美陽攻略戦
(はじめに)
華雄の暗躍していた頃……
第20ターン
華雄と沮授との密談をしていた頃、
アンタ達も来なさい。
一刀達3人組は詠に引っ張られ小高い丘の上に設けられた高台に連れてこられた。
高台の下には非武装の兵達が整然と、幾つもの方陣がくまれ
その周囲には十歩間隔で武装した兵達が監視していた。
あまりコレやりたくないのよね。
詠は渋い顔を見せていたが、意を決したかのように兵達に宣言するかのように高々と言った。
「これより、
董将軍による迎敵祠(げいてきし)を行う!!
全兵起立」
詠の命令により兵達は一斉に直立不動になった。
迎敵祠……?
一刀は隣にウトウトと眠たい顔をしているねねを小突いて迎敵祠とは何かを聞いた。
迎敵祠とは文字どおり戦争前に敵を迎える儀式。
東西南北に壇を設け生贄を捧げて天に祈る。
特に敵の来る方角に神を迎える壇を設けるのです。
年配の兵七名を選んでこれに主祭として、赤い服を着せ赤い旗をなびかせる。
そして七人の壮丁(そうてい)に強弓を持たせ敵の来る方角に向かって七矢を放つのです。
この宗教的儀式をすることにより兵達は戦闘への厳粛な決意を持たせられる。
しかし、風の話では董軍は他の軍と違い特殊な方法を取る為
兵達は鉄壁のような強靭な結束力を持つと聞くのです。
一刀はふ~んとねねの説明を聞き、詠の命令により粛々と進められる儀式を眺めていた。
儀式は中盤に入り兵の中にはウトウトとする者が出ていたか、
多くの兵は目を爛々と輝せていた。
「これより、董将軍から下命がある。
皆こころして聞くように――!!」
嫌がっていたわりにノリノリであった詠と入れ替えるように月が台の上に上がった。
「みんな―――!! これから始まるよ――!!」
ウォ―――――――――!!
兵達の狂信的な雄たけびで、眠そうにしていたねねや恋は
ビクッと驚いて兵達を見た。
その裏では詠は武装した兵達になにやら細々とした指示を素早く出していた。
一刀が台の上に立っている月を見ていると、
いきなり月が歌い出し銅鑼や戦鼓等がリズム駆るに流れ出した。
すると兵達もその歌に合わせるか一斉右を向いたり、しゃがんだりと
マスゲームを連想するような動きをし出した。
すると数人の武装した兵が一人の素服を着た兵を引き連れて来た。
「賈校尉、
将軍閣下の涙溢れる美声に踊れない不届きな不審者を引き連れてきました」
「ご苦労、 引き続き監視をするように」
「ハッ!!」
一礼をしていそいそと会場に戻る兵達に、何か疲れた感じのする詠に尋ねた。
「あの~詠さん、これはいったい……」
詠は連行された兵を待機している兵に引渡し、
ため息を吐きながら一刀に説明をした。
そもそも、迎敵祠を執り行うことにより兵達に戦闘目的を持たせるものである
と共に、敵の間者を炙り出す役割がある。
しかし、月はそれをすることにより兵達に疑心暗鬼を招くから嫌がった。
そこで詠の提案で歌を歌い、兵達はそれに合わせて一斉に同じ動作をできない者
を捕らえるという案を出した。
「最初は良かったのがね― さっきの兵見たでしょ」
ウォ―――!! 姫!!! 姫!!! 姫!!!
全兵からの姫コールに、月はそれにこたえながら迎敵祠は続けられていった。
この時ほど、詠は己の策が失敗したと苦虫を噛んだ表情をしていた。
迎敵祠も終わりになるころには詠のもとには十数名の間者を捕らえられた。
詠は何を思ったのか一刀を引きつれ、陣のなかでも人通りのない一角に
設けられた大天幕に入った。
そこに入った瞬間血とし尿の香りがして一刀は顔をしかめた。
天幕のなかには何人かの間者が縄で結ばれ転がされていた。
詠はそのうち敵の間者の縄を解くように命令を出し間者達に言った。
「アンタ達は逃がしてあげる。
張羽との約定だから……
張羽に宜しく伝えておいてね」
詠は近くにいた兵に連中を陣の外まで連行してから解放するように言った。
一刀は詠が言った張羽とかいう人物は誰か疑問に思い詠に尋ねた。
詠は笑いながら事前に調べた敵の前線指揮官の名を毎回適当に言うことにより
敵の前線指揮官達にや兵達に疑心暗鬼を植えつける為にしていることを説明した。
そして、詠が残りの間者達の前に立ったとき
先程とは打って変わって詠は厳しい表情になっていた。
「さて、アンタ達だけは別よ。
この場で打ち首にする。
しかし……
誰から命令されたか言えば助けてあげる」
縄を巻かれ地面に転がされている男や女達はだんまりを決め込んでいた。
その周囲には屈強な兵達が焼けた鉄棒やムチを持ち
これから起こるであろう惨事を容易に想像させた。
間者が上半身ハダカにされてムチを打たれる光景を
イヤがりながら詠は校尉としての職務を全うする
という意思で硬い表情でその光景を見ていた。
しかし、隣で見ている一刀が平然としている様子に詠は不思議に思った。
「あら。アンタはなんで平気なの。
先の華雄の戦いでも沢山の人が死に、ここでも人が苦しんでいるのを
平然と見ているようだけど……
ボクや月ですら最初は冷静でいられなかったのに」
優しい月にはとてもやらせられない。裏の仕事をしている詠
その罪悪感からなのか今日の詠はいつもとは違い多弁のような感じだった。
しかし、一刀は頭を搔きながら詠の気持ちをくみとったのか硬い声で言った。
「確かに流血や人が苦痛にあえぐのを見るのはあまり気持ちいいものではない。
しかし、誰かがそれをしなければならない。
詠は優しいから自ら汚れ仕事をしているが気に病むことはないよ」
詠は顔を赤くして誰が気に病んでいるでるですってと食って掛かった。
「ハハハッ、
しかし……俺の場合、俺の頭の中では異常な程冷静になる俺がいるようなんだ……」
「やっぱ、アンタ、チョット変よ」
(…・…コロセ ……コろせ ……もっと殺せ)
一刀は急に体温が低くなったように背筋が寒くなり
頭に響いた声の主を探るように周囲をみた。
そして詠を見た。
詠は不思議そうな顔をして一刀を見返した。
「なぁ、詠、今なにか言ったか」
「ハァ、何も言っていないわよ」
そうこうして、執行人達はもはや人の形をしていない肉の塊を火にくべ
まだ脈打つ者をせめともの慈悲と一撃で斬り殺していた。
今宵の表の宴の終了による歓声とは無縁の殺伐とした宴も終了した。
(あとがき)
はじめまして、この度は 真恋姫無双 美陽攻略戦 第二十一ターン
をご覧になって頂きましてありがとうございました。
以上 『第二回 萌え萌え計画』でした。
難しいですね~どこいらあたりが萌えなのか一応本編ではシリアス
を前提に書いているのですがその中に風味を壊さず萌えを入れると
いうのは……
今回は何時投稿できるかわかりませんので完成したものから即
投稿しております。その為従来ですと大体13~15ページですが
8ページ程度と短めになっております。
一応シリアスな本編ですが、今回のお話は間者のあぶり出しと
捕まった場合の末路を書いております。
最後まで、本編を読んで頂きまして大変ありがとうございました。
・・・第3回 萌え萌え計画ができるか!?
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第21回目の投稿です。
読みにくい点や日本語がおかしい部分があるかもしれませんが、宜しくお願い致します。
第二回萌も萌え計画・・・また外すか!?