「一体なんなんだ」
コンビニ袋をがさがさ音立てながら、全力で走る。
走りながら、横島忠夫は思考する。
中学生になるかならないか頃合の年頃だろう。
5年、10年後が楽しみな少女が、にっこりと笑いながら「文珠を渡せ」と申し出てきたのである。
勿論、それは彼の所有するものではあったが、はいそうですかと渡せるものではなかった。
主に、上司が怖いから。
かといって少女が「駄目だ」と聞いて悲しそうな顔をするのを見たくないという感情も強くあった。
ので、横島忠夫は逃げるという選択をとったわけだ。
そしてそれは成功している・・・・と自負していた。
神魔すらあきれ、もとい驚く逃げ足持ちである。
一介の少女など、とてもじゃないが追いつけるモノではない。
果たして。
「えーと、突然ごめんなさい。
私、時空管理局所属の嘱託魔道師なんですけどー」
「どー、って」
・・・・・・空から探されると判っていたら、また違うルートをつかったのに。
ふわりと舞い降りる少女を前に猛省するが、今はどうしようもない。
再び目の前に立つ、何故か不思議というか妙に演出凝った服に着替えていて、しかもコスプレチックな杖まで持っている・・・少女の、いっそ暢気な名乗りの続きに軽いめまいを覚える。
自分の周囲の女性が、みかけと中身の差がどうしようもないのは今に始まったことではないが。
「っちゅーか、なんで文珠に用があるの?」
「へ?」
「先ずそっからだな、うん。
誰かに聞いたとかそーゆうのはこの際いいや」
「えーと」
「あ、もしかしてお姉さんの?!
・・・・・・えっとごめん。人の蘇生とかは出来ないんだけど」
「それ」に縋る人間が、時々いたのは事実だった。
その度に横島は自分が何も出来ないと謝るしかない。
彼女もそんな事情かというと、少女は杖を小脇に抱えて慌ててその両手を振った。
「ほへ?ふへっ、あの、ちがいます!そういうんじゃなくてっ」
「あ、違うんだ。じゃ、なに?」
「文珠、をですね。
えーっと、"危ないかもしれないから回収する"のが私のお仕事でー」
大真面目に言われた言葉に、首を傾げる。
はて。
それってつまり、"横島忠夫"が危ないってコトですか?
「・・・・・・・・・・・・あのね、なのはちゃん」
「はい?」
「とりあえず、はのはちゃんとオレの間には、意志の疎通が必要な気がするんだけどどうやろ?」
「なんとなく同感ですけど・・・・・
そうですよね!やっぱ人のコミュニケーションは会話ですよねっ!」
うんうんと頷きながらの明るい声と笑顔はとても可愛らしいなと素直に思う。
彼女を知ってる人間がいたら、軒並み目を逸らしそうな一言だと、今の横島が知る由もなく。
・・・・・・・・・・
これってある種のジェネレーションギャップものなんだろうか?
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なんとなく、GS×なのは続き
それより先ずあの科白オンリーをどうにかしろって話な
というか支援ありがとうございます・・・ッ