英雄である華琳と彼女の頭脳である三軍師がその知恵を絞りに絞り、あらゆる攻撃を想定した設計になっており、さらにその城の守りを担当するのは百戦錬磨の曹仁という考えうる最高の将を配している。
「さてと、時間稼ぎを始めるとしようかの。いや、華琳が戻ってくるまでに小娘どもがわしの攻めに耐えうるかのぉ・・・」
この老人、臨む戦が困難であればあるほど血沸き肉踊る根っからの戦好きである。
その曹仁の采配が、この樊城の地で揮われる・・・・
アンケート調査です。
原作や他の皆さんの作品では魏が勝ったり負けたりしている赤壁の戦いですが、皆さんはこの作品での赤壁の地での戦いはどちらが勝つと思われますか?ちなみに作者の脳内ではすでに答えは出ています!ただ、皆さんはどう思われているのかなー、という作者の興味本位ですので無視されても結構です。どちらにしても、この章の後にもクライマックスの章が続きます。
皆さんのご意見如何では、作者が描くシナリオが変わるかも・・・?
①:魏シナリオ通り魏軍勝利
②:史実通り蜀呉連合軍勝利
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赤壁の章の開幕です。最後にアンケートがありますのでよろしくお願いします。