No.153499 白蓮のヤンデレなんてありえないじゃありませんか2010-06-26 20:15:50 投稿 / 全15ページ 総閲覧数:4345 閲覧ユーザー数:3921 |
おかしいことだと思う。
私たちはいつも人の前に目立つことよりは、普通並みにしていて周りの人たちに目立たない方が好みだ。
なのに、時々私たちはそんな自分たちの姿を投影している彼女たちをいじめキャラとして扱っている。
それは、ある意味自己嫌悪なのかもしれない。
だけどひとつだけは確かだ。
『普通』という言葉は、
あくまで相対的ということだ。
例えば試験で90点代をいつも逃がさない優等生だとしても、百点を取らないほうがおかしい天才たちの集まりに入っていては劣等感も持つものだ。
彼女はそうやって「普通」という名の劣等感につかまっていた。
だけど、そんな彼女が今までも病まずにいられたのは、
きっとあの男、北郷一刀の存在が大きな力になってくれたからであろう。
だけど、それももう限界なのかもしれない。
北郷は常に多くの女性たちに囲まれていた。
白蓮がそんな彼女たちの中で北郷を独り占めするということは最初から無理な話である。
彼女もそこまで望んでいるわけではないだろう。
けど、少なくともたまには一緒にいたかった。
たまには自分も他の子たちみたいに
一刀と仕事とか関係なく城の周りを歩いてみたり、
昼になったら一緒に昼寝もしてみたり、
夜には月を見ながら酒を飲んでみたりしてみたかった。
そして、彼女は今誰も知らないままある蔵の中にある。
それがどこの蔵なのかは私にもわからない。
すくなくとも星がメンマを入れとく蔵や、桔梗たちが酒を入れとく蔵とは絶対違う。
なぜなら、そんなところにいては、直ぐにばれてしまうからだ。
え?袁紹たちとかくれんぼでもしているかって?
そこで璃々ちゃんとかくれんぼしていると思っていないのがすでに彼女に失礼な話だ。反省するといい。
それと、彼女はかくれんぼをしているわけではない。
なら、彼女は何のためにそんな誰もわからない蔵の中にいるのか?
理由は簡単だ。
自分を見つけてほしいのであった。
それでは話が矛盾していないかって?
ああ、重要な名詞を入れるのを忘れていた。
彼女は、
『北郷一刀』が自分を見つかて欲しいのであった。
自分がいないことに気づいて欲しいのであった。
もし、北郷が自分がいなくなったこの状況を気づかぬまま続ければ……
このまま…いなくなってしまっても、
白「オナジナンデショウ?」
白蓮が城からいなくなって12時間後
北「朱里、これなんだけど…」
朱「あ、はい、城壁の修理については…」
桃「ご主人様、私もうつかれた―」
愛「先休んだばかりではないですか」
北「まぁ、そういうな、愛紗、桃香は昨日長老さんとの会議で頑張ってて疲れてるんだ」
桃「そうなんだよ、愛紗ちゃん。えっへん」
愛「なにがえっへんですか。いいですか?桃香さま、ご主人さま、二人さんはこの国の二大柱であって…(くどくど)」
桃「はうぅ…また始まったよぉ」
北「何で俺まで……」
まだ誰も来ない。
まぁ、『普通』ならこんな時間に私が外に出歩くこともないから見つからなくてもそんなおかしく思わないだろうけどね。
『普通』なら……
……
クク…
ククク…
クハハハハハハハ
白「へくしょ!
……誰か私の話でもしてくれてるのかな…」
白蓮が城からいなくなって18時間後
愛「ですから……(くどくど)」
桃「ふえぇぇ、ご主人さま―」
朱「あ、愛紗さん、もうその辺にしましょうよ。もう外もすっかり暗くなっていますし」
愛「うっ、いつの間にこんな時間に…仕方ありません」
桃・北「(ふぅぅ)」
愛「二人とも私の部屋に来てください」
桃・北「(!!?)」
・
・・
・・・
まあ、このくらい待つのは想定シテイタシ…
・・・
・・
・
寒い
白蓮が城からいなくなって36時間後
北「うぅぅ…眠い」
昨日は結局愛紗に散々説教されて、その後桃香が何とかしてくれて説教は終わったんだけど……ああ疲れた…やっぱり二人同時には、」
麗羽「ちょっと、一刀さん?」
北「うん? 麗羽、どうしたの?今はちょっと構っていられそうにないんだけど」
麗「あなたの都合なんてどうでもいいですわ。とにかく私に付き合いなさい」
猪「わるい、兄貴」
斗詩「ごめんなさいね、一刀さん」
北「あぁぁ…」
そうやってやっと愛紗と桃香から開放された北郷一刀は、また袁紹たちに連れて行かれたのである。
ぐぅぅ…
白「……北郷…」
早く探してくれ。
…いや、私がいなくなっていることは気づいているだろうか…
もういっそココデ私が死んじゃっても、誰も私に気ヅカナイカモ知れない。
気づかれてもどうせ私が死ンダコトナンテ、「公孫賛が死んだ」と一文章で済マセルだろうな……
白「寒いな…」
白蓮が城からいなくなって45時間後
北「はぁ…やっと開放された。何で麗羽たちは今日は私に構ってきたんだ?普段は白蓮に来るだろ?」
蒲公英「あ、ご主人様!こんなところにいたんだ!」
北「うん?蒲公英、どうした?」
蒲公英「今ちょっと競馬場に来て。選手が一人足りないのに誰も代わりの一がいないの!」
北「ええっ!?俺は今はちょっと…蒲公英が行けば?」
蒲公英「蒲公英も行くの。数合わせでいいから早く」
北「いや、ちょっと、今はマジきついって…うぁぁああ!!」
そしてまた蒲公英に引きずられていく北郷一刀であった。
・・・
・・
・
ソウダ。よく考エテミレバ、部屋ノ中に探サナイデクダサイと書イテあったら、逆に大騒ぎになって私のこと探シテクレルンジャナカッタノカ?
……
いや、ソレダト文字通りに探サナイハメニナリカネナイナ
今の状況トあまり変ワラナイ気ガスルケド。
ドウセ今でも北郷は他ノ将タチトイチャイチャシテルダロウシ(注:あってるけど少し違います)
白「なぁ、北郷…お前ノ目に私は本当に映ッテナイノカ?」
……寒イ
白蓮が城からいなくなって50時間後
北「ふわぁあ、もうマジで駄目。五時間も走らせるとか冗談じゃないぞ。はぁ、これ以上誰も来ないだろうな。部屋に入ってちょっとやすm」
自分の部屋の中に入ろうとした北郷は、中に愛紗の影が映っているのを見た。
北「(ヤバッ!そういえば今日の俺って仕事サボったことになるんだよな。こっちにもいろいろ事情はあったけど、昨日のこともあったし、愛紗が許してくれるかどうか解らないから…)」
愛「!!ご主人様、いらっしゃったのですか?」
北「(げっ!とにかく逃げよう!)」
そして、今度捕まったらマジで死んじゃうと思った北郷は愛紗が戸を開ける前に逃げたのであった。
白「…コノまま私がイツモミタイニ道歩イテイテモ、誰モ私が二日もいなくなったって知ラナイダロウナ。…私なんて、ドウセイナクナッテモ誰も解ラナイだろうし。このママ死ねばいいンジャナイカ?私っテ」
ソウダ。
イッソシンジャエバイインダ。
寧ロ、死ンデシマエバ、ミナ私ノコト、モットキニシテクレルカモシレナイ。イヤソウニチガイナイ。
モウソウデモナケレバ、私ナンカコノ世ニイナイ方ガマシダ。
白「ソウダ。死ンジャエバ、死ンジャエバミナ私ノコトヲミテクレル……」
サムイ
北「はぁ、ここなら誰もいないな」
一方、北郷は他の皆に見つからないようにあっちこっち徘徊した末に、普段はよく使わない(というか今は使っていない)くらを発見して、その中に入った。
北「ここなら誰も来ないだろうし、今日はここでゆっくり寝るか」
白「……ほん、…ごう?」
北「うん?って、白蓮?!どうしてこんなところに…」
白「……ほん…ごう…」
北「白蓮?」
白「ほん……ご…お」
北「おい、白蓮、しっかりしろ。!!お前、目から血が出てるぞ!?」
白「ほ……ご」
北「白蓮!私の声聞こえてるのか?おい!!」
夜の蔵は寒い。
暖房もちゃんとできない蔵の中で二日も上と下一丁だけ着ていた白蓮は、低体温で死線をさまよっていた。
北「おい、しっかりしろ、白蓮!白蓮!!」
白「……ほん…ごお…」
北「直ぐに医者に連れて行かないと…!!」
…
……
何か、
生暖かい。
先まではずっと寒かったのに…
目を開けてみた。
北「白蓮、もうちょっと我慢しろ!」
目を開けて解った
ああ、
私は死んだんだ。
そうでもなければ、
北郷が私のことこんな風にお姫様抱っこして走っているわけが、
ない…から…
愛「…さま!今までどちらへ…」
北「愛紗!!」
愛「(びくっ)は、はい!」
北「説教は後だ!今すぐ医者を連れてきてくれ!」
愛「は、はいぱえ!解りました!!」
北「白蓮、頼む。死なないでくれ!」
・・・
・・
・
その後、白蓮は三日ぐらい後でやっと起きることになる。
その間北郷は白蓮の部屋を一歩も出ずに白蓮がおきるのを待つが、
白蓮がたまたま目を開けた時、北郷をみかけては、ああ、夢なんだ、と思ってまた寝てしまった。
目を覚ました後、白蓮はなぜ自分がそんなところでいたかを覚えていなかった
彼女にはそれほどがちょうどいいだろうと思う。
もしこの事件を終始を白蓮が全部知ってしまったら、白蓮はきっと恥ずかしくて死んじゃうだろう。
白蓮は目を覚ました後でもすぐには政務に戻れず寝台を守るようになったが、その後もたまたま北郷が様子を見に来てくれたため、白蓮には蜀に来て一番幸せな時になった。
そんな風に、白蓮のひと時の気の迷いは誰にも気づかず終わってしまった。
けど、少なくともこれだけは白蓮もわかるようになっただろ。
自分は決して『普通』じゃないって
だって、
こんなに幸せな自身が普通なわけがないのだから
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白蓮がヤン化するような愛をしているとは思いませんけどね…よく考えてみると、白蓮は蜀で紫苑次で大人げがある子なんですよ。