さくらがまた義之くんにちょっかいを出してる。
義之くんも優しいからさくらにくっつかれても無理に離そうとはしない。
「さくらぁー、いつまで義之くんにくっついてるのよ。早く離れなさいよ」
「義之くんは別にいいよね? ボクがくっついていても。それにそんなこと言うんだったら、アイシアだってくっついてるじゃない」
さくらが義之くんの腕に抱きつきながらそんなことを言ってくる。
ちなみに、義之くんの左腕にさくら、右腕にはあたしが抱きついている。
「あたしはいいの。だって義之くんの奥さんだもん」
「もぉー、また奥さんなんて言って。でもそれじゃあ、ボクは義之くんのお母さんだよ。だから全然問題ないよ」
「だからって奥さんであるあたしの許可の取らずに」
こんなやりとりはあたしと義之くん、さくらの3人で暮らし始めてから毎日のように繰り返してきた。さくらは何かあるごとに義之くんにちょっかいを出してくる。
あたしたちが良い雰囲気になってくるとほぼ確実に邪魔が入る。
それはさくらだけでなく、音姫ちゃんや由夢ちゃんも入ってるんだけど。
とにかくもうこれからはあたしたちの邪魔をしないように毎回言ってるんだけど、全くもって効き目がない。
でも、さくらが義之くんにちょっかいを出すのもわかる気がする。
だって、義之くんはやさしいし、かっこいい。
それに、さくらは、枯れない桜に家族がほしいと願って義之くんが生まれてからほとんど義之くんとは一緒にいれなかった。
義之くんはずっと純一の家で生活していた。
だからさくらも寂しかったのだろう。
枯れない桜の危険性を知りながら桜を復活させたときは、本当にどうしてそんなことをしたんだろうって気持ちでいっぱいだった。
でも、義之くんを生みだしてくれたことには感謝している。
だって、さくらが願わなければ義之くんはこの世界にいなかったのだから。そして、義之くんがいなければきっとあたしはまだ誰ともあまり関わろうとせずに1人で色々な場所を点々として生活していたと思う。
でも、
「義之くんはあたしのなんだから、手ださないでよね」
「にゃはは、アイシア、義之くんを独占するのはよくないよ」
「義之くんはどうなの?」
さくらに言っても全然変わらないので義之くんに聞いてみる。
「さくらにくっつかれて迷惑だよね?」
「そんなことないよね?義之くん。」
「いや、まあ、さくらさんもアイシアも落ち着いて。2人とも仲良くしてくださいよ。2人とも俺にとっては大切な人ですからその人たちに好かれるのは嬉しいことですよ」
と、なんとも義之くんらしい答えが返ってきた。
「もう、そういうことじゃなくて……」
「しょうがないよ、義之くんだもん。これでこそ義之くんって感じじゃない」
「……そうだけどさ」
「2人とも、何を言って……」
「義之くんはやっぱり義之くんだって話だよ」
「そうそう」
義之くんは何を言っているのかわからないって顔をしている。
そういうところも義之くんだと思う。
あたしとさくらは義之くんの腕に抱きついたまま笑いあうのだった。
end
お読みいただきありがとうございました。
アイシア視点に挑戦してみました。
相変わらず短いですが、それはD.C.Ⅱのssを初めて書いたときに2000字以内という制限があったのでその字数内でおさめようと書いていたからです。なので、普通の字数制限がないときも短く書くようになってしまいました。
まあ、内容が思い浮かばないというのも多少あったりするんですが……。
これからも下手ながら自分のペースで書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
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D.C.Ⅱのアイシアルート後日談その6です。
かなり久しぶりにD.C.Ⅱのss書きました。
義之視点、さくらさん視点は書いたので今回はアイシア視点です。
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