第一幕、一章 黄巾の乱 二話
一刀「大丈夫?君、名前は?」
華琳「助けてくれて、ありがと。わたしの名は、曹孟徳よ。」
“曹孟徳”彼女の名を聞いたとき、思わず凝視してしまった。
こんな女の子があの曹操だなんて。
華琳「ところでわたしには、名前を教えてくれないの?」
ふと彼女を見ると少し頬に朱が差している。
どうやら俺が凝視して恥ずかしかったようだ。
一刀「ん?ああ、俺は北郷一刀」
華琳「性が北、名が郷、字が一刀かしら?」
一刀「いや、性が北郷、名が一刀だ」
華琳「おかしな名前ね。」
一刀「俺の国じゃ一般的なんだけどね。そういえばここって何処?」
今の後漢には俺のような名前の人はほとんどいない。
それに自分のいる場所さえ分からないと言ってきている。
怪しいと思われてるんだろう。
華琳「自分の居場所さえ分からないなんて、大丈夫なの?」
一刀「気が付いたら、荒野の真ん中で寝てたからな。それにこの森に来たのもたまたまだ。」
そこで彼女があることに気がつく。
華琳「あなた、今荒野で寝てたって言ったわよね?」
一刀「ん?ああ、いったぞ」
華琳「なるほど、だから自分のいる場所が分からなかったのね」
一刀「勝手に納得するのはいいが、俺にも説明してくれないか?」
華琳「今、都では噂が流れてるの。流星にのって天の御使いが現れるって。」
一刀「それで。」
華琳「昼間に流星が流れたのを見て、ここに来たのよ。」
一刀「なるほど。」
そこで一刀は、考え込む。
これからどうすればいい?現実に帰れる方法があるのか?
それともこっちの世界が現実なのか?
華琳「・・と、か・と、一刀、聞いてるの?」
ふと顔を上げれば曹操の顔が。近い、相手の息を感じられる位に。
華琳「何を考えてるの?」
一刀「な、何も。それより、曹操。」
華琳「何よ。」
一刀「顔が近い」
曹操の顔が瞬く間に赤くなる。見ていて面白いものだな。
華琳「今から陳留に帰るけど、あなたはどうするの?」
一刀「俺も一緒に行こうかな、どっちにしろ行くあてがないし。」
華琳「じゃあ、あたしの家に来る?助けてもらったお礼もしたいし、仕事見つかるまで部屋かしてあげるはわよ?」
たしかに、家もないし仕事もない。かといって何もしない訳にはいかないだろう。
一刀「ああ。よろしく頼むよ、曹操。」
華琳「華琳よ」
一刀「華琳?」
華琳「真名よって言っても知らないわよね。教えといてあげる。真名とは親からもらう本当の名前よ。許可なく読んだら首が飛ぶわよ。」
一刀「肝に銘じておくよ。」
俺は華琳の馬に乗り、陳留をめざした。
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3話です。
華琳さんについては徐々に魔王化じゃなかった、覇王化して行こうと思っております