どうも、米野ですごきげんよう。連日投下がいいだろうにできなくて申し訳ないです。
一応大枠に沿って進めておりますが、自分は駄目人間なので、というか不勉強なので、少しずつ進んでいきます。
一週間に一回のペースで進めて生きたいですね。
それじゃ、今回も話を進めていくとしましょう。
第二話 宴
赤壁の戦い以後、天下二分の計がなり、呉と蜀の大陸統治が続いてからというもの、いまだ二国間での小競り合いは続いていた。戦争という形ではない。政という形ではあるが、これも戦いといえば戦いである。
一刀はその使者として、『天の御遣い』という名を持って、呉と蜀を行ったりきたりする毎日であった。
さくっと決めてしまいたい所ではあったが、もともとあったかつての曹操の治めていた魏の領地が広大であったことなどから、簡単に決めることもできず、現状を維持しつつもお互い粘り強い交渉を行う必要があったのだ。
国というものは厄介なものである。
特に軍を持つということは、相手に対しての抑止力を持つが逆に相手への不安を抱かせることにもつながる。戦乱の世は終わっても、まだ人々の心に戦乱の種は眠っているのであった。
それはともかく、なんとか、今回の交渉が終わり、ひとまず一年間は今までの国境で様子を見ること、と蜀の頭脳であり今回の使者でもある諸葛亮と確認しあった一刀は、長い旅路を得て呉の都建業へと帰ってきたのであった。
「まったく、あんな小さいこの頭にドンだけの脳みそが詰まってるんだよ」
小さいといっても、一刀の子供が既に十近くになるのである。
諸葛亮も十分に大人なのだが、外見は赤壁の戦いの頃から変わらずに、小さいままである。
一刀が蓮華へと結果を報告し、ぶつくさ言いながら自分の部屋へと戻ると、そこには小さな来訪者が、待っていた。
一刀の疲れはそれだけで吹っ飛んでいた。
「お帰りなさい、なのじゃ。親父殿」
「ああ、宴。ただいま。今日はみんなと一緒じゃないんだね」
「今日はみんなそれぞれの母上殿に鍛錬をしてもらっている最中であろう」
そういえば、と一刀は蓮華の隣に陽蓮が控えていたのを思い出した。あのあと二人で鍛錬に行ったのかもしれない。
「祭はどうしてるんだ?」
「昨日飲んだお酒が、少し抜け切れなかったようでの、今は身体を休ませているのじゃ」
「へぇ、祭が。珍しいな」
「昨日は相当飲んでおったからのぉ。あれはちょっと見るに耐えんかったから寝てしまったのじゃ」
ばつの悪そうに言う宴の頭を、よしよしと一刀は撫でた。
「宴はいい子だな。そういう時は絶対付き合っちゃ駄目だからな」
「酒は舐める程度、じゃな」
「本当は舐めるのも、あまり俺としては勧めたくないんだけどな」
一刀の言葉にわかっておる、と宴は元気に頷いたのだった。
しばらく宴に一刀は今回の旅のお話をしてやった。旅の話は、毎回毎回、それぞれの娘にしてやっている。まだ幼く遠出ができないからこそ、これから広く知っていかなければならない土地のことをできるだけ伝えてやるのが親の使命だと一刀は思っているのだ。
話が一段楽した所で、宴が不意に言葉を発した。
「のう、親父殿ぉ。やはり男は胸の大きなほうがよいのかのぉ?」
「え、宴?どうしたんだ、いきなり」
「いや、昨日の、母上があまりにお酒を飲んでおったからの、折角だからとおもい、二人の馴れ初めを聞いたのじゃ」
(祭さーん、あんた子供に何言ってんですか?)
「それから思ったんじゃが、親父殿は先の国主様であった孫策様や大都督であらせられた周瑜様、さらには穏様ともいたすのが早かったと聞いてな。ここから導かれる結論は、親父殿は胸の大きい女性が好きということに他ならない、とおもうのじゃ」
(否定はしないけど、お父さんは小さいのも小さいので好きだぞ)
いつまでたっても言い訳が下手な一刀であった。
「じゃからの、宴も胸を大きくしたいのじゃが、母上に聞いてもそのうち大きくなるからと取り合ってくれんのじゃ」
とある昼下がり、親子二人はなぜか胸の大きさの話しをしていた。とても奇怪である。
「そうだな、これはなるようにしかならないからな。でもなぁ、何で宴はそんなに胸を大きくしたいんだ?」
「そ、それは……」
褐色の頬を赤く染め上げる宴。黄蓋が娘こと黄柄、真名は宴。一刀の第四子にして褐色の肌とその美しい白銀の髪は間違いなく祭の血筋であることをうかがわせていた。しかし、まだ体つきは幼く、祭のようなグラマラスな感じではない。
だが十分にかわいらしいその容姿に頬を緩める一刀であったが、宴の反応に身体をこわばらせた。
(ま、まさか。宴に好きな男でもできたというのか!?)
一刀の脳内会議が始まった。
(ここは、宴の恋を応援すべきでしょう)
(何を言っている! 断固として男など認めん。宴はまだまだ俺の娘だ)
(そんなことを言っても娘の成長というものは、息子よりも早いといいますし)
(関係ない。というよりも、まだこんな時代だ。乱世が終わったとはいえ、政がどの国でもうまくいっているわけではない。その状況下で、どこの馬の骨とも知らない人間に、宴を差し出せるものか)
(そうだそうだ! 呉の重臣に取り入ろうとしているだけかもしれないじゃないか!)
(しかし、女性というものは恋をすればするほど綺麗になるといいます)
(いくら綺麗になっても、もう親父殿とは一緒にいたくないなんて言われるよりはましだ)
(そうだ! まだ宴は十五にもなっていないんだぞ。結婚なんて早すぎる)
「……ヤジ殿!」
(く、こうなればいっそのことそのどこの馬の骨ともわからない男を呉から追放して……)
「親父殿!!」
「うわぁ!!! な、なんだ宴。どうかしたのか?」
「それはこっちのせりふじゃ、親父殿。さっきから宴がいくら呼びかけても上の空だったゆえ、宴は、宴は……hじゅぇ、ふええええええん」
いつの間にか宴は一刀のそばで泣き出していた。
「え、おい、どうしたんだ宴?」
「や、やっぱり、ひっく。そうなのじゃ、ひっく」
「な、なにがだ?」
一刀は宴を抱っこするとあやすように頭を撫でた。
「親父殿は胸の大きな子が好きだから、宴なんかいらなくなったんじゃ!」
「そんなわけないだろ!」
「嘘じゃ、だって、最近は宴にかまってくれないし。母上も親父殿が最近会ってくれないとため息ばかりついておるのじゃ」
宴の言葉が一刀の胸に突き刺さった。確かに最近はあまり祭と会っていなかったと一刀は心うちに思った。
別に祭を避けているわけではなかった。単純に会うという意味では朝議では会っているし、軍の演習では一緒に行動したりもする。しかしそれはやはり、公でのことで、私事となると祭とはあまりあっていなかった。
一刀は宴をぎゅっと抱きしめると、謝罪の言葉をささやいた。
「ごめんな、宴。おとうさんはな、別に宴や祭のことを嫌いになったりしていないよ」
「ほ、ほんとう? に?」
「ああ、本当だとも。大好きで大好きでしょうがないくらいだ」
宴はまだ子供だ。でもだからこそ、祭のことを大切に思っているんだろう。自分が生まれたから、胸の小さい自分が生まれたから嫌われてしまったんじゃないかと思ったに違いない。自分だけじゃなく、祭のことも。
「なぁ、宴。今日は一緒に寝ようか?」
「ほ、ホントか!」
「ああ、祭も一緒だ」
「母上も?」
「もちろん」
「じゃあ、指きりしてくだしゃれ、ひっく」
「よし、」
鼻をすする宴の小指に一刀は自らの指を絡ませた。
まだ小さい、そして大切にしなければならないもの。
「「ゆびきり、げんまん、うそついたらはりせんぼん、のーます」」
「「ゆーびきった」」
そこには泣きじゃくる、宴の姿はなく、晴れ晴れとした笑顔を浮かべる可愛らしい孫呉の姫の姿があった。
蜀が最近変な動きをしている、そんな情報をとりあえず今は頭から追い出して、今は自分の大切な娘を思う存分可愛がろうと心に決める一刀であった。
自ら勝ち取った平和を壊されるわけには行かない。そのために一刀は国自体の平和だけじゃなく、家庭の平和も見事に取り戻すのであった。
その日の祭が妙に可愛かったのはまた別のお話。
あとがき
どうも、第二話投下し終わりました。
まぁ、なんていうんですかね。政治の話、正直興味もないから得意ではないので、猫かぶってやっていこうと思います。
一応参考にするのは、ファミ通文庫から出てくる外史シリーズも参考にしていきたいと思ってます。
それにしても時間軸が立てにくいですね。というか子供が大きくなりすぎてて、ちょっと世話しにくいです。
今回は祭さんちの娘のお話でした。
次はどの子にしようかな?
ご希望ありましたらコメントくださいな。
ではでは、ごきげんよう!
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遅くなって申し訳ない。
呉√アフター第二話登場です。
今回はあの人の娘のお話。
誤字脱字などありましたら、教えてください。
ご意見なども待ってます。
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