No.142701

江東の覇人 7話

アクシスさん

えー、お久しぶりです。

1ヵ月と少しぶりの投稿。

自分の更新速度の遅さが身に染みます、はい。

2010-05-12 22:18:50 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2911   閲覧ユーザー数:2403

 

 

戦乱の世を開いた黄巾党による暴動は、主導者の張3姉妹の討伐により幕を閉じた。

 

1ヶ月の後、蓮聖達に吉報が届く。

 

後漢王朝第十二皇帝、霊帝の死去。

 

それは、漢王朝が滅亡間近という事を意味する。

 

諸侯達が動きを活発にするキッカケにもなり、正に、世は群雄割拠する真の乱世。

 

その時、各地の諸侯に檄文が届いた。

 

当然、蓮聖達、孫呉にも。

 

反董卓連合の召集。

 

待ちに待った、乱世の混乱。

 

独立に向けて、孫呉は歩みを進める。

 

今こそ、好機と信じて!!

 

 

揺れる揺れる・・・頭がぐわんぐわんと鳴る程に、一刀は揺れていた。

 

「なあ・・・俺達、何処向かってんだ?」

 

今の現状において最も聞かなければならない事を問う。

 

「あ?言ってなかったか・・・この前、檄文来ただろ?あれに召集されて、今、反董卓連合の本陣に向かってる訳。おわかり?」

 

「わかったけどさ・・・うん。わかった。だからこれ解いて?」

 

「えぇー」

 

「いや何でだよ!?」

 

現在、蓮聖達は反董卓連合の本陣に向け行軍中だ。

 

今回の召集をかけたのは袁紹。

 

袁術の従姉に当たる訳だが、どうやら袁術は袁紹の事が嫌ってるらしく、かなり嫌がってた。

 

そこを雪蓮が・・・

 

『皇帝になれるかもしれないわよ・・・?』

 

と、囁き、もっともらしい理由を立てると、バカでアホで無能な袁術+1名は信じ切ってしまい・・・・・・うんぬんかんぬん。

 

という訳で・・・行軍してる・・・のだが・・・・・・

 

「なぁ・・・そろそろ教えてくれない?何で俺さ・・・蓮聖の馬に縛りつけられてるの?」

 

縄でぐるぐる巻きにされ、しっかり・・・という風でもなく固定されている一刀。

 

馬の上は不安定で、少しでも動けば落ちそう・・・というか半分落ちてる訳で・・・

 

昨日眠りについた後、起きたら既に揺れる馬上だった一刀は何が何だかわからない。

 

多少現実逃避していたものの、やはり聞かずにはいられなかった。

 

「だってさぁ・・・・・・行軍中つまんねぇじゃん?」

 

「降ろせ!今すぐ降ろせ!!何でお前の退屈凌ぎの為に俺が死の境を彷徨わなきゃならん!?てか、せめてこれしっかり結べ!さっきから揺れる度にずれて落ちそうなんだよ!」

 

「・・・・・・・・・・・・ふぅん」

 

「何でそんな興味なさげなの!?なぁ!頼むから・・・って・・・え・・・ちょ・・・・・・蓮聖・・・?ずり落ち・・・という・・・か・・・・・・・・・んぎゃあぁぁあぁあ!!」

 

するっ・・・と縄が解け、一刀が落馬した。運良く足から着地したものの、転がり転がり・・・

 

「しーしゅーん。一刀拾っといてくれー」

 

「・・・・・・」

 

思春が蓮聖の呼び声で、ひょい・・・と地面の一刀を持ち上げる。

 

「・・・・・・」

 

そして、ひょい・・・と投げ捨てた。

 

「うおぉおおおおぉい!?」

 

「拾いはした。その後は知らん」

 

再び転がる転がる・・・結局、後ろの方にいた冥琳が一刀を拾う結果となった。

 

「まあ・・・何だ・・・・・・あんまり気に病むな」

 

「・・・・・・・・・むり」

 

 

そして数刻後、蓮聖達は反董卓連合の本陣に到着した。

 

「ふぃ・・・やっとついた・・・ああ、退屈だっ・・・・・・・・・すんません」

 

我が人生・・・今なら倒せないものはなし・・・・・・そう言い切れる一刀。

 

その眼光は蓮聖を怯ませる程のものだった。

 

その様子に深い溜息をつき、一刀は改めて本陣を見渡す。

 

「あれ・・・そういや蓮華や祭は?穏もいないような・・・」

 

「あいつらとは別行動だ・・・何だ?蓮華達が隣にいねぇと落ち着かんのか?」

 

「ガキじゃあるまいし・・・そうじゃない・・・・・・」

 

実際少し寂しさを感じている一刀・・・蓮華とはわかりあえたのだから、もっと一緒にいたいというのが本音だ。

 

「・・・・・・んじゃ、大将達んとこ行ってきますかね・・・雪蓮、一刀、行くぞ」

 

「ええ」

 

「え?俺も?」

 

「今日お前の存在を明かす。反董卓連合は今、大陸中が注目してっからな・・・いい機会だ。いいな。お前は胸はって、肝座らせとけ」

 

「あ、ああ・・・」

 

困惑しながらも、その表情にやる気が出てくる。

 

覚悟は・・・とうに出来ていた。

 

「よし・・・行くぞ」

 

 

「失礼するわよ」

 

雪蓮が大きな天幕の中へと入り、それに蓮聖と一刀が続く。

 

「あーら孫策さん、美羽さんは?」

 

金髪くるくる・・・曰く、袁紹。

 

彼女は上座に座っており、いかにも立場が上ーってのを見せつけている。

 

「袁術ちゃんならもう少しで来るわよ。途中で『蜂蜜水が欲しいのじゃー』とか言って、行軍止めちゃったから」

 

と、噂をすれば何とやらか、袁術の小さい体が張勲と共に天幕へと入ってきた。

 

しかし、その表情はふくれっ面。恐らく、蜂蜜水も何も貰えなかったのだろう。

 

その様子を嬉しそうに・・・でも表情には出さず、雪蓮と蓮聖は見つめて席に着いた。

 

数分して、次々と諸侯の代表が入ってくる。

 

曹操、公孫賛、劉備・・・黄巾党で名を残した諸侯達。

 

全員が揃った所で、袁紹が甲高い声を上げた。

 

「それでは、最初の軍議を始めますわ!恐らく、知らぬ顔もいるでしょうから、そちらの方から名乗っていただけません?」

 

「ん・・・幽州の公孫賛だ。よろしく頼む」

 

と、雪蓮とは反対側にいる赤髪の女性が答えた。

 

「平原郡の劉備です。こちらが軍師の諸葛亮・・・」

 

公孫賛の隣の少女が答え、その隣にいたさらに小さい少女が頭を軽く下げる。

 

「涼州の馬超。今日は馬騰の名代として・・・」

 

「なにぃ!?おばちゃん来ないの!?」

 

「ひゃ!な、何だよ・・・そうだけど・・・」

 

「えぇ・・・酒でも飲もうと思ってたのになぁ・・・・・・」

 

突然叫び声をあげた蓮聖はそのまま意気消沈。

 

「ちょっと。どちらの方かご存じないですけど、もう少し静かにしていただけます?」

 

「うるせぇ小娘。てめえの指図なんぞ聞くかっつうの」

 

ぴき・・・と、空気が固まった。

 

ここにいる中で、袁紹は1番力を持っている。

 

統率者ではなく、質でもなく・・・単純な数と装備で。

 

その袁紹相手に・・・・・・

 

諸侯達の中で、あの男は何者か知らんが消えるな・・・という思いが走る。

 

曹操と雪蓮達を除いて・・・だが。

 

「な・・・ななな・・・何なんですのあなた!!ちょっと孫策さん!?部下の育てがなってませんわよ!?」

 

「だって部下じゃないもの」

 

「だとしても・・・・・・」

 

「るせえ、名乗ってる途中だろうが。横槍だしてんじゃねぇよ」

 

「いや、お前が言える事じゃないと思う」

 

一刀の静かな突っ込み・・・袁紹も同意見だが、とりあえずあるのかどうかもわからない『威厳』を気にして、落ち着いた。

 

「典軍校尉の曹操よ」

 

曹操はそれだけ言うと座る。

 

「ん?妾か?袁術じゃ・・・・・・」

 

「もぅー、美羽様元気だして下さいよー・・・ええと、私は美羽様の補佐をしている張勲と申します。こちらは客将の孫策さん・・・と、他の方は知りません」

 

「私が紹介するわ。こちらは我が兄、孫・・・」

 

「ま、俺の事なんてどうでもいいんだわ。重要なのはこっち」

 

と、雪蓮の言葉を遮って一刀の肩を叩く。

 

「こいつの名は北郷一刀。見ての通り、奇怪な格好してるが怪しいもんじゃない・・・この大陸に真の平和を齎す存在・・・『天の御遣い』だ」

 

ばっ・・・と、劉備が反応を示す。

 

他の諸侯達はへぇ・・・と興味を示す程度。

 

やはり・・・噂はちゃんと大陸を走り抜けている。

 

時間をかいがあるというものだ・・・と、薄く笑った。

 

「天の御遣いたる一刀は、我が孫家が匿っている。今回は、貴君らにも会わせたく思い、連れてきた・・・顔は覚えたな?よし、んじゃあ一刀。外出てろ」

 

「え?いいのか?」

 

「ああ。紹介だけだ。それに、まだお前には見せたくないしなぁ」

 

朗らかな笑みを浮かべながら、蓮聖は一刀の背を押した。

 

「?」

 

一刀は?を浮かべながら天幕を出ていく。

 

ふう・・・と、蓮聖が息をついた。

 

 

「お初にお目にかかる」

 

 

瞬間、空気が変わった。

 

 

それは、英雄と呼ばれる人間が出せる空気。

 

圧倒的な重圧。

 

ただその場にいるだけで、己との差を見せつけられるかのよう。

 

「ひっ・・・」

 

英傑とは言えぬ、袁紹を始めとする人間がその空気と蓮聖の眼光に怯え、後ずさる。

 

平静でいるのは曹操、雪蓮・・・1度は驚いたものの、持ちなおした劉備、馬超。

 

それらを視界に入れながら蓮聖が続ける。

 

「我は、江東の覇人、孫覇と申す者」

 

「孫覇・・・って、あれ?」

 

馬超が声を上げた。

 

「ほお、ご存じか。馬騰殿は息災か?」

 

「あ、ああ。今は五胡の対応に追われていて・・・それで私が来たんだ」

 

「・・・・・・成程。まあ、驚くのも無理はない。風の噂で、我が死んだと聞いた者も少なくはないでしょうからな。しかし、我は生きている。これからも我が妹、孫策の所で厄介になるつもりだ・・・袁術殿も、ご挨拶が遅れて申し訳ない」

 

「ひぇ・・・く、くく、苦しゅうない」

 

「よろしく頼む・・・・・・それでは軍議をはじへぶっ!?」

 

途端、空気が元に戻り、蓮聖からも眼光が消える。

 

見れば、蓮聖の頭に雪蓮の手刀。

 

「その言葉づかい止めてよ兄さん・・・笑いがこらえきれないから」

 

後もうちょっとで爆発しそうな表情。

 

明らかに空気を読んでいない行為だが、兄妹だからこそ、蓮聖が諸侯を試す為にやってるという事がわかった。

 

「酷ぇな・・・何も叩くこたぁねぇだろ?」

 

「と、とととにかく、名乗りを・・・わたくしの名は・・・・・・」

 

「別にいいだろ?この名乗りは知らぬ方も・・・で始まったんだから。お前は誰もが知ってるからなぁ・・・なあ、曹操?」

 

と、隣の曹操に視線を投げる。

 

「ええ、そうね。それより早く軍議に移りましょ」

 

曹操が蓮聖の視線に気付き、相槌をいれた。

 

「だな。その方が手早く済む。それに名乗りって軍議を円滑に進む為のもんだろ?」

 

馬超も加担。

 

「そ、そうですか・・・まあ、いいですわ・・・では、軍議に移りましょう。進行は・・・」

 

「ああ、ほら、いいから。誰でもいいからさっさとやっちまおうぜ。んじゃあまず」

 

「って、何であなたが仕切ってるんですか!?」

 

「あ?だって誰が仕切るかなんて知らねぇし。だったら、誰でもいいだろ?」

 

「だからわたくしが・・・」

 

「ええと、まずは現状の確認と目的の明確化だな。袁紹、説明を・・・って無理か。公孫賛、頼む」

 

「きぃ―――!!何で無理なんですの!?そのぐらい出来ますわ!!」

 

「私達の目的は都で横暴を働いているという董卓を討つ事。でも、董卓の情報が少ないんだよな・・・誰か知ってるのはいるのか?」

 

「ちょ、白蓮さん!?」

 

「私達は知らないなぁ・・・曹操さんは?」

 

「同じく」

 

「あ?何だ、知らないのか?董卓なら見た事あるが」

 

「ちょっと、無視しないで下さる!?」

 

「そうなの?」

 

「ああ、言ったろ?洛陽にもいたって。そん時、ちょっとな」

 

「なら孫覇に聞けば大丈夫だな・・・で、次は」

 

「つ、次はこの連合の・・・」

 

「洛陽までの道のりだな・・・まあ、この人数だから街道沿いに行軍する事になるだろうが、問題はその先だ。難攻不落と呼ばれる、汜水関、虎牢関・・・そこと、その前後。戦闘になるとしたら、そこだろうな」

 

「配置されてる将は?」

 

「情報によれば、汜水関には華雄が・・・虎牢関には張遼と呂布が配置されてるそうです」

 

と、諸葛亮からの報告。

 

「変わる可能性もある。とりあえず、随時間諜を送って情報を入手しておかないとな」

 

「あ、じゃあ、私達がやります」

 

「んじゃあ、汜水関の情報は劉備に任せよう。こんな所か・・・はいじゃあ、かい・・・」

 

「ちょおおおおっっと待ったぁあぁぁ!!何か忘れていませんこと!!!!?」

 

完全に存在を消されていた袁紹がついに爆発する。

 

「この連合軍は誰が率いるか・・・そこが一番重要じゃなくって!!?」

 

「率いるも何もなぁ・・・戦闘になれば、お互いの軍なんて邪魔なだけだろ?ただでさえ腹探り合ってる奴らと共闘すんなんて、俺も願い下げだしな・・・」

 

「で、ですが、統率者というのは何れ必要ですわ!」

 

「いつ?いつ必要となる?必要性をちゃんと説明しろ」

 

「それは・・・連合が活躍した時の名声・・・とか・・・・・・」

 

「そんなん本当に貰えるとでも思ってんのか?実際名声を得られるのは、汜水関と虎牢関と洛陽を落とした諸侯だろう。はっきり言って統率者はあまり知られん。特に今回とかはな。即ち、必要ではない」

 

「ひ、必要ですわ!!」

 

「だから、その理由をちゃんと教えろつってんだろ?」

 

「う・・・」

 

沈黙が続く。

 

はぁ・・・という溜息が聞こえ、雪蓮が口を開いた。

 

「兄さん。楽しむのもそこまでにしたら?」

 

「えぇー、だってこいつ面白ぇじゃん?」

 

真剣な顔から一転、からからと笑いだす。

 

「な、なな・・・からかってましたの!?」

 

「うん。つうか、統率者の名前が知られねぇ訳ねぇじゃん?」

 

最もである。

 

「悪びれもなく・・・ある意味で凄いわね」

 

苦笑する曹操。

 

未だに笑う蓮聖に、袁紹は羞恥で顔を真っ赤にさせた。

 

「わあったわあった・・・お前が総大将になれ」

 

「・・・・・・は?」

 

一転、驚愕の表情。

 

それは他の諸侯も、雪蓮でさえもそうだった。

 

「反董卓連合の総大将に、俺は袁紹殿を推薦する。異存がある者は名乗り出てくれ」

 

再び、蓮聖から覇気が漏れだす。

 

しかし・・・今度は『本気』だった。

 

有無を言わせぬ眼光に、そもそも総大将に左程興味がなかった諸侯達は沈黙する。

 

「ないな・・・じゃあ、決まりだ。これにて軍議を終了とする・・・解散」

 

 

「ねぇ、どういう事なの?」

 

「何って・・・袁紹の事か?」

 

雪蓮軍の陣地。

 

軍議を終えた雪蓮達は、行軍するまで待機していた。

 

「それ以外ないでしょ?」

 

「まあ、そうだな・・・敢えて言うなら、袁紹が1番操りやすいからなぁ」

 

「操る・・・?まさか、兄さん・・・」

 

「ったりめぇだ・・・俺があんな奴に従うかよ・・・・・・今回の戦、俺が操ってやる」

 

邪悪な笑みを%


 
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