No.144600

真・恋姫†無双 董卓軍√ 第十六話

アボリアさん

董卓IF√十六話です
前回が短かった事と明日投稿できるか分からないので連続投稿させていただきます
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告いただけると有難いです

2010-05-22 00:56:33 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:19109   閲覧ユーザー数:13924

「霞!!無事か!!」

 

俺たちが駆けつけると満身創痍の霞が夏候惇と一騎打ちをしていた

 

「か、華雄、一刀!なんであんたらここに…」

 

「説明は後だ!!一刀、私がここを押さえる!!今の内に霞を連れて城に入れ!!」

 

「分かった、行くぞ霞!」

 

「あ、ああ」

 

霞に肩を貸し、立ち上がると霞の隊の兵と共に城門に向かう

 

「ま、待てぃ!!逃がす…「お前の相手はこの私だ!!」っく!!」

 

華雄と兵たちが持ちこたえてくれるうちに俺達は城へと逃げ込むのだった…

 

 

 

 

 

 

 

城に入ると恋とねねに出迎えられる

 

「霞!無事だった?」

 

「決死隊などとは何を考えているのですか!!」

 

そんな事を言いつつ、二人も出撃準備をしていた…やはり霞が心配だったのだろう

 

「それにしても何で一刀達はねね達の危機が分かったですか?水攻めに遭ってからの伝令ではこんなに早くは来れない筈ですぞ?」

 

疑問をぶつけてくるねね達に俺が知っている歴史で今回に酷似した戦があったことを話す

 

「…というわけで、万が一を考えて兵を率いてきたって訳なんだ。…三人共済まない、俺がこの事を皆に話していればこんなことには…」

 

「一刀、悪くない…それに、助けに来てくれた」

 

「え?」

 

「そうですぞ!何とかなったのですから別にいいのです!」

 

「そやで、そんなん気にするこたない。寧ろまた命助けてもらったくらいや」

 

てっきり責められると思っていた俺にとって三人の言葉は予想外だった

 

「あ、ありがとう。三人とも」

 

礼を言われるとは思わなかったので半ば呆然としつつも逆に礼をいってしまう

 

「なんで一刀が礼を言うねん…痛つつ」

 

霞が腕を押さえる…そこには先ほどの夏候惇との一騎打ちでついたであろう、刀傷があった

 

「霞!!大丈夫か!?」

 

「あ~ちょっとやられてもうたからな、たいした傷じゃあ…」

 

そういう霞だったが傷からは未だ血が流れていた

 

「ちょっと動くなよ」

 

そういって俺は服の袖を破り、止血をする

 

「お、おい何やっとんねん一刀!!」

 

突然の俺の行動に動揺する霞だったがかまわず止血をして、反対の袖で傷口を覆う

 

「だって城がこんな状態じゃあ包帯も無いだろう?」

 

「でもその服、自分の居った世界のやつやろ。そないな大事なもんで…」

 

「服は服、いつでも同じような物が作れるよ。それより霞の方が大切に決まってるだろ?それに、幾ら武将だからって霞は女の子なんだから無理するなって…よし、できた」

 

腕に包帯代わりの袖を巻き終わり、霞を見ると…何か呆けた顔をしていた

 

「い、今なんていった?」

 

「は?…無理するなっ、て?」

 

「そっちやない!!お、女の子って…」

 

「何かおかしいか?だって霞は女の子だろ?しかもとびきり可愛い女の子だよ」

 

そう俺が言うと霞は顔を真っ赤にして俯いてしまった

 

「だって霞は女の子だろ?しかもとびきり可愛い女の子だよ」

 

いきなりそんなことを言われ、心臓がバクバクと音を立ててなっていた

 

…華雄ほどではないが、ウチは自分の武に誇りを持っていたし、自分が女である前に一介の武人であると思っていた

 

それは苦痛ではなく、寧ろ誇らしい物ですらあった

 

だが目の前の彼は自分は女の子…しかも平然と可愛いとまで言ってのける

 

その言葉を聞いた瞬間…恥ずかしくなって彼の顔を見れなくなってしまう

 

まさか自分がこんな気持ちになるとは思っても見なかった

 

(これが…恋って奴なんかな…)

 

最初に会ったときからいい奴だとは思っていたが、恋がぞっこんなのは見ていて分かっていたし、主である月が想っていることも分かっていたから自分の出る幕は無いと思っていた

 

でも、それでもこの気持ちを抑えることができなかった

 

「霞?どうした…ん!!」

 

そういって顔を覗き込ませてきた彼の唇に自分のそれを合わせる

 

「へへ、助けに来てくれたし、心配してくれたお礼や」

 

恥ずかしくてそうごまかすが、それでも口を合わせたことで更に心臓が激しく鼓動していた

 

(まあ、恋達には悪いけど、今までの分考えたらこれぐらいの抜け駆けぐらい許されるやろ)

 

呆然とする一刀、霞ばかりずるいと割り込んでくる恋、顔を真っ赤にしてギャアギャア騒ぐねねを見つつ、ウチはそう思うのだった…

「想定外ね…」

 

「も、申し訳御座いません!華琳さま!!」

 

隣で頭を下げる桂花だったが、そんなことより今は自分の考えに集中していた

 

(まさか、こんなにも早く援軍が訪れるとはね…)

 

先ほど、奴等が現れるまではすべてが順調に進んでいた

だが、今は張遼に逃げられ、春蘭が援軍の華雄に当たっているが華雄の用兵にのらりくらりとかわされて、完全に手玉に取られていた

 

(桂花の策…この水攻めに手落ちは無かった。伝令も塞いだし、もし見逃していても伝令が届き、援軍が来れる様な時間は無かったはず…。もしや、私達がここを攻めるときからこうなる事が分かっていたとでも?)

 

そう考えると、策が失敗した怒りよりも寧ろ愉悦がこみ上げてくる

 

(敵の軍師…陳宮か、賈詡か、あの天の御使いと名乗る男か…いずれにせよ、桂花の策を見破るような軍師が董卓軍にいるとはね)

 

それに…と春蘭と戦っている華雄の軍を見る

 

(汜水関で見たときは少しばかり武があるだけの猪と思ったけど、あの春蘭を相手にここまでやるなんてね)

 

事実、兵力で劣る華雄だが春蘭が攻めればいなして引き、包囲を崩さないようにと止まれば急襲、と完全に優位に立っていた

 

(張遼、呂布だけでなく、こんなにも良い人材がいるなんて…ますます欲しくなったわ)

 

そこまで考えて、遠くに砂塵が立つのが見えた…恐らく董卓率いる本隊だろう

 

「そろそろ潮時ね…。桂花、春蘭達に伝令。撤退を始めるわ」

 

「はっ!!」

 

「でもせっかく董卓が出てきたのですから…その顔ぐらいは拝んでおきましょうか」

 

そういって曹操は包囲させていた兵を纏めると董卓本隊の到着を待つのだった…

「貴女が董卓?始めまして、私が曹操よ」

 

先頭に立っている董卓に向かい、曹操が言う

 

「貴女が曹操さんですか。私が董卓です。連合のときは張譲の罪を暴いてくれたそうですね、その節は有難う御座いました」

 

「礼を言われる筋合いはないわ、私も貴女を利用して名を売る気だったのだからね」

 

「そうですか。…曹操さん、貴女はなぜ、この乱世に名乗りを挙げたんですか?」

 

この期に及んで笑顔を絶やさず問いかけてくる董卓にいぶかしみながらも、曹操が答える

 

「もちろん、この乱世を治める為、乱世に名乗りを挙げたのよ」

 

「わたしも乱世を治め、皆の笑顔を守るために挙兵しました。曹操さんとは話しが合いそうですね」

 

そういわれて曹操は顔をしかめる…董卓もあの劉備と同じように話しあえば分かり合えるとでもいうのか、と思い反論する

 

「貴女も話しあえば分かり合える、だから戦うべきではないとでもいうつもりかしら?」

 

だったら勘違いだ、と言おうとした所で月が話を遮るようにいう

 

「勘違いしないでください。私は貴女の志を聞きたかっただけで話し合いではどうにもならないことだってあることくらい分かっています…。大切な物を守るためには戦わないといけないことも承知の上です。」

 

ですから、と月は続ける

 

「私の大切な仲間を害そうとする貴女を許しはしません!目指す先が一緒であろうと私の邪魔をするのならあなたは私たちの敵です!…ですので、覚悟しておいてくださいね」

 

月の宣戦布告を受け、曹操は愉悦を漏らしながら言う

 

「面白いわ、董卓…!!貴女は必ず私の元へ跪かせて見せるわ…!!…曹軍、退くわよ!!」

 

そういって軍を引く曹操

その姿が見えなくなったのを確認して董卓軍は防衛に当たっていた皆と合流するため城に入るのだった…

 

 

 

 

 

 

 

「霞さん、恋ちゃん、ねねちゃん!!無事だった?」

 

城に入り三人を見つけると、先ほどの曹操との舌戦の迫力は何処へやら泣きそうになりながら三人に抱きつく月

 

「うん…でも、お腹減った…」

 

「そうですぞ!恋殿と皆に食料を!!」

 

「分かってるわよ。さあ、皆!!炊き出しの準備よ!!」

 

そういってぞろぞろと外に出て行く将兵達…だが霞だけは月に近づいていった

 

「あ~月?」

 

「え?どうしたんですか、霞さんもお腹すいてるんじゃ?」

 

「それもそうなんやけど、言っておきたいことがあってな…一刀のこと何やけど…」

 

その態度で、何があったかまでは分からないがいいたいことだけは察した月が先に答える

 

「霞ちゃん。仲間なんですから遠慮はいりませんよ。…そのかわり、一番は渡しませんからね?」

 

そういって笑う月をみて、霞も笑いながら答える

 

「ウチかて、参戦するんやから一番奪うつもりでいかせて貰うで」

 

「望む所です」

 

そういって二人は笑いながら、炊き出しを手伝っている彼の元へ向かうのだった…


 
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