No.142124

外史伝外伝 第四話『三国会談』

四話『三国会談』をお送りします。
前回の孫権たちの一件の数時間後から始まります。
今回も楽しんでいただけたら幸いです
それでは、どうぞ!

2010-05-09 21:43:20 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:5688   閲覧ユーザー数:4591

 

 

真・恋姫†無双 魏ルートアフター 

 

 

 

 

外史伝外伝

 

 

 

 

『外史伝エピソード零:鏡花水月編』

 

 

 

 

第四話『三国会談』

 

 

 

 

 

一刀たちは成都城にたどり着くと華琳達にことの次第を報告した

 

成都城の一室で人払いをし、更には皆には戒厳令を出した

 

孫権達は城の一室に籠ってしまった

 

しかし、別に監視を付けているわけではなくあくまでも自己監禁だった

 

一刀はそんなことをしなくて言いと言ったが彼女の意思を尊重し、之をもってお咎めなしとした

 

最初、華琳は怒っていたが一刀にこの一件には裏がありそうだと聞かされる

 

「どういうことかしら?一刀。

 

孫権たちの肩を持つ気じゃないわよね?」

 

華琳は一刀と雪蓮、桃香の三人だけで話し合いをすることを提案

 

現在は一刀の客間にて極秘会合をしていた

 

「あぁ。

 

しかし、その前に。いまから俺が話すことは、一切他言無用で頼むよ。」

 

雪蓮「うん」

桃香「はい」

華琳「えぇ」

 

三人に確認を取った一刀は口を開いた

 

「…まず一つ、伝えておかなければならないことがある。

 

俺は…謎の組織に命を狙われているようだ」

 

一刀の発言に桃香は唖然とし、華琳は呆れ、雪蓮は面白そうにしていた

 

「…な、なんだよ。華琳

 

その反応は…」

 

華琳ははぁ~っとため息をつく

 

「貴方は三国に名を知らないものがいない男よ。

 

命を狙われてないはずが無いでしょう」

 

華琳は何を言っているのっと言わんばかりだ

 

「五胡の者?それとも、百済かしら?」

 

華琳は近隣の諸外国の名を上げる

 

「孫呉と蜀漢はあげないのね?」

 

雪蓮の言葉に華琳は言う

 

「私は仲間は信じることにしているの。

 

それに、魏と戦い戦乱を招くほど、貴方達は愚かではないわ」

 

きっぱりと言う華琳に桃香は抱きついた

 

「華琳さん!

 

私をそこまで…」

 

「きゃぁ!ちょ、ちょっと!桃香////」

 

ぎゅ~っとその大きなもので締め上げられる華琳

 

ジタバタともがくが桃香は放そうとしない

 

「ちょっ…桃香!私に対する嫌みかしらぁ?」

 

ドスの利いた華琳の声についに桃香も慌てて放す

 

「きゃぁ!ご、ごめんなさ~い(涙)」

 

桃香が離れるのを確認した一刀は

 

「あ~っと…つ、続けていい?」

 

おずおずと聞いた

 

「は、はい!」

 

「速くなさい…(苛々)」

 

「うふふふ」

 

 

一刀は気を取り直し話を続ける

 

「俺は…謎の組織に命を狙われている。

 

五胡とも、百済とも違う…。

 

彼らは恐らく国ではない。」

 

「では、何なのかしら?」

 

華琳は続きを促す

 

「あぁ…。その前に、雪蓮には言っていなかったことだが…俺は先日、蜀の市で殺されかけたんだ」

 

雪蓮は厳しい顔つきになる

 

「なんですって…

 

いったい誰に?

 

まさか、呉の者なの!?」

 

「いや、違う。

 

恐らくそれが、前回と今回の黒幕だ」

 

「どういうこと?一刀さん」

 

桃香は先日の出来事を思い出し、心を痛める

 

同時に、それは自身の罪だと受け入れ、一刀に続きを促す

 

「うん。

 

彼らは…導師。

 

あるいは、妖術遣いだ」

 

一刀の言葉に三人ともハッとする

 

「一刀。では、五胡に間違いないじゃない」

 

華琳は先ほどの意見が正しかったのではないかっと一刀に聞く

 

「いや…五胡の妖術師たちの力とは桁が違う。

 

奴は…どこからとも無く現れては、消える。」

 

一呼吸の後

 

「人の心も自由に操れるはずだ」

 

「!?

 

では、まさか…蓮華たちは…」

 

雪蓮は少し慌てた

 

本来、冷静であるはずの蓮華があのようなことをするはず無いのだ

 

「では…、孫権は操られていたっと言うことかしら?一刀。」

 

「その通りだ、華琳。

 

そして、恐らく甘寧もだろうと思う。

 

彼女達の目に何か違う力を感じたんだ。

 

うまく口にはできないけど、彼女達の瞳には怒りしか見えなかったんだ」

 

「……」

 

「……」

 

黙り込む王達

 

「とっ、兎に角。

 

真相を確かめましょう。三人とも、孫権に会いに行くわよ」

 

「はい。」「えぇ…」「うん」

 

三人は外で見張りをしていた愛紗を従えて、孫権のいる部屋を目指した

 

 

 

孫権の部屋

 

中には少し狭く感じるが、5人の人間がいた

 

孫権と三人の王は椅子に座り、一刀と甘寧は立っていた

 

愛紗は引き続き外で警備をしている

 

雪蓮がまずは口を開く

 

「蓮華。どうして、あんなことを?」

 

孫権はうつむいたまま答えない

 

ぶるぶると震えるだけだった

 

「雪蓮様…。蓮華様は悪くありません。

 

すべて、私が…」

 

「これは、二人に罪があるわ。

 

本来ならば、処断するところよ。

 

私今、すっごく怒っているのよ…」

 

華琳が怒りを隠そうともせず言い放つ

 

殺気のこもったその声に二人とも黙りこくってしまう

 

「華琳…。」

 

一刀は華琳の後ろに立ち肩を優しくつかむ

 

 

その小さな肩が震えている

 

「もういいんだ。

 

俺たちが、来た理由は違うだろ?」

 

華琳はその手を震える手で握る

 

「……すまなかったわ。」

 

華琳は呟く

 

「では、本題に戻ろう。」

 

一刀は、二人に向き合った

 

「二人とも、呉の町で…旅の途中でもいい。

 

白い服を着た導師に会わなかったかい?」

 

孫権はハッと一刀を見つめる

 

「ほ、北郷。なぜ、それを!?」

 

孫権の答えはイエスだった

 

「(やはり…か。)

 

孫権、甘寧は…そいつに何を言われたんだ?」

 

優しく聞いてくる一刀に孫権は語り始める

 

「私たちが建業から出発する前日。

 

私は思春とともに町へ視察に行ったの。」

 

孫権は一呼吸置くと

 

「いつもと変わらぬ町を見ていると、そこに一人の占い師がいた

 

彼は私達を呼び止め、言った」

 

 

『あなた方の心に深い悲しみを感じます。

 

誰かを、北郷一刀という人物を憎んでおられますね?

 

しかし、心のどこかでは仲良くしたいと思っておられる

 

何故ですかな?

 

あなた方の大切な仲間を奪ったのは北郷一刀ですよ?

 

何故許す必要があるのです?

 

あの者はいずれ大陸に災いをもたらし、あなたの大切な姉まで奪うでしょう。

 

憎みなさい。怒りなさい。増悪を燃やすのです。

 

北郷一刀を亡き者にし、真の平和を…!』

 

 

「最初は相手にしなかったわ。でも、時間がたつにつれて北郷への怒りと憎しみが増えていって…

 

気が付いたら、貴方への…殺意しか…無かった…の…

 

本当に…どうか…してたわ…ごめん…なさい」

 

孫権は涙を流しながら皆に謝る

 

 

「だったら、君達は操られていただけだ。

 

悪いのは君達じゃない。

 

君達を操ったもの達だ。

 

そして、つらいことを…思い出させてしまったな。

 

孫権さん。ごめんなさい」

 

「蓮華よ…」

 

「えっ?」

 

「私の真名…蓮華。貴方にお預けします。」

 

「私は、思春だ。すまなかった」

 

甘寧も頭を下げながら真名を預けてくれた

 

 

「ありがとう。蓮華、思春。」

 

一刀はニコリと笑顔を浮かべ、二人を見つめる

 

「「///////!!!!」」

 

二人が赤くなっていることにちぃ~っとも気が付かないで、一刀は華琳を見つめる

 

「…一刀の感が当たったわね。

 

これで…ハッキリした!

 

そいつらが、一連の事件の真犯人…」

 

「えぇ…」

 

「はい!」

 

 

雪蓮と桃香は

 

 

 

「孫呉の人たちには…

 

この国が狙われていることは伏せるとして、敵の術で操られていたことは伝えよう。

 

そうすれば、少しは安心するはずだ」

 

一刀の言葉に頷く

 

 

 

 

深夜

 

一刀の部屋

 

一刀は夢を見ていた

 

 

何処かの城で玉座に座る自分

 

玉座の下には少女達がいる

 

見覚えがある人たちばかり

 

でも、誰かは分からない

 

 

まるで、テレビのように場面が切り替わる

 

次は、何処かの町

 

自分を『太守様』と呼び慕う民達の笑顔

 

そして、隣で笑ってくれている黒髪の少女

 

手をつなぎ、町を歩く

 

幸せなひと時

 

 

また、場面が変わる

 

何処かの戦場だ

 

敵の陣地に御輿が上がる

 

そこに座っているのは…空ろな瞳をした少女

 

間違いなく、曹操だった

 

 

場面が切り替わる

 

曹操が魏の玉璽を自分に差し出している

 

それを受け取る自分

 

そして、彼女を抱いた

 

 

また、切り替わる景色

 

孫権率いる呉軍との決戦

 

辛くも勝利を収めたが、周瑜が反逆した

 

激戦の後、周瑜は自害

 

彼は孫呉を併呑し、天を手に入れた

 

 

また、切り替わる

 

そこは何処かの神殿

 

外からは戦の轟音

 

突如、目の前に鏡が現れ自分を飲み込んだ

 

薄れ行く意識

 

『○○様ぁ~!!』

 

『あ…ぃ…しゃ…』

 

誰かが、自分に必死になって手を伸ばす

 

それを掴もうと手を伸ばす中、最後に見たのは…

 

 

 

「なぁ!!?」

 

右手に痛みを感じた一刀は、はぁはぁっと荒い息を吐きながら目覚めた

 

横を見ると自分の腕の中で華琳がゆっくりとした寝息を立てている

 

「夢…かぁ」

 

華琳の髪を優しくなでながら息をつく

 

すると、

 

「ん?」

 

華琳の額に雫が落ちてきた

 

ふっと、自分の顔に触れると

 

「これは…涙?」

 

一刀は泣いていた

 

何故、泣いているかは分からない

 

でも…なぜか、悲しかった

 

心が痛かった

 

「まぁ…いいか」

 

一刀は、涙を拭うと華琳を抱きしめた

 

一刀は気が付かない

 

その右手の痕が淡く光っていたことに…

 

 

???

 

何処かの荒野

 

「干吉。貴様…ここで何をしている?」

 

韓湘子と干吉が対峙していた

 

「韓湘子殿ですね。

 

私は外史の破壊を命じられているだけですが?」

 

「この外史で勝手なことをしてくれるな。オレの邪魔をするつもりか?」

 

「邪魔とは…?貴方の目的は…私と同じでは?」

 

「違うな…。オレの目的は、只一つ。

 

この外史など…どうでもいい。だが、」

 

韓湘子は剣を抜く

 

「孫権たちを操り、北郷暗殺を狙う、か…

 

相変わらず、汚ねぇやり口だな?」

 

「はて、どこかでお会いしましたか?」

 

干吉は懐から術札を取り出し、兵を召喚した

 

「貴様…どこまでもふざけやがって。

 

このオレの顔…見忘れたとは言わさんぞ!」

 

「まさか…!?」

 

干吉は驚きに顔を歪ませ、兵を一気に差し向ける

 

 

だが…

 

「そんなおもちゃで何をするつもりだ?」

 

韓湘子は指を打ち鳴らす

 

すると、

 

ドガガガ!!

 

けたたましい音とともに干吉の兵たちを剣の雨が打ち抜いていく

 

「貴方は!?そんな…馬鹿な!」

 

「さて、之で貴様のおもちゃも全て壊れたぞ。

 

では、消えろ…干吉!!!!」

 

閃光が干吉を貫いた

 

 

翌日、三国のトップによる二回目の会合を行い

 

町ではお祭りが始まった

 

 

つづく

 


 
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