~リノミア城門前~
一言で言えば異様だった
「これが・・・リノミアの・・・城・・・?」
「え・・・じょ、冗談じゃないわよね・・・?」
「・・・・・・・・・」
チロに加えクロもジャルスもサイもその異様に言葉を失っていた
確かに城ではあった
何処をどう見ても城であった
城と言われれば様々なものが思い浮かぶだろう
和風に洋風、中華風に中東風、果てはPRGに出てくる魔王が住むような城
リノミアの城はそれのどれでもあり、どれでもなかった
一番手前には近代的な研究所があり、そこから時計まわりに和風・中華風・中東風・魔王風・洋風と様々な様相の城が連なっていた
しばらく茫然としていたひだまりの騎士団だったが
「なぁ、カイン?これがリノミアの城なのか?」
まずはチロが
「有り得ないだろう・・・本当にこれが一国の城なのか?」
続いてクロが
「なんて趣味の悪い・・・リノミアの王様って・・・」
ジャルスが
「・・・どんな・・・猫・・・なのでしょう・・・か・・・・・・・?」
サイが
口々に突っ込んだ
「にゃはは・・・言うと思った・・・
でも、残念ながらこれが正真正銘のリノミア城なんだよなぁ・・・」
カインの一言に、万が一、億が一の否定してくれるという希望を打ち砕かれた4匹が再び言葉を失った
このとき、4匹の心の中は(事あるごとに対立しているチロとクロさえ)一つになったという
((((リノミア王って・・・趣味悪っ!!))))
~リノミア城・廊下~
リノミア王への疑念の晴れないまま4匹はカインに先導され城内を歩いていた
未だに納得のいかない表情で無言で歩く4匹だったが、クロが思い出したように疑問を口にした
「そう言えば、カイン・・・
城内に入る際に顔パスのようだったが、この城で働いているのか?」
普段は冷静なクロがここに至るまでその不自然さに気がつかなかったことからも、この城の異様さはうかがい知れるだろう
「ん~・・・まぁ、そんな感じかな」
あからさまに何かをはぐらかすようにふざけた声音でカインが答えた
クロが鋭い眼差しをカインに向け問うた
「お前はいったい何者なんだ?
どうも唯のリノミア市民と言うわけでも」
クロの言葉を遮るようにカインが口を開く
「ここが玉座の間だ」
「・・・・・・」
言葉を遮られたクロは口をつぐんだ
この時クロだけはカインの言葉に得も言われぬ威圧感を感じていた
「オレが案内するのはここまで
ここからはあんたらだけで行ってくれ」
「わかった・・・ありがとう」
王に謁見するということで緊張しているのかチロの声音は堅かった
「にゃはは・・・案内くらいならいつでもするからまた見かけたら声かけてくれよな」
そう言うとカインは背中を向けて元の道を戻って行った
途中一度だけ振り返り
「あぁ、そうだ・・・さっきのクロ君の質問だけど・・・
すぐに答えは見つかると思うよ・・・」
とだけ言い、今度こそ振り返らずに去って行った
その時カインの口元にわずかに浮かんだ歪んだ笑みに気付いたのはクロだけだった
~リノミア城・玉座の間~
侍女と思しきメイド服姿の猫に案内されチロ達は玉座の間に足を踏み入れた
外装の異様さに比べ、玉座の間は普通だった
「内装は普通なんだな・・・」
チロが呟いた
「内装まであんな感じだったら今すぐ帰ってるわよ」
ジャルスがそれに呼応すると
「ね、姉さん・・・誰かに聞こえたら・・・・・・」
その言葉にサイが狼狽した
「・・・・・・」
「どうしたんだよ?クロ?さっきから黙りこんで・・・」
「ここは玉座の間だぞ・・・私語は慎め」
「そうだな・・・」
チロも緊張しているのか、普段は突っかかるはずのクロの言葉に素直に従った
そうしてしばらく待っていると、急にファンファーレが鳴り響いた
4匹の顔にあからさまに緊張が走る
(((この城を作ったリノミア王って・・・どんな猫なんだろう・・・)))
3匹が同じ考えを巡らせている時
(まさか・・・な・・・・・・)
クロだけは別の事を思案していた
やがてリノミア王がその姿を現した
「やぁ、カムクラの諸君!!ようこそリノミアへ!!」
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ようやく第三話!!
カイン様の送ってくださった設定が非常に細かく指定してくださっていたので、スムーズに書き進めることができました
重ね重ね感謝しております