No.150935

リトルバスターズ!短編小説コンテスト参加「特訓!」

マメシバさん

けっこう4ページって狭いんですね・・

2010-06-16 00:10:17 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1195   閲覧ユーザー数:1157

真人「理樹、天気いいと……特訓、したいよな。」

夕方、HR終了直後耳に入ってきた言葉がそれだ。

俺は聞こえぬふりをしてそそくさと、そしてさりげな

く、既に開け放たれている出入り口へ足を運ぶ。

謙吾「理樹、何処へ行く。」

なぜ謙吾が食いつくのだ。興味あるのかと聞くと、剣

術の鍛錬になるかもしれないと、大いに乗り気だ。

帰してくれそうに無い。やむなく特訓の内容を聞く。

真人「鉄球打ちかな。体育館裏の倉庫に砲丸あった

ろ。あれでいーんじゃねーか。」

謙吾「己めがけて飛来する砲丸をバッサリ。うん!

いいな!!」

真人「んだよ、謙吾が来るなら俺、止めようかな。」

ダメだこの流れ。二人で意地張り合って、初夏の夕暮

れ、校庭に無数の砲丸が飛び交うよ。

恭介「砲丸などで特訓になると思っているのか?」

助かった正論が来た。しかし、なにやらメモを取り

ながら電話。3分後、社会人秒読み段階の男は、おもむろにこう言った。

恭介「ふぅっ、最近はビルの解体工事に鉄球を使わないから持っていないそうだ。」

理樹「解体工事業者に電話していたのか!?俺たちに何を打たせる気だ!!」

恭介「だが、安心してくれ。鉄球を持っている別の会社を紹介してもらった。」

俺は右足の上履きを手に取り、恭介の後頭部をヒットした。この10分間の記憶を無くさ

せる為だ。恭介のうつろな表情、いけたか!!

恭介「先方は河川敷に直行してくれるそうだ。俺たちもいくぞ!」

だめだ、どいつもこいつも……いや、まだ最後の希望が残っている。

理樹「鈴!俺に加勢してくれ。こいつら止めないと、とんでもないことになる!」

鈴「理樹、早く来い。みんな、お前を待っているんだぞ。」

手招きされました。

目的地が近付くにつれ、高まる絶望感。数百メートル前から視認できる、鋼鉄製のアーム

がそびえ立つ。ゴッバーン!!到着するなり、えらいものを見た。巨大な鉄球がテトラポッ

ドを粉々に粉砕。破片が飛んできた。重機には" 日本デモリッション工業"と会社名。

オペレータが降りてきて、心意気に感じ入ったなどと豪快に話す。特に真人と気が合うよ

うだ。筋肉に悪人無しといい笑顔。そしてついに特訓が始まった。

理樹「って!俺が一番なのかよ!!」

みーんな、すっかり遠くに離れている。逃げ遅れた。こうなったら最後の手段だ。

理樹「ううっ……眠気が……こ、こんなときに……き、棄権させてくれ。」

俺は目のあたりを押さえ、ふらついて見せた。

鈴「おお理樹、そんな冗談が言えるとは余裕だな。」

恭介「日デモさんお願いします!」

理樹「ぐああああぁぁっっ!!」

俺は地に伏せ、飛来する鉄球をよけた。恐怖の破壊力を秘めた巨大質量が、頭上を通過す

る感触を、俺は一生忘れないだろう。

真人「全く見ちゃいられないぜ。どいてな、俺が筋肉の真髄ってやつを見せてやるぜ!」

金属バットを構えた真人に襲いかかる鉄球。筋肉は雄たけびと共にフルスイング。

ガキッッ!!なんといい感じに当たった。これはいけるかもと息を呑んだ。が……

真人「ぬぅおわあああっっ!」

やはり吹っ飛ばされて河に落ちた。

真人「う、腕がしびれて!泳げねぇ~っっ!!」

流れの速いところにはまり、流されていった。まぁ、あいつなら大丈夫だろう。

鈴がやる気満々なので流石に止めた。しかし、俺は心臓が止まるほど驚いて、鈴から飛び

のくことになる。鈴に甘えているのは頭胴長1メートル余りの巨大な3匹の猫。それぞれ

サーバルキャット、カラカル、ボブキャットという種類らしい。豹やライオンの雌にしか

見えない。捨て猫だったというが、本当なのか?

鈴「さぁ!お前達の力を見せるときが来たぞ!!」

うなりを上げやってくる鉄球に飛び掛り……上に乗りにゃんにゃん遊ぶ。そして鈴のどや顔。

鈴「どうだ!!」

理樹「鉄球は止めないのか!!俺はな!その猛獣達にちょっと期待していたんだぞ!!」

謙吾「俺も特訓をやりたいのだがな。」

スラリと真剣を抜き、風の凪いだ湖のように静かに構える。

謙吾「我が家の魂であるこの宝剣で、見事鉄球を二つに別けてやる。」

念のため、宮沢家の魂が折れた場合どうなるのか聞いたら、自刃してご先祖様にわびると

いう。俺は羽交い絞めにして止めた。軽く泣きそうになっていた。

理樹「お前はマジでそういうことするタイプだから、かんべんしろぉ!」

そこに笹瀬川が通りかかった。

佐々美「あんたら、何してるの?」

恭介「見て判らんのか?野球だ。」

 


 
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