If 蜀endアフター みどりの章 中編
と、いうわけでまずこの小説を見るに当たって注意事項↓
・結構ストーリーも時代設定も捻じ曲げちゃってるかもしれません。
・前回から大分間が空いてるので前編も読んでいただけると助かります。
・タイトルは登場するメインのヒロインをあらわしているだけです。
内容自体に関係はありません。
それでもいいという方、お進みクダサイ。
ふぃ~・・・さすがに一気に書くのはつらいぜ!
ではどうぞ。
「翠ー!!」
「主、こちらにはおりませんでしたぞ」
「、・・・そうか。わかった」
時間的には大体夕方くらいだろう。雨の振る街中を星と二人で翠を探している。
店から逃げ帰ったように思われた翠は城の中をどれだけ探しても見つからなかった。
「どこに行ったんだ・・・?」
城にもいない・・・街にもいない・・・。とすると・・・
「・・・もうちょっとで夜だしここからは俺一人で探すよ。星は先に戻っててくれ」
「何を言われますか。・・・翠があのように逃げていったのには私にも責任が・・・。それに夜になるなら尚更主一人では・・・」
「・・・それでも、やっぱり思ったんだけど翠は俺が見つけてやらなきゃいけないと思う。・・・独りよがりかも知んないけど」
「・・・そう、ですか。ふふ・・・私は、主のそういうところが好きですよ」
「え?・・・どういうとこが?」
「我らの気持ちなど理解もできないはずなのに、肝心ことはちゃんと理解してくださるところがです」
「そっか・・・よくわかんないけど」
星ははぁ~っとため息をつく。
「でもなんで翠の横であんな嘘いったんだよ?」
「む・・・私だってやきもちくらいは妬くのですよ?・・・手から滑り落ちそうになれば引きとめようともします」
ぷいっと横を向いた。
「別にちょっと翠としゃべってただけだろ?」
「それが分からぬうちは主もまだまだ子供ですよ」
「どっちが子供だよ」
「では主は妬く私と妬かぬ私、どちらがお好きですかな?」
「そりゃ~、・・・まぁ妬いてくれた方が男としては嬉しいかな」
「では今度からは愛紗のように妬くようにしましょう」
「や、やっぱいいや・・・」
「遠慮なさらずとも」
「遠慮なんかしてないって!・・・お、そろそろ城だな。・・・じゃあこの辺で」
「はい。・・・では、お気をつけて」
そういい残して、星は帰っていく。
ふと空に手をかざすと降る雨の勢いが強くなってるのが分かった。
「早く見つけないと・・・」
・・・
「雨が強くなってきたな・・・。どうしよう・・・もどろっかな。で、でも・・・」
戻ったところできっと・・・。
「・・・それにこんな雨だと戻る途中でびちゃびちゃになっちゃうし、な」
冗談っぽく言って無理に笑顔を作って見せた。
今は壁に軽く開いた横穴で雨をしのいでいる。
「早く雨、止まないかなー・・・」
「・・・お姉さま?」
「!!」
気が付くと目の前に良く見知った人がいた。
「・・・蒲公英?・・・どうしてここに?」
「・・・お姉さまの足跡が残ってたから・・・」
蒲公英の服や髪は雨に打たれてもうすでにぐっしょりと濡れている。
「そっか・・・。で、何しにきたんだよ」
「何しに・・・って、お姉さまを連れ戻しにきたに決まってるでしょ!!」
「・・・ありがた迷惑だっつーの。・・・つーかお前このままじゃ風邪引くぞ?早く帰って乾かせよな」
目線を蒲公英に向けることもなく翠は静かにそう返答した。
「・・・ご主人様の事でそんなに落ち込んでるの?」
「・・・・・・お前には関係ないだろ」
「関係あるよ。・・・あんなこといったのあたしなんだから」
妙なところで強情っぱりの妹分にはぁ~っとため息が出る。
「それでも・・・あたしが決めた事なんだ。いいから帰ってろ」
「ご主人様・・・雨の中探してたよ・・・」
「! ・・・そんな事聞かせてどうすんだよ」
「皆が止めても・・・城と街を何回も行ったり来たりして・・・」
「だ、だからなんなんだっ!!」
「・・・ご主人様を心配させてるんだよ!?冷たい雨の中走り回ってるんだよ!?
言いたいことがあるんならこんな事せずにはっきりと口で言ってやりなよ!!」
雨なのか涙なのか。どちらかは分からなかったが蒲公英の目が潤んでいるように見えた。
「・・・いやだよ・・・お姉さまとご主人様がケンカしてるところなんて見たくないよ・・・」
「・・・蒲公英」
「ね?・・・もどろ?」
「・・・」
相変わらず目線は下に向けたままだったがゆっくりとその場で立ち上がる。
「蒲公英は先に・・・帰っててくれ。・・・ちょっと、頭冷やしてくるから」
蒲公英はなにか言いかけようとしたが悩んだ末に開きかけた口を閉じてそのままその場を立ち去った。
森の中、雨に打たれ後ろに束ねた髪の先からしずくを滴らせながら歩く。
「・・・」
先に何があるかなんて分からない。ただただ木々の間を歩いた。
「・・・ひっく」
なにがいけなかったのか?ご主人様の粗相か?蒲公英の戯言か?星の小言か?
「・・・ばか。ばか」
なにが自分をこんな気持ちにさせてるんだろう?一体どうしてこんなことになってるんだろう?
「わかんない・・・わかんねーよ・・・」
・・・ふと、前を見ると川が流れていた。
「・・・川?」
こんなに雨が降っているというのに川は全くといっていいほど増水していない。いやむしろ減っているようにすら見える。
「・・・まぁなんでもいいや」
独り言を言いながら岸辺の岩に腰掛けた。
「てゆうか・・・もともと悪いのはご主人様じゃないか。・・・なんであたしが悪いみたいになってんだよ・・・?」
「悪いのは、全部・・・ご主人様なんだから・・・。ご主人様の・・・・・・バカ。・・・バカバカバカバカ!!!」
ズズズ・・・・・・ピシッ!!!!
「・・・え?」
「翠ー!!いるかー!!いたら返事をー・・・」
とその時、よく見知った人が森から出てきた。
「・・・蒲公英!?どうしたんだこんなところで!!?風邪引くぞ!」
「! ご主人様・・・」
「蒲公英?どうしたんだ?」
蒲公英の顔にいつものハツラツとした笑顔はない。しかし蒲公英はそこで誰の目にも嘘と分かるような笑顔を俺に向ける。
「・・・ううん。なんでもないよ!」
「・・・翠は森にいるのか?」
「え、・・・うん」
「分かった・・・行ってくる」
「待って!ご主人様」
「・・・?」
「もう少しだけ・・・お姉さまを待ってあげて」
「え・・・?・・・どういう―――」
ズガーーーン!!!!
「!!!!?」
「な、なんだ?今の爆発音みたいなのは!!?」
「森の奥のほうからだったよ!!」
「ゴメン蒲公英!!行ってくる!!」
「えっ・・・あ、ご主人様!?」
ズガーーーン!!!!!
「うわぁぁぁあああ!!!!」
轟音と共に流れてきたのは鉄砲水。発生した場所がすぐそこという事もあって一瞬の気の緩みから悟る。
「(まずい・・・逃げられない!!!)」
しかし、さすがというべきかバランスを崩した体もそのままに駆けて対岸の木の枝に飛び掛かった。
「くそっ・・・間に合うか?」
バッシャーン!!
「ぐっ・・・。ま、間に合った・・・?」
しかしその時、
「てっ・・・!!」
とがった石や枝なんかが体中にぶつかり、かすめる。
鋭い痛みにも耐え、数分間必死にしがみ付こうとしたが何より木が耐えれそうになかった。
「ここまで・・・なのか」
冷たさと圧迫された指先。そして思っていたより血が流れていた事で手にはもう余り感覚がない。
「あたし・・・なにやってんだろ。勝手に飛び出して・・・、それで心配させて・・・勝手に事故に遭って・・・」
一人で寂しく・・・死ぬのかな。
「・・・嫌だよ。・・・・・・助けて・・・!!」
嗚咽がこみ上げる。
「まだ・・・謝ってないんだ。・・・ご主人様に・・・謝んなくちゃ」
―――ああ、・・・もうダメだ。
「・・・い・・・!!!」
「・・・?」
「・・・翠!!!」
「・・・え?」
「翠!!無事か!!?」
「ご主人様・・・!!!」
「大丈夫だ!!今助けるから!!出来る限り動くなよ!!そっちに行く!!」
「や、やめろ!!危ないからくるな!!ご主人様に怪我でもされたらあたし・・・」
「翠!!・・・たまには俺にもいいかっこさせてくれ」
「・・・ご主人様」
とはいっても流れは急。深さだって分からないし、木石片が絶え間なく流れ、
流れ着く先はゴロゴロとした巨大な石が流れてくるものを砕いているように見える。
ふと、こちら側の岸に一瞬の増水のせいで傾いた木が見えた。
「・・・あれだ」
川の真ん中に向かって突き出された木の幹にしがみ付きながらちょっとずつ対岸へと渡る。
「くっ・・・結構、きついな。これ・・・」
ズズズ・・・・・・ピシッ・・・
「え・・・?」
ズガーーーン!!!!
「だ、第二波!!?」
第一波の水の量が減りきらないうちにもう一度波が来た。
「翠!!飛び降りろ!!」
「え・・・でも」
「もうその木も折れてしまうから!!早く!!」
不意に翠と目が合った。翠に向かって軽くうなずく。すると翠は覚悟を決めたようだった。
ドッパーン!!
翠が手を離したと同時に自分も手を離す。あまりにも流れが急で、逆らう事なんて出来ない。
が、先に流れている翠は何とか抱える事ができた。長時間じっとして雨に打たれていたせいか、
寒さから体が思うように動かないのかもしれない。そして恐怖か、寒さかは分からないが震えている。
怖い――。そんな思いがひっきりなしに頭をよぎる。一人で泳いで逃げればまだ助かるかも知れない距離だ。
可能性は薄いが0ではない。
だが、腕の中で震える子を見るとそんな気はたちまちなくなってしまう。
「ご主人様・・・あたしはうまく体を動かせないけど・・・ご主人様は動けるだろ。・・・逃げてくれ」
「・・・」
「頼む・・・。二人して死ぬ事はないだろ」
「却下、だな」
ますます震えが強まった腕の中の女の子の耳に囁く。
「二人して死ぬなんてことはないさ。翠も助けて、俺も生きる。これがベストだろ?」
水の流れる音でちゃんと届いたかどうかは分からない。分からないが、ちゃんと届いたという自信はあった。意味が通じたかは分からないが。
「・・・う・・・ひっく・・・。ご主人様・・・今日は、ごめんな・・・?」
「いいから。・・・もう泣くな」
「だって・・・だって・・・」
二人とも生きる最善の方法か・・・。無いな・・・。
コレだけはやりたくなかったんだけどな・・・。
まだ震えている翠の頭を胸に押し付けるようにして両の手の甲で頭頂部と後頭部を守る。
翠に比べて比較的ダメージの少ない俺が今からの衝撃を全部受け止めたとして・・・生きれるかな。
まぁやってみなきゃ、分からんか。
「翠・・・息をいっぱい吸え」
「・・・すー」
さっきから流れる木片を砕いている岩の群れはすぐ目の前にあった。
「行くぞ!翠!!」
・・・
3個目くらいから、岩にぶつかっているのか波にもまれているのか分からなくなった。
木とは違う、やわらかさを持った人体だったからだろう。さすがに真っ二つという事は無かった。
しかし、木を割るほどの衝撃を立て続けに何度も体中に受けて、もうすでに意識は限界で。
ただ、両手にこめた力だけは絶対にとく事は無かった。
どうでしたか?すみません、質が落ちに落ちちゃって。
話の構成とか全然思いつきません(汗
・・・もともと無いに等しいですが
後編へ
あとがきのあとがき
「皆さん。一刀の横、空いてますよ」
やってみたかっただけなんだ。ほんの出来心なんだ。
ちょっと作ってみようと思って作ったら、
むしょうに誰かに見せたくなったんだ。
では!
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後編になるはずが・・・
長々と書きすぎてしまい、
分けたら中編になりました。
後編も2/3くらいは書き終わってるから
そっちはいつもより早く出せるかもしんないです。