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外史伝外伝 第七話『鏡花水月』

第七話です。今回もバトル中心です…
楽しんでいただけたら幸いです

相変わらずうまくできません(T_T)《作者さん達ってすごいなぁ~》
一刀と韓湘子の戦いの行方は!?

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2010-05-16 20:31:40 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:4429   閲覧ユーザー数:3825

真・恋姫†無双 魏ルートアフター 

 

 

 

 

外史伝外伝

 

 

 

 

 

『外史伝エピソード零:鏡花水月編』

 

 

 

第七話『鏡花水月』

 

 

「I have borned the darkness

   ―――私の心を闇が覆う―――」

 

韓湘子の口から呪文がつむがれる

 

「Darkness is my blade,Despair is my Escutcheon

   ―――闇を力に、絶望を糧に―――     」

 

体の回りから黒い気があふれ出していく

 

「 I have been no defeated at the shining

   ―――無限の光を闇へと染め―――

 

 

I do not have the happiness at all

   ―――己の幸せをゆるさない―――」

 

 

その黒い気は外史自体を侵食していく

 

「 And, I have never accepted the shining

   ―――光を闇に覆わせて―――

 

I have been always solitary, and blake the world in the dark

   ―――常に闇に浸かり、破壊を繰り返す――― 」

 

やがて黒い気は二人以外の全てを覆いつくし、ゆっくりとその空間を作り変えていく

彼が…絶望の果てにたどり着いた極致

 

「 Therefore, there is no meaning that I have existed those worlds

   ―――故に、全ては無意味であり―――            」

 

韓湘子はゆっくりと右手に持つ白帝剣を掲げる

 

「 My all life was Repetition of despair

 

 

   ―――我は闇へと消えていく――― 」

 

 

最後の呪文がつむがれた瞬間…彼の世界は再生された

 

何処かの荒野

 

月や星の無い真っ暗な夜空

 

禁術中の禁術…特殊結界 『鏡花水月』

 

有るようでなく、無いようで有る…

 

彼のみが使うことができる奇跡

 

それが、韓湘子。いや…神仙北郷一刀の技

 

外史を侵食し、自分の心象を鏡のごとく作り出す、絶対禁忌の特殊結界

 

何も守れず、何も救うことができなかった

 

そして、正史の人形になってしまった自分への憎しみ・・・憎悪・・・怒り・・・殺意・・・憤り・・・

 

それら全ての負の感情の具現化

 

その名を……

 

『Repetition of despair

 

    繰り返される絶望』

 

「こ…これは!?」

 

 

一刀は周りを驚愕した表情で見渡す

 

 

堂々とその世界の中心に立つ男…韓湘子

 

白帝剣は消え、先ほどのように堰月刀を握っていた

 

堰月刀を一刀に向ける

 

「はぁああ!!!!」

 

一刀はそれでも負けていれんと、勇気を振り絞り剣を振るう

 

「ふん…」

 

ギャァアアン!!!

 

一刀の剣と韓湘子の堰月刀がぶつかり合う

 

ギャァアアン!!

 

ガァアアン!!!!

 

ガキィイイイン!!!!

 

数重合にも及ぶ戦いは韓湘子の圧倒的に有利だった

 

「だぁあ!!」

 

ギャァアアン!!

 

ガァアアン!!!!

 

ガキィイイイン!!!!

 

ガキィ!

 

韓湘子の得物が一刀の刀をたたき飛ばした

 

「はぁああ!!」

 

ドス!

 

「ぐぅ…。」

 

そのまま、一刀の脇腹を貫いた

 

ドサァ!!

 

倒れ伏す一刀

 

 

「北郷。これで2回死亡だ…」

 

「くそぉ!」

 

一刀は跳ね起きると再びへと向かっていく

 

 

ギャイィイイ!!

 

再び剣が交差し激しいつばぜり合いが起きた

 

韓湘子の手にはさっきとは違い、日本刀が握られていた

 

「ハァ!!」

 

「さっきと武器が違う!?」

 

ギャアアンン!

 

交差する剣と刀

 

「さっきは何か呪文を唱えていたのに…!?」

 

「ふっ…。

 

この世界にいる限り、俺は詠唱なしで宝具を召喚できる」

 

「何!?」

 

一刀の顔があせりを見せる

 

この刀が宝具ならば、何か能力が…

 

「捻じれろ…三本杉!」

 

しかし、遅かった

 

刀が捻じれたかと思うと、次の瞬間には、自分を『刃』だけが襲っていた

 

韓湘子は只立っているだけ

 

刀身のみが捻じれ曲がり、一刀に飛んでくる

 

ズバァ!!

 

「ぐふぁ!!」

 

刀が一刀の右肩を穿つ

 

あまりの痛みに、再び倒れ伏してしまう

 

 

「三本杉。かつて、前田慶次が使った刀だ。

 

自ら捻じれることをいとわず、歌舞伎者の人生を貫いた者の力の具現化だ…」

 

痛みに顔を歪めながら、一刀は叫んだ

 

「まだまだぁ!」

 

再び立ち上がる

 

「四回目はどうやって死にたいのだ?」

 

ギャィイイ!!

 

「テメェで考えろ!」

 

ギャン!

 

シャァン!!

 

二人の剣が無骨な音を立ててぶつかり合う

 

ギャン!!

 

ガン!!!!

 

ガキィ!!!!

 

それは、誰が見ても一方的な戦いだった

 

しかし、一刀は決して引こうとしない

 

 

「はぁはあはぁ…」

 

「その程度か!?」

 

ズガァ!!

 

三本杉が一刀の胴を峰で打ち抜き

 

「ぐぅうう!!!」

 

ついに膝をついてしまった

 

韓湘子は真っ黒な大剣を眼前に置く

 

「ちぃ…」

 

「四回…か。よく耐えたものだ。」

 

手の三本杉は消え去り、変わりに巨大な大剣が握られていた

 

「伏儀の大剣…こいつで詰めだ。

 

俺の持つ宝具の中で、もっとも破壊力のある剣でな」

 

 

「すまぬが…貴様だけは、生かしておくわけにはいかない」

 

「ぬぅ…また、それかよ」

 

 

大剣がゆっくりと振り上げられる

 

 

「ここまでか・・・」

 

 

 

 

そのとき…

 

「ぬぅううああああ!!!!!」

 

バキィイ!!という轟音と共に、謎の大男が鏡花水月を破り突入してきた

 

「馬鹿な!オレの鏡花水月を…!?」

 

「ぬぉおおお!!!」

 

剛拳と呼ぶに相応しい一撃が韓湘子に迫る

 

「はっ!」

 

ギャン!

 

その剛拳を大剣で叩き落とし、切り結ぶ

 

「オレの剣についてこられるとは…貴様、何者だ!?」

 

大男はオカマのような格好で正直見るに耐えない

 

「ふっ!ワシか…?わしの名は、卑弥呼!

 

貂蝉の師匠である!!」

 

卑弥呼と名乗る老人は一言で言うと…

 

まぁ、アレです・・・

 

「卑弥呼…。貂蝉の師匠だと!?

 

では、貴様がこの外史の肯定者…」

 

韓湘子の剣を避けながら、拳を突き出す

 

「左様!わしの目が黒いうちは好きにさせんぞ!!」

 

ブォオオ!!

 

風を切り裂く様な音をたて、韓湘子を下がらせた

 

「ぬぅ…!

 

(こうも、簡単に進入を許すとは…オレの気がそれていたせいで綻びが生じたのか?

 

無理やり二つの結界を同時に張った代償…か。)

 

くぅ…北郷に気を取られすぎた!」

 

 

卑弥呼は一刀の前に立ちはだかり構えを取る

 

「ひ、卑弥呼…さんですか?」

 

一刀は、目を点にしながら何とか言葉をつむぐ

 

ここで、この人まで敵に回したら間違いなく死ぬ!

 

「うむ!この卑弥呼が御主を守ってくれよう…「「化「け「物め!!一刀様」殿」から離れろぉ!!」」ぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

化け物を吹き飛ばしながら、女神達が舞い降りた

 

哀れ、卑弥呼…残った鏡花水月の結界領域に頭から突っ込んでいた

 

「一刀様ぁあ~!!!」

 

「一刀ぉ!!」

 

「一刀殿ぉ!」

 

「北郷一刀!」

 

「北郷!」

 

 

愛紗たちがなだれ込んできたのだった

 

彼女達は一刀の近くにまで駆け寄ると、一刀を庇う様に武器を構える

 

 

一刀は嬉しさのあまり泣きそうになるが、叫んだ

 

「皆!危ない!ヤツの狙いは俺だ!下がってくれ!!」

 

 

「嫌よ!私のものを傷つけられて黙っているほど、この曹孟徳…おろかな女ではないわ!」

 

「華琳…」

 

「貴方は…自分で全てを抱え込みすぎよ!少しは私達を頼りなさい!!」

 

「蓮華…」

 

「一刀さんは…私の憧れ!そして、大切な人だから!!」

 

「桃香…」

 

「我らの心は変わりません!

 

さぁ、ここからは私達が相手だ!」

 

「愛紗…」

 

それを拒む少女たち

 

いつでも、迎え撃てるよう迎撃の構えを取る

 

しかし、韓湘子は動かない

 

いや。正しくは違う

 

愛紗から目を離せないのだった

 

「あ…い…し…ぁ…」

 

ぼそぼそと何かを言っている

 

「くぅ…!」

 

小刻みに震える手を下ろし、韓湘子は大剣を消し去る

 

 

「君達とは…戦えん。」

 

シュンっという風を切る音とともに一瞬の間に彼の姿は掻き消え、次の瞬間には華琳の目の前にいた

 

「しまっ…!?」

 

華琳は絶をふるおうとするが、韓湘子の手でそれを抑えられた

 

「すまん。縛……」

 

韓湘子の呪文が華琳にかかる

 

華琳はそのまま意識を失い、韓湘子の腕に崩れ落ちた

 

一瞬の間で仲間達は出遅れたが、韓湘子に斬りかかる

 

「華琳(様)を離せ!」

 

しかし、その攻撃はむなしく宙を斬る

 

韓湘子は再び、一刀の数メートル手前に現れていた

 

腕には気を失った華琳を抱えて…

 

「華琳!!!」

 

叫ぶ一刀に韓湘子は告げる

 

「曹操は預かっていく。」

 

「華琳を離せ!!」

 

一刀は動かない体を必死に動かそうとする

 

しかし、指一本すら動かない

 

 

「今の技でオレの力は尽きた。

 

北郷。

 

7日後、蜀領白帝城に一人で来い。

 

そこで、決着をつけてやろう。」

 

韓湘子は華琳を抱えたまま踵を返す

 

「分かった。

 

だが、もし…もしも、華琳に傷一つ付けてみろ…

 

卑弥呼さんの力を借りてでも…お前を殺す!!!!!」

 

力の限り怒鳴る一刀を韓湘子は冷ややかな目で見る

 

「楽しみにしているぞ。さらばだ…」

 

韓湘子は闇の中に消えていった

 

「華・・・琳・・・」

 

一刀はもっとも愛する人の名を呟きながら意識を失った

 

崩れ落ちる一刀を愛紗は抱きしめながら支えた

 

「一刀様!」

 

「…華琳…華琳…」

 

「一刀…様ぁ…。」

 

瞳から涙を流す一刀を優しく抱きしめた

 

つづく

 

あとがき

 

戦いは終わり一刀は敗れ去りました

 

華琳も連れ去られ傷ついた一刀はどうなるのでしょう?

 

次回もお楽しみに!

 

今回もごらん頂ありがとうございました

 

 

(今日の一言:前回と今回は戦い中心の話でした。

 

いやぁ~戦いの表現って難しいですねぇ)

 

 


 
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