No.143170

チョコとクッキー

さん

超短編。ホワイトデーというお題で書いた代物。

2010-05-15 04:06:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:640   閲覧ユーザー数:637

「チョコあり。クッキーどぞ」

「thx」

「(≧ω≦)」

 

そこはインターネットが使える漫画喫茶の、いつもの席だった。

敷居で隔てられている隣の席には、いつもの娘がいる。

学校の同じクラスの娘である。しかし未だ教室で話掛けた事はなかった。

何故か先月チョコと携帯のメアドを貰ったので、本日お返しをする事になったのだ。

俺はメールの遣り取りを挟み、小袋を敷居の上から向こう側の相手に手渡した。

小袋の中身は、昨夜用意した手作りのクッキーだ。

 

俺達はどうも口下手過ぎる。

先月は動揺して機会を逃したものの、今日こそ動かねばなるまい。

今度の週末は暇だろうか。動かなくては。今日こそ。今日こそ。

そう思っていると携帯がメールの着信を伝えてきた。

内容は隣の娘からの週末のお誘いだった。

 

先月も思ったけれど、彼女は引っ込み思案なのか、積極的なのか、どっちなのだろう。

とりあえず、俺は口頭で伝える為に席を立つ事にした―――


 
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