No.140786

真・恋姫無双アナザーストーリー 雪蓮√ 今傍に行きます 第12話

葉月さん

前回の続きになります。
風邪で寝ている優未に思いもよらないサプライズが!
奥付で前回の投票結果を載せています。
栄えある一位に輝いたのは?
2010/05/04:誤字修正(多くてすいません

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2010-05-04 16:13:50 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:6872   閲覧ユーザー数:5544

真・恋姫無双アナザーストーリー 

雪蓮√ 今傍に行きます 第12話

 

 

 

 

一刀は部屋から出て行くと雪蓮と優未の二人きりになった

 

「えへへ、お見舞いに来てくれるとは思わなかった」

 

「もうビックリしたわよ。所で優未はあの理事長と知り合いだったの?」

 

「え゛……あ~、うん、まあね。このマンションを手配してくれたのがあの人だから」

 

優未は苦笑いを浮かべながら話した

 

「へ~、にしても随分とセンスがいいのね。見た目がああなのに」

 

「いや~それがね。最初は酷かったよ。部屋中ピンクで屋根付きベットだったし」

 

「……それは流石に……よくここまで落ち着かせたわね」

 

「結構大変だったよ。そのおかげもあって内装には少し詳しくなったんだけどね」

 

暫く他愛もない会話をしていると急に優未の様子がおかしくなった

 

「優未、どうかしたの?」

 

「……え?な、なんでもないよ……ちょっとはしゃいで疲れただけだよ……」

 

そうは言ったものの雪蓮には優未が明らかに苦しんでいるように見えた

 

「……そう?ならいいけど、ちょっとお手洗い貸してもらうわね」

 

「う、うん……いいよ……」

 

雪蓮は立ち上がり部屋から出て行くと優未は胸を押さえて肩で大きく息を吸った

 

「はぁ、はぁ……くっ!し、雪蓮に気使わせちゃったかな……」

 

優未は胸を押さえながら雪蓮が出て行った部屋の扉を見て感謝していた

 

「……」

 

雪蓮は部屋から出てくると何もせずに、ただ扉の前でたたずんでいた

 

(やっぱり、聞かないほうが言いのかしらね……)

 

雪蓮にはある程度、優未に何が起こっているのか判っていた。いや、感じ取っていた

 

「……はぁ、考えても仕方ないことね。優未が話してくれない事には」

 

雪蓮は溜息を一つ吐いて部屋で苦しんでいるであろう優未を思う

 

(どうしたものかしらね……あの理事長、なにか知ってそうだったけど素直に教えてくれるのやら)

 

雪蓮は取り合えず、部屋には直ぐに入ることはせず暫く時間を潰してから入ることにした

 

「それにしても広い部屋ね。一人暮らしにしては贅沢過ぎじゃないかしら?」

 

雪蓮は広いリビングを見て呆れていた

 

「夏に行った琳の別荘ほどじゃないけど、それでも十分広いわね」

 

「……ん?」

 

雪蓮は部屋を見回しながら一つの写真立てに目が留まった

 

「これは……」

 

雪蓮は写真を見て驚きを隠せなかった

 

「ありえない……あの時代に写真なんて無いはず……でも、これは確かに建業の町並み……」

 

それはこの時代では到底ありえない写真だった

 

「見てしまったのね」

 

「っ?!」

 

行き成り後ろから声が聞こえ驚き振り向くとピンクのビキニ姿の巨漢、貂蝉が立っていた

 

「余り大きな声をだしちゃだめよ。優未ちゃんが起きて来てしまうわ」

 

「……いつの間に私の背後にたったの?」

 

「あらあら、随分な覇気ね。流石は江東の麒麟児、孫伯符ってところかしらん?」

 

「っ?!……理事長、いいえ、あなたは何者なの。何処まで知っているのかしら」

 

「ここじゃなんだからちょっと外を歩かないかしら?大丈夫よ、10分くらいお話しするくらいだから直ぐに戻ってこれるわ。それにご主人様もまだ帰ってこないようだしね」

 

「……」

 

貂蝉がご主人様と言うと雪蓮の目つきはさらにきつくなった

 

「あら怖いわ。とって食べようなんて思ってないから安心なさい。食べる時は堂々と食べるわよ。どぅふふ♪」

 

『~っ?!な、なんだ。今の寒気は……俺も、優未のが移ったのかな』

 

丁度その頃、一刀は今までに感じたことの無い寒気を感じていた

 

「優未?」

 

雪蓮はドア越しから優未に話しかけた

 

『どうしたの雪蓮?』

 

「ちょっと飲み物かって来るけど何か要る?」

 

『それならお茶買って来て~、後お菓子も~~~』

 

「お菓子は却下よ。お茶なら何でもいいわね」

 

『ちぇ~。出来れば緑茶じゃないのがいい~』

 

「判ったわ。鍵閉めていくからね」

 

『は~い』

 

優未との会話を終え、雪蓮は貂蝉に向き直った

 

「なら行きましょうか。私が納得するまでは返さないわよ」

 

「手厳しいわね。もっとお手柔らかにお願いするわ」

 

「それは、あなた次第よ」

 

そう言うと雪蓮は貂蝉の横を抜け玄関へと歩いていった

 

「……管輅ちゃんにもお願いしようかしらね」

 

貂蝉は目を閉じ、何かを念じ始めた

 

「何しているの?早く来なさいよ」

 

「わかったわよう。もう、人使いが荒いわね、雪蓮ちゃんは」

 

貂蝉は体をくねらせて玄関から出た

 

「それじゃ、下の公園にでも行きましょう。もう一人助っ人を呼んだから」

 

「助っ人?」

 

雪蓮は一瞬、嫌な顔をしたが貂蝉が歩き出したので渋々着いて行った

 

「お久しぶりです、孫策さま。いえ、雪蓮さま」

 

そこに待っていたのは以前、資料館で見た女性だった

 

「あなたが居るということはりじ……貂蝉も監視者なの?」

 

「はい、その通りです」

 

「厳密には剪定者よ。管輅ちゃんとは違うわね」

 

「ええ、わたくしはあくまで管理者。外史を管理しているだけです」

 

「でも占い師でしょ?」

 

「それは趣味です♪」

 

「……」

 

笑顔でさらりとありえないことを言う管輅

 

「趣味で人の人生を決めていいの」

 

「ああ、その点はご安心ください。私の占いは大局の流れに沿ったものだけです。出鱈目な事を言っているわけではありませんわ」

 

「それじゃ、あの占いも」

 

「ええ、ですが北郷さんがあの場所に落ちるように仕向けたのは私ですが」

 

管輅は笑顔で答える

 

「……笑顔ですごい事言うわね」

 

「ですが、そのおかげで北郷さんは呉へ降り立ったのですから良いではありませんか」

 

「まあ、おかげで楽しい日々だったわよ。一刀が居る生活はね。今までの灰色の人生に彩がついたみたいだったわ」

 

雪蓮は自然に笑顔になり、それを見ていた管輅や貂蝉もその笑顔を見て満足していた

 

「それはなによりです。では、優未さんについて説明いたしましょうか」

 

管輅が優未の話を持ち出すと当たりは一気に緊張した空気に包まれた

 

「ええ、優未の家で見たあの写真と、優未に今起きている状況について説明して貰いましょうか。」

 

「それでは説明しましょうか」

 

管輅は説明を始めた

 

「優未さんはこの世界の人間ではありません」

 

「やっぱりそうだったのね」

 

「おや、驚かないのですね」

 

「そりゃね。薄々感じてはいたわ」

 

「流石は孫伯符と言った所ですか。それとも勘ですか?」

 

「さあ、どちらでしょうね」

 

雪蓮はとぼける様に肩をすくめる

 

「ですが彼女は管理者でも剪定者でもありません」

 

「それじゃ私達と同じ」

 

「そう言いたいのですが違います」

 

「優未ちゃんは外史の人間でもないのよ」

 

貂蝉が会話に入ってくる

 

「優未ちゃんはあなたから生まれたのよ」

 

「私から?どういうことよ」

 

「優未さんは雪蓮さん、あなたの記憶から生まれたのです」

 

「私の、記憶から?」

 

「優未さんは何処と無くあなたに似ているところがあると思いませんでしたか?」

 

「え、ええ。確かにたまに感じてはいたけど」

 

「それは、孫策としてあの時代を生きた頃のあなたの記憶を引き継いでいます」

 

「?なんでそんなことをしたのよ」

 

「それは正史の者が望んでいなかったからです」

 

「……その正史って何がしたいのよ」

 

雪蓮は不機嫌そうに言った

 

「そうわ言われましてもそこまではわたくし達の管轄外ですのでなんとも」

 

管輅は苦笑いを浮かべ答えた

 

「だから記憶を封印し、一部を優未ちゃんの器として体を構成させたのよん」

 

「ちょっと待って?今、記憶の一部を体の構成に使ったって言ったわよね?」

 

「ええ、言ったわよん」

 

「それって私の記憶が戻った今……」

 

「ご想像通りです。優未さんの器……体が保てなくなって来ています」

 

「そんなっ?!」

 

雪蓮はその場に立ち尽くしてしまった

 

「時々、苦しむような仕草を優未さんはしていませんでしたか?」

 

「それは……」

 

雪蓮にはつい先ほどの優未の様子も含め、確かに思い当たる節がいくつかあった

 

「どうやら、あるようですね」

 

「……」

 

雪蓮は何も答えなかったが管輅はそれを肯定の意味と捉え話を進めた

 

「結論から言いましょう。優未さんは何れ、この世界から消えてしまいます」

 

「っ?!」

 

雪蓮は判っていたこととはいえショックを隠しきれなかった

 

「ですが、優未さんが苦しんでいるのは私のせいでもあるのです」

 

「……どういうことよ」

 

「優未さんは首にネックレスを提げていませんでしたか?」

 

「ええ、確かに提げていたけどそれが?」

 

「はい、実は優未さんはあなたの記憶が戻った時に実は消えるはずだったのです」

 

「そこで、わたくしは優未さんにそのネックレスを渡しました」

 

「そのネックレスは、暫くこの世界に留まらせておける法具です」

 

「ですが……」

 

「効果を得るにはそれなりの対価がいる、と?」

 

「はい、ネックレスの対価は装備者に苦痛をしいること。ですがあの法具も万能ではありません」

 

「……」

 

「徐々にですが優未さんはこの世界から消えようとしています。こればかりはどうにも出来ません」

 

「一つ聞いていいかしら」

 

「どうぞ」

 

「なぜ、あのネックレスを渡したの?」

 

「それは優未さんが望んだことです。この世界に少しでも長く居たい、と」

 

「苦痛になりながらもこの世界に居たいとか馬鹿よ……」

 

雪蓮は力強く手を握り締める

 

「では、雪蓮さんに聞きましょう。もし、あなたがこの世界から消えてしまうと言われたらどうしますか?」

 

「……そうね、私もきっと優未と同じことするわね……結局、私も馬鹿なのかも」

 

雪蓮は納得したように微笑む

 

「ふふふ、誰しも好いた人からは離れたくないものですよ」

 

「確かにそうね。私も一刀とはもう一生離れたく無いわ……」

 

「一つよろしいでしょうか?」

 

「ん?なにかしら?」

 

「一刀さんとはどこまでいったのですか?」

 

「ぶっ!」

 

雪蓮はおもわず噴出してしまった

 

「ちょ!行き成り何を聞いているのよ」

 

「あらあら、あちらの世界では大胆にも一刀さんを閨に引き入れて襲ったのではありませんでしたか?」

 

管輅は笑いながら雪蓮に言った

 

「い、いや……あれは、戦闘で体が高揚してて……その……」

 

「初々しいですね。どうやらこちらの世界ではまだ、のようですね」

 

「そ、そうよ。悪いかしら?」

 

「いいえ。羨ましく思っただけですよ」

 

管輅は微笑みながら答えた

 

「さて、わたくしのお話はこれでおしまいですが、何か聞きたいことはございますか?」

 

「特に無いわ……あ~、一つだけ。貂蝉ってあれは人間なの?」

 

「あれでも人間ですよ、困ったことに」

 

いつの間にか居なくなった貂蝉に対し、管輅は苦笑いを浮かべていると

 

「どぅあれが、変態ムキムキの公然わいせつ罪人間ですとぅええええ!」

 

地響きと共に貂蝉が雪蓮と管輅の元に走ってきた

 

「誰もそんなことは言っていませんよ。ただ、あなたが化物だと言っただけです」

 

「ちどいわ!こんな麗しい漢女にそんな事いうなんて!」

 

貂蝉は何処からか取り出したハンカチの端を噛む

 

「見苦しいですよ貂蝉。わたくしたちの見えないところで泣いてください」

 

「容赦ないわね。あなた」

 

「いつものことですからお気になさらずに」

 

「そ、そう。ならいいけど……そろそろ戻るわ。遅くなりすぎると優未も心配するだろうし」

 

「ええ。そうしてください……はら、貂蝉。渡すものがあるでしょ」

 

雪蓮たちの見えないところで貂蝉は女々しく泣いていた

 

「ぐすん、管輅ちゃんは相変わらず酷いわね……はい、優未ちゃんが頼んでいたお茶よ」

 

貂蝉は雪蓮にお茶のペットボトルを手渡してきた

 

「もしかして、いつの間にか居なかったのはこれを買ってくる為だったの?」

 

「そうよ、お話が長くなりそうだったから。それに話に加わるほどの事でもないわ。逆に混乱してしまうから」

 

「そう、ごめんなさいね。あ、お茶のお金……」

 

「いいのよ。気にしなくても、せめてもの罪滅ぼしと思って頂戴。全然足りないんだけどね」

 

貂蝉はウィンクをするが雪蓮は即行で目を背けた

 

「それじゃ、私は戻るわ。色々聞かせてもらってありがとうね」

 

「いいえ。何か相談するようなことがあればいつでもおよび下さい。女同士でなければ話せないこともあるでしょう」

 

「ええ、そうさせてもらうわ……あ、でも、あなたの電話番号とか知らないわよ」

 

「そうでしたね。残念ながらこの時代の通信手段は持っていないので何かあれば貂蝉に言ってください。こちらから伺わせて頂きますわ」

 

「わかったわ。それじゃあね」

 

雪蓮は手を振り、貂蝉と管輅に別れを告げた

 

「お待たせ優未」

 

「あ、お帰り雪蓮」

 

部屋に戻ると優未さ先ほどの苦しさは治まっているようだった

 

「一刀はまだ見たいね。どこまで買いにいったのかしら。はい、これ」

 

「ありがと~。やっぱり、お菓子は買って来てくれなかったんだね」

 

「当たり前でしょ?そんなことより横になってなくていいの?」

 

「うん、熱も下がってきたし、寝てばかりだと背中が痛くなるからさ」

 

「そう。余り無理はしちゃだめよ」

 

「わかってるよ~。自分の事くらいさ」

 

「本当にわかってるんだか……」

 

雪蓮は小声で愚痴を零した

 

「え?」

 

「っ!なんでもないわ。それより、こんな広いマンション一人で居て寂しくないの?」

 

「そうでもないよ。部屋の掃除が大変なくらいだけかな」

 

「確かに大変そうね。ヘルパーとかに頼まないの?」

 

「そんなお金の無駄遣いなんて出来ないよ~」

 

「それもそうね」

 

「うんうん。お金は大事だからね」

 

雪蓮と優未が雑談に花を咲かせていると

 

(ピンポーン)

 

「あ、一刀が帰ってきたのかしら、ちょっと行って来るわね。大人しくしてるのよ」

 

「判ってるってば。もう、おせっかい焼きだな~雪蓮は」

 

雪蓮は優未へ念を押すと玄関へと向かった

 

「はぁ~。疲れた」

 

「お帰り一刀。随分と遅かったわね」

 

「うん、まあね。ちょっと色々と買いすぎちゃってさ」

 

「ふ~ん……あ、持つわよ」

 

「ありがとう雪蓮。はい」

 

一刀は比較的重くない袋を雪蓮に渡す

 

「もう、気にしなくいいからそっちをよこしなさいよ」

 

「うええ?!流石にいいよ。ほら、それより優未についていてあげててよ!」

 

一刀は慌てながら雪蓮に優未のそばに居てあげてと言った

 

「……怪しいわね。何企んでいるの一刀」

 

「べ、別に何も」

 

「本当かしら?」

 

「い、いいからほら、荷物は自分で持つから。雪蓮は優未の傍に居てあげててよ」

 

「……はぁ、仕方ないわね。判ったわよ、一刀の言うとおりにしてあげる。でも、これだけは台所に持って行くからね」

 

雪蓮は仕方なく妥協して手渡された荷物を台所へと運んでいった

 

「これでよしっと。他に手伝うことある?」

 

「大丈夫だよ。ありがとう雪蓮」

 

「そう。なら、私は優未の傍に居るから何かあったら呼んでね」

 

「ああ、そうさせてもらうよ」

 

雪蓮は優未の部屋の前のドアで振り向き

 

「私も今日はここで食べていくから、私の分もよろしくね♪」

 

雪蓮はウィンクをすると一刀は苦笑いを浮かべながら

 

「そう言うだろうと思って多めに買ってきてあるよ」

 

「さっすが一刀!いいお婿さんになるわよ」

 

「ははは。なら、雪蓮は可愛らしいお嫁さんかな」

 

「あら、判ってるじゃない。そうよ、私は可愛いんだから確り抱き締めておかないとどっかに行っちゃうわよ?」

 

「それは困ったな。気をつけておかないとな」

 

一刀は笑いながら答えるが本気にはしていないようだった

 

「まったく、どこまで鈍感なのかしらね。一刀以外に好きな人なんて居ないのに」

 

雪蓮の方も半分冗談で言っているので本気にはしていなかった、が

 

「ホント、雪蓮みたいな可愛い娘が俺の彼女だといいのにな」

 

雪蓮が優未の部屋に入る寸前の所で一刀はボソリと呟いた

 

「……え?」

 

「ん?雪蓮そんな所に突っ立ってどうしたの?」

 

雪蓮は振り返り今言っていたことをもう一度聞き返そうとしたがすでに部屋と扉を開けていたので優未が不思議そうに声をかけてきた

 

「な、なんでもないわよ。今から作るみたいだからもう少し待ってましょ」

 

「うん。一刀君の手料理か~。楽しみだな~~~」

 

「え、ええそうね」

 

雪蓮は先ほどの一刀の言葉が頭の中で繰り返し再生されていた

 

『雪蓮みたいな可愛い娘が俺の彼女だといいのにな。雪蓮みたいな可愛い娘が俺の彼女だといいのにな』

 

(か、一刀がそんなことを言うとは思わなかったわ。きっと聞こえていないと思って言ったんだろうけど、私の耳はものすごくいいのよね)

 

雪蓮は顔を赤らめてボーっとしていると

 

「雪蓮?なんだか顔が赤いけど……もしかして、私の風邪移しちゃった?!」

 

「だ、大丈夫よ風邪なんかじゃないから気にしないで」

 

「そ、そう?ならいいけど……」

 

納得はしていなかったが雪蓮が大丈夫と言っているのでそれ以上追求はしなかった

 

優未が首をかしげ、雪蓮が顔を赤くしていると隣の部屋からいい匂いがしてきた

 

「あ~。いい匂い……これじゃお腹が(ぐぅ~~)……鳴っちゃったよ」

 

隣の部屋から匂って来る匂いに優未は食欲をそそられお腹が鳴った

 

「もう少し我慢してなさい。もう直ぐで出来るはずよ」

 

「え~。我慢できないよ~~だってこんなにいい匂いなのに」

 

優未は鼻をひくつかせて今にもベットから抜け出そうにしている

 

「ほら、優未。落ちるわよ大人しく寝て(くぅ~~)……」

 

どこからとも無くお腹の鳴る音が聞こえ優未はニヤリと笑うと

 

「あっれ~~~?今の私のお腹の音じゃないんだけど、誰のかな~~~?」

 

「……」

 

雪蓮は顔を赤くしていた

 

「あれれ?雪蓮、どうしたのかな~~?」

 

優未が雪蓮の顔を覗こうとした時

 

「あ痛っ!雪蓮が殴った~~~!たんこぶが出来たよ~」

 

優未は頭を抑えて目じりに涙を滲ませていた

 

「あんたが余計なこと言うからでしょ」

 

「うぅ~。だからって病人なんだから労わってよ~」

 

「優未にはそんなの必要ないわよ」

 

「うえ~ん!雪蓮が苛める!いいもん、あとで一刀君に言いつけてやるんだから!」

 

「っ?!そ、そんなことで私は謝ったりはしないわよ」

 

「あれ?あれれれれ?今、一緒躊躇ったでしょ?」

 

「そんな事無いわよ。いいから寝てなさい!」

 

「え~、そんなのやだ~~。まだ起きてる~~」

 

「い、い、か、ら!」

 

雪蓮は半強制的に優未を横にする

 

「ぶー」

 

優未は口を尖らせて不機嫌そうにしていた

 

(コンコン)

 

暫くすると部屋のドアにノックする音が聞こえた

 

『優未、雪蓮出来たよ。開けてくれるかな』

 

どうやら両手が塞がっているらしく一刀は部屋を開けるように言った

 

「待ってました!雪蓮早く開けて来てよ。楽しみだな~」

 

「まったく、人使いが荒いわね……」

 

雪蓮は苦笑いを浮かべながらドアへと歩いて行き開けると一刀がお盆を持って立っていた

 

「お待たせ。さ、食べようか熱いうちにね」

 

「ええ。ん~、本当にいい匂いね」

 

「ねえ!早く食べようよ~そんな所に立ってないでさ!」

 

優未が待ちきれずに急かすので一刀と雪蓮は笑いながら優未が座っているベットに向かった

 

「美味しそう!食べていい?食べていい?」

 

土鍋の蓋を開けると湯気が広がり中から熱々の雑炊が姿を現した

 

「優未少しは落ち着きなさい。逃げたりしないんだから」

 

「えへへ♪だって美味しそうなんだもん」

 

「ははは、美味しいかどうかは判らないけどね……はい」

 

一刀は笑いながら雑炊を器によそい優未に手渡す

 

「一刀君が作ってくれたんだから美味しいに決まってるよ。ね、雪蓮」

 

「食べられないものなら無理やり一刀の口に流し込んであげるけどね♪」

 

「そうならないように作ったつもりだけどね……はい、雪蓮も」

 

「ありがとう。さ、頂きましょうか」

 

「「「いただきまーす」」」

 

「ふー、ふー、はむ、はふ、はふ」

 

「……」

 

一刀は二人が食べているところをじっと見つめ

 

「んっ!おいしい!これ美味しいよ一刀君!」

 

「ええ、まさかこんなに美味しいとは思わなかったわ」

 

優未も雪蓮もおいしいと笑顔で褒めていた

 

「そっか、口に合って良かったよ……んっ!うまい」

 

一刀も美味しそうに食べてくれる二人を見て笑顔になりながら雑炊を食べた

 

「まさか、一刀にあれだけの腕があるとは思わなかったわ」

 

「ははは、寮暮らしだからね、偶には自炊してるからかな」

 

「一刀君おかわり~~」

 

「おっ、了解。それにしてもこんなに美味しそうに食べてくれるとは思わなかったよ」

 

「美味しいものを美味しいって言ってるだけよ。もう少し自信を持ちなさい。一刀は少し謙虚過ぎるわ」

 

「そうそう、もっとドーンと構えてさ!あ、ありがとう」

 

「ははは、不動先輩にも同じ事を言われたな」

 

「「むっ」」

 

「いひゃひゃ、にゃ、にゃんで?!」

 

一刀は雪蓮と優未から頬を同時に抓られた

 

「もう、一刀?女性の前で違う女性の話なんてするものじゃないわよ」

 

「そうそう。一刀君ってそう言うところ抜けてるよね」

 

二人に散々言われ一刀は少し凹み気味になった

 

そんな一刀を尻目に二人は一刀が作った雑炊を完食した

 

「は~、美味しかった!また、一刀君に雑炊作って貰いたいな~」

 

優未は満足そうにお腹を擦りベットに横になる

 

「そうね、私もまた食べたいわね」

 

雪蓮は食器をお盆に載せて片付けていた

 

「そう言われると作ったかいがあったよ。あ、俺が持って行くからいいよ」

 

一刀は満足そうに微笑むと雪蓮が食器を台所に持っていこうとしていたので自分で行くとお盆を持った

 

「ありがとう。手伝いましょうか?」

 

「いいよ。これくらいなら直ぐに終わるから。優未と待ってて」

 

「ありがと、一刀」

 

一刀が出て行くと優未が雪蓮に話しかけてきた

 

「ねえねえ、一刀君って良いお婿さんになると思わない?」

 

「そうね。ただ、色恋には鈍い所が欠点かしら」

 

「あ~、だよね。あれだけアタックしてるのになんで気づかないのかな?」

 

「そればかりは一刀に聞かないと判らないわね。でも、そのおかげで学園の女子たちからのアタックを切り抜けているんだから、良いんだか悪いんだかわからないわね」

 

雪蓮は肩をすくめて笑う

 

「そうだよね。学園の何割の女子が一刀君に落とされてるのかな?」

 

「それは考えたくないわね。きっとろくな結果にならないわよ」

 

「は、ははは……それもそうだね」

 

二人が笑い合っていると洗い物を終えたのか一刀が部屋に入ってきたのだが……

 

「誕生日おめでとう優未」

 

「「へ?」」

 

部屋に入ってきた一刀の手には小さいがケーキのホールが乗っていた

 

「今日、優未の誕生日だろ?」

 

「え?……あ、本当だ」

 

優未は部屋に掛けられているカレンダーを見て思い出したように言った

 

「ちょっ!今日が優未の誕生日だなんて聞いてないわよ?!」

 

「あれ?言ってなかったっけ?」

 

「言ってな、い、わ、よ!」

 

「い、いひゃいよ、しぇれん~~」

 

雪蓮は優未の頬を引っ張る

 

「一刀だけに教えてどうするつもりだったのよ」

 

「い、いっひゃふほりだったんだよ~~」

 

「まったく……これじゃ何もプレゼントが贈れないじゃない」

 

雪蓮はようやく優未の頬を引っ張るのをやめた

 

「いたた……こうやって一緒に祝ってくれるだけでも十分だよ。私は」

 

優未がそういいながら微笑むので雪蓮は溜息をつきながら座りなおした

 

「祝うだけでいいなら、これはいらないかな」

 

一刀は一つの包装された小さな箱を取り出し優未に見せる

 

「もしかして、誕生日プレゼント?」

 

「そのつもりだったんだけど。祝うだけで十分って言ってるからいら「そんなことないよ!嬉しいよ!」ははは、ちゃんとプレゼントするよ」

 

優未はベットから起き上がり一刀の目の前で力説した

 

「でも、プレゼントする前にケーキ食べちゃお。小さくて悪いんだけどね」

 

「そんな事無いよ!嬉しいよ!」

 

「ちょっと、優未、少しは落ち着きなさい」

 

優未はさっきから興奮しっぱなしだった

 

「それにしても、雪蓮に教えていなかったとは意外だったな」

 

一刀はケーキを切り分けながら優未に言うと頬を赤くしていた

 

「まったくよ。私に言わないで一刀だけに言ってたなんて」

 

「言ったつもりでいたんだよ~。もう、その話はなし!これ以上言ったら怒るからね!」

 

「はいはい……それじゃ、……」

 

「「誕生日おめでとう優未」」

 

「ありがとう、雪蓮、一刀君!」

 

優未は二人に祝われ満面の笑みでお礼を言った

 

「ん~~~っ!甘くて美味しい~」

 

優未はフォークを口に運び、ケーキの甘さに頬を綻ばせる

 

「それじゃ、はい。誕生日プレゼント」

 

「ありがとう!開けてもいい?」

 

「ああ」

 

「何かな~」

 

優未は包装を解き、箱の蓋を開けた

 

「……わぁ、綺麗なブレスレット」

 

箱を開けると銀で出来たブレスレットが入っていた

 

派手ではく、そして質素すぎないデザインだった

 

「優未には勿体無いんじゃない?」

 

「ひどいな~、そんな事無いよね。一刀君!」

 

「ああ、それに……ほら」

 

一刀はブレスレットを手に持ち内側を見せるとそこにはローマ字で

 

『Yuumi Otonashi』

 

と彫られていた

 

「ん?よく見ると所々ぶれてるわね」

 

「ああ、それは俺が彫ったからだよ。無理を言って名前の部分を彫らしてもらったんだ

 

「これ一刀君が彫ってくれたの?……うわ、どうしよう。すごく嬉しいよ!どうしよう、雪蓮!」

 

優未はブレスレットを受け取り、嬉しさの余りどうしたら良いのかわからず雪蓮にすがりつく

 

「腕につけたら良いじゃない」

 

「そ、そうだよね。ブレスレットだもんね。腕につけないとね……ど、どうかな?」

 

「うんうん、似合ってるよ優未」

 

「えへへ♪ありがとう」

 

「ゆ、優未?!なんで泣いてるんだ?お、俺何かしたか?」

 

「え?ああ、これは違うの。嬉しくて」

 

優未は嬉しさの余り目じりに涙を溜めていた

 

「……」

 

そんな二人のやり取りを雪蓮は見ていたが

 

「ちょっと優未?一刀に抱きつきすぎよ」

 

「え~、だって今日は私の誕生日なんだし、これくらいいいじゃ~ん」

 

「くっ!反論出来ないわ」

 

「ふふふ~♪なら、雪蓮も誕生日に一刀に祝って貰えばいいんだよ~」

 

(ぴくっ)

 

「そういや、俺まだ雪蓮の誕生日知らないんだよな」

 

「え、そうなの?なら、今教えて貰えば良いじゃん。ね、雪蓮」

 

「……よ」

 

「「え?」」

 

雪蓮の声が聞こえず二人が聞き返すと

 

「私の誕生日はとっくに過ぎてるわよ!」

 

「「……ええええええ?!い、いつ?!」」

 

「2月よ!あと5ヶ月も待たないといけないの!」

 

「ご、五ヶ月くらい直ぐに……」

 

「やっ!待てない!今すぐ欲しい~~~」

 

雪蓮に何か変なスイッチが入ったらしく普段しないような駄々をこね始めた

 

「ほ、ほら落ち着こうよ雪蓮。優未も居るんだし」

 

「ぶーぶー、いいも~ん。このケーキ全部食べてやる!」

 

「「あっ!」」

 

雪蓮はホールのケーキを取り上げありえない速さで全部たいらげた

 

「わ、私のケーキが~~~」

 

優未は優未で雪蓮にケーキを全部食べられものすごい勢いで落ち込んだ

 

「ゆ、優未?大丈夫?」

 

「私のケーキが~、私のケーキが~~」

 

「こりゃ、ダメだな……雪蓮の方は……」

 

「ふーん、なによなによ。一刀なんて一刀なんて」

 

雪蓮は床にのの字を書いて恨めしそうに一刀を睨んでいた

 

「ど、どうしろってんだ~~~~!」

 

一刀はその場で叫んだが事態が好転するわけでもなく二人をなだめるのに1時間も掛かってしまった

 

帰り道

 

「ねえ、一刀」

 

「なんだ?」

 

「他に誰の知ってるの?」

 

「誰のって何が?」

 

「誕生日よ」

 

「え、知らないけどそれがどうかしたか?」

 

「ならいいわ。気にしないで」

 

雪蓮は歩きながら安堵の溜息をつく

 

だが、この溜息が明日には違う溜息に変わるのは今の雪蓮にはわかっていなかった

 

「それにしても、明日には優未も学校来れるみたいだし良かったよな」

 

「ええ、お見舞いに行ってあの元気だったんだから平気だとは思ってはいたけどね」

 

雪蓮は元気にしている優未を思い浮かべ微笑んだが腕に輝くブレスレットを思い出し

 

「……」

 

「いたっ!ど、どうしたんだよ雪蓮」

 

「べっつに~」

 

雪蓮は一刀の頭を軽く叩くと一刀を追い越して歩いていった

 

「はぁ、お姫様はまだご機嫌斜めでございますか?」

 

一刀は執事の様な口調で雪蓮に話し出す。

 

「そうよ?私の機嫌は中々良くならないんだから」

 

雪蓮も一刀の意図がわかっているのでそのまま話を進める

 

「では、どのようにしたらご機嫌を直していただけるのでしょうか?」

 

「それじゃ、私を家までエスコートしてくれるかしら?」

 

雪蓮は手を差し出すと一刀が手を取り

 

「かしこまりました。お嬢様」

 

「ふふふ♪」

 

「ははは」

 

二人は笑顔になり夜の町を手を取り合い雪蓮の家へと向かった

 

「ありがとう、ここでいいわ」

 

「うん、それじゃ。また明日ね」

 

一刀が別れを告げた時だった。雪蓮の家の扉が開き中から女性が出てきた

 

「あら、雪蓮。今帰ってきたの?」

 

「ええ、一刀に送ってもらったのよ」

 

「え?……あら!あらあらあら!」

 

雪蓮が目を向ける方に女性も目を向けると女性は目を丸くして一刀に近づいていった

 

「ちょ!母さん!なにしてるのよ!」

 

母親は雪蓮の言葉に耳も傾けず一刀を上から下まで何度も見返す

 

「あ、あの……」

 

「あら、ごめんなさい。あの娘が男の子を連れてくるなんて珍しくてついね」

 

「は、はぁ……」

 

一刀は少し引き気味に返事をする

 

「母さん!これからどっかに行こうとしてるんじゃなかったの?!」

 

「ああ、そうだったわ。でも、雪蓮がね~。まさか彼氏を連れてくるとは思わなかったわ。明日はお赤飯かしらね」

 

「なっ!恥ずかしいからやめてよね!」

 

「君、お名前は?」

 

「話を聞きなさいよ!」

 

「北郷一刀です」

 

「一刀君ね。いい名前ね。これからも雪蓮の事よろしくお願いするわね。あの娘、男なんて知らないから」

 

「母さん!」

 

「ほほほ、それじゃあね、一刀君」

 

雪蓮の母親は微笑みながら挨拶をして商店街がある方へと走っていった

 

「もう、母さんったら……」

 

雪蓮は両手を腰に当てて溜息をつく

 

「でも、優しそうなお母さんだったね」

 

「まあね。きっとこの性格も母さんのものよきっと」

 

「ははは。それじゃ、俺は帰るね」

 

「ええ、それじゃまた明日ね」

 

「ああ。お休み雪蓮」

 

「お休み一刀」

 

二人は雪蓮の家の前で別れの挨拶をして一刀は寮がある方へ戻っていった

 

翌朝、

 

「音無優未、復活!」

 

「おはよう、優未。もう大丈夫そうだね」

 

「うん!昨日はありがとうね。一刀く~~ん!」

 

優未が一刀に抱きつこうとした所に

 

「はい、そこまでよ」

 

「へ?うわ!……う~痛い」

 

「まったく、治ったからって一刀に抱きつこうなんて甘いわよ」

 

「雪蓮!酷いよ!痛いじゃん!」

 

雪蓮は優未が一刀に抱きつく瞬間、腕を引き一刀に抱きついた。その拍子に優未はそのまま地面にこけてしまった

 

「まったく、朝から騒がしいわね。遠くからでも聞こえるわよ」

 

後ろから金髪くるくるドリル頭の琳が呆れた顔をして三人を見ていた

 

「おはよう、琳」

 

「ええ、おはよう一刀」

 

「あら、琳じゃないいつの間に居たのよ」

 

「あ、琳だ。今取り込み中だからあとでね」

 

「……はぁ」

 

「は、ははは、ごめんな琳」

 

「別にあなたが謝ることではないでしょ。それで?この状況の説明をしてくれるのかしら?」

 

「ああ、実は……」

 

一刀がこの状況を説明すると

 

「はぁ~、くだらないわね。そんなことで睨み合ってるわけ?」

 

琳は呆れながら二人を見る

 

「あれ?一刀さん達だ!」

 

「ん?今の声は……」

 

一刀は振り返るとピンク色の髪をなびかせた桃香とポニーテールの黒髪が綺麗な愛紗が手を振りながら近づいてきた

 

「おはよう一刀さん!」

 

「おはようございます一刀さま」

 

「桃香に愛紗もおはよう」

 

挨拶もそこそこに桃香を優未と愛紗を見ると

 

「あの、お二人はどうしたんですか?」

 

「気にしなくていいわ。いつものことよ」

 

「はあ……いつものことですか。と言う事は一刀さんのことで?」

 

「ええ、まあ、歩きながら二人のやり取りを見ていましょう。その方が面白そうだわ」

 

琳がニヤリと笑いながら前を歩きながら言い合いをしている二人を見る

 

「一刀に抱きつきすぎよ優未は!」

 

「雪蓮だって!一刀君にベタベタし過ぎだよ!」

 

「私はいいのよ。だって一刀は私のものだもの」

 

「違うよ~!私のものだもん!だって一刀君は私にこれくれたんだから!」

 

そう言うと優未は腕に輝くブレスレットを雪蓮に見せ付ける

 

(ぴくっ)

 

それを見ていた一刀以外の三人はピタリと足を止める

 

「あれ?どうしたんだ琳に桃香に愛紗も立ち止まって」

 

「一刀?あのブレスレットはあなたが贈った物なの?」

 

「あ?ああ、優未の誕生日だったから贈った物だけどそれがどうかしたか?」

 

「そう……」

 

「?」

 

それを聞いた三人は考え込んで

 

「一刀、私の誕生日は、―――よ。忘れないことね」

 

琳は耳打ちで一刀に誕生日を教えると桃香に愛紗も

 

「あ、あの私の誕生日は―――です。きゃっ♪」

 

両手を頬に当てて恥ずかしがる桃香

 

「わ、私は―――です。お、覚えていてくだされば幸いです」

 

愛紗も頬を染めて一刀に教える

 

そんなこととは知らず、二人は学園の校門まで言い合いをし、学園内に入った時に

 

「雪蓮、私達も一刀に誕生日教えたから」

 

「はぁ?!いつよ!」

 

「あなた達二人が言い合いをしている時によ」

 

と琳はニヤニヤ笑いながら雪蓮に言うと

 

「一刀!琳なんかにプレゼントあげること無いんだからね!」

 

「え?でも、折角教えてくれたんだから、お祝いしないとさ」

 

「はぁ~~~~……どこまで一刀は……」

 

雪蓮は深い溜息をついてうな垂れていた

 

「ふふ~ん♪一刀君からのブレスレット~~♪私だけにくれた贈り物~~♪」

 

優未は一人嬉しそうにブレスレットを撫でながら変な歌を歌いながら廊下をスキップしていた

 

その様を見た生徒はものすごく幸せそうな顔をしていたと語っていた

 

葉月「今回のお話は如何だったでしょうか」

 

雪蓮「そんなことより投票の結果はどうなのよ。どうせ私が一番なんだから結果も必要ないでしょうけどね」

 

葉月「冒頭から行き成りですね……まずはこのお話の事について語りませんか?」

 

雪蓮「優未がこの世界の人間じゃなくて消える運命で、一刀が雑炊を作って優未は誕生日で、プレゼントにブレスレットを貰って、学園に行く道で琳達の誕生日も聞いた。以上!さ、投票の結果よ」

 

葉月「……ものすごい投げやりじゃないですか!もっとちゃんと語り合いましょうよ!」

 

雪蓮「え~、だってある意味、このお話って優未の話じゃない。私が語る必要ある?」

 

葉月「客観的視点って大事だと思うな、うん」

 

雪蓮「却下よ。めんどくさい」

 

葉月「一蹴りですか……ぐすん。わかりましたよ投票の結果ですよね」

 

雪蓮「判ればよろしい♪」

 

葉月「では、投票の結果です」

 

=投票結果=======================================================================================

 

有効投票数 23票

 

1.優未 10票

 「やったー!雪蓮より上だよ!投票してくれた皆ありがとうね~~~!」

 

2.雪蓮 7票

 「なんで私が優未よりも下なのよ上位に入賞出来たけど素直に喜べないわ!もう一回投票しなさい葉月!」

 

3.桃香 4票

 「わ!私が3位ですか?嬉しいです。え?一刀さんと何したいか、ですか?えっと、一緒に遊んだり買い物とかかな?」

 

4.琳  2票

 「くっ!桃香に2票も差をつけられるとは思わなかったわ。べ、別に悔しくなんて無いわよ……ほ、本当なんだからね!」

 

4.愛紗 2票

 「一刀さまとの逢引は叶わなかったか……だが、桃香さまが入られたようでよかった……出来れば私も一刀さまと……」

================================================================================================

 

葉月「こんな結果になりました~」

 

雪蓮「ちょっとなんで優未が一番なのよ!こんなの無効よ無効!」

 

葉月「先週は恨みっこなしと言ったじゃないですか」

 

雪蓮「ぶー……なら!私の話は濃厚なのにしなさいよ!一刀との―――を書きなさい!あれ?」

 

葉月「ふぅ、危ない……なに放送出来ないようなこと言おうとしてるんですか!」

 

雪蓮「ぶーぶー!いいじゃない少しくらい」

 

葉月「はぁ~疲れる……」

 

雪蓮「所で、なんで今週の更新は遅れたの?」

 

葉月「一気に話が変わりますね!」

 

雪蓮「だって結果は変わらないんだから、ごねても仕方ないじゃない?で、どうして?」

 

葉月「実は家族と旅行に行きまして執筆出来ませんでした」

 

雪蓮「なんだ普通の回答ね。面白くな~い」

 

葉月「何を望んでるんですか?!」

 

雪蓮「何ってダルイとかめんどくさいとか?」

 

葉月「なぜ疑問系なんですか?それにそれって雪蓮が政務をサボる理由じゃないですか」

 

雪蓮「あら、そうだったかしら?」

 

葉月「はぁ~もういいですよ。さて、では今日はこの辺で終わりです」

 

雪蓮「次回は誰からになるの?」

 

葉月「桃香からですね。内容は次回までのお楽しみということで」

 

雪蓮「それじゃ、みんなまたね~~~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卑弥呼「最近、わしの活躍が無いではないか」

 

管輅「葉月が忘れているのではないでしょうか?」

 

卑弥呼「ふむ、ちと仕置きが必要だろうか」

 

管輅「ふふふ、そうかもしれませんね」


 
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