No.139845

真・恋姫†無双~外史を切り開く者~第九話 人攫い!女装!あわわ!

やっと出せました。雛里ちゃん、長かったなぁここまで来るのはじめはもっと早くに出す予定でしたが書くにつれて長くなってしまいました。
そんなこんなで始まります切り開く者、今回はオリキャラもでますので楽しんでいってください!!

2010-04-30 03:11:22 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:5679   閲覧ユーザー数:4699

 

 

 

桃香たちが黄巾党の貯蔵地を抑えたことにより各地で強襲を張っていた黄巾党の勢力は徐々に弱くなっていった。そこへ、戦況を窺っていた各地の諸侯が一気に討伐に乗り出し形勢は逆転した。黄巾党は壊滅まで追いやられ、黄巾党の首領張角は許昌の曹操が討ち取ったと各地に噂は流れた。これにより黄巾党はなくなり大陸にしばしの平安が訪れるのであった

 

黄巾党弱体のきっかけを作った俺たちは平原というところの相に任命されることになった。俺たちの目的の地位はなんとか手に入れた。しかし、問題はまだまだある。町を治めることを一から学ぶ俺たちに、任命されてから数週間が経ちようやく慣れだしたと思った矢先また新たな問題がおきようとしていた

 

 

【城の中庭】 

 

 

一刀「・・・・・・・・」

 

愛紗「・・・・・・・・」

 

鈴々「・・・・・・・・」

 

桃香「・・・・・ゴクリ」

 

中庭の中央で木剣を構え睨み合う愛紗と一刀、そんな二人を設置されている椅子に座り観戦している桃香と鈴々、四人の姿がそこにあった。なぜこんなことになっているのかというと、黄巾党の将、酒元を倒し一刀がどれくらい実力がついたのか試すために愛紗が強制的に模擬戦をすることにした。

 

愛紗「ふふ、貴様がどれほど成長したのか見てやろう・・・さぁ、どこからでも掛かった来い!」

 

一刀「うぅ、無理だっての!俺が愛紗に勝てるわけないって!」

 

愛紗「なにをやる前から弱気になっておる!貴様は黄巾党の将を倒したのだぞ!もっと強気に出ぬか!」

 

一刀「いや、勝ったって言っても相手は俺より弱かったし・・・それに実力で勝ったわけじゃないし・・・」

 

愛紗「ええい!ごちゃごちゃ言ってないで早く来ぬか!来ないならこちらから行くぞ!!」

 

ジャキン!!

 

一刀「ちょ、ちょっと待て!!」

 

桃香「一刀さ~ん、がんばって~!」

 

鈴々「お兄ちゃん!次は鈴々となのだ!」

 

一刀「クッソ~人事だと思って勝手ばかり言いやがっうわっ!!」

 

ブォウンッ!!!

 

愛紗「ほら、余所見をしていると怪我ではすまぬぞ!」

 

桃香たちに気を取られていたせいで愛紗の攻撃に反応が遅れた一刀だが、間一髪のところで避けた。そのさい前髪の何本かが切れて宙を舞った

 

一刀「な!お、おい!愛紗!今、切れなかったか!?切れたよな!切っただろ!!」

 

愛紗「ふん!私ほどの武人ともなればこのような木剣でさえ、そこいらの鈍らよりもよく切れるようになるのだ」

 

一刀「そんなもん相手にできるか!?」

 

愛紗「こら、一刀!逃げるな!大人しく私と戦え!」

 

一刀「いやなこった!!」

 

鈴々「あぁ~、結局こうなるのだ」

 

桃香「フフ♪、二人とも仲良しさんだね♪」

 

模擬戦から追いかけっこになり中庭を逃げ回る一刀を木剣を振り回しながら追いかける愛紗たちを温かく見守る二人・・・城には穏やかな空気が流れていた

 

ガサ・・・ガサ・・・

 

そこに小柄な体格をした少女が中庭にやってきた。・・・・・朱里である。彼女には黄巾党討伐後、劉備軍の軍師となってもらい、町の内政などの政を任せている。しかし、朱里一人に政を任せるのも気が引け、どうにかしないと思い悩んでいる桃香だったが朱里から「お気になさらないでください」と断られてしまう。それでも、どうにかしようと悩むのが桃香である

 

朱里「皆さんここにいらっしゃったんですか」

 

桃香「朱里ちゃん、どうしたの?なにか私たちに仕事?」

 

一刀「ぐぎぎぎ!!し、仕事か?だ、だったら俺が引き受けるから!愛紗を止めてくれないか!!」

 

愛紗「おのれ~、器用な真似をしよってからに!!」

 

愛紗はいつしか一刀が投げ出した木剣を拾い2本の木剣で一刀に切りかかっていた。しかし、一刀は一本目を両手で白羽鳥を決め、二本目も両足で白羽取りするという凄技を決めていた

 

朱里「いえ、その~少し厄介な問題が発生していて」

 

桃香「厄介な問題?」

 

朱里「はい・・・・・・」

 

ようやく愛紗から開放された一刀は、桃香たちと一緒に朱里から事の詳細を聞いた

 

愛紗「人攫いだと?」

 

朱里「そうです。」

 

桃香「どういうことか説明してくれる朱里ちゃん」

 

朱里「はい・・・最近、周辺の村や町で若い女の子を狙った人攫いが頻繁に起きているんです。」

 

桃香「どうしてそんなことを・・・」

 

朱里「わかりません。奴隷として売っているのかもしれませんが、そこに厄介なことが起きたんです」

 

一刀「厄介なことってなんだ?」

 

朱里「それが・・・周辺の諸侯の娘たちも攫われてしまったんです。それで、諸侯たちが疑心暗鬼になり諸侯同士の仲が悪くなってしまったんです」

 

鈴々「なんで仲が悪くなるのだ」

 

愛紗「周辺の諸侯が人質に攫ったかもしれないと思ったのだろう」

 

朱里「そのとおりです。このままでは戦になってしまう危険性があります。早急に対処しないと・・・」

 

桃香「だったら早く犯人を捕まえて、攫われた人たちを助けないと」

 

朱里「そうなのですが、犯人の足取りがまったく掴めておらずどこに連れて行かれたのかまったくわかっておりません」

 

愛紗「それではどうするのだ」

 

朱里「・・・・・・囮りを出そうと思っています」

 

桃香「囮り?」

 

朱里「はい、わざと犯人に攫われます。そして、犯人の根城と娘たちを発見し、救出、捕獲するというものです」

 

愛紗「なるほど、ならばその攫われ役には私が「愛紗さんでは無理です」またか!!!」

 

朱里「あ、いえ・・・・この役は私たちでは無理なんです。私たちはこの周辺で顔が割れていますから犯人が近付いてこないんです。」

 

愛紗「しかし、ある程度の武を持っていなければ、もしもの事態に対応ができぬぞ」

 

桃香「そうだよね、だけど、今私たちの軍で腕の立つ女の子って愛紗ちゃんと鈴々ちゃんぐらいしかいないよね」

 

朱里「はい、そこが問題なんです・・・・」

 

桃香「う~~ん」

 

五人が悩み考えていると一刀が何かをあきらめたかのように言った

 

一刀「はぁ~~~、仕方がない・・・・ちょっと待ってろ・・・・」

 

そういい残し一刀は中庭から去る。

 

朱里「どうしたんでしょう?」

 

桃香「なにか思いついたのかな?」

 

愛紗「わかりません」

 

鈴々「にゃにゃ?」

 

 

 

 

一刀が中庭から去ってから15分が経っていた

 

 

 

桃香「遅いね一刀さん」

 

朱里「なにをしているのでしょう」

 

愛紗「まったく・・・あやつはなにを考えて「おう、待たせたな!」遅い!なにをして・・・・」

 

愛紗がようやく帰ってきた一刀に文句を言ってやろうと一刀の声がしたほうを向くとそこにはフリフリのワンピースに頭に大きなリボンを付けた可愛らしい少女が立っていた

 

桃香「えっと・・・・・・どちら様ですか?」

 

一刀「ふふふ、俺だよオ・レ」

 

朱里「そ、その声は!?」

 

愛紗「か、一刀!?」

 

鈴々「うそ~なのだ!!!」

 

少女から出た声は聞きなれた一刀の声であった。四人はあまりにも驚愕してしまい開けた口が閉まらないでいた

 

桃香「ほ、本当に一刀さんなの?」

 

一刀「本当もなにも、この声を忘れたのか?桃香」

 

朱里「ま、まるで別人です!」

 

鈴々「お兄ちゃん可愛いのだ!」

 

愛紗「・・・・・・・・//////// ////////」

 

一刀「ありがと鈴々♪だけど、この姿の時はお姉ちゃんだ!名前も一姫って呼んでくれよ」

 

朱里「え、えっと一刀さ「カ・ズ・キ!!」・・・・か、一姫さん、その格好はいったい・・・」

 

一姫「これか?これは俺の変装だよ、俺は仕事で屋敷とかに入り込むときとか変装したりするから得意なんだ。ちなみに俺が一番自信があるのが可愛い系少女ね♪」

 

桃香「でも、声が元の男のままだよ。それじゃ、すぐにばれるんじゃ?」

 

一姫「心配には及ばないぜ桃香・・・・・ゴホン!あ~~」

 

一刀は声の調子を合わせるために声を出しているとその声は高くなったり低くなったりした

 

一姫「あ~~~あ~~~~あ~~~~あ~~~~あ~~~~~あーーーーーーーよし!」

 

納得いく声が決まったのか一刀は身だしなみを整え桃香たちにワンピースの裾を掴み軽くお辞儀した

 

一姫「はじめまして桃香様、私北郷一姫と申します。一刀がよくお世話になっております」

 

桃香「ふぇ!?え、え~と!こ、こちらこそ一刀さんにお世話になっています!」

 

桃香は思わず頭を下げてしまった

 

一姫「ふふふ、まぁ、こんなもんかな、これなら私が男だってばれずに入り込むことができるでしょ」

 

朱里「た、確かに誰がどう見ても女の子にしか見えません・・・・・ただ・・・・」

 

一姫「ただ・・・なに?」

 

朱里「その・・・・胸が・・・」

 

一姫「胸?」

 

一姫は自分の胸を見る。そこには詰め物で作ったふっくらとした胸があった。大きさとしては中ぐらいであるがまったく胸のない朱里や鈴々に比べて遥かに大きかった

 

朱里「その胸はどうなっているんですか?」

 

一姫「これか?これはただ果物を入れているだけで「はずしてください」・・・・・え?」

 

朱里「その偽者おっぱいをはずしてください・・・・・」

 

一姫「いや、しかしね朱里ちゃん、これは女装には必要で「はずしてください!!」・・・・・はい・・・」

 

朱里が涙目になりながらもすごい気迫で迫ってきたので、一姫は圧倒されて渋々外すことにした

 

愛紗「・・・・・・・」

 

桃香「?愛紗ちゃん?」

 

愛紗「・・・・・・一姫は・・・・・わたしの・・・・・」

 

さっきから俯いてなにやらボソボソと呟いている愛紗が心配になり、なにを言っているのか聞き取ろうとする桃香しかし愛紗は突然歩き出し一姫に向かった

 

一姫「?・・・どうした愛紗?」

 

愛紗「もう・・・・・・・我慢できん!!!」

 

一姫「ふぇ!!」

 

一刀は近付いてきた愛紗に気付き首を傾げる。その仕草を見た瞬間、愛紗はすごい勢いで一姫を抱き上げた

 

愛紗「一姫は・・・・一姫は私の嫁!!!」

 

朱里「あ、愛紗さん!!」

 

桃香「愛紗ちゃん!!どうしちゃったの!?!?」

 

鈴々「にゃにゃ!!愛紗が壊れたのだ!!」

 

一姫「あ、愛紗!どうしたんだよ!?お、降ろしてくれ!!」

 

愛紗「いやだ!!人攫いになどお前をやるものか!!攫うのなら私が一姫を攫う!!」

 

一姫「なに言っちゃってのこの人!!!」

 

桃香「愛紗ちゃん落ち着いて!!」

 

朱里「だ、だれか止めてください!!!」

 

鈴々「こら~愛紗!お姉ちゃんをどこに連れて行く気なのだ!!」

 

愛紗「さぁ行こう!誰も私たちの逃避行は止められない!!」

 

一姫「いや~~~~誰か助けて~~~~!!!」

 

 

 

 

 

この後どうにか後からきた兵士たちによって愛紗は取り押さえられたがその時に兵士の多くが大怪我を追うという大惨事となってしまった

 

一姫「まったく、愛紗にはえらい目にあったな。これからは愛紗の前では気を付けないと・・・」

 

愛紗からの呪縛から逃れた一姫は人攫いの犯人を誘き出すために町を散策していた。町は桃香たちの頑張りもあり活気が溢れ人で賑わっていた

 

―さて、どこから行きますかね~・・・やっぱり人気のない裏通りか・・・それとも大通りで声を掛けて連れて行くのか・・・―

 

男「ねぇ、キミ?」

 

一刀がどこから犯人を探そうか考えていると後ろから男が声を掛けてきた

 

―さっそくお出ましか―

 

男「キミ可愛いねぇ、俺たちとお茶しない?」

 

振り向くとそこにいたには見るからにチャラそうな若者たちがニヤつきながらこちらを見ていた

 

―なんだよ、ただのナンパかよ。気配からして犯人ではないな・・・・・チッはずれか!―

 

一姫「ごめんなさい、先を急いでいるので」

 

男「いいじゃん、別に少しぐらい付き合おうぜ」

 

―あ~も~、しつけぇな!・・・・・はぁ~、仕方がない―

 

一姫はそう思い指をパチンと鳴らしその場をあとにする

 

男「あ!ちょっと待っ「少しよろしいですか?」あん?なんだよ!今取り込み中な・ん・だ・よ!?」

 

男は突然後ろから声を掛けられイラだったが、すぐに顔から血の気がなくなった。後ろを振り向けば屈強な男たちを連れた愛紗が男の仲間を吊るし上げていたからである

 

愛紗「私の嫁に手を出そうとするとどうなるか・・・・・・教えて差し上げますので、どうぞこちらに・・・」

 

男「ひいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

男たちは愛紗たちに連れて行かれ数日の間、誰にも姿を見らることはなかった

 

その後も一姫は犯人を誘き出そうと歩き回ったが、どこに行ってもナンパされ声を掛けてきた者はことごとく愛紗たちによって排除されていった

 

 

 

 

―クッソ~、どこにもいねぇな、いったいどこにいるんだ?―

 

一姫は半ばあきらめようとしたそのとき

 

女の子「えぇ~どうしようかな~」

 

男「絶対可愛くなるって!キミみたいな可愛い子が沢山来てるよ」

 

男「キミも来ないと損しちゃうって!」

 

裏通りから女の子と男二人組みの会話が聞こえてきたので一姫は物陰からその様子を伺っていた

 

― 一見普通のナンパみたいだけど、あの二人明らかに周りを警戒しながら会話してる。こりゃビンゴみたいだな・・・・そうとわかれば・・・―

 

一姫「ねぇ、お兄さんたち!」

 

男二人組み「「!?!?だ、だれだ!!」」

 

警戒していたところに突然の来訪者に驚く二人組み、男が警戒する中一姫は可愛い笑顔を見せながら近寄っていった

 

一姫「お兄さんたちでしょ、今女の子を可愛くしてくれるって言うの?」

 

男「それを誰から聞いた?」

 

一姫「友達からだよ♪ねぇねぇ、私も可愛くしてほしいなぁ?」

 

男「ダメだ、ダメだ!!誰でもかれでもするわけにはいかねぇんだ!!」

 

男「そうだ!わかればとっとと帰んな!!」

 

男たちは一姫を警戒し追い払おうとする

 

―クッソ~やっぱりダメか・・・・・仕方がない・・・・あれをやるか・・・」

 

男「おい!さっさと帰らないと!」

 

男がなかなか帰らない一姫にイラだち服を掴もうとすると

 

一姫「・・・・・・・ダメ?」

 

 

ズキューーーーーン!!!×3(物陰で見ていた愛紗を含めて)

 

一姫の涙目+上目使いに甘い声で男たちは完全に一姫に堕ちた

 

男「し、仕方がないな~」

 

男「まぁ、特別にいいかな~」

 

一姫「わぁ~い、ありがとう♪」

 

―ふ、男って・・・・ちょろいな!―

 

愛紗「か、一姫・・・・なんて可愛さなんだ・・・・・グフッ」

 

バタンッ

 

兵士「関羽将軍!?しっかりしてください!!」

 

 

こうして一姫は犯人に接近することに成功した。・・・・・・それからは馬車に乗せられ町を出る。馬車の中には自分以外にも数人の女の子が乗っていた。どうやらこの子達も声を掛けられ連れてこられたらしい、彼女たちは何も知らないで談笑をしていた。

 

 

 

馬車に揺られしばらくして男たちから水筒を渡され彼女たちは中の水を飲む。しかし、飲んだあと彼女たちは眠ってしまった。

 

―やっぱり中身に薬を入れていたみたいだな。逃げ出したときに場所をわからなくするためか・・・なかなか用意周到だな―

 

一姫は飲んだふりをして中身を捨てていたおかげで寝ずにすんだ。馬車に揺られること十数時間、馬車が森で止まり男たちがまだ眠っている女の子たちを馬車から担ぎ出し、代わりに樽や木箱を積み入れ馬車を走り出させ男たちは娘たちを森の奥へと運び出した

 

―なるほど、移動中に積荷を代えることによって役人の目を誤魔化してたというわけか・・・そして、森を徒歩で移動するから姿は隠しやすいと、どうやら仲間に頭のキレる奴がいるみたいだな―

 

そして男たちが連れてきたのは森の奥にた佇む小さな城だった。外見からして使われなくなってから何年も経過しているみたいで、城としての機能を辛うじて活きているみたいな状態だ

 

男たちは城に入り娘たちを牢屋に入れドアの鍵を閉めその場を離れる。一姫は男たちが去るのを確認すると寝たふりを止め、牢屋の中を見渡す・・・・牢の中には自分たちと同じように連れて来られたらしい女の子たちが隅のほうで固まっていた

 

一姫「貴方たちも奴らに連れてこられたのですか?」

 

女の子「え、ええ、奴らに可愛くなれるって言われて付いていったら、気が付くとここに・・・・」

 

一姫「そうですか・・・・・」

 

コツ・・・コツ・・・・コツ・・・

 

一姫は少女から話を聞いていると男たちが牢に近付いてくる音が聞こえた。一姫は女の子たちに紛れ隅のほうに身を隠す。・・・・・隠れたときに顔に何か尖ったものがぶつかった、尖った物がなんなのか確認するため下を向くと一人の少女が膝を抱えて泣いていたのである。とがった物は少女が被っていた魔女みたいな帽子の先っちょだったのである

 

少女「ぐすっ・・・へぐっ・・・・・ぐす・・・・」

 

―奴らこんな小さい子まで攫ってきてたのか!・・・・・ゲスどもが!!―

 

一姫「・・・・・・・・もう・・・・大丈夫だよ」

 

少女「ふぇっ?」

 

一姫は思わず少女を自分のほうに抱き寄せそのまま少女の頭を撫でた

 

一姫「もう大丈夫・・・・・大丈夫だから・・・・私が助けてあげるから、もう安心だよ・・・・」

 

少女「・・・・・ぐすっ・・・・ふぇぐ・・・・・・ふええぇぇぇ~~~~~~~~んっ!」

 

少女は一姫の胸に顔を埋め大粒の涙を流した。これまでの恐怖で溜まっていた感情を洗い流すかのように・・・

 

少女「怖かっ、ぐすっ・・・男の人に・・・・へぐっ・・・・友達に合わせて・・・・くれるって・・・・言われて・・・・・ふええぇぇっ!」

 

一姫「気が付いたら、ここにいたんだね・・・・うん、わかった・・・・大丈夫・・・ここを出たら君の友達を探してあげるから、もう泣かないで」

 

少女「ぐすっ・・・・・本当・・・ですか?」

 

一姫「もちろん♪約束だよ・・・・そうだ!」

 

一姫は少女に小指を突き出す

 

少女「・・・・・これは?」

 

一姫「指切りって言って大事な約束とかをするときにする儀式みたいなものかな・・・こうやって小指と小指を絡ませて・・・」

 

一姫は少女の小指と自分の小指を絡ませる

 

一姫「ゆ~びきりげ~んま~んう~そついた~らは~りせんぼんの~ます!指切った!!」

 

少女「ふぇっ!!う、嘘ついていまったら、針を千本も飲まないといけないんですか!?」

 

一姫「そう、だからこの儀式をしたら絶対に守らないといけないんだ」

 

少女「・・・・・・・」

 

少女は何かを考えてるみたいで黙ってしまった・・・・しばらくして少女は何かを決心したみたいで一姫を見据える

 

少女「お、お姉さん・・・・」

 

一姫「ん?なに?」

 

少女「わ、私の名前は・・・鳳統・・・姓が鳳で名が統で字が士元といいます!」

 

一姫「鳳統!?きみが?」

 

少女「えっと・・・・お姉さんが私のためにそこまで覚悟をしてくれたのに感謝しますです・・・・だから・・・・・私の真名、雛里をもらってくれませんか?」

 

一姫「えぇ!!でも・・・・いいの?」

 

少女「は、はいでしゅ!!・・・・はう・・・・え、えっと、お姉さんの言葉に私はとても救われました。そして、見ず知らずの人に先ほどのような覚悟ができる器の大きさ・・・以上の二つからお姉さんに真名を預けるに相応しい人物だと確信しました・・・・です・・・」

 

一姫「い、いや・・・私は別に・・・」

 

少女「お願いします!今の私にはこれぐらいしか無いんです!」

 

少女は深く一姫に頭を下げる

 

一姫「・・・・・わかったよ・・・・有難く受け取るよ・・・・雛里ちゃん」

 

雛里「あ、ありがとうございましゅ!・・・・あう・・・・えっとお姉さんは?」

 

一姫「あ!そっか!まだ、名前教えてなかったね。今の私の名前は北郷一姫、字と真名が無いから好きに呼んでいいよ」

 

雛里「は、はいです。・・・・・か、一姫さん」

 

一姫「うん♪よろしくね、雛里ちゃん」

 

雛里「はいでしゅ♪」

 

二人が笑顔で話していると男たちがまた別の女の子たちを連れてきた。その中に一際目を引く美しい女性がいた

 

男「ぐへへ、こいつは上玉だな」

 

男「ああ、なんでも自分から俺たちに声を掛けてきたみたいだぜ」

 

男「なんだよそれ!襲ってくださいって言っているようなもんじゃねぇか!!」

 

男「おい、おめぇら!!無駄話しも大概にしろよ!それと、勝手にそいつらに手を出すなよ!上からの命令なんだからな!」

 

男「はいはい、わかりましたよ!チッ」

 

男たちは娘を置いてまた牢屋から去る。男たちが去った後しばらくして一人の女性が立ち上がった。先ほど連れてこられた美しい女性である。女はしなやかな髪を揺らめかせ辺りの様子を伺う

 

―すっごい美人さんだな、桃香や愛紗とまた違った美しさがあるな・・・・それに彼女・・・・纏ってる氣でわかる・・・・この人・・・強い・・・・恐らく愛紗と互角かそれ以上かも・・・・―

 

一姫がそんなことを思いながら女を見ていると女と目が合ってしまった。女はそのまま微笑みながら一姫の方に歩んできた

 

女「・・・・・貴方も僕と同じみたいですね」

 

一姫「!?同じって?貴方はいったい・・・・」

 

女「そうですね・・・・・今は龍嘩(りゅか)と言っておきます」

 

一姫「今はって・・・・」

 

龍嘩「別にいいじゃないですか?目的が一致していればなんだって」

 

一姫「さっきから同じだの目的が一致だの言っているけど貴方の目的ってなんですか?」

 

龍嘩「それはもちろん彼女たちの救出と犯人の捕縛ですよ」

 

一姫「な!?なぜわかった!?」

 

龍嘩「ふふ、見たらわかりますよ・・・・貴方がこの中で場違いだってことが・・・なのに貴方がここにいる理由はこの二つのほかになにがありますか?」

 

一姫「・・・・・あなたは何者です?」

 

龍嘩「言ったはずです。今は龍嘩だと、これ以上の詮索はお互いなしにしましょう・・・それよりも今は、彼女たちを早くここから連れ出さないと」

 

一姫「・・・・・・それもそうですね。わかりました、だったら私のことは一姫と呼んでください。それとこの子は・・・・」

 

雛里「え、えっと鳳統でしゅ・・・」

 

雛里は一姫の後ろに隠れながら頭を出してペコっと龍嘩に頭を下げて挨拶をする

 

龍嘩「はじめまして鳳統ちゃん・・・・・では、一姫君でいいかな?まずはこの牢から出たいんだけど・・・どうする?」

 

一姫「それなら大丈夫ですよ」

 

一姫はそう言うと牢の鉄格子に近付き鍵をいじりだした。その傍では雛里と龍嘩が一姫の手元を覗いていた

 

龍嘩「へぇ~、手馴れたものですね」

 

雛里「あ、開けれるんでしゅか?」

 

一姫「まぁね、仕事でよく鍵とか開けてたからこの程度の鍵な・ん・て・・・・っと!」

 

ガチャッ

 

一姫「よし、開きましたよ」

 

龍嘩「わかりました」

 

龍嘩は鍵が開いているのを確認すると後ろを振り返り牢の中の女の子たちと向かい合う

 

龍嘩「皆さん聞いてください、今から僕たち二人で貴方たちをここから出します。その時、動けない人を二人で一人を運んでください。向かってくる敵は僕たちでなんとかします。できるだけ早く行動してください」

 

女の子たちは静かに頷くとすぐさま動かない女の子に数人駆け寄り担ぎ上げる

 

龍嘩「よし!では皆さん僕が合図したら後から出てきてください」

 

そう言うと龍嘩は牢の鉄格子越しに周りを窺う

 

龍嘩「見張りの数はわかりますか?」

 

一姫「入り口に二人だけみたいですね・・・・まだ、こちらには気付いていない様子です。」

 

龍嘩「では、一気に飛び出して片付けましょう」

 

一姫「わかりました」

 

雛里「・・・・・・一姫さん」

 

雛里が一姫の服の裾を掴み心配そうな表情で一姫を見つめていた。それに気付いた一姫は雛里の帽子にポンと手を置く

 

一姫「大丈夫だよ、すぐに終わるから・・・」

 

雛里「・・・・はい」

 

龍嘩「準備はよろしいですか?行きますよ!」

 

一姫「わかりました!」

 

一姫と龍嘩は同時に牢のドアを突き破りその勢いのまま牢屋の入り口を見張っていた見張り二人に襲い掛かる

 

 

 

男「な、なんだ!?テメェぐふっ!!!」

 

ドガァッ!!

 

男「脱走ガハッ!!!」

 

ドガァッ!!

 

見張りをそれぞれ倒すと牢にいる女の子たちに向かい合図を送る

 

龍嘩「皆さんいいですか、できるだけ物音を出さずに私の後ろを付いてきてください。一姫君、貴方には後ろを任せてます」

 

一姫「わかりました。あ!それと、これを龍嘩さんに渡しておきます」

 

一姫はなにか筒のような物を龍嘩に渡した

 

龍嘩「これはなんですか?」

 

一姫「ここを出たら空に向けて底にある紐を引いてください。それだけすれば後は大丈夫です」

 

龍嘩「・・・・・わかりました。空に向けて引けば良いんですね」

 

一姫「はい!」

 

龍嘩はそれを聞くと集団の先頭に移動する

 

龍嘩「それでは、ここを飛び出したら一気に駆け抜けます。皆さん、逸れないようにお互いに気を配ってください!行きますよ!」

 

少女達「「「「はい!!!」」」」

 

少女達の返事を聞き、龍嘩は牢屋のドアを開けた。周りに人がいないことを確認すると一気に駆け出した。少女たちも龍嘩に続いて駆け出す。時間帯は夜みたいで城の廊下は薄暗く灯篭の光でどうにか足元が見えている感じだが、よく壁をみると所々にひびが入っており天井にまで続いている

 

ガシャーン!!ガシャーン!!ガシャーン!!

 

夜中の廊下に銅鑼の音が響き渡る

 

龍嘩「くっ!もう気付かれたみたいですね、皆さん急ぎますよ!!」

 

少女達「「「「はい!!!」」」」」

 

龍嘩が追っ手が来る前に城を脱出しようと走る速度をあげる。しかし・・・・

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!ドガァッ!!!!!

 

一姫・龍嘩「「!?!?」」

 

いきなり廊下の天井が崩れたのである。銅鑼の音や大人数が移動する振動に耐えられなかったのだろう・・・崩れた天井が集団の最後尾にいた雛里の上に襲い掛かる

 

雛里「あわわ!!」

 

一姫「雛里ちゃん!!!」

 

ドガァッ!!ドガァッ!!ドガァッ!!

 

間一髪、瓦礫が落ちてくる寸前で一姫が雛里を抱きかかえ後方に飛び退いたことで二人とも無事だが、道は完全に瓦礫によって塞がれてしまった

 

 

 

 

 

一姫「間一髪だったね」

 

雛里「あわわ、た、助かりました~」

 

龍嘩「お~い!一姫く~ん!、鳳統ちゃ~ん!無事か~い?」

 

瓦礫の向こうから龍嘩の声が聞こえた

 

一姫「はい!こちらは無事です!そちらは大丈夫ですか?」

 

龍嘩「こっちも全員無事だよ!だけど道が完全に塞がっているみたいなんだ!どうする?」

 

一姫「俺たちのことは構わず先に行ってください!!俺たちは別の道で脱出します!!」

 

龍嘩「わかりました!!無茶だけはしないでください!!必ず無事に脱出してくださいね!!」

 

一姫「はい!!ありがとうございます!!」

 

そう言うと、瓦礫の向こうから走り去る音が聞こえた

 

一姫「それじゃ、私たちも急いで脱出しようか?」

 

雛里「は、はいです///// //////」

 

一姫は雛里を抱き抱えたまま走り出す。その時、密かに雛里の顔が赤くなっていたが一姫は気付いていないようだ。途中男たちから物陰に隠れたりしながら城の中を走り回っていたが、城は思っていた以上に複雑な造りになっており一姫たちは迷ってしまったようだ

 

一姫「はぁ・・はぁ・・・どんだけ複雑な造りしてるんだ、この城は!!」

 

雛里「か、一姫さん・・・」

 

一姫「ん?どうしたの雛里ちゃん?つかれた?」

 

雛里「いえ・・・一姫さんに抱っこされて、少し恥ずかしいですが・・・・そ、そんなことより、私に考えがありますです」

 

一姫「考え?」

 

雛里「えっと、どんな城もまず玉座が置かれるところをはじめに決め、そこを中心に周りを作ります。ですので、危険ですが一旦玉座の間を目指してそれから脱出の道を見つければいいと思います・・・です」

 

雛里の言った考えは、確かに妥当かもしれない・・・しかし、それは敵の巣窟のど真ん中に入れといっているようなものである

 

 

一姫「・・・・・今の私たちにはそれしか無いみたいね」

 

一姫たちは一旦玉座の間を目指す。

 

目指し始めて、数分走ると見るからに他の部屋の扉よりも大きな扉の前にやってきた一姫たち、どうやら玉座の間にたどり着けたらしい・・・・しかし

 

 

 

 

 

―おかしいな、ここまで来るのに全然敵に会わなかったな・・・敵は俺たちよりも龍嘩さん達のほうにいったのか―

 

一姫が周りに敵がいないことを不信に思い周りを警戒する

 

雛里「一姫さん、扉の中から声が聞こえてきますよ」

 

一姫「え?・・・・・本当だ、中で何人か話しているみたいだね」

 

一姫と雛里は扉に聞き耳を立て、中の会話を聞き取ろうとする

 

???「おい!まだ、脱走した奴らは見つからないのか!!」

 

???「早くしないと奴が来てしまう・・・」

 

???「ふん!奴など、どうでもいい最初から奴を裏切るつもりだったのだからな!」

 

???「そうだ、我々が逃げ延びてるところを拾ってくれたことには感謝はするが、もう奴は用なしだ、攫ってきた娘たちを他に移してとっとと逃げるのが一番だ」

 

???「しかし、その攫った娘たちが脱走してしまっているではないか!!」

 

???「なに、今全ての兵に捕縛するよう向かわせている。捕まえるのも時間の問題だ!!」

 

中ではこれからのことが話し合われているみたいだが、部屋の中が広いせいなのか声が響いてしまい扉越しだとよく聞き取れなかった

 

一姫「クソ~、よく聞こえないな・・・」

 

一姫は声を聞き取ろうと更に耳を扉に押し付ける

 

雛里「か、一姫さん!そんなに押し付けてしまったら!!」

 

ガコン!!!

 

一姫「ふぇ?・・・・」

 

ドスン!!!

 

扉の付け根が腐っていたのか一姫が耳を押さえつけたことにより、扉が倒れてしまったのである。当然、扉に寄り掛かっていた一姫は扉と共に玉座の間に入ってしまった

 

???「!?だれだ!!」

 

中にいた男たちの視線がいっせいに一姫たちに集まる

 

一姫「いたたた・・・・・・・・ん?・・・あ!お前らは!!」

 

一姫の目に入ったのは初陣だった盗賊団討伐のとき、お頭の部屋で戦いお頭を殺した将たちであった

 

一姫「なんで、盗賊団だったお前らがここにいる!!」

 

将1「なに!?小娘なぜ我らが盗賊団にいたことを知っている?」

 

一姫「そんなことはどうでもいい、なぜお前らがここにいるかと聞いている!!」

 

将2「ふん!そんなもの逃げたに決まっておろう」

 

将3「義勇軍どもが攻めてきたのでな、すぐに逃げ出したのさ」

 

一姫「あそこにはお前らの手下もいただろ!!それにお前らと同じ将の一人もいたはずだ」

 

将5「ああ、奴のことかあいつは侵入者にやられていたからな、荷物になると思い捨ててきた」

 

一姫「捨てたって・・・・まぁいい、一つだけ聞いてくれないか?」

 

将1「なんだ?」

 

一姫「あんた達が殺したお頭さん・・・・あの人は殺されてもあんた達を気に掛けていた、自分に全ての罪を被せてあんた等の命を救ってくれって・・・」

 

将「「「「・・・・・・・」」」」

 

一姫「なぁ、今からでも遅くない自首して「「「「ふはははは!!!」」」」な!なにがおかしい!!」

 

将1「ふはははは、いや、あいつもめでたい奴だと思ってな」

 

将2「殺した相手のことを気に掛ける馬鹿とはな」

 

将3「馬鹿だとは思っていたがここまでくるとな」

 

将5「笑いが出てしまうんだよ!ふははははは!!」

 

将たちが腹を抱えて笑っているのをジッと見つめる一姫

 

雛里「この人たち・・・・・・・最低です」

 

一姫「・・・・・・・・・・・雛里ちゃん」

 

雛里「は、はいでしゅ!!」

 

雛里はさっきまでと雰囲気がちがう一姫から声を掛けられ声が裏返ってしまう。一姫は雛里と目が合うくらいまで屈むと頭に付けていたリボンを解き雛里の目を覆うように巻いた

 

雛里「か、一姫さん・・・なにを?」

 

一姫「雛里ちゃん・・・・私がいいって言うまでそれをとったらいけないよ・・・それと、手で耳を塞いでいて・・・キミには見せたくも聞かせたくもないから・・・」

 

雛里「き、聞かせたくないってなにをですか?」

 

雛里は恐る恐る聞く、一姫は静かに立ち上がり将たちを見据え溢れんばかりの怒気を纏い答える

 

一姫「奴らの・・・・断末魔・・・」

 

雛里はゾッと寒気がした。牢屋で感じた暖かい雰囲気が嘘だったかのように、今では冷たい殺気しか感じない、彼女の怒りが目で見なくても肌で感じ取れた

 

将1「俺たちの断末魔?ちがうなぁ、今から響くのは貴様の喚き声だ、俺たちに犯されてな!ふはははは」

 

一姫「いいねぇ、そうだよ・・・悪党はそうこなくちゃな・・・最近、桃香たちの影響か悪党に感情移入してしまうことが多くなってね・・・本来の悪党はお前らみたいなのを言うんだよな」

 

将1「あん?さっきからなにが言いたい?」

 

一姫「残念でしたね、おじ様たち・・・ここに紅蓮朱雀があったら楽に気絶できたのに♪」

 

将1「それはどういう意味 -ヒュ~~~~~ドンッ!!!- !?なんだ今の音は!?」

 

ガシャーン!!ガシャーン!!ガシャーン!!

 

城の外から何かが打ちあがる音が聞こえその後の銅鑼の音で将たちにすきができた。一姫はそれを見逃さず、一気に周いを詰め将たち全員に一撃を入れていく

 

ドガァッ!!ドコォッ!!ガコォッ!!バキィッ!!

 

将1「ぐわぁっ!!」

 

将2「グフゥッ!!」

 

将3「ガゲェッ!!」

 

将5「ベハァッ!!」

 

四人中三人が一姫の一撃によって気を失った。一姫はまだ意識の残っている一人の胸倉を掴み無理やり立ち上がらせる

 

将1「ゲホッ・・・き、貴様・・・今の動きはあの時の・・・・」

 

一姫「やっと思い出してくれましたか?一姫、うれしいです♪」

 

一姫は満開の笑顔で答える

 

将1「ま、待て!俺たちが悪かった!自首もする・・・・そうだ!確かあんたは人を殺さないんだったんだよな!ほら、降参するからこれ以上はもうグホォッ!!!」

 

一姫は将の鳩尾を殴って将の命乞いを黙らした

 

一姫「確かに俺は殺しはしない・・・・だけどな・・・殺さなければなんでもできるんだよ!!」

 

ドガァッ!!ドコォッ!!ガコォッ!!バキィッ!!

 

将1「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

一姫は将の顔の原型がなくなるまでボコボコにした。それが終わると別の将の顔を殴りはじめ、全員殴り終わるときには一姫の手からは血が滴り落ち、服や顔には返り血がついていた

 

 

 

 

一姫「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

雛里「・・・・・・か、一姫さん?」

 

雛里は一姫に言われたとおりに耳を手で塞いで何も聞こうとしなかった・・・いや、聞けなかった、あまりにも怖くて、手を除けたくても除けれなかったのである。

 

一姫「はぁ・・・はぁ・・・・ふぅ~・・・・もう、いいよ雛里ちゃん、手を除けても」

 

雛里「あ、はいです・・・・・・一姫さん、大丈夫ですか?」

 

一姫「ん?うん!大丈夫だよ、怪我もしてないから安心して」

 

雛里「いえ、その・・・・・体もですが・・・その・・・心のほうが・・・・」

 

一姫「・・・・・こころ?」

 

雛里「あの・・・今、目隠しして見えませんが一姫さん・・・・泣いているのではないのですか?」

 

一姫「・・・・・・え?」

 

一姫は自分の顔に手を添え手の平を見るすると、手に水滴が付いているのを確認できた。一姫は無意識に泣いていたのである

 

一姫「・・・・・な、なんで?」

 

雛里「そ、その・・・・声が平然を装っていますが、今の一姫の声・・・悲しみでいっぱいだって感じ取れます」

 

一姫「・・・・・ああ・・・そうか・・・・・クソ・・・・慣れたと思ったのにな・・・やっぱり、まだ人を傷付けることを躊躇っているんだよな・・・・・俺・・・」

 

一姫は自分の覚悟の無さに怒りが込み上げてきた。自分は桃香ために力になると決めたのに、敵を倒す覚悟が無かったことが悲しかった・・・・

 

一姫「クソ・・・・クソ・・・・こんな死んでもいいような奴らに・・・同情するなんて・・・俺は・・臆病者だ!!・・・・・クソ!!」

 

一姫が自分の不甲斐無さに嫌気がさした。北郷家当主となってからは悪党には容赦しなかったはずなのに・・・そう思い一姫はその場に崩れ落ちそうになる・・・・・しかし

 

ガバッ

 

一姫「????雛里・・・ちゃん?」

 

崩れそうになった一刀を雛里が抱きしめたのである。その時目に巻いていたリボンが取れ床に落ちる

 

雛里「一姫さんは・・・・一姫さんは臆病者ではありません!・・・・一姫さんは人の痛みを感じ取れる優しい・・・とても優しい人なんです!!・・・・だから・・・自分を嫌わないでください!!!」

 

雛里の言葉が一姫の心に響いてくる。これまで自分で自分を否定してきた一刀・・・変わらなければいけない・・・このままじゃいけない・・・そう考えていたが、雛里はそのままの自分を嫌いにならないでと言う・・・・このままで良いのだといってくれる・・・・一刀の心は自然と温かさを取り戻していった

 

一姫「・・・・・・雛里ちゃん・・・・もう少しだけこのままでもいい?」

 

雛里「・・・・・・はい」

 

一刀は優しく大切なものを包み込むかのように雛里を抱きしめた

 

一姫「・・・・・ありがとう雛里ちゃん、助かったよ」

 

雛里「い、いえ・・・お役に立ててうれしいです////// /////」

 

一姫「そろそろ出ようか?外で私の仲間が待っているはずだから」

 

雛里「はい!・・・・・でも、あの人たちは・・・」

 

雛里は振り返り床に寝ている将たちをみる

 

一姫「大丈夫、奴らはしばらくは目を覚まさないよ。覚ましたとしても動けないから」

 

一姫は雛里の手を引いて玉座の間を後にする

 

 

 

 

 

 

 

 

???「やれやれ・・・・やはりこうなりましたか・・・・」

 

一姫たちが去った玉座の間にどこから来たのか、眼鏡をかけた一人の男が現れた

 

???「まったく、少し知恵を貸したらすぐにいい気になる。人間というのは愚かですね・・・・」

 

将1「あぁ・・・ううっ・・・・」

 

男が倒れている将に話しかけると将は薄れている意識で男に何かを言おうとする

 

???「ふふ、私が言ったとおりに人を攫ってくれば良いようなものを・・・貴方たちは己が欲望のために若い娘ばかりを狙い、あまつさえ私を裏切ろうとした・・・」

 

将1「ううっ・・・・・」

 

???「私は別に怒っているわけではありません。貴方たちが裏切るのは目に見えていましたから・・・やはり生きている人間というのは扱いが難しいですからね」

 

将1「あぁ!!・・・・・・」

 

???「ふふ、そんなに怖がる必要はありません・・・これからは貴方たちも我らの仲間になるのです・・・死体としてですがね♪」

 

将1「た・・・たすけ・・・・」

 

???「送!」

 

男が言葉を発すると床に倒れていた将たちが消えてしまった。男は振り返り扉の傍に落ちていた一姫のリボンを拾い上げる

 

???「ふふふ、なかなか面白い方がこの外史にはいるみたいですね。さて、私のほうも準備を始めるとしましょう」

 

男は夜の闇に溶け込むかのようにその場から消え去った。誰も居なくなった玉座の間には一切れのリボンが床に落ちているだけとなった

 

 

 

 

 

 

 

桃香「一姫さ~ん!だいj「一姫!!無事か!!」・・・・・」

 

無事に城の外に出た一姫たちは劉備軍に保護され、桃香たちのいる陣へと連れてこられた。

桃香が一姫を出迎えるよりも先に愛紗が一姫を抱きしめる

 

一姫「ちょ!愛紗、くるしい」

 

愛紗「あぁ!もうこんなに血だらけになりおって!誰にやられた、おのれ~よくも一姫に怪我を負わせおって~、絶対に許さん!!この私が直々に切り捨ててやるわ!!」

 

桃香「ちょっと、愛紗ちゃん!?どこに行くの?戻っておいで~!!」

 

愛紗は偃月刀を振り回しながら城の中へと入っていった

 

桃香「まったくも~・・・・お疲れ様でした一姫さん」

 

一姫「うん、桃香たちもお疲れ様。奴らは全員捕まえれた?」

 

桃香「それが~・・・・」

 

一姫「え!なに?取り逃がしたの?」

 

桃香「いや、一姫さんから渡されたケータイで一姫さんを追ってこの城まで来て合図があるまで待機をしてたの」

 

一姫「うんうん・・・それで?」

 

桃香「それで、一姫さんの合図のしんごうだん?が見えたから突入したの・・・そしたら・・」

 

一姫「そしたら?」

 

桃香「全員倒されてたの!」

 

一姫「・・・・・・・は?」

 

桃香「だから、全員倒されて山みたいに積み上げられてたの!その山の上で龍嘩って人が座ってて「死んではいませんから」て言い残してどこかに行っちゃったの!何者なんだろうね?あの人」

 

一姫「・・・・・・なるほど、あの人が・・・」

 

一姫は改めて龍嘩の強さを感じた、それと同時に彼女のなぞも深まった

 

桃香「一姫さん、さっきから気になってたんだけど、その後ろの子は誰?」

 

桃香は一姫の後ろに隠れていた雛里を覗き込む。雛里は恐る恐る顔を出し、桃香の顔をみる

 

一姫「この子は、捕まってたときに知り合って友達を探してあげるって約束したんだ」

 

桃香「ふ~ん、そうなんだ・・・はじめまして、私は劉備っていいます」

 

雛里「ほ、鳳統でしゅ・・・・ぁう・・・」

 

雛里は噛んだことが恥ずかしくなりまた一姫の後ろに隠れてしまった

 

桃香「あはは♪可愛いね、鳳統ちゃんって」

 

一姫「おいおい、あんまりからかうなよ」

 

そんなやり取りをしていると城のほうから朱里が近付いてきた

 

朱里「桃香さま~、確認終わりました!どうやら、攫われた女の子は全員無事みたいです!!」

 

朱里が一姫たちの傍までくると何かに驚いているのか急に立ち止まってしまった

 

朱里「・・・・・ひなり・・・・ちゃん?」

 

一姫の後ろに隠れていた雛里も朱里の存在に気付き驚いていた

 

雛里「・・・・しゅり・・・ちゃん?・・・・・・・うぐっ・・・ふええぇぇぇ~~~~~~~~んっ!」

 

雛里は泣きながら朱里に抱きついた

 

雛里「朱里ちゃん!朱里ちゃん!朱里ちゃん!!」

 

朱里「ひ、雛里ちゃん!?ど、どうしてここに?」

 

雛里「ふぇぐっ・・・・・朱里ちゃんが・・・・水鏡先生の塾を出て・・・すぐに私も・・・うぐっ・・・後を追ったんだけど・・・へぐっ・・・・男の人に・・・・・朱里ちゃんに合わせてくれるって言われて・・・付いて・・・・ひっぐ・・・・行ったら、ここに連れてこられて・・・・・」

 

朱里「そっか・・・・いろいろ大変だったんだね、・・・・ごめんね・・・・でも、もう大丈夫だから!もう離れたりしないから、ずっと一緒だよ♪」

 

雛里「ひっぐ・・・・・うん♪、ずっと一緒♪」

 

二人はにこやかに笑いあった

 

桃香「よかったね鳳統ちゃん、朱里ちゃんと会えて」

 

雛里「はい♪」

 

一姫「よかったね雛里ちゃん、まさか探してた友達が朱里だったとは思わなかったよ」

 

雛里「一姫さん♪どうもありがとうございました。一姫さんが朱里ちゃんの知り合いだったおかげでこうして会うことができました」

 

一姫「別に私は何もしてないよ」

 

朱里「あ!そうだ雛里ちゃん、一姫さんが何者か聞いた?」

 

雛里「え!そういえば、名前以外知らない・・・」

 

朱里「ふふふ、聞いたら驚くと思うよ。この人が私が憧れて仕えようと思った天の御使いの北郷一刀さんなんだよ!」

 

雛里「あわわ!!一姫さんが御使い様!?・・・・・あれ?でも、御使いさまって男だったんじゃ・・・」

 

一姫「あぁ~、その~、騙すつもりはなかったんだけどね・・・・俺、男なんだよ」

 

雛里「ふぇ!?」

 

雛里はあまりにも驚くことが連続して起こってしまって頭が混乱してしまった

 

雛里「あわわ!え、えっと!・・・一姫さんが御使いで男で本当が一刀さんで一刀さんが女で御使い様が女で私は男の一姫にあんなことやこんなことを~~~~~~あわわーーーーーーー!!!!!/////// ///////

 

プシューーーーーーーッ!!!!!

 

雛里は頭から湯気を出しながら倒れてしまった

 

朱里「はわわ!!雛里ちゃん!しっかり!!」

 

一姫「大丈夫!!雛里ちゃん!!」

 

桃香「誰か担架持ってきて!!」

 

雛里が倒れたことによって大慌てする劉備軍陣営・・・そんな様子を崖の上から見る影がひとつあった

 

 

 

 

 

龍嘩「やれやれあの信号弾には驚かされましたよ、まさかいきなり飛び出すんですから・・・・」

 

ドドドドドドドドド!!!!!!

 

劉備軍を見ていた龍嘩の後ろに曹と書かれた旗を掲げた大軍が龍嘩の後ろで止まり先頭にいた金髪をクルクルに巻いた小柄の少女が龍嘩に走り寄った

 

???「兄さん!!龍萎(りゅうい)兄さん!!」

 

龍萎「おや?華琳、随分遅かったですね」

 

華琳「ごめんなさい、準備に手間取ってしまって・・・人攫いのほうはどうなったの?」

 

龍萎「それなら、彼女たちが捕まえましたよ」

 

華琳「ええ!?」

 

華琳と呼ばれた少女は龍萎が指差す劉備軍を見下ろす

 

華琳「旗は劉・・・最近、平原の相になった劉備かしら」

 

龍萎「華琳・・・・貴方は感じるはずです。あの劉備と呼ばれる少女をが持つ器を」

 

華琳「えぇ、あの子、私とは逆の王の器を持っているわ」

 

龍萎「そうです・・・・貴方が覇王を目指すなら必ず彼女は貴方の壁として立ちはだかるでしょう・・・貴方はどうしますか?」

 

華琳「は!当然、打ち砕いて見せるわ!私が目指す覇道に障害はつきもの、それぐらいじゃないと面白くないわ!!」

 

龍萎「さすがわ曹猛徳、僕の妹です」

 

華琳「目標が無くなってしまったのならこれ以上ここにいる必要はないわ!帰りましょう兄さん」

 

龍萎「えぇ、そうですね・・・・」

 

華琳は乗ってきた馬に跨り走り出す。龍萎は最後に後ろを振り返り慌てふためく一姫を見据える

 

龍萎「今度は男の姿で会いたいですね・・・・御使い君」

 

この出会いが外史になにをもたらすのか、そして一刀が知らない闇が着々と動き始めているのをまだこの外史の人間はだれも知らない

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

こんにちはハタショウです。とある偉い人は言いました・・・「男なら一度は通る女装の道!!」・・・・すみませんうそです!!そんな目でみないでください!!

ただ、自分が好きだっただけです!!女装とか性転換とか女体化とか大好きなんです!!はっはっはっ!!笑えばいいさ、どうせ変態さ!!笑えば良いさ!!わははははははは!!!・・・・・

 

 

 

 

 

すみません、調子に乗りすぎました。・・・・さて、今回はやっと出せました雛里ちゃん!ゲームで人攫いネタを連発していたので、だったら攫ってみるかと思いやってみました。なんだか初っ端から一刀に急接近しすぎなのではと思ったりしましたが、そういえばこのときは一刀は女なのだからこれぐらいは良いかなと思い色々させてみました。

次にオリキャラの龍萎さんこの人を魏の主人公にしようと思います。私は恋姫のみんなには幸せになってもらいたいので三国それぞれに一人男を入れることにしました。無茶にもほどがあると思いますが、なんとか書いていきたいと思うので温かい眼で見ていってください

 

 

 

次回は本編はお休み番外編をやりたいと思います。話の内容は一刀がこの世界に来る前のお話、主人公は龍萎さんと呉の主人公が太平要術の事件に巻き込まれる話です。それでは次回までお楽しみに

 

 

 

 
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