ここはひだまりの騎士団の拠点たる裏庭
今はジャルスとサイだけが残っていた
他の面子は襲撃してきたオガワラ兵の迎撃に当たっていた
「サイ、大丈夫?」
「姉さん・・・大丈夫・・・です・・・・・・」
ジャルスはサイの看病をしていた
ここ連日のオガワラの追手との戦いで疲れがたまっていたサイはついに熱を出して倒れてしまったのである
そんなわけでサイは看病に残った姉のジャルスと共に裏庭にいた
「サイ、何か食べたい物とかはない?」
「お腹はすいて・・・ない・・・です・・・・・・」
「わかったわ、熱が高いみたいだから何か栄養の付く飲みものでも買ってくるわね」
「姉さん・・・ありがとう・・・ござい・・・ます・・・・・・」
サイの様子は本当に辛そうだった
ジャルスはサイに寝てるように言うと、アイテムショップ野田に向かった
「何か栄養の付く飲みものはないかしら?」
ジャルスは慌てたように聞いた
すると野田さんは
「お、良かった・・・ちょうど今日入荷したところだよ」
と言って一本の瓶を取り出した
「これは・・・なにかしら?」
初めて見る飲み物にジャルスは怪訝そうな顔で尋ねた
「これはマタタビンEXというものだよ、栄養たっぷりで日頃の疲れも一発で吹っ飛ぶよ」
野田さんの説明に気を良くしたジャルスは早速マタタビンEXを買って裏庭へ帰って行った
「サイ、買ってきたわよ」
と言いながらジャルスは瓶をサイに手渡した
「姉さん・・・ありがとう・・・ございます・・・・・・」
サイは疑いもせずに瓶の中身を呑みほした
「どう?おいしい?」
そう尋ねてからジャルスはサイの様子がおかしいことに気付いた
熱で赤かった顔はさらに赤みが増し、目は潤んでいた
「ねぇひゃん~これぇ~・・・ヒック・・・あまくてぇ・・・にがひよぉ~」
さらにろれつも回っていなかった
ジャルスは慌てて瓶の成分を見た
〈マタタビンEX 主成分:マタタビ〉
ジャルスは頭を抱えた
何故気付かなかったのか
それはあなたが姉バカでサイ以外の事が目に入ってないからです
天から声が聞こえた気がした
「ちょっと待ってなさい、サイ・・・水を買ってくるから」
慌てて立ち上がろうとしたジャルスの服が何かに引っ張られた
「ねぇひゃん~おいていかないでよぉ~」
見るとサイがジャルスの服の裾を固く握りしめていた
「ねぇひゃん~わらひを・・・さいを・・・おいていかないでよぉ~」
シートから必死に手を伸ばしジャルスの服を握りしめるサイ
熱とマタタビのせいで頬は上気し、目が潤んでいる
さらに寝ているせいで自然と上目遣いになっている
ジャルスは顔を背けて必死に鼻を押さえていた
「ねぇひゃん・・・どおしてかおをそむけるの?さいのこときらいになった?」
「うりゅっ」という擬音語が似合いそうな顔でサイがジャルスを見ていた
ジャルスは込み上げる鼻血をなんとか抑え込み笑顔で答えた
「私がサイのこと嫌いになるわけないでしょう?」
するとサイはシートから出てきてジャルスに抱きついた
「わ~い、おねぇひゃん・・・らいすきぃ~」
かと思うとサイの頭はジャルスの膝の間に落ち静かな寝息を立て出した
ついにジャルスの理性と鼻が決壊した
膝元で静かに寝息を立てる愛しき妹の顔を確認すると、安堵したようにジャルスは自らが作りだした血溜りに沈んでいった
「キャ~~~~~~~~~~~~~~!!」
先に裏庭に戻ったはずのリロットの悲鳴を聞いてチロとクロは慌てて駆け出した
そこには恍惚の表情で血溜りに沈むジャルスとジャルスの膝で穏やかな寝息を立てるサイがいた
後日クロに呼び出されたジャルスがみっちり説教を食らったのは言うまでもない
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妄・想・大・暴・走!!
誰が言ったか知らないが
「小説とは99%の妄想と1%の文章力で成り立つ」ものらしい
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