No.140794

宇宙戦艦ヤマト 2001ALTERNATIVE

 宇宙戦艦ヤマトとマブラヴオルタネイティブによるクロスオーバーでございます。
  なお、この小説の企画に当たっては小説投稿サイト“Arcadia”に掲載されている“宇宙戦艦ヤマト2209”の設定を引用しております。
 無論ではありますが作者である“七猫伍長”氏の許諾は得ております。

 皆様のご意見ご感想お待ちしております。

2010-05-04 16:54:38 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:9919   閲覧ユーザー数:9665

 

 無限に広がる大宇宙、静寂な光に満ち溢れた世界。

 生まれ来る星、滅び行く星、命から命へと受け継がれる大宇宙の息吹は永遠に終わることはない。

 しかし、我々の知る宇宙とは異なる世界がある。

 人はそれを平行世界「パラレルワールド」と呼んだ。

 そう、大宇宙すら一つではないのだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 【西暦2001年12月24日09:00前橋上空】

 

 

 

 その空を征くのは巨大な戦艦(ふね)である。

 嘗て地球人類を幾多の危機から救った英雄艦の名を受け継ぐ戦艦(ふね)。

 その名は戦略指揮戦艦“ヤマトⅡ”。

 だが艦影はヤマトⅡ一隻ではない、それは総勢30隻以上の艦隊であった。

 2220年代の第一線級戦闘艦である“ヴァンガード級戦艦”、“ダンケルク級巡洋艦”、“タイプC型駆逐艦”そして“飛龍級戦略航空母艦”に“ガリバリディ級戦闘空母”、“桶狭間級強襲揚陸艦”等によって編成された“地球防衛軍第7機動艦隊”である。

 その中核であるヤマトⅡの左右に張り出した飛行甲板では色とりどりのベストを着たデッキクルーが艦載機の出撃準備に追われていた。

 所々から機械を起動させる音が響き始める。

 そこへパイロットスーツに身を固めた男が一機の戦闘機に向かって歩を進めていく。

 戦闘機の名は“SFA‐29C 烈風(通称、烈風32型)”、人類の英知の結晶とも言える最新鋭全領域戦闘機である。

 その垂直尾翼には真紅の雷光が誇らしげに描かれ朝日に輝いていた。

 その雷光を纏う者、“第161戦闘飛行隊(VFS‐161)CHARGERS(コールサイン:ROCK RIVERS)”。

 選び抜かれた12人の戦鬼達。

 地球人には平和と安息を、侵略者には破壊と殺戮を齎す死神達である。

 雷光の中に白く刻まれた“NF”のコード、即ち“第5空母航空団(CVW‐5)”。

 地球の人々は彼等を“Tip of the Sword(剣の切先)”と呼び絶対の信頼を寄せている。

 エンジン部には“EDSF(地球防衛宇宙軍)”と“EFS YAMATOⅡ”の文字。

 機首には“101”のナンバーが、キャノピー下には“ある名前”が刻まれていた。

 

 “PILOT COM TAKERU・SHIROGANE”、そう“白銀 武”即ち男の名前である。

 武は整備兵からリストを受け取ると手際良く機体のチェックを済ませていく。

 やがてコクピットに身を沈めハーネスで身体を固定した。

 そして電源を入れ機体を目覚めさせる。

 機体に命が吹き込まれる様に起動音が鳴り響く。

 フロントパネルを占める“MFD(MultiFunctionDisplay:多機能表示ディスプレイ)”に多種多様な情報が表示され始める。

 機体の状況や搭載した兵装が“JHMCS(Joint Helmet Mounted Cueing System)”に表示され総ての準備が整った事を武に告げた。

 

 「システムオールグリーン、ROCKS01発進準備よし!」

 

 「白銀中佐、貴様等が一番槍だ。みっともない真似だけはするなよ?」

 

 ディスプレイに表示されたウインドウに映るのは第5空母航空団司令“坂本 茂”大佐だ。

 

 「了解、“剣の切先”が伊達じゃない事を証明して見せます」

 

 武は静かにされど力強く答える。

 

 「解った、幸運を祈る」

 

 返答と同時にウインドウが閉じ通信が終了した。

 それを受けて武は機体周囲にいるデッキクルーに指示を出し車輪止めを外させキャノピーを閉じ待機。

 そこへ黄色いベストを着た機体誘導員が手信号で“我に従え”と告げる。

 その誘導に従い発艦位置に向かう。

 やがて機体は発艦位置につき前脚に“シャトル”がセットされた。

 “EMALS (Electromagnetic Aircraft Launch System)”と呼ばれる電磁カタパルトだ。

 烈風の主翼が展開、その姿はあたかも翼竜がその巨大な翼を広げる様にも見える。

 ついに烈風の外見的最大の特徴である“前進翼”がその姿を現した。 

 機体は発艦姿勢で固定され後部から“防炎壁(バリアー)”が起き上がり準備が整った事を告げる。

 武は右手で親指を立て緑のベストを着たカタパルト士官に“準備よし”と伝え敬礼した。

 

 「進路クリアー、発艦どうぞ。白銀中佐、幸運を!」

 

 「感謝する」

 

 それを受けてカタパルト士官の右腕が軽く振り下ろされる。

 その瞬間、“F2000‐WE‐300”波動エンジンが咆哮を上げ電磁カタパルトと共に全備重量42.3tに及ぶ烈風の機体を僅か1.5秒で空へ蹴り上げた。

 発艦の勢いそのまま一気に高度12,000mまで駆け上がる。

 左右両翼のカタパルトから次々と烈風が発艦して行く。

 一個飛行隊が発艦を終えるのに僅か数分。

 VFS‐161はヤマトⅡ上空で編隊を組み目標へと向かう。

 

 「ROCKS01より“ROCK RIVERS”へ、佐渡まで“プレゼント”を届けに行くぞ遅れるな!」

 

 「「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」」

 

 そう、“佐渡島”へ!

 

 

 

 

 

 

 

 宇宙戦艦ヤマト2001ALTERNATIVE

 

 ACT1-1:佐渡島攻防戦1

 

 

 

 

 

 

 【同日同時刻、佐渡島 大地山付近 】

 

 「ヴァルキリー01よりヴァルキリーズへ、皆生きているか?」

 

 「ヴァルキリー02問題ないわ」

 

 「ヴァルキリー03問題ない」

 

 「ヴァルキリー04大丈夫です」

 

 「ヴァルキリー05異常ありません」

 

 「ヴァルキリー06問題ありません」

 

 「ヴァルキリー07異常なし」

 

 「ヴァルキリー08大丈夫で~す」

 

 「ヴァルキリー09だ、大丈夫・・・・・です」

 

 「ヴァルキリー10異常ありません」

 

 「ヴァルキリー11問題なし」

 

 「ヴァルキリー12な、何とか・・・・・・」

 

 そこはさながら地獄の坩堝の更にそのどん底と言う情況を呈している。

 ほぼ上陸した全部隊が総崩れとなっている中、たった一個中隊12機の“94式戦術歩行戦闘機 不知火”が孤軍奮闘していた。

 本来ならば“G弾(五次元効果爆弾:FDEB)”による集中攻撃によってハイヴの上部構造物諸共地上のBETAを一網打尽にする筈であった。

 しかし、その頼みの綱であった筈のG弾が完膚なきまでに無力化されてしまったのだ。

 明らかにBETAの対応能力は向上している。

 それに対する人類側の対応は余りにもお粗末過ぎた。

 何時しか作り上げた“G弾神話”に溺れ国家間のゼロサムゲームに現を抜かした結果がこれである。

 だがその時点で撤退を決断してさえいればこの様な状況になどなりはしないだろう。

 にもかかわらず作戦の全指揮を任されているアメリカ軍の提督は国連の場で大見得を切った手前引き返すに引き返せない上に“国防総省(ペンタゴン)”からの指示は・・・・・・・・。

 

 「現状の戦力でなんとしても佐渡を堕とせ」であった。

 

 ワシントンDC の住人達は保身の為に自分達を切り捨てたのだ。

 かくして半ば無理矢理この哀れな提督は“落とし前”を付けさせられる事となったのである。

 この様に無様な醜態を曝す程人類側の人材も枯渇しつつあった。

 最早人類に未来は無いのかも知れない。

 そんな絶望的な状況にあっても12人の戦乙女達は死中に活路を求め奮闘する。

 が、しかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 「ヴァルキリーマムよりヴァルキリーズへ、国府川方面からBETA多数そちらに向かって押し寄せて来ます。個体数は・・・・・・・・・・計測不能!逃げて、皆逃げてェェェェェェェッ!!!!!」

 

 CP将校の声も最後は悲鳴に変わっていた。

 

 「ヴァルキリー01よりヴァルキリーズへ。聞いての通りだ、撤退する」

 

 「「「「「「「「「「了解」」」」」」」」」

 

 「わ、わたしは・・・・・・・・」

 

 「どうした、ヴァルキリー11」

 

 「わたしは逃げたくない!」

 

 「彩峰ッ!」

 

 「よせッ、貴様一人でどうにかなるとでも思っているのか!」

 

 ヴァルキリー01“伊隅 みちる”大尉が一人吶喊しようとするヴァルキリー11“彩峰 慧”少尉を諌める。

 

 「今は生き残る事だけを考えろ、ここで死んだらそれこそ犬死だぞ!」

 

 「しかし!」

 

 慧も諦め切れずに反論するが。

 

 「彩峰、A‐01隊規復唱!」

 

 「?」

 

 「どうした、早く復唱しないか!」

 

 「・・・・・・・・し、・・・・・・死力を尽くして任務にあたれ、生ある限り最善を尽くせ、決して犬死はするな」

 

 「そうだ、貴様の命は貴様一人の物ではない。その事を忘れるな」

 

 そう、みちるは敢えて隊規を復唱させることにより慧に自らの立場を思い出させたのだ。

 

 「り・・・・・・・・・・・、了解・・・・・」

 

 慧もまたみちるの意向を察したらしく渋々ながらも返答した。

 

 『武・・・・・・・・そなたは今何処に・・・・・・・・』

 

 その最中ヴァルキリー10“御剣 冥夜”は一人愛しき者に想いを馳せるのだった。

 そこへ迫り来る異形の群。

 地球上の生態系を、生物の進化を嘲笑うかの如き理不尽が大地を埋め尽くし津波のように押し寄せる。

 恰もそれはおぞましき肉の絨毯、一部たりとも大地が、地面が見えない。

 立ちはだかる総てを蹂躙し喰らい尽す蝗の群の如く12人の戦乙女に襲い掛からんがばかりだ。

 

 「総員撤収!急げ!!」

 

 「「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」」

 

 12人の戦乙女は全速力での退却を試みるがしかし。

 彼女達が向かう方向からも絶対的な理不尽が絶望を引き連れて押し寄せてきたのだ。

 かくして見渡す限り360°の範囲が総てBETAに埋め尽くされたのである。

 最早彼女達の退路も断たれた。

 彼女達は群の中に見た事もない種がいるのに気付く。

 それこそG弾が無力化された理由である。

 外見は“要塞級”を半分位にサイズダウンした感じとなっており巨大な6本の足と頭部から尾部にかけて林立する巨大な“鰭”が特徴的だ。

 頭部と思しき場所には巨大な複眼が怪しげな光を放つ。

 敢えて言うなら茶褐色が特徴のしぶとい生命力を持つ昆虫に良く似ている(それに大きい鰭を付ければもっと似てくるが)。

 個体数はそう多くはない(他の種と比較した場合ではあるが)。

 突如その種の複眼から彼女達めがけ光が照射される。

 

 そして・・・・・・・・・・。

 

 光を浴びた12機の不知火が一機残らず地に倒れ臥した。

 即ちその光は“電磁パルス”である。

 

 「う、動かない?」

 

 「ヴァルキリー01よりヴァルキリーズ聞こえるか、みんな無事か!」

 

 「ヴァルキリー02無事です、通信系は大丈夫みたい」

 

 「ヴァルキリー03こっちも今の所は大丈夫、光学系の外部センサーも生きてるけど・・・・・・・・・・」

 

 「ヴァルキリー04とりあえず無事です、しかしそれ以外のシステムは総てダウンしてますが」

 

 「ヴァルキリー05生きてます、“S・D・D(Self-Destruction Device:自決装置)”も使用不能!」

 

 「ヴァルキリー06無事です、手動での脱出も出来ません」

 

 「ヴァルキリー07自分は無事ですが・・・・・通信系も光学センサーもこちらの操作を受け付けません」

 

 「ヴァルキリー08僕は大丈夫、だけど身体が動かない・・・・・・・」

 

 「ヴァルキリー09・・・・・大丈夫です・・・・・」

 

 「ヴァルキリー10大事ありません」

 

 「ヴァルキリー11・・・・すみません・・・・」

 

 「ヴァルキリー12生きてま~~す」

 

 『くそっ奴等め・・・・・・一体どう言うつもりだ?』

 

 みちるはBETAの真意を掴みかねていた。

 あの新種は任意の所だけを無力化出来る能力を持つらしい。

 ならば何故通信系と外部光学センサーを生かしたままにしておくのか。

 それは程なく否応のない現実として彼女達に突きつけられた。

 身動きの取れない12機の不知火にゆっくりと“戦車級”や“兵士級”が近付いてくる。

 あたかも彼女達にじっくり恐怖を味あわせるかのように・・・・・・・・。

 そう、あの新種は戦術機のシステムをも“乗っ取った”のである。

 その瞬間唐突に彼女達は理解した、奴等は自分達を“捕獲”するつもりなのだと。

 

 「いや・・・・・・いやいやいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!」

 

 誰かが耐え切れず絶叫する。

 みちる自身も舌を噛み切り自決する誘惑に狩られ始めた。

 それでも彼女自身に染み付いた衛士としての矜持がそれを思い留まらせる。

 他のメンバーも同様だった。

 外部通信からはCP将校である“ヴァルキリーマム、涼宮 遙”の涙交じりの叫びも聞こえる。

 

 「ヴァルキリー01よりヴァルキリーマム・・・・・我々は動けない・・・・BETAにシステムを乗っ取られた・・・・・・・」

 

 CPに報告するみちるの両頬にも何時しか涙が伝う。

 いわば自分達は奴等の“慰み物”と成り果てたのだ。 

 同時にこれが自分達にとって“始まり”でしかない事も。

 

 「・・・・・・ごめん・・・・・・・ごめ・・ん・・・・なさ・・・・い・・・・・」

 

 慧はひたすら皆に詫び続けた。

 

 「もういい・・・・・・・誰も貴様を責めはしない・・・・・」

 

 この絶望の中にあってもみちるは部下を気遣う。

 そして冥夜も自機のコクピットで他のメンバー同様身動きもとれず無念の涙を流す。

 

 『・・・・・・・・すまぬ武・・・・・・・そなたとの約束・・・果たせそうに無い』

 

 ただ心の中で想い人に詫び続けた。

 万事休す、此の侭座して死を待つのみか?

 

 否、断じて否!!

 

 「皆、待たせたな!」

 

 突如飛び込んできた通信、これこそが彼女達に差し伸べられた救いの手であった。

 

 「こちら地球防衛軍第161戦闘飛行隊隊長“白銀 武”中佐だ、A‐01はその場で待機していてくれ。これから物騒なプレゼントをばら撒くから目を閉じろ!」

 

 「・・・・・・・・こちらA‐01了解、感謝します」

 

 みちるは武に感謝の意を伝えた。

 

 『武!・・・・・・・・・・武!!!』

 

 冥夜は待ち人の訪れに希望の光を見たのである。

 

 

 【佐渡島上空高度12,000m 09:15】

 

 

 12機の烈風が小隊毎に“フィンガーチップ”編隊を組み佐渡島上空に到達した。

 光線級や重光線級BETAによる対空迎撃は行われているようだが何故か見当違いの方向に向かっている様子。

 

 『流石は烈風と言うべきか・・・・・・・・・・・』

 

 武は感心していた。 

 23世紀の結晶たる烈風がBETAごときに後れを取る筈もない。

 言わばBETAは烈風の“残像”を狙っているに過ぎないのだ。

 

 「ROCKS01よりROCK RIVERSへ、一気に蹴散らすぞ!!」

 

 そう言うや武は烈風を逆落としで急降下させた。

 

 「「「「「「「「「「「了解!!!!」」」」」」」」」」」

 

 彼の部下も間髪入れずそれに続く。

 さながら瞬間移動の如く烈風はBETAの群に近付いて行く。

 

 「メリークリスマス、Fuck’nBETA共! 俺達ROCK RIVERSがご機嫌なプレゼントを持ってきたぜ!!!」

 

 機体の兵装ハッチを展開させ“GBU‐98 クラスター爆弾”の投下体制を整える。

 

 「さあ、受け取れェェェッ!!!!!!!!」

 

 そう言い放つや投下ボタンを押し込んだ。

 

 機体から離れた爆弾は分解、多数の小型爆弾を撒布していく。

 

 そして・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 BETAの群の真上で爆弾が炸裂、一つ一つがその小柄なサイズからは想像つかない破壊力を持つエネルギーを開放したのだ。

 無論それは波動エネルギーである。

 開放された波動エネルギーが肉絨毯を容赦なく蹂躙していく。

 それは絶望の闇に閉ざされた“この世界”の人類にとって正に希望と言う名の黎明であった。

 

 

 

 

 

 

 ToBeNext

 

 

 

 今回は自分のもう一つのライフワークである二次創作小説をお送り致しました。

 皆様もお気づきの通り宇宙戦艦ヤマトとマブラヴオルタネイティブによるクロスオーバーでございます。

 まずは“掴み”と言う事で佐渡島を持ってきました。

 

 なお、この小説の企画に当たっては小説投稿サイト“Arcadia”に掲載されている“宇宙戦艦ヤマト2209”の設定を引用しております。

 無論ではありますが作者である“七猫伍長”氏の許諾は得ております。

 

 皆様のご意見ご感想お待ちしております。

 

 
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