No.142958

ミレニアム・アンデットデビル下1

人に見せられるレベルではない.....orz
小説家志望の人は、一つの物差しにでもどうぞ。
一応高校3年の時に書き上げた作品です。

2010-05-14 06:23:37 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:578   閲覧ユーザー数:573

 プロローグ・『スキルアップ』

 早川稔とのごたごたがあってから二日が経った。

 この日は今月の決算の日なので、早朝からいつもより早く全員がリビングに集まる。

 時刻は8時前。欄はもう少し後に起きてくるし、川越妃子は既に朝食の準備をしている。双葉だけは起こさぬ限り午後まで爆睡するだろう。

「おはよう、川越さん。」

 もちろん俊は流石にこの時間は起きている。基本的に真面目ということもあるだろうが、リーダーとしての自覚もある。俊はリビングの台所で朝食の準備をしている妃子に声をかけた。

「おはようございます。いつも早いんですね。」

 千切りの途中で手を止め、わざわざこちらに視線向けて喋る。

「そっちこそ、ご苦労様。」

 俊は作り笑顔を演じるが、それ自体何か裏があるわけではない。・・・・・・はずである。

「私はバイトの身なので。」

 会話の流れを絶ち、再度朝食の準備に取り掛かる。だが、この一言で手が止まった。

「今日は、朝食はいい。」

「・・・・・・え?それじゃあ三人分でいいんですか?」

 その問いに、俊は首を横に振った。

「いや、今日は今月の決算をするから、双葉の奴を起こしてきてくれるかい?」

「はあ・・・・・・」

 曖昧の返事を返すものの、妃子は沸騰している鍋を気にしている様子だ。

「朝食はオレがやっておくから。」

 そこまで言われて反発できるわけがない。佐津間俊は年上であり上司であり、加えて常人が持っていないオーラを纏っている。妃子からすれば、俊が本当に10代なのが不思議なぐらいだ。

 俊の言葉に素直に頷き、エプロンを脱いで長い廊下に向おうとする妃子を呼び止めた。

「ああ、それと。」

 何か思い出したように呼び止める。

「君はもうチームの一員だとオレは思っているから、何か意見があったり思った事はどんどん発言していいよ。」

 普段ならば、自分が認められた嬉しい言葉だが、妃子にとってはそれすら俊が何か考えていると感じていた。

「はい、ありがとうございます。」

 別に今は三日前と違い、妃子はもう人形ではない。ただ、この人は正直苦手だ。腹の探り合いなんてしても絶対に俊の考えは読めないし、それに尻尾を巻いて逃げる事すらまるで手のひらで踊らされる感覚を覚える。

 ただ、それでも理が通っていることから、とりあえずはこちら側もその土俵でのやりとりに応じる。

(なんだかなあ・・・・・・)

 自分が俊さんと対等の立場で話せる立場になるまであと何年かかるか考ようとしたが、それが果てしなく先の話なので思考を停止させた。

「・・・・・・・。」

 妃子が廊下から消えたのを見届けた俊は、包丁を握りながら鼻で笑ってしまった。

(相変わらず、勘がいい。)

 妃子はどう思っているか知らないが、俊自身は妃子のことを気に入っていた。

「さて・・・・・・、」

 俊はごく稀に独り言を言う癖があるのを自覚しているが、独り言を言う時はその殆どが考えがあるというのは、俊も自分で気付いていない。

「今日の決算が楽しみだ。」

 壁に掛かっている二枚の男女の制服を眺めながら、朝食作りをこなしていった。

 この男は、給料日とこの日だけは自力で起きる。

「・・・・・・・ん。」

 双葉は眠たそうに目をこすりながらベットから上体を起こした。

(睡眠時間8時間はきつい・・・・・・・)

 基本的に双葉は12時間以上眠らないと気が済まない人間なのだが、ここ最近は川越妃子のせいで大幅に睡眠時間を奪われているのでそれもそろそろ限界らしい。一日の睡眠時間を4時間も削られれば体力面だけではなく精神的にもかなり厳しいらしい。

「失礼します。」

 ノックの音と同時にドアが開く。双葉はベットの上に座りながら睡魔と闘っていた。

「うわ、もう起きてるなんてどうしたんですか?・・・・・・もしかして、人に言えないこととかやってたりして。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

(この女は脳味噌腐ってるんだろうか?)

 妃子の登場で眠気は覚めたものの、生きる為に必要な何かが吸われた錯覚を覚えた。妃子は着替えを双葉の横に置くためにこちらに向かってくる。

「そこ置いとけ。」

「あれ?もしかして気を使ってくれてるんですか?」

 嬉しそうにこちらのリアクションを探る。だが、その態度に双葉は表情一つ変えない。とは言っても、まだ意識が覚醒しないだけだ。

「そういうことにしてやるから、俊さんにあと10分で行く伝えてくれ。」

 面倒くさそうに用件のみを吐き捨てる。以外にも、妃子は素直に着替えを床に置いて双葉から離れた。

「んもう!双葉さんったら照れ屋さんなんだから♪」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 気分良く部屋を出て行く妃子を無言で見送った。

「さ、て・・・、」

 深呼吸を一つしてから、今日の予定を頭の中で組み立てた。

 確か今日は三日振りに依頼があったはずだ。三日前は俊さんの策略であの女が精神崩壊するからキャンセルしたが・・・・・・流石に二回連続で依頼を断るのもな。そうだな、今日の午後は仕事でもするか。

 ん〜〜、と伸びを一つしてから、一日の意欲を掻き出す。

 その時、半開きのドアがゆっくりと開いた。

「エッチなことしたらダメですよ♪」

 ヒヒヒヒ、という嫌な笑い声を残して再び双葉の部屋は静寂に包まれた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 あの女、死なないかなぁ・・・・・・。

 その願いが届かない事は、双葉自信が一番理解していた。

 欄がリビングに到着すると、双葉を含めた全員が着席していた。朝食にはまだ手を付けてないということは、欄のことを待っていたらしい。

「遅えぞ馬鹿女。ったく、重役出勤のつもりならホントに勘違い女だぜ。」

「双葉さんも今来たばっかりですけどね。」

 妃子は嬉しそうに双葉の隣をキープしていた。双葉が嫌味を言うのはいつものことで、俊君が表情を変えずに二人のやりとりを眺めるのもいつもの事だ。

 何の変わり映えのない一日が今日も始まる。

「みんな、食事をしていいぞ。」 

 俊の言葉を聞いて、皆一斉に手を付ける。

「欄、食事の途中でいいから、合間合間で決算の方を始めてくれないか?」

 俊にしては珍しい出来事である。いつも常識やルール、マナーといった規則について厳しい俊が言うということは、依頼の時間が近いのだろう。

「ええ、わかったわ。」

 今月の個人の収益とチーム全体の利益を乗せた紙を出しながら味噌汁を啜った。礼儀が悪いのは百も承知だが、俊が許可したのなら構わないだろう。

「・・・・・・って、妃子、あなた料理すっごく上手くなったわね。」

 妃子は料理はできるものの、一般家庭の料理と比べれば味は幾分か劣る。年齢的に考えても女子高生の年代が主婦に料理で勝とうなんて少し厳しいものがある。だが、今日のメニューは普段と変わらない白米、味噌汁、焼き魚といった定番のパターンなのに、味の方は和食料理店で食べたくらいおいしかった。

 妃子は欄に言われてから味噌汁を啜った。そして、意味深げな渋い顔つきをした。

「・・・・・・双葉さんも、美味しいと思いますか?」

 まるで双葉のために頑張ったとでも言いたげな話の流れは、正直欄からすれば面白いものではなかった。

「ああ、いつもよりは美味いな。」

 双葉は双葉で棘のある冷たい言い方を言い放つ。当然、妃子の姉である欄からすれば全然面白くない。

「あなたねえ!何でそんな言い方しかできないのよ!美味いものは美味いって素直に認めればいいでしょ!」

「言っただろ、耳ねえのかてめえ?死ねよ。」

 まるで欄が怒るのを読んでいたように双葉は言葉を吐き捨てた。しかし、それで欄の腹の虫が治まるわけがない。

「・・・・・・はっは〜ん、さてはあなた、照れているの?」

 一生懸命からかっている口調で攻める。内心、出来るものなら双葉を真っ二つに切り裂きたいと思うのが本音だったが、ここはあえて変化球を放ってみた。

「照れるわけねえだろ、ウドが。」

 双葉は至って平然と言い放つ。しかしこちらも内心ではかなり焦っていた。(欄をこの場でプチ殺したいという意味で)

「誰がウドよ!」

 欄はこの辺りが限界で、いつも通りテーブルを思いっきり叩く。だが、そんな欄も、いや、この場の全てを氷つかせる程の言葉を妃子が放った。

「・・・・・・これ作ったの、俊さんです。」

 シー——ン。

 時間が止まるというのは、現実ではありえない。もし、仮にあるとすれば、この時を除いていつ時間が止まるのだろうか?

「俊さん、これ、すっごく美味しいですね!」

 先程までの無愛想な顔が一変して無理矢理笑顔を作る双葉。だが、俊は先程と何一つ態度を変えない。

「いつもよりは美味いというレベルなんだろ?」

「ま、まあ、今日の料理は美味しいけど、私は妃子の料理も好きよ。うん、とっても大好き。」

「・・・・・・私の存在価値が、私の存在価値が、私の存在価値が、」

 欄のフォローは既に後の祭りであった。

「大丈夫みたいだよ。料理人が違ったことを知らないようじゃオレもまだまだだな。」

「おい女!少しは俊さんの料理を見習え!まるで昨日まで豚の餌を食っていたみたいだ。いや、流石俊さんだ。」

「ななな、なんてこと言うのよこの馬鹿!そんなこと言ったら妃子が可哀想で・・・・・・・ッハ!」

「・・・・・・・豚の餌しか作れない私は可哀想な人間、可哀想な豚の餌しか作れない私、私は可哀想な料理しか作れない豚、私は可哀想な豚の餌、私は・・・・・・」

 再び三日前の様に妃子は自分に自己暗示をかけ始める。この行為には何のメリットもない。なぜやるのかとすれば・・・・・ただの癖であろう。

「欄、決算の報告をしてくれ。それと、川越さん。」

「・・・・・・はい?」

 かろうじで光は入っているものの、だんだん妃子の視界がぼやけているのも確かである。

「これから、少し真剣な話になるから。」

 いつもの俊の声より1オクターブ低い声。この業務的な声を発すと同時に、今まで俊を纏っていたオーラの種類が変わったことを、妃子を含める全員が察知した。

「報告します。」

 欄はその場で紙を広げて立ち上がりる。双葉でさえも、箸を置いて視線を欄に預ける。俊と付き合った人間が特殊なのか、はたまた仕事に関しての意欲が本当にプロなのか、どちらにせよ全員、話の切り替えがとても早かった。

「私、デビルウイルス、依頼件数212件、任務承諾212、任務放棄0、達成度は100%です。柳双葉、アンデットファラオ、依頼件数514件、任務承諾15、任務放棄5、達成度は66%です。最後の俊君は・・・・・・」

「欄、金額の方を言ってもらえるかい?」

「はい。」

 私情を挟まず、素直に言葉に従う。それは俊の威圧感が凄いということもあるが、欄がこの仕事に対して異常にプライドの高いことを示しているのだ。

「アンデットファラオ+32億、デビルウイルス+13億、ミレニアムスナイパー+29億。個人の収入は2%なので、チームミレニアム・アンデットデビルに73億2600万円がプラスで、これでチーム全体の資金は1兆120億3300万で、世界9位に変動はありません。」

「・・・・・・すごいですね。」

 妃子が思わず放心状態になってしまう。

 そして、それを俊が待っていたのだ。

「どう凄いんだい?」

 優しく、遠まわしに、そして確実に蜘蛛の巣へと獲物を引き込む。

「いや、もうこれだけ稼いだら、もう働かなくてもいいかな〜なんて・・・・・・」

 俊がため息を小さく吐いた。まるで何かが完成したように。

 そして、この瞬間、双葉と欄は俊の意図を読み取った。

「んなわけねえだろ!オレは世界の頂点を獲るまで・・・・・・いや、世界の頂点になっても働き続けるんだよ!大体、この世界も知らない豚の餌しか作れない奴が口を挟んでんじゃねえ!」

 正直、これは正論であるため、妃子には反論できない。だが、ここまで文句を言われることを言ったのだろうか?さらに、いつも浴びられる罵声はこの男だけではなかった。

「そうよ妃子!大体、まだ私達なんてまだヒヨッコなんだからもっともっと稼がなきゃいけないのよ!」

「ということで、客観的に見ればもう俺たちは働かなくてもいいらしい。」

 珍しい欄の批判も、俊の存在で一瞬にして封じられた。

「・・・・・・いや、そうでもないでしょ。こんな馬鹿女の言うことなんて気にしてたら、それこそチームは・・・・・・、」

 双葉の頬はピクピクと引きつっている。

「さて、これにて6月からはミレニアム・アンデットデビルの休業を命ずる。」

 珍しく俊に反発した双葉だが、これも撃沈。妃子だけは、会話の流れを読めなかった。「あの、休業って、どうするんですか?」

「スキルアップだよ。例えばオレならスナイパーライフルだけでなく、マシンガンの腕も磨いておくし、川越さんなら料理の勉強でもやってもらおうかな。」

「はあ・・・・・・」

(でも、これはある意味チャンスかも知れない。ここで佐津間さんより上手なご飯を作れたら、お姉ちゃんも双葉さんも私に対する評価が上がって・・・・・・・よし!)

 希望が見えてきた。これから自分がどうなるかは分からないが、とりあえず一つの特技を得るというのは人に胸を張っていられるということだ。そうなれば、このチャンスを作ってくれた佐津間さんには感謝をしなければならない。

 だが、希望が見えているのは妃子一人だけであった。

「嗚呼・・・・・・・あ・・・・・・・・ぁぁ・・・・・・・」

 欄は何故か白目を剥いて椅子の上で力尽きているし、あの柳双葉でさえ、テーブルにうつ伏せになりながらガタガタと震えている。

「あの・・・・・・ところで佐津間さん、前回、スキルアップで何をやったんですか?」

 その問いに、俊は作り笑顔を作る。あからさまな、作り笑顔を。

「もし拷問されても、絶対情報を漏らさない練習。今では、どんなことが起きても他社、あるいは他人に情報の漏洩なんてないし、何よりあれを乗り切れたことが自信になっていると思うよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 二人のリアクションを見て、妃子は尚更思う。

 佐津間俊は、加減を知らない人間だと。

「さて、今回のスキルアップの期間は半年から・・・・・・・長ければ2年ぐらいかな?まあ、その辺はオレ独自の判断ということで・・・・・・・・・・・、」

 この地点で、会話を聞いているのが妃子一人だということがわかった俊は、一旦言葉を止めた。

 欄は涙に鼻水を加えて気を失っているし、双葉に至っては口から白いモノが出掛かっていた。

 パンパン!

 俊が手を二回叩くと、まるで何事も無かったかの様に二人は起き上がった。

(・・・・・・仕込まれてるなあ。)

 妃子は心の中でだけ呟いておいた。

「二人とも、今回のスキルアップはアレだ。」

 俊があごで指すその場所に、二人はゆっくりと恐る恐る振り返る。

 そこには——————

「せい・・・服?」

 二人の視線の先には、壁に掛かっている学生服が男女一枚づつぶら下がっていた。

「あの、俊さん。これは一体・・・・・・、」

 リアクションに困る双葉を見て、満足そうに頷いた。

「そう。今日から二人は妃子と同じ学校に通ってもらう。」

「・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・。」

 文字通り、言葉が無い二人。

「これ、何のスキルアップですか?」

 平然と均衡を破って妃子は質問をぶつけた。

「川越さんも分かる通り、二人は今まで一般生活をしたことがないんだ。それがどういったことかと言うと、人間としての感受性、加えて協調性が育たないんだ。当然、学校に行った人間全てがそういうモノを持っているのかと言われたら言葉は無いが、だが、こういうチャンスぐらいは与た方が人間的に大きく成長するんではないかとオレは思うんだよ。」

「・・・・・・。」

 今度は妃子も喋れなくなった。だが、次は双葉が立ち上がる。

 双葉はため息を交えながら、心底やる気の無い表情で言い放った。

「・・・・・・俊さん、学校なんて行かなくても俺たちは有能な殺し屋です。一般人の中で生活して今までの考えが変わるわけないし、仮に変わったとしてもそれは大問題です。もし仮に一般人に情が移ったらこの仕事を続けなくなるし、なにより今回の件、スキルアップの意味が分かりまん。」

 その双葉の言葉に、珍しく欄が加勢した。

「双葉に一票。大体、私たちが今頃一般教養なんて、何の意味があるの?」

 二人に押され、俊はあごに手を置いて考え込む仕草を見せた。

「なら、二人は前回と同じ・・・・・・・」

「学校大好きです!オレ馬鹿だから一般的な知識も薄くてコンプレックスだったんです!本当にこんなチャンス作ってくれた俊さんに感謝の気持ちで一杯です!欄は馬鹿なオレに比べてとっても頭がいいし、前回と同じ・・・・・・・」

「そんなことないわよ双葉!私みたいな時代遅れの女は現代風の生活に憧れていたのよ!もう、本当に俊君たら私の願望ばっかり叶えてくれて・・・、もう!大好きよ、ホント。・・・・・・・双葉こそ立派な殺し屋なんだから、学校は人を殺したことの無い私に任せてよ!」

「・・・・・・・・・・・・・。」

 妃子は笑顔を必死で偽る二人を哀れみの目で見つめていた。

(佐津間さん・・・・・・一体二人に何をしたんですか?)

 最後に、この話を作った張本人、俊も作り笑顔を浮かべた。

「二人に喜んでもらって良かったよ。」

 この作り笑顔で唯一違う点が、双葉と欄は額には白い汗が浮かんでいることであろう。

「・・・・・・私も学校に行くんですか?」

 一応、聞いてみる。妃子は銃の使い方はおろか、名前も知らなければまともに家事もできない。花嫁修業のノリで俊にこき使われるかも知れないのだ。

「ああ。三人で仲良く学校に行ってくれ。・・・・・・そろそろ時間ないぞ。」

 時計をみると8時半を過ぎていた。妃子が通っている高校は、この屋敷からは徒歩で15分くらいだから、今日から通うとしたら本当に時間ぎりぎりだ。

「言っておくが、もし遅刻したり授業に出なかったりしたら、前回と同じ・・・・・・・・、」

「「行って来ます」」 

 双葉と欄は妃子の手を片腕づつ握りながら疾風の如く去って行った。当然、制服を忘れるようなへまはしない。

 

 こうして、世界最強の高校生が2名、現代社会へと溶けんだ———


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択