べつに特別な事もない、ただの天気が良いだけの日も全部憶えていられたらいいのに。
「何考えてるの?」
彼女の声に意識が現実に戻る。僕はあくびをかみ殺しながら答えた。
「んー。十年後に今日の事どのくらい憶えてるかなって」
「忘れてると思うよ」
「うん。試しに十年前の今日を思い出してみようとしたけどダメだった」
彼女は「やっぱりちょっと普通とちがうよね」と耳がくすぐったくなるような声で笑った。
その笑い声を聞いた僕は、やっぱり十年後もずっと今日を憶えていたいと思った。
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日常系短編。以前同人で出した短編の加筆です。ラブコメ