真・恋姫†無双 魏ルートアフター
外史伝外伝
『外史伝エピソード零:鏡花水月編』
『epilogue』
数年の月日が過ぎた
一刀と華琳は結婚し、長女曹丕が生まれた
その後、恋姫たちとの間にも子供ができる
一刀は民達から魏・呉・蜀の平和の象徴としてうたわれるようになる
現在でも華琳たちと共に魏都許都に住んでいた
許都城の庭
そこに天の御遣いこと北郷一刀がいた
青い空を見上げ、佇む一刀
「アレから…5年か…。
韓湘子。お前は報われたのかな?」
ポツリと呟く一刀
「一刀様」
そこに、腹部を大きくした愛紗が来る
「愛紗…。余り動いては…」
数ヶ月前に懐妊した愛紗は、一刀の元に来ていた
これは、恋姫たちの間で交わされた『一刀憲章』っとでも言うべき決まりごとにのっとったことであった
『一刀憲章第56条:天の子を授かりし者は、例外なく天の元(許都)に行くこととする』
要約すると、一刀の子供を妊娠した人は一刀の居る町に行きましょう!
そうすれば、寂しくないよ~っとのことらしい
発案者は勿論三人の王様達
一刀に拒否権は御座いません
どこで何をしていようと許都に強制連行されます
「心配はご無用です。
華佗ももう安定期に入ったと言ってくれました。
じっとしているのは武人にとっては…少し辛いものがあります」
愛紗は一刀の隣に歩いてくる
一刀は愛紗をそっと支えてやる
「一刀様////」
「なぁ…愛紗。」
「はい?」
愛紗の顔を優しい瞳で見る
「俺は…幸せものだな。
曹丕や劉禅、俺の娘達…そして、俺を慕ってくれる皆に囲まれて…。
だから、ふとアイツのことを思い出しちまったんだ。
誰よりも、この幸せを与えられるはずだった…理想の俺のことを…
後に残るものは何も無い
でも、俺たちはそれを知りつつ、死力を尽くした
それは、何かを得るためでもなく…
何かを、守るためでもない…
たった一つの言葉を確認するための儀式だった。
俺は…アイツに、その言葉を伝えられたのかな?
アイツを…助け出すことが、できたのかな?」
「一刀様…」
愛紗は一刀の手をそっと握る
「きっと…韓湘子は救われたはずです。
生きて、私達を見守ってくれています。
そして、いつかは…自身の幸せを掴んでくれます。
私は…そう信じています」
愛紗は一刀の手を両手で包み込む
「だって、私の愛した…方だから。
私の愛する…一刀様だから////」
一刀は愛紗の手を握る
「あぁ…そうだね。
きっと、あいつはしぶとく生きている。
外史を守るために…あいつの関羽と再会するために…
信じよう、愛紗。
希望の光が…アイツを照らすことを…」
「はい」
場所は変わって城壁の上
愛娘・曹否を抱きかかえた華琳が国民達に演説をしていた
この日は、魏王曹操の生誕祭
歓喜にわく魏の国民達が城壁に集まっていた
大勢の人が華琳に手を振り、その偉大な覇王を、そしてその娘をたたえていた
「曹操様、万歳!!」
「三国同盟万歳!!!」
「曹丕様、万歳!!!!!」
「魏帝国に栄光あれ!!!」
「御使い様万歳!!!!!!!」
「「「「平和万歳!!!!!!!!!!!!」」」」
華琳はその様子を優しい眼差しで見つめる
自分の守りたい大切な国民達
そして、愛する夫
自分は…
彼を皆で幸せにする
そう誓った。
それは確実に現実のものとなっている。
でも…
あの青年は自分との誓いを果たせているのか?
一刀と戦ったカズト…いや韓湘子
北郷一刀の未来の姿
長身で…キザで…小難しくて…残忍で…
それでも、誰にでも仁をもって接する優しい青年
一刀に敗れ去る瞬間…ありがとうって笑顔で言ってくれたあの青年
「(ねぇ…、カズト。
私、いいえ私たちは頑張ってるわ。
一刀に笑顔でいてもらうために…
でも、貴方は今…どうしてるの?
報われたの?
愛紗には会えたの?
自分を…許してあげれたの?)」
演説を終えた華琳は曹丕を侍女に預けると、再び民達をみる
民達が彼女に手を振り笑顔で声を張り上げている
「えっ!?」
彼女は目を見開き、ある一点を見つめた
そこに一人の青年がいた
全身をマントを纏い、背中に大きな剣を担いだ一人の青年
「・・・・・・・・・・・・・・・まさか」
華琳は青年から目を離せない
青年も華琳をちらりと見る
「………」
だが、それだけだった
彼は何もせず、何も言わず、民達の間を縫うように歩き去る
そして、民たちはそれに気がつかない
いや、見えていないのだろうか?
それでも、彼女は青年を見続けた
「カ…ズト?」
華琳の呟きが聞こえるはずも無い
しかし、青年は確かに振り向いた
「……約束は…守ったよ」
彼の唇は確かにそう動いた
再び歩き去って行く青年に、、一人の少女が彼に歩み寄ってきた
少女はなにやら話すと、彼の腕に手を絡める
簪を挿した髪を下ろしていたその少女
その顔はあの少女そのものだった
そして、二人は幸せそうに歩いていく
「(……会えたのね?彼女に…)」
華琳は二人の背中を、優しい顔で何時までも見続けた
「私も、一刀と幸せになる。
だから、貴方も、どうか幸せに…ね。
さようなら…優しき覇王、ホンゴウカズト…」
華琳のつぶやきは風に乗って流れていった
完
あとがき
いかがだったでしょうか?
すこし短いかもしれませんが、なんとかあの男に救いを!っと思い一気に書き上げました。
何が起こって、どうなったのかは…今のところは、皆様の心にゆだねます
そう…今のところは^^
最後になりましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
それでは、皆様
いつかまた、お会いしましょう。
それまで、しばしのお別れです。
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皆様のご要望にお応えして、外史伝外伝のepilogueを製作いたしました。あれから5年、父となった一刀はあの戦いを思い、愛紗と語り合います。
一方、華琳は演説中に思わぬ人物を見つけ出します。
それでは、最後の鏡花水月編…短いですが、ごゆっくりどうぞ!