No.139289

NikQ外伝~カインとエンの物語~ 第一話:技術立国リノミア

mohee32さん

かの有名なイラストレーターはこう言っていた
「妄想は爆発だ!!」と・・・

どんだけジャルスとサイ愛してんだよって突っ込みは無しの方向で

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2010-04-28 02:10:00 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:542   閲覧ユーザー数:532

「まったく・・・お前のところの騎士団長はどうなってるんだ?」

 

段ボール2が若干の怒気と呆れ混じりで呟いた

 

「そんなことをオレに言ってもしょうがないだろう?!

 とは言え・・・・・・まさか本当に」

 

いつものように反論しようとする段ボール1だったが、段ボール2と同じように呆れた声で呟いた

 

「「まさか本当に段ボールが用意されてるとは・・・・・・」」

 

二匹の呟きがハモった

 

「まったくだわ!!私の美貌が台無しよ!!蒸れてお化粧も落ちるし・・・」

 

段ボール3が怒りも露わに呟いた

 

その時

 

「ひゃん!!」

 

可愛らしい声をあげて段ボール4が派手にこけた

 

「あうぅ~~~~、前が見にくいです~」

 

段ボール3が慌てて助け起こす

 

「まったく!!私の可愛い妹に!!あのメタボ、帰ったら覚えてなさいよ!!」

 

段ボール3がついに切れた

 

 

 

 

そんな面白段ボール集団はもうすぐリノミアの城下町に到着しようとしていた

 

 

 

 

当然のごとく周りから奇異の目で見られているのは言うまでもなかったが・・・・・・

~リノミア城下街~

 

「やっと着いたぞ!!って・・・すごい!!」

 

段ボールを脱ぎ捨ててチロはそう叫んだ

 

「ここがリノミアか・・・」

 

クロも感嘆したように声をあげた

 

「へぇ・・・オシャレな街じゃない」

 

ジャルスの声にも驚きが混じっている

 

「わぁ・・・・・・」

 

サイに至っては声も出ないらしかった

 

それもそのはず

 

広い大通り

立ち並ぶ様々な商店

所狭しと行き交う猫々

そこら中から聞こえる商猫の叫び声

 

どれもカムクラやオガワラでは見られないものだった

 

「なぁ、クロ・・・」

 

「駄目だ」

 

チロの言葉を最後まで聞かずクロが即答した

 

「まだ何も言ってないだろ!!」

 

「どうせこの街を見て回りたいとか言うんだろ?

 

 俺達の目的を忘れたのか?」

 

「ちょっとくらい良いじゃないか!!」

 

「駄目・・・・・・」

 

チロの提案を切り捨てようとしたクロの目が武器屋で止まる

 

「まぁ・・・少しぐらいは良いだろう・・・・・・」

 

目を逸らしながら言うクロにチロは首をかしげた

 

「どうしたんだ、クロ?いつものお前なら・・・まぁいいか」

 

「じゃぁ、ちょっとうろついてくる」

 

そう言ってチロは猫混みに紛れていった

 

「あ、おい!!待て!!チロ!!」

 

クロは慌てて引きとめようとしたが、すでにチロの姿は何処にも見えなくなっていた

 

「どうなさったんですか?クロ様」

 

「あいつに集合の時間と場所を伝えていない」

 

「まぁ・・・でも大丈夫ですわよ、クロ様」

 

「何が大丈夫なんだ?」

 

「この街は商店こそ多く立ち並んでますが、そこまで広くないようなので、探せばすぐに見つかるかと」

 

「そうか・・・それじゃ俺達だけでも集合を決めておくか」

 

「わかりましたわ」

 

「正午にアーチ前に集合だ」

 

そう言うとクロは目を付けていた武器屋へと去っていった

 

「じゃぁ、私達も行きましょうか」

 

そう言ってジャルスもサイの手を引いて猫混みに紛れていった

~チロSide~

 

チロはあたりをきょろきょろしながら歩いていた

 

「すごい・・・いろんな店がある」

 

すると見慣れた看板が目に飛び込んできた

 

〈なんでもショップ野田 リノミア支店〉

 

「あれ?野田さん?」

 

チロは驚いて声をかけた

 

「まぁ、ここは流通も激しくて儲かるからね」

 

野田さんは続けてこういった

 

「そのうちこっちからの輸入品もカムクラで回すつもりだよ」

 

「本当ですか?助かります」

 

「はっはっは、だからこれからもユニットショップもろとも野田をよろしくね」

 

「どうせカムクラには野田さんの店しかないんじゃ・・・」

 

「はっはっは、私も商烏の一羽だからね

 

 儲け話には飛びつくさ」

 

朗らかに笑うが、しっかり商売をしている野田さんだった

~クロSide~

 

「ふむ、この刀は・・・・・・」

 

武器屋に向かったクロが手に取ったのはわずかに反りの付いた肉厚の長い刀だった

 

「さすが騎士様、お目が高い」

 

奥から卑屈そうに手揉みしながら出っ歯の猫が出てきた

 

「ここのオヤジか?」

 

「はい、剣や刀だけに限らずあらゆる武器を取り扱っております越後谷と申します」

 

「ふむ・・・してオヤジ、この刀の銘は何と言う?」

 

「雲狐(くもぎつね)にございます」

 

「ふむ・・・良い銘だな

 

 オヤジ、この刀を一振りいただこう」

 

「へぇ、ようございますが、何せ名刀故お値段もそれなりとなっておりますが・・・」

 

「構わん、言い値で払おう」

 

「へぇ、すぐに用意いたします」

 

そう言ってオヤジは奥に引っ込んだ

 

しばらく待っていると鉄拵の鞘に収まった雲狐(くもぎつね)が用意された

 

「して、いくらになるのだ?」

 

「へぇ、5000小判になります」

 

「わかった、ほれ・・・」

 

そう言うとクロは越後谷の目の前にきっちり五千枚の小判を積んだ

 

「へ・・・へぇ、確かに5000小判頂きました」

 

越後谷が言い終わるや否やクロは雲狐(くもぎつね)を腰に差し集合場所に向かって歩いて行った

~ジャルス・サイSide~

 

「さてと・・・お化粧直しも終わったし、ちょっとジュエリーショップを覗きたいんだけど・・・良いかしら?」

 

姉の提案をサイが断るはずもなかった

 

「姉さんの行きたいところで・・・いい・・・です・・・・・・」

 

こうしてジュエリーショップにやってきた姉妹はしばらく店頭に並んだ宝石を眺めていた

 

「ねぇ、ご主人?この中だとどれが私に一番似合うかしら?」

 

ジャルスがそう尋ねると、主人はすかさずこう答えた

 

「お客様ほどの美貌なれば、この店頭に並んでるものでは釣り合うものはございません・・・こちらへ」

 

主人はジャルスを奥に招いた

 

「サイ、ちょっと待っててね」

 

「はい・・・いってらっしゃい、姉さん」

 

そして店の奥ではこのような会話が繰り広げられていた

 

「お客様の美貌なれば、これくらいでなくてはなりません」

 

と言って主人が取りだしたのは大粒の真珠でつくられたネックレスだった

 

「ふぅん・・・何でこれを店頭に並べてないの?」

 

「この品は私がニホンまで直々に買い付けに行ったもので、お客様のような美貌の持ち主にしか売りたくなかったのです」

 

「ま、その辺は良いわ・・・

 

 で、これいくらになるのかしら?」

 

「はい、80000小判になります」

 

値段を聞いた瞬間ジャルスの眉が釣り上がった

 

「八万?!冗談言ってるんじゃないわよ!!」

 

顔が整っているだけに恐ろしい形相であった

 

それにビビった主人は慌てて値を下げた

 

「で、では・・・60000で如何でしょうか・・・?」

 

主人の態度を見たジャルスは一変妖艶な笑みを浮かべて主人に寄り添い耳元でこう囁いた

 

「もう少し安くならない?」

 

主人はジャルスを引き離そうとしながら慌ててこういった

 

「さ、流石にこれ以上は・・・」

 

ジャルスは主人の足に自らのそれを絡めさらに密着した状態でもう一度問うた

 

「もう少し・・・安く・・・ならないの?」

 

溜まりかねた主人は思わず叫んでしまった

 

「わ、わかりました!!40000で如何でしょうか?!」

 

それを聞くやジャルスはすぐさま体を離した

 

「じゃぁ、その値段でお願いね」

 

主人は諦めたように真珠のネックレスを包もうとして、ジャルスに止められた

 

「付けて帰るから包装は良いわ」

 

「わかりました」

 

と主人がネックレスをジャルスに手渡そうとするとまたしても妖艶な笑みを浮かべたジャルスがこう言った

 

「付けてくれないかしら?」

 

「へっ?」

 

「だから・・・そのネックレスを・・・私の首に・・・付けてくれないかしら?」

 

そしてまたしてもジャルスの足は主人のそれに絡まっていた

 

おまけに左手の指で主人の胸をなぞっていた

 

「わ、わかりました!!付けさせていただくのでお体をお離しください!!」

 

因みに主人の顔は鬼灯のように真っ赤になっていた

 

上機嫌のジャルスが店から出ると、主人はすっかりやつれきった顔になっていた

 

上機嫌だったジャルスは店から出ると一変、顔を青ざめさせた

「サイ?サイ?!何処へ行ったの?!」

 

店の前にはサイの姿はなかった

 

ジャルスが慌てて首を巡らすと、隣の人形屋の前にサイは佇んでいた

 

「ちょっと、サイ?!急に居なくなったら心配するでしょう?」

 

そんなジャルスの声も耳に入っていないのか、サイの目は一体のぬいぐるみに釘付けになっていた

 

「はうぅ・・・かわいい・・・です・・・・・・」

 

「サイ、このぬいぐるみが欲しいの?」

 

ジャルスがぬいぐるみを手に取ってやっとサイはジャルスに気付いた

 

「あ、姉さん・・・お買い物は終わったんですか?」

 

「ええ、私のほうはね」

 

「私のほうとは?」

 

ジャルスの言葉にサイは首をかしげた

 

「だから、このぬいぐるみを買ってあげるって言ってるのよ」

 

「え・・・でも・・・・・・」

 

サイは戸惑うような仕草を見せた

 

「今まで何かを欲しいなんて言ったことがないんだから、少しはお姉ちゃんに甘えなさい」

 

ジャルスがそう言うとサイは戸惑った顔で上目使いにこう言った

 

「姉さん、本当?」

 

その笑顔を見たジャルスは鼻血を吹きだしそうになって顔を背けた

 

それを見たサイは勘違いして断ろうとジャルスの裾を引いた

 

「姉さん・・・やっぱり・・・・・・」

 

その仕草をチラ見したジャルスは心の中で叫んだ

 

(やめて!!サイ!!私のライフポイントはもう0なのよ!!)

 

ひとしきり心の叫びをあげるとジャルスは店の主人にぬいぐるみを渡し代金を払った

 

ジャルスはそれをサイに手渡すと、サイはぬいぐるみを抱きしめて言った

 

「・・・姉さん・・・ありがとう・・・・・・」

 

因みにサイの顔は下半分がぬいぐるみに埋まっていた

 

またしてもジャルスは鼻血を吹きだしそうになった

~アーチ前~

 

先に集合した三匹は無事にチロを見つけアーチ前で地図を広げて頭を突き合わせていた

 

「なぁ、クロ・・・この地図読めるか?」

 

「・・・・・・少なくとも俺には無理だ」

 

「私にはこの地図から美的センスが感じられないわ」

 

ジャルスの言葉にサイが的確に突っ込んだ

 

「姉さん・・・地図に美的センスは・・・いらない・・・・・・」

 

この地図、なにを隠そうドネラの手製である

 

わかるわけがない

 

彼ら四匹をもってしても小一時間たった今もリノミア城を見つけられないでいた

 

まぁ、城が見つからないのはなにも地図が滅茶苦茶だからというだけでもないのだが

 

日が傾き始めたころ地図を片手に彷徨う四匹の後ろから声がかかった

 

 

 

 

「ん?どうした?迷子か?」

 


 
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