城に向かって歩いていると向こうから見慣れた人がやってきた。
「桜華様。こちらにおいででしたか。帰りが遅かったので心配しました」
秋蘭だ。どうやら自分を探させてしまっていたらしい。
「ごめんなさい、秋蘭」
「いえ、ご無事でしたら良いのです。それよりも北郷・・・父君の石碑の所で何か良いことでもありましたか?」
「どうして?」
「なんだかとてもうれしそうなお顔をされていたので」
「うん。実は・・・」
そこで私は口をつぐんだ。もしかしたら夢や幻だったかもしれない父の姿を見たといってぬか喜びをさせたくなかった。
「ううん。なんでもない。ただ、やっと父上のことを少し知れたことがうれしくて」
「そうですか。桜華様が父君のことをそこまで知りたがっていたことに気づけず申し訳ありませんでした」
「いいのよ、秋蘭。最終的に知れたんだから」
「そう言っていただけると助かります」
二人して話をしながら歩いているともう城についていた。
「そろそろ、夕食が出来上がっている頃だと思います。参りましょうか」
「ええ」
そう言って私たちは宴会場へ向かった。
扉を開けると今日二回目の驚きがあった。
『桜華様!お誕生日おめでとう!』
パン!パパーン!
多くの人から一斉に祝福の言葉と父が天の知識から作ったと言うクラッカーが向けられた。
だがそれだけではなかった。本来ここにいるはずのない武将や軍師たち、さらには母の姿があったからだ。
「え?どうして母上やみんなが?」
「そんなのあなたの誕生日を祝うために決まっているじゃない」
「で、でも魏は?」
「魏には優秀な人材がたくさんいるわ。数日くらい私たちがいなくても問題ないわ」
「あ、ありがとうございます」
思わず涙ぐんでしまった。
「あら、泣いているの?」
「泣いてません。私は魏の覇王曹操の娘ですから」
「ふふ、さぁさぁ桜華さん。主役はこちらに」
そう言って私を導いてくださる劉備様。
「さあ、桜華。今日の主役として何か皆に言いなさい」
「は、はい。えっと、今日は私のためにありがとうございます」
「ありきたりね。だけどまぁいいでしょ。それじゃあ、かんぱーい!」
『かんぱーい!!』
蜀と今回会議に参加していた呉の皆さん、そして魏のみんなに祝福されその日はとても幸せな気持ちでいっぱいになった。
<あとがき>
まずは、読んでいただきありがとうございます。
自分的には前回ので完結というつもりで書いていたのですが、まさかの続編の希望に驚きましたが、頑張って頭の中では組み立ててはあります。
一刀は次で出ます。
一刀の出し方は最初から(1ページ目)が良かったのと、この話しを書きたかったのでこうしました。別に焦らしている訳ではありません。
あと、和兎さん。絵の使用許可ありがとうございました。
次がラストです。過度な期待をしないでいてください。
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続きを希望してくださったので書いてみました。
蛇足的になっていなければ良いのですが・・・・
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