俺の名前は凡田 平一(ぼんだ へいいち)
唐突だが俺は平凡が嫌いだ
どれだけ嫌いかというと表現しづらいが例えるなら・・
ゴーヤを水なしで食べるくらい嫌いで
肉詰めしてないただのピーマンくらい嫌いで
糖度が全くないトマトくらい嫌いだ、
嫌いになった理由?
それは俺の人生は何もかもが平凡そのものだったからだ
何時でも、どんなことでも、何をやっても結果は平凡のままだったからだ
いつまでもいつまでも平凡、平凡、平凡、平凡・・
名前の通り、平 凡 な日常が自分は大嫌いだった。
俺はそんな日常を過ごす自分にも嫌気が差し、家を出て、わざわざこの町にまでやってきたのだ。
天道町
様々なジャンルの優秀な人材が集う二つ目の東京といわれる町・・
平凡とは遠く離れた大都会に俺は足を踏み入れた。
やはり人間、生きるためには衣食住は必要なわけで、早速住まいを探し町を練り歩く。
見渡す限りの人、人、人、その全ての人間がいかにも仕事ができそうな、エリートのオーラを放っていた。
俺、なんか浮いてる
そんなこんなで不動産屋をめぐったのだが、空いていたのはただ一つのマンションだった。
月に6万円、家賃が少し高めのマンション「花畑」
このマンションのネーミングは置いておくとして何故このマンションに決めたというと・・
正直に言おう、ここしか部屋が借りれなかったのだ。
他にも安い所や環境が良い所もあった、しかし
「凡人に貸す部屋はない」どこに行ってもこの一言ばかりであった。
実力差社会が主になっているこの町では平凡な客にはとても冷たいのだ、まぁ相手も商売だから仕方がない所もあるかもしれない。
その後やっと見つけたマンション「花畑」、正直名前がダサい、今風じゃない、あまり住みたいという名前ではなかったが俺には選択肢はなかった。
マンション「花畑」の風貌はいたって普通、どこにでもあるマンションとアパートが合体したような形、階層は大体4階くらいか。
マンションにはちょっとした門があり、屋根があり、門をくぐった先にはどこにでもある自動扉がついている。
全貌は軽く見積もって小学校くらいの土地は使っているようだ、周囲には小さな公園や遊び場、倉庫、駐車場が用意されている。
が、それ以上に驚かされたのは大家の部屋と思われる扉に張られた一枚の紙だった。
「引っ越してきた人は、勝手に部屋を決めて住んでていいよ」
なんつー大家だ、放任主義もいいとこだろう
そして今、荷物を運び終え、自分の部屋を改めて見直しているところである。
少し無理をしたかいがあったのか、冷暖房、トイレ、風呂、生活するだけの環境は揃っていた。
積み立てられたダンボールを見つめながら、俺はお隣の人に何を渡すかを悩んでいた。
「やっぱスタンダードにタオルかな・・」
タオルという単語が出るらへんで自分の平凡さが出てることに少し悩みつつもマンションに行く途中買った箱付きタオルを持ち、部屋を出ようと扉に手をかけた
瞬間
扉が勝手に開いた。
俺は少し驚きつつもこの展開が何かの現象か何かではないことに気づいた。
開いた扉の前には肩くらいまであるボサッ毛の20代っぽい男が目の前に立っていたのだ。
そして男が一言
「タオルもらいにきたぞ!」
後に知ることになる彼の名前は「五十嵐 嵐(いがらし あらし)」
彼に、そして彼に関わる人たちによって、俺の平凡な人生に大きな変革が齎されるのであった。
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とあるほどほどに高級なマンションに引っ越してきた平凡を嫌う主人公「凡田 平一(ぼんだ へいいち)」が隣人の「五十嵐 嵐(いがらし あらし)や他の住人に振り回されながらも自分の行き方を探すため奮闘するお話