この作品の主人公はチート性能です。
キャラ崩壊、セリフ崩壊、世界観崩壊な部分があることも
あるとは思いますが、ご了承ください。
天蓬side
「ただいま戻りました。」
本拠地・鄴に戻った天蓬は、玉座の間の哪吒に声を掛けた。
「その様子だと幽州は奪取出来なかったと見るが・・・・・。」
冷たい無感情な声で天蓬に問う。その声にはいささか怒気が混じっているように聞こえたため
天蓬は苦笑いを浮かべながら答える。
「いやはや、許攸、高覧があんなにも使えないとは思いもしませんでした。我々が着いたころには、北郷軍に一網打尽にされていて・・・・。わざわざ手を出すのも面倒くさいと思ったので引き上げてきました。しかし、恐らく北郷軍は先程の戦いの余勢を勝って南皮までやってくると思われますが・・・・、どうしますか?」
そう天蓬に聞かれた哪吒は、
「南皮にいるのは張郃だけか。兵数は6万弱あるから、後はそれを束ねられる将が必要だな。天蓬、壬生狼の『原田』、『鈴木』、『藤堂』を張郃につけろ。やつらには北郷軍の足止めをしてもらおう。我々はその間に益州へ向かう。」
その言葉に天蓬は驚く。
「河北は捨てるんですか?」
「もとより此処を本拠に構えるつもりなど無いし、捲簾の働きで西方を固めることが出来そうなのでな。しばらくはそこで『来るべき時』に備えることにする。天蓬、早々に準備をしてここを発つぞ。」
その指示に「御意」と答え玉座の間を後にする。
北郷side
「白蓮殿、無事で何よりだ。」
袁家の軍を殲滅し終えた一刀たちが白蓮たちの下へ近寄り声をかける。白蓮と関靖は疲れた表情をしていたが、一刀の姿を見ると目に涙を浮かべながら抱きついてきた。その反応に苦笑するも抱きしめ頭を撫でる。そんな余韻を惜しむように顔を上げると
「北郷殿、助かったよ。あのままじゃ城門破られて我が軍は全滅していたに違いない。本当にありがとう。」
「なに、『友』を助けるのは当たり前のことだ。それに白蓮殿には朱里の時の恩もあるし、やつらにはその時受けた屈辱の借りがあったからな。奴らを叩くのは必然なのさ。」
白蓮の礼に笑顔で答えた一刀。しかし、すぐに真剣な表情に変わり
「朱里、兵の損失は?」
そう尋ねる一刀に
「およそ1千といったところでしょうか。ほぼ圧勝だったためそれほど深刻な損失はなかったと思います。」
その報告に一刀は少し思案した後、
「白蓮殿、出来ればこの余勢をかって『南皮』まで落としたいと思うのだが、協力してはもらえないだろうか?」
一刀の要請に白蓮は少し考えるが、
「まぁ、北郷殿が来てくれなかったらなかった命だ。ならばその命、北郷殿にお預けしよう。」
と快い返事を貰った一刀たちは易京城で南侵の準備にとりかかった。
南皮
「張郃様、北郷軍が北方の国境を越え進軍してきた模様です。」
その報を受け、苦々しい顔をしているのは南皮を守る守将・張郃。
「天蓬殿の言うとおりになったようだな、数は?」
「公孫賛の軍もいるようで数は約2万。すでに展開されております。中央本陣に金色の『十文字』、『諸葛』、中央前方に『公孫』、『関』、左翼に紺碧の『張』旗、右翼に深紅の『呂』旗です。」
その報告に口の端をわずかに吊り上げる。
「いくら屈強な武将をそろえていようと、数では我が軍が圧倒的。それにこちらには天蓬殿からいただいた者たちもおるしな。『原田』、『鈴木』、『藤堂』、兵を連れて出陣しろ。やつらを血祭りにあげてこい。」
張郃のその言葉に、ツンツン頭の一人の青年が近付いて張郃を締め上げる。
「おいおい、俺たちは誰にも指図されるつもりはねぇ。俺たちは強い奴と戦えればそれでいいんだ。勘違いするんじゃねぇよ。」
「おい、『原田』それくらいにしておけ。仮にも今は我等の主だぞ。」
原田と呼ばれる青年を宥める一人の男。その言葉を聞いた原田は締め上げていた首を離す。
「ちっ、わかったよ『鈴木』さん。しっかし、楽しみだねぇ・・・・どんな猛者がいるのか。」
ニコニコと笑顔を振りまく原田に、鈴木は「はぁ」、とため息を吐く。そんな二人のやり取りを見ていたのはこの中では一番若い感じの青年だ。
「ちょっと原田さん、鈴木さん、遊んでる暇ないですよ。もうすぐ傍まで敵はきてるんですから。早く兵を纏めて出陣しましょうよ。」
「うるせえな、『藤堂』。でめぇいつから俺たちに指図するほど偉くなったんだ、おい。」
藤堂と呼ばれる青年の言葉に原田は怒って突っかかっていくが、それは鈴木に止められた。
「早く行くぞ、敵さんは待ってくれないからな・・・・。」
鈴木はそんな二人を無理矢理引っ張っていった。
南皮近郊
「何なのだ、やつらは・・・・。」
そうぼやくのは張郃。兵数では圧倒していたはずだったのに、右翼、左翼とも北郷軍の猛将たちによって切り崩されていた。そんな状況に心を躍らせているのは原田だった。
「いいねぇ、いいねぇ。敵軍の右翼を率いてる将はなかなか強いな。ふふふ、鈴木さん、藤堂、敵右翼は俺が出向くぜ。邪魔はしないでくれよ。」
そういうと槍を担いで駆けて行く。そんな原田に鈴木は釘を刺す。
「原田、分かっているとは思うが熱くなりすぎて本来の任務を忘れるなよ。」
鈴木の忠告に、原田は振り向かず手を挙げて答える。
「じゃあ鈴木さん、僕は敵左翼に行きますね。」
そういうと藤堂は長刀を持ちだす。そんな藤堂に
「そうしてくれると助かる。この中では君の武が一番だろうからね。私には両翼の将は荷が重過ぎるよ。」
鈴木はそう苦笑いを浮かべながら藤堂を見送った。
「呂布将軍、敵左翼は概ね制圧できた模様です。」
その報告を受け恋は
「・・・ご主人様の所に、戻る。」
そう兵に指示を出したところで、何かに気付き馬を飛び降りる。さっきまで恋がいたところには長槍が突き刺さった。槍の飛んできたほうへ目を向けると羽織を着た一人の男が立っている。
「いいねぇ、あれを避けるとは面白い。俺は原田左之助という。悪いが本隊に戻る前に俺と遊んでもらうぜ。」
そういうと突き刺さっていた槍を抜いて恋に襲い掛かってきた。その原田の醸し出す雰囲気にすぐさま只者ではないと感じ取った恋は、方天画戟を構え迎撃に入る。
「張遼将軍、敵右翼概ね制圧できた模様です。」
その報告に霞は、
「よっしゃ、ほんなら張遼隊は敵本陣へ強襲をかけるで。ウチについてきい。」
そう指示を出して駆け出していった兵たちが、次々と倒れていく。その中心には一人の青年。
「申し訳ありませんが、しばらく私に付き合ってもらいますよ。」
青年はそういうと長刀を構える。その青年からは周りが凍りつくくらいの殺気が溢れている。
その青年に霞は目を輝かせて
「なんや、可愛い顔してえげつない殺気だしよるなぁ。ええよ、ウチも手ごたえなくて暇していたとこや。あんたに付きおうたるわ。」
霞は飛龍偃月刀を構えて青年に向かっていく。
「白蓮様ぁ、敵軍前線が崩れたみたいですよぉ。」
そんな関靖の報告に白蓮はすかさず
「よし、ならば敵本陣へ突っ込むぞ。白馬隊、続け!」
そう指示を飛ばして敵本陣へ駆けて行く。だが、その進行方向に一人の男が立っていた。
「いやいや、申し訳ありません。ここから先へは行けませんからお引取り願えますか?」
丁寧な口調で話しかけてくる男だが、その男からは冷たい殺気が放たれている。男のその気迫に思わず後ずさりそうになる白蓮と関靖だが、踏みとどまって
「悪いがそうはいかん。邪魔するのなら押し通るまで。いくぞ関靖。」
「はい。」
そういうと白蓮と関靖は目の前の男に向かっていく。
「ご主人様、中央、右翼、左翼ともに将らしき者と交戦に入ったようです。」
朱里のその報告も耳に入らないくらい一刀は戦場で繰り広げられている戦いから目が離せなかった。
(やつら何者だ?この世界に恋や霞とまともにやりあえる将なんて何人もいないぞ。それに奴らの着ている羽織、俺の記憶が確かならばあれは『新撰組』の隊士が着ていたもののはず・・・・。どうしてこの世界に新撰組がいるんだ?)
目の前の出来事に混乱してしまったが、今は状況を打開するのが先だ。
「朱里、膠着している部隊の脇を抜けて敵本陣に突撃をかけるぞ。」
そういうと北郷軍の本隊は敵軍本陣へ向けて突撃していく。戦況が不利になったと分かった張郃は
「本隊は退くぞ。ここは壬生狼のやつらに押し付けろ。すぐさま撤退だ。」
そう部下に指示を出し、壬生狼の部隊を残して本拠地である鄴へ戻るため撤退を始めた。
その時、
ジャーン、ジャーン
銅鑼の音が聞こえたかと思えば、伝令の兵が大慌てで駆け込んでくる。
「申し上げます。鄴方面より北郷軍が・・・・。」
その報告に張郃は驚愕する。一刀たちは、南皮から撤退する部隊用に別働隊を待機させていたのだ。それらを率いるのは北郷が誇る3将軍、一刃・関羽・張飛。数は4千と少ないながら張郃たちの部隊を蹂躙していく。そんな張郃部隊の状況を見た鈴木は
「ここまでか・・。原田、藤堂、我々の仕事はここまでだ。退くぞ。」
そう指示を飛ばす。目の前には、ズタボロにされた白蓮と関靖。
「ちっ、折角今から面白くなりそうだったのによ。」
そう文句を言うは原田。目の前には肩で息をする恋の姿が。
「命拾いしたな。また会おうぜ。」
そういって原田はその場を離れた。反対のほうに目をやるとそこには藤堂と霞の姿が。
霞は膝をついていた。
「ここまでですね。それでは僕はここで。」
そういうと藤堂はその場を後にする。
「はぁ、はぁ、なんやあの兄ちゃん。あれだけ攻撃しても息一つあがってないなんて・・・・。」
次元の違いにうなだれる霞。そんな霞の元に一刀が訪れる。
「大丈夫か、霞?」
そう声をかけると、霞は小さく
「あかん、全然歯がたたんかった。」
そう力なく言うのだった。そんな霞の姿に言葉が出ない一刀だったが、今は南皮制圧を優先し、各隊に指示を出す。将を失ったことで敵軍は抵抗をやめ北郷軍へ投降した。
その後、南皮を制圧した北郷軍はそのまま鄴へ侵攻したが、抵抗らしい抵抗はほとんどなくそのまま河北三州を制圧したのだった。
馬騰side
涼州では、五胡との戦が続いていた。
「まったく懲りんやつらじゃ。毎度毎度鬱陶しい。」
五胡との戦いで馬騰軍は疲弊しきっていた。そんな中、国境付近に配置してある兵が傷だらけで帰ってきた。その様子にただ事ではないと思い問うと兵は
「馬騰様、南より劉璋の軍勢が国境を越えて進軍してきました。」
その報告に馬騰は驚く。と、同時に現在の状況を見て頭を抱える。
「劉璋の小僧が?あやつめ野心を持っていたのか・・・・。数は?」
その問いに兵は言いづらそうにしながらも答える。
「敵軍の数はおよそ30万です。」
その答えに馬騰は絶望する。何故ならつい最近まで五胡と戦いを続けていた馬騰軍にはもはや1万の兵しかいなかったからだ。まさに絶体絶命。敵はすぐそこまで迫っていた。馬騰は馬超、馬休、馬鉄を呼び出しあることを告げる。
「翠、碧(みどり)、楓(かえで)、お前たちは此処を離れろ。」
その言葉に馬超は真っ先に反対する。
「母上、何を言ってるんだ。私たちは西涼の英雄・馬騰の娘、たとえ勝ち目のない戦いであろうと最後の最後まで身体を張って戦う。」
その馬超の言葉に馬休、馬鉄も頷く。が、馬騰は
「馬鹿言ってんじゃない!いいかい、この戦で皆死んでしまったら誰が劉璋の馬鹿からこの西涼の地を取り戻すんだい。あんたたちには、生きてまたこの西涼を取り戻してもらわなきゃならん。その為にも一度この地を離れ成すべきことを成すべきときに成せるように・・・・。」
馬騰のその言葉に馬超達は言葉を返すことができなかった。そうしていると
「馬騰様、劉璋軍が来ました。我等を囲むように布陣しています。」
「そうか・・・・。翠、儂が突破口を切り開く。お前たちはそこから脱出するんだ、いいな。」
馬騰の言葉に馬超は何も言えなかった。
「劉璋、何があって我が領地へ足を踏み入れた。」
馬騰は劉璋を睨みつけながら舌鋒を展開するが、劉璋は
「ふん、お前のような無能な奴が涼州を我が物顔で統べるのが気に入らないだけだ。これからは私が豊かな国にしてやるよ。だから安心して逝くといい。」
劉璋の下品な笑い声が戦場に響く。
その言葉に怒りを燃やしつつも冷静に、3人の娘の退路を確保するために指示を出す。
「一点突破じゃ、儂に続け!」
馬騰の号令で兵たちは囲いの一点に集中して攻撃する。そして、囲いの一部を攻略するとすかさず
「今だ、翠。行けぇぇぇぇぇぇぇ!」
その言葉に、馬超、馬休、馬鉄の3人は騎馬を走らせその包囲を突破する。追いかけようとする劉璋軍の進路を馬騰が塞ぐ。馬騰は兵たちに叫ぶ。
「お前たちの命、儂にくれい。」
その言葉に兵たちは答え、向かってくる劉璋軍を通さないための壁となる。馬騰も壁の一部となり敵の侵攻を食い止める。そんな馬騰に
ヒュン ヒュン ブスッ ブスッ
劉璋軍の兵から容赦ない矢が注がれる。何本もの矢を受けながらも馬騰は倒れない。
「いくら矢を受けようとこの馬騰ただでは死なん。貴様らを道づれにするまではな!」
その溢れ出る闘気は、まるで命の最後の輝きのように。その闘気を纏い馬騰は戦場を駆ける。命の灯火が尽きるまで・・・・・・。馬超たちはそんな戦場を見ないように全力でその場を後にする。託された命の灯火を絶やさぬように。
(母上、必ずあなたの仇は討ちます。だから・・・・・・。)
馬超達は思いを胸に駆けて行く。その先にあるものを信じて・・・・・・。
西涼の雄、馬騰死す。
この報はあっという間に国中を駆け抜け、諸侯はその事実に驚愕するのだった。
あとがき
北郷軍VS袁家 最終戦です。
戦闘描写は相変わらずです。
あと、新撰組に関してはそんなに詳しいほうではないのでキャラの感じは
適当です。原田に関してはるろ剣の左之助をモチーフに
藤堂は瀬田宗次郎、鈴木は・・・・・特にないかな。
そんな感じのキャラなので新撰組ファンの人、イメージが違いすぎてたら申し訳ありません。
あくまでもオリキャラだと思っていただければいいかなと思います。
拙い未熟な文章ですが、少しでも楽しんでもらえたら幸いです。
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恋姫†無双の二次創作です。
今回は北郷軍VS袁家 最終戦です。
W杯見ながら執筆しておりましたが、試合が気になって
なかなか思うように捗りませんでした。
文章表現もかなり怪しい感じがしますが・・・。
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