No.141889

真・恋姫†無双 董卓軍√ 幕間第一話

アボリアさん

本編の幕間話です
華雄の過去話は自分のオリジナル設定ですのでご注意ください
あと最後のおまけは前作に入れるべきだったのですが投稿してから思いついたお話なので大目に見てもらえるとありがたいです
誤字脱字、おかしな表現があったら連絡いただけるとありがたいです

2010-05-08 22:53:03 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:18535   閲覧ユーザー数:13862

幕間 月編

賊討伐、異民族退治と立て続けに勝利した功績により月は并州を含む河東の太守に昇進、その所領を広げることとなった

しかしそれは月の夢である大勢の民を守ることに繋がる反面、大きな責任と膨大な仕事も背負うことにも繋がる話だった

 

「へうぅ」

 

月は今日も激務に追われていた

領地の広さに対して文官の数が圧倒的に足りていない状態で、唯一軍師であり文官である詠も自分の部屋でほかの政務に追われているため月を手伝えないからと最近は俺が政務の手伝いをしている

まあ手伝いといっても重要な案件はやはり月にやってもらうしかないんでそのほかの雑務が中心なんだけど

(でも傍から見ていても辛そうだもんなぁ)

最近は朝起きてから寝るまでずっと部屋に篭りっきりということもざらで心なしか顔色も悪そうである

どうしたものか…と外を見ると眩しい位にいい天気な空が見えた

 

(篭りっきりも体に悪いしな…)「なあ月、今から街に行かないか?」

 

「え?街に?」

 

俺からのいきなりの問いかけにきょとんとした顔で顔を傾げる月

 

「そう。こんな天気のいい日は外に出なきゃもったいないし、最近月は休み無く働いているからね。たまには息抜きしなきゃ」

 

「で、でも仕事が残ってますし…仕事の最中に抜け出すのは悪いですよ」

 

そういって申し訳なさそうに首を振る月だがやはり根を詰めすぎだと思う

どうにかして外に連れ出す方法はないものか…と考えているとあることを思い出した

「そういえば俺って匈奴討伐の時の恩賞ってまだ貰ってないよね」

 

「え?…あ、はい、そうでしたね」

 

あの時は帰ってくるなり鬼のような二人の説教があったからすっかり忘れられていたのだ

ならいっそ…と気合を込めていう

 

「じゃあ、褒美として今日一日、俺とデートしてください」

 

俺が思いついた、一世一代の案にして人生初でもあるデートのお誘いは…

 

「で、でえと?ですか?」

 

…一切伝わってなかった

…そりゃデートなんて横文字を使った俺が悪いんだが、なんか深く傷ついた気分だ…まあ落ち込んでても仕方ないので再度トライする

 

「あ、ああ。伝わらないよな。つまり、俺と逢引してほしいってことだよ」

 

へ?っといって固まってしまう月…その顔が見る見る赤くなっていって終いには倒れるんじゃないかというぐらい真っ赤になっていた

 

「あ、逢引ですか?でも、その、あの」

 

「恩賞なんだから遠慮は無しな。…あ、どうしてもいやなら嫌って言ってくれていいんだけど」

 

一応断っておく…これでもし断られたらピエロだな、俺

 

「嫌なんて、そんなことは無いです! けど…」

 

「よかった。じゃあ決定で」

 

言うなり月の手をつかんで部屋を飛び出す

 

「え、ちょ、待ってください」

 

慌てる月の声を敢えて無視して俺たちは街へと繰り出していった

「もう、強引ですよぉ、一刀さん」

 

ぷくっと頬を膨らませて抗議する月…普通の人がやるとぶりっ子な仕草のはずが月がやると自然に見える

 

「はは、ゴメンゴメン。つい張り切っちゃって」

 

街に出たはいいがまったくのノープランだった俺達はとりあえずお茶屋で点心とお茶を楽しんでいた

 

「でも、もうここまで来ちゃいましたし、楽しまないと損ですよね」

 

そういうと月はやっと笑ってくれた

何だかんだいって楽しそうだし連れ出した甲斐があったというものだ

 

「よし、それじゃあ今日は楽しもうか!」

 

「はい。あ、逢引ですもんね」

 

その後は真っ赤な顔をして頷いてくれる月と街中を回った

服屋や雑貨屋、大道芸など色々なところを回り城門の近くに帰ってきたころにはもう日が暮れる時間だった

 

「ふぅ、楽しかったぁ。でもそろそろ帰らないと詠たちが心配するかな?」

 

「そうですね。内緒で出かけてしまいましたからもしかしたら大騒ぎになってるかも知れないですけどね」

 

そういって笑う月だが俺はその言葉に固まってしまう…やばい、その可能性を考えてなかったな

とゆうか急いで城を出たため誰にも出かけることを話してなかった…!

そんな俺にきづかず月は続ける

 

「でも、本当に今日は楽しかったです。有難う御座いました、一刀さん」

 

そういって頭を下げる月…まあ、この笑顔が見れただけでも連れ出した甲斐があったというものだ

まあ詠にお説教くらうぐらい軽いものだと思えてしまうほどである

 

「それで、あのぅ」

 

と不意に顔を伏せモジモジとしはじめる月…急にどうしたのかと月の顔を覗き込む…

 

「んっ」

 

すると口に柔らかい感触…ってかこれって…き、キス!?

急な展開にまったく動けずにいる俺からすっと離れると

 

「き、今日のお礼で、あの、その…ホントにありがとうございました!」

 

相当恥ずかしかったのかだっとそのまま城に走っていってしまう月……うわぁなんかすっごくドキドキする

激しく脈打つ胸を押さえながら、ふらつく足取りで俺も城へと向かうのだった

 

 

…もちろんその後激怒した詠にこってり絞られたのは言うまでも無い話である

幕間 詠編

 

「一刀、今日時間空いてる?」

 

非番の日ということで寝床で休んでいた俺の下へいきなり詠が尋ねてきた

いや俺はまだ眠いから…と断ろうとすると布団を引っぺがされ

 

「ってことは暇なのねちょっと付き合いなさい」

 

と人の話をまったく聞かない詠に強制連行されてしまった

 

 

 

 

「今日はあんたに政務や今後についてのについて天の知識を聞こうと思ってね。最近は仕事が多すぎて話を聞く機会も無かったしちょうどいいでしょ」

 

いきなり連れて来られた中庭でいろいろと質問を受けることになった

休みの日に年頃の男女が話すにしては寂しい内容の話であるが確かに最近落ち着いて詠と話す事なんて無かったからな…と思いその誘いに応じる事にした

 

「うーん教育機関については使えそうだけどそのあたりは一太守が手を出したら上から色々言われそうね…ただ戸籍による税の安定や警備体制の見直しなんかは使えそうね」

 

とりあえず片っ端から思いついた事を話す俺とその内容を難しい顔をして吟味する詠

こいつも近頃は休みも無かっただろうに…と心配になったので聞いてみる

 

「おーい詠?せっかくの休みなんだからあんまり根詰めすぎるなよ。可愛い顔が台無しだぞ」

 

茶化すように聞くと顔を真っ赤にする詠

 

「かわ…。う、うっさいわね!あんたに関係ないでしょ!」

 

「関係ないこと無いだろ?俺たちは仲間なんだし、仲間が疲れた顔してたら心配だろ?…そうだ!せっかくだから肩マッサージしてやるよ」

 

実際疲れているだろう詠の後ろに回りこみ肩をもむ

 

「や、なに、ちょっと!勝手に触らないでよ!」

 

「まあまあ、いいからいいから」

 

暴れる詠だったがしばらくして抵抗しても無駄だと悟ったのだろう黙ってマッサージを受ける詠

おれは肩揉みをしながら話を続けるのだった…

しばらくして話は政務の話から俺の知っている歴史…董卓の暴政と末路の話になっっていた

 

「ふうん、なるほどね」

 

最初は董卓の話なんかしたら怒ると思っていた詠だったが終始落ち着いて、吟味するように話を聞いていた

 

「…怒らないんだな」

 

気になった俺は聞いてみる

 

「当たり前じゃない。話を聞く限りじゃそんな奴月とは別人なんだし…もし何かの間違いで月がそんな目に遭うとしても僕が守って見せるわよ」

 

そういって胸を張る詠だったがやはり心のどこかでは不安なのだろう、肩が少し震えていた

 

「大丈夫。何かあったら俺が君たちを守るから」

 

そんな彼女不安を少しでも払えたらと肩を優しくマッサージする

 

「…ふん、あんたなんかに守られなくても僕一人で大丈夫よ」

 

不敵に笑って答える詠

だが多少は不安が晴れたのか、その顔は晴れ晴れとしていた

 

「まったく、人が心配してるっていうのに詠はツン子ちゃんだなあ」

 

「な、ちょっと!変な呼び方しないでくれる!?てかツン子ってなによ!!」

 

笑う俺と、怒る詠

俺の休日は騒がしく過ぎていくのだった…

幕間 華雄

 

「ほら、あまいわぁ!!」

 

「うわ!」

 

そういって華雄に倒される俺…いくらなんでもぼろ負けだった

なんせ華雄は左手一本で稽古用の短い木の棒を振るい、対する俺は両手でしかも模造剣だったのにまったく歯が立たなかったのだ

 

「いくらなんでも弱すぎるだろう、しっかりやっているのか?」

 

「全力でやってるって…華雄が強すぎるんだろ」

 

いって地面に寝そべる…ああ疲れた…

もうこのまま寝れそうなぐらいだ

 

「当然だろう、この武は私の誇りだ」

 

華雄も近くの木陰に腰掛ける

…会話が切れて静かになってしまったのでせっかくだから、と俺は前から気になっていたことを聞いてみた

 

「ねえ、華雄ってなんで真名がないんだ?」

 

いって少し後悔する…もし込み入った事情があったらまずいことを聞いてしまったかもしれない

少し間が開いて華雄が答える

 

「…私はもともと羌族…漢から見れば異民族との混血児でな。羌族は真名をもたないため、私には真名がないのだ」

 

「…ゴメンこんな事聞いちゃって」

 

「いや、気にすることはない漢でもこの様に国境の方になるとよくあることなんだ。」

 

しかしな…と華雄は続ける

 

「やはりいくら多くともそのような人間は避けられる…私も例外ではなかった。だが董卓様は違った、私を迎え入れてくれてこの武を振るう機会を与えてくれたのだ。実際軍部の多くが月様に拾われた者たちなんだ…さっき一刀は私のことを強いといったがそういう意味では董卓様に敵うものは居まい。」

 

「そっか、月らしいな」

 

「ああ…なあ一刀。お前は本気で董卓様を守りたいと思っているか?」

 

「…ああ、俺はあの子を守りたいと思ってるよ」

 

「そうか…では一刀、我々はここに誓おう、董卓様を守ると」

 

「ああ、全力で守ると誓う。そのためにも頑張らなきゃな!」

 

疲れた体に活を入れて起き上がる

 

「よし、そのいきだ!」

 

華雄も立ち上がって訓練を再開する

その日、俺が立てなくなるまで訓練は続くのだった…

おまけ

 

(涼州での戦闘後、翠達が城に帰った後のお話です)

 

匈奴との戦闘が終わり、一刀達と別れ私たちは城に戻ったのだがそこには予想外の人物が待っていた

 

「ああ翠、蒲公英。遅かったじゃないか」

 

なんとそこに待っていたのは母上…涼州太守、馬騰だった

 

「な、母上!?何でこんな所に!?病気じゃなかったのかよ!!」

 

母上を問い詰めると実は出陣の直前腰の痛みのため立ち上がれなくなり、そのまま自室で寝ていただけらしかった

しかもそれを知られるのが恥ずかしく私にまでいつもの持病だと嘘をついていたのだった

 

「ちょっと待て!!じゃあ私は母上の仮病のせいで死にかけたって言うのかよ!?」

 

「仮病とは失礼だな。ぎっくり腰も立派な病。医者もそういっておったぞ」

 

「そうだとしても私たちにまで隠さなくてもいいだろうが!!」

 

「蒲公英、知ってたよ?叔母様に口止めされてたけど」

 

「なっ…」

 

「まあまあ無事だったんだ。いいじゃないか」

 

「いいわけあるかー!!この馬鹿母上―!!」

 

「なんだとこの馬鹿娘!!」

 

そういって取っ組み合いの喧嘩を始める馬騰、馬超親子

そんなどっちもどっちな親子喧嘩に巻き込まれないよう遠くから見ている蒲公英だった…


 
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