~思春√その一~【再会の杯】
私が仲間になってから数日がたった。
あの後思春は今まで部下だったものに説明をし、部下も快く呉に下ることを了承してくれた。
そして私は正式に呉の将になり、水軍・遊撃の要として動くこととなった。
私はこの大々的な抜擢にビックリしていたが、ここまで認めてくれていたことに嬉しく思い快くその命を受けることにした。
思春「ふぅ、ここまで期待されていると嬉しいが…結果が出せるか心配だな…」
私は嬉しい反面、今までこういった期待をされたことが無いため何時も気が張り詰めた状態になってしまった。私自身そのことは分かっているのだが、自分を追い詰めてしまう性格もあってうまく息抜きすることが出来なかった。
思春「私には学があまり無い…武しかとりえが無いのは分かっている。でもそれをいいわけには出来ない…こうして将として受け入れてもらったからには頑張らねば…」
そう言いながら更に自分を追い詰めていく。他の人もそれに気がついたのか声を掛けるのだが、それも私は自分がまだ認められてないと思ってしまい、気を張ってしまう。そういった悪循環にはまってしまっていた。
だが、今言ったことは些細なことで一番私を悩ませているのは一刀のことだった。
一刀…私が生まれて初めて親以外で絶対の信頼を寄せることができた人。武は私より劣るし、智は私より上でも文官の人に比べたら心もとない。そんな一刀だが、彼はとても暖かくそばにいると心が休まるのが分かる。困っている人を見ると自分の都合もお構い無しに助けようとするお人よし、そのことをイマイチ自覚していないがそこも彼の魅力だろう。だから私も信頼を寄せることができたのだと思っている。だから彼がそばにいなくなる時は泣いたものだ。だから再会した時はもう離れたくないと思っていたのだが…なぜ私は彼のそばにいないのだろう。まぁ理由は分かりきっているのだが…
そう言って彼がいる場所へ視線を向ける。するとそこには雪蓮様を筆頭にいろんな女性に囲まれていた。
雪蓮「か~ずと♪ねぇ呉の一大事なのだから手伝って~♪」
冥琳「はぁ…どうせお酒の納入が遅れるとか、馬が生まれるとかでしょ?それよりこれから一緒に兵法の勉強をするぞ。」
祭「冥琳よ、勉強は昨日やったじゃろ?それより弟子よ鍛錬をするから付き合え」
蓮華「祭!鍛錬もこの前やったでしょ?それより一緒に警邏に出かけよう。私はまだ詳しくこの町のことを知らないから案内をしてくれ」
穏「一刀さ~ん。倉庫に一緒に来てくれませんか~♪」
一刀「いや…これから用事があるから無理なんだって!!」
そう、すべては雪蓮様の宣戦布告のせいだ。それがあった後一刀は事あるごとに雪蓮様たちに追い駆けられることになった。(穏はいつの間にか参戦をしていた。いったい誰から話を聞いたのか…)
まぁこれはなんとなく予想がついていたのかもしれない。
はっきり言って一刀の笑顔を見て惚れない女性はいないと思っている。(もしいるとしたらその人は本当に男に興味が無いのだろう…)
そして計算じゃないくせに女をとりこにしてしまう行動。
私も昔何回それで顔が赤くなり、抱きしめたいと思ったことか…こう、ギュってしたくなる。保護したくなると言うか、守りたくなると言うか…とにかくそんな感じだ。
だが、彼はそれだけではなく、ここ一番には凛々しい顔になり仲間を守ろうと必死になる。
それがかっこよくて…っと話がおかしくなったが、とにかく一刀はある意味女の敵だと言える。
これだけは一刀にどうにかしてほしい。これは美点であるが、汚点でもある。
思春「まぁ私には関係ない。べ…別にあいつが誰と一緒に過ごそうが、私には…」
そう言いながらも私の心は締め付けられていた。この時私はまだこの感情を説明できないでいた。
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・・・・・・
・・・
私は心のざわめきを落ち着かせるために、木の陰に座り心を落ち着かせていた。
そこに気配を殺しながら近づいてくるモノがいた。
だが、私にはその者が誰かすぐに分かった。
思春「………何か用か一刀?」
一刀「あれ?…気付いてたのか。さすがだな…」
思春「当たり前だ。気付かれずに近づいてくるのならもっと気配を殺してくるんだな。」
一刀「ははっ…わかったよ。」
そう言って一刀は苦笑する。その顔をかわいく思いながらも見つめる。
思春「それで?」
一刀「ん?」
思春「私に何か用があるのではないのか?」
一刀「あぁ…。さっきまで用事があったんだけど、それが終わって暇だな…と思っていたら思春を見かけてね。よかったら鍛錬でも付き合ってもらおうかと…」
思春「それなら祭殿がいるであろう」
一刀「まぁ…そうなんだけどね…ただ今日は思春に付き合ってもらいたいな…って思って…」
本当にコイツは…そんなこと言ったら勘違いしてしまうと言うことが分からないのだろうか?
それともこれは一刀の策なのか…わからん。
そう思っていると、
一刀「だめかな…?」
そう言って悲しそうな顔をする。
本当にコイツは卑怯だ。そんな顔をされたら断れないだろうが…。
やっぱりコイツは女の敵だ…
思春「/////////・・・わかった。…でも手加減はしないぞ?」
一刀「ありがとう(ニコ」
今殺してしまったほうが、この世の中のためなのかもしれない…
そう思いながら立ち上がり剣を構えた。
・・・ギン・・・・ギギギギギ・・・・・・カキィィン・・・・・・・
・・ダ・・・ヒュッ・・・・フッ・・・・・・
(音声のみでお楽しみください)
思春「…ほう。さすが祭殿に鍛えられているだけはある。いい動きするじゃないか…」
一刀「ハァ…ハァ…ありがとう…でもまだまだだね。もっと強くならないと…」
思春「…その心意気は買おう。だが一刀は弓が得意なんだろ?なぜ弓で戦わないんだ?」
一刀「そ、それは…ちょっと考えていることがあってね…それにやって損はないだろ?思春だって弓得意なくせに剣振っているんだから…」
思春「…まぁそうだな…そらどうした攻撃が単調になってきているぞ?」
一刀「ハァ…ハァ…チィ…何で思春は息が切れないんだよ…」
思春「それは…秘密だ…」
一刀「そこは教えろーーーーー!!」
そう言い合いながら二人は鍛錬を続けていくのだった。
しばらく鍛錬を続けた後、一刀は限界が来て休憩することになった。
思春「…フン…やはりまだまだだな…」
一刀「ハァ…ハァ…分かってるよそれぐらい。…あ、そういえば今日の夜何か用あるか?」
思春「…?何だいきなり…今日は何も無いが…」
一刀「そうか。なら今日の夜城壁の上で待っていてくれないか?」
思春「ん?どうした何かあるのか?」
一刀「まぁね。」
思春「教えろ」
一刀「秘密だ」
思春「そうか…なら、鍛錬でたっぷり絞ったあと聞き出してやる。」
一刀「は…?」
思春「フフフ…さぁいつ白状してくれるかな?」
一刀「!!…逃げ…うわぁ………ギャーーーー」
その後も鍛錬をしながら一刀を白状させようとしたが一刀は喋らず、叩きのめしてしまった。
やりすぎた…
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・
そうして、夜になり一刀の言う通り城壁の上で待っていると、一刀がやってきた。
思春「オマエは…なんで呼び出した本人が遅いんだ!!」
一刀「ごめん。ちょっとコレを取りに行っていたから…」
思春「なんだそれは?」
そう言われて一刀の手を見ているとたしかに何かを持っていた。
一刀「これは、もし思春と再会したら飲もうと思っていた酒だよ。俺が作ったやつだから親父に比べたら美味しくないかもしれないけどな…」
そう言って杯を私に渡し、酒を注いだ。
思春「///////////そ…そこまで言うなら、飲んでやろう。」
顔が赤くなっているのがわかった。
自分がとても喜んでいると言うことも…
一刀「おう!…それじゃあ乾杯だ」
思春「乾杯…?何にだ?」
一刀「思春との再会に…そして皆が笑顔でいられるように…」
思春「お前言っていて恥かしくないのか?」
一刀「…そこにはツッコミをいれないで…」
思春「…フッ…まぁいい…乾杯だ」
そう言って二人で杯を上に上げ乾杯をする。
そのお酒は今まで飲んだどんな酒より甘く、そして美味しかった。
思春「・・・・・・・・・・・・・・」
一刀「どうした?やっぱりあまり美味しくなかったかな?コレでも一番いいできのヤツを持ってきたんだけどな…」
思春「・・・いや美味しい」
気付いたら私は涙を流していた。
今まで飲んでいたお酒はとても辛く美味しいと思ったことが無かった。
でもこのお酒はとても甘く、美味しく感じられる。
初めて飲むこのお酒の味に私は感動していたのかもしれない。
一刀「…思春!!何で泣いているのさ?」
思春「///////////なんでもない!!それよりも、もう一杯くれ。」
一刀「・・・・・?」
わけが分からないといった感じでお酒を注ぐ一刀。
その顔を見て思わず笑ってしまう。
一刀「え!?…さっきまで泣いていたのに今度は笑うの?意味が分からないよ…」
思春「あははははっ…」
その顔を見てまた私は笑ってしまう。
一刀もいつの間にか笑っていた。
そして、私は気付いてしまったのだ。
いや…気付いていたくせに、気付かない振りをしていただけなのかもしれない。
何を?
そう、私は確信してしまった。
一刀が好きなのだ
それを納得してしまうと、今まで悩んでいたことが嘘のようになくなってしまう。
今までの悩みの答えはすべてそれだと言わないばかりに…
一刀のそばにいることが好き。
一刀のコロコロと替わる表情が好き
一刀の考え方が好き。
一刀のすべてが好きなのだ。
今思えば、気を張っていたのも一刀にいい格好をしたかっただけなのかもしれない。
そう考えるのが一番納得してしまう。
そんな自分に呆れながらも、おかしくて笑ってしまう。
思春「…一刀、もう一度乾杯しないか?」
一刀「?いいけど…何に乾杯するの?」
思春「それはな…」
これからの自分に…そして愛すべき人のために…
一刀「………思春の方が恥かしいこといっていると思うけど…」
思春「////////////////うるさい!!」
この言葉はきっと一刀は真の意味には気がつかないだろう…
だってこれほど鈍感なヤツはいない。
でも今はそれでいい。
私も素直になるのには時間がかかるから…
近くにいる人に比べたら一刀には私は魅力的に見えないだろう。
でもあきらめるわけにはいかない。
自覚してしまったらこの思いはとまってくれない。
ならこの思いを力にかえて、きっと私を選ばせて見せる。
どんだけ時間がかかろうとも…
覚悟してください。雪蓮様たち…そして一刀よ…
鈴は自分の思いを知り音を鳴らす
もう一つの鈴は気がつかない
でもそれでいいのだ
音を鳴らしていればきっといつかは気付く
だってその鈴は困っている人を見過ごせないのだから…
そして人を泣かすのを嫌うのだから…
だから今は音を鳴らそう
不器用で、捻くれているかわいげのない鈴は今はこれが精一杯
この音にひねくれものの鈴の気持ちをのせて…
雪蓮「ちぇ…いいなぁ」
祭「いいのう…」
冥琳「まぁまぁ…今回は思春に譲りましょう…(イライラ)」
蓮華「フフフ…負けないわよ思春…」
秋華のあとがきこ~な~
思春「ポーーーーーーーー////////////」
あれ?反応が無いですね。まぁそれはそれとして、今回のお話どうでしたか?
ツンデレ思春の理由?見たいなものを書いてみようと思い書きました。
思春「もじもじ//////////」
(不気味だ…)ツンが少ない?すみません。私が考えている思春は嫌っていたり、ツンケンしたりというものではなく、素直になれないや、捻くれているといった感じなので、ツンを書くのはなかなか…
思春「ふぅ………」
(ビクゥ)まぁこれからは嫉妬も含めもっとツンを書きたいと思います。
それと、もう一つの魏メインのお話なのですが…皆様の声援をうけ少しずつ書いていくことにしました。
なのでそちらもぜひみてもらえると嬉しいです。
思春「…おい」
は。はい!な…なんでしょうか?
思春「今回の話よかったぞ///////」
ありがとうございます…
……あ、それとですね。ここで少しアンケートをとりたいと思います。
もう一つの作品のあとがきのパートナーなのですが、決まっていません。
なので、次の4つから選んでください。
1華琳様
2稟
3凪
4それ以外の魏の武将(誰がいいとか書いていただけると嬉しいです。)
この中から選んでください。
では、次回の話ですが…
武の力を認められ専用の武器をもらう思春と一刀
そこに丁度盗賊討伐の命が下る
初めての実践に行く一刀
彼はそこで何を思うのか…
そして、彼女達は何を思うのか
です。
思春「ん?初めての実践は私を仲間に入れるときではないのか?」
そうともいえますが、次回は目の前で人が死んでいくのを目の当たりにするということで初めてと言わさしていただきました。
思春「たしかに…私の時は戦闘がなかったからな…」
はい。ここはこの作品の重要な場面でもあります。
思春「どういうことだ?」
それは、秘密です。というか、ネタばれはいけません。
思春「…まぁ仕方がないというところか…」
そうですね。皆様次回もお楽しみにしてください。
では今日の思春ちゃんにうつりますが、今回は前の感想の時に少し反応があり、それを元に考えました。
思春「ん?たしか私が動物だとしたら?といったヤツだな…」
そうです。それを元に考えたのが…
肉食系女子思春!!
コレになります。
思春「チョットマテ…なんだその肉食系って…」
まぁ要するにプレデターってことです。
思春「ぷれ…?なにを意味がわからないことを…」
まぁまぁコレ呼んでくれればいいから…それではあでゅー
思春「……まぁ今回は気分も言いし素直に従ってやろう…何々…!!//////////////」
思春「//////////………フフフこんなに赤くなってかわいい♪次も見てくれるんでしょ?ボ~ヤ(おじょうちゃん)」←(四つんばいになって挑発するような目でこっちを見ながら押し倒している)
うむ。そんな思春を俺はイジメタイ。
思春「……その喉を噛み切ってやる…」
え、あれ?いつの間にマウントポジション取られているんだ?うわぁや、やめ…ギャーーー
思春「あなたも私とじゃれあってみる?」←(結構ノリノリ)
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へい!コレは拠点じゃないのかい?
秋華「ちがいます。本編です」
いや…これはどうみても…
秋華「この話は思春がメインなのでコレは拠点と別と考えてください。」
………そう…かなぁ…
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