No.138718

NikQ~出会い(後篇)~

mohee32さん

連続投稿ごめんなさい
大二病でごめんなさい

やめて・・・石を投げないで!!
痛い!!痛い!!

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2010-04-25 17:23:35 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:569   閲覧ユーザー数:559

「悪いが、さっきのお前の話は聞かせてもらった」

 

「あそこでお前があいつと手を組んだなら、お前ごと切るつもりだったんだ」

 

「・・・・・・」

 

ジローの言葉にチロは黙りこんだ

 

「どうだ、オレ達の騎士団に入らないか?」

 

ジローの思わぬ提案にチロは沈黙した

 

「・・・・・・」

 

「悪いけど、オレは・・・入るわけにはいかない・・・・・・」

 

チロの返答にジローは怪訝な顔で尋ねた

 

「入らない、じゃなくて入れない・・・か、何故だ?」

 

「どうやらオレはさっきの奴らに目を付けられてる」

 

「オレが騎士団に入れば君たちまで巻き込むことになってしまう」

 

うつむきながら言うチロにジローは若干の怒気を含ませた声音で答えた

 

「お前はさっきのオレ達の戦いを見てなかったのか?!あんな奴らくらいどうとでもなる!!」

 

「それにお前が加わればオレ達の騎士団は負けはしな」

 

「違う!!」

 

言葉尻に被せるように叫んだチロの言葉にジローは息を呑んだ

 

「違うんだ・・・確かに君たちは強い・・・・・・」

 

「周りにいたノラ共なんかは相手にならないだろう」

 

「でも違うんだ・・・あいつだけは・・・あのリーダーらしき猫だけは強さのケタが違う・・・・・・」

 

「あいつは恐らくあんなノラ共を率いるただのチンピラなんかじゃない」

 

「後ろにもっと大きな組織が動いて」

 

「それでも!!」

 

今度はチロの言葉尻を遮るようにジローが叫んだ

 

「それでも、オレ達は負けない!!お前が入ってくれればなおさらだ!!」

 

「だからオレ達と一緒に・・・!!」

ジローの言葉に対してチロは静かに頭を振った

 

「そうかもしれない・・・君たちなら負けることはないかもしれない・・・・・・」

 

「じゃぁ!!」

 

期待の籠ったジローの眼差しから目を背けチロは再び頭を振った

 

「それでも・・・それでもオレは君たちと共に戦うことはできない」

 

頷いてくれると信じていたジローは驚いたような怒ったような声音で問うた

 

「何故だ?!」

 

「オレにはオレの騎士道があるからだ」

 

「オレの進む道に君たちを巻き込むわけにはいかない」

 

バキッ

 

「ガッ・・・!!」

 

「ちょ・・・ちょっとジロー!!チロは絶対安静って言ってるでしょ?!怪我人なのよ?!」

 

リロットが慌てて止めに入る

 

「そ、それをリロットが言うんだ・・・」

 

タントの至極真っ当なツッコミは振り返ったリロットの笑顔に黙殺された

「リロットは黙ってろ!!」

 

「な・・・・・・」

 

ジローの今までにない剣幕にリロットは押し黙る

 

「巻き込むだの巻き込まないだのうだうだ言ってんじゃねぇ!!分けあうんだよ!!喜びも悲しみも・・・お前の言ってる騎士道とやらもな!!」

 

「オレの騎士道はオレの騎士道だ!!誰にも分かち合ってもらうものじゃない!!」

 

バキッ

 

「ふざけんな!!オレにもオレの正義がある!!守りたいものがある!!オレ達は誰しも何かを背負って戦ってんだよ!!」

 

バキッ

 

「だったらお前たちはお前たちでそれを背負って戦えば良いじゃないか!!」

 

バキッ

 

「それが!!一匹で背負いきれないから分けあうんだよ!!」

 

バキッ

 

「それともお前のご大層に掲げてる騎士道とやらはお前一匹で背負えるほどちっぽけなものなのか?!」

 

己が叫びと拳が飛び交う中時―ローの最後の言葉にチロは黙りこみ立ち上がることはなかった

「・・・・・・」

 

長い沈黙の中、チロは視線を地面にを落としていた

 

やがてチロがポツリポツリと呟きだした

 

「・・・の・・・道は・・・なものじゃ・・・」

 

今まで地面に視線を落としていたチロが拳を堅く握りしめ叫んだ

 

 

「オレの騎士道はちっぽけなものじゃない!!」

 

バキッッッ

 

あまりの威力にジローの体が吹っ飛んだ

 

慌てて駆け寄るリロットとタントをジローは視線だけでとどめ、叫んだ

 

「へっ!!ようやくかよ!!オレをこんだけ吹っ飛ばすくらいなんだ、お前の拳も痛ぇだろう・・・その拳の痛みをオレ達にも背負わせろって言ってんだよっ…!!」

 

バキッッッ

 

今度はチロの体が吹っ飛んだ

加えて肩の傷が開き鮮血が宙を舞う

 

「痛ぇよ・・・オレの拳も痛ぇよ!!なぁ、チロ・・・オレの拳の痛みも一緒に背負ってくれよっ・・・!!」

 

チロが顔を上げるとジローの瞳に涙が浮かんでいた

 

 

チロは拳を固く握りしめると

 

 

 

「ジロー、オレは             

 

 

 

場所は変わって裏庭

 

チロとジローはかれこれ1時間ほど正座してリロットの説教を食らっていた

 

「まったく!!これだから男って嫌いなのよ!!なんでも拳で解決できると思ったら大間違いなんだからね!!」

 

リロットの小言にしびれを切らしたジローが少し強気に異議を唱えた

 

「でもよリロット、こうやってチロも仲間に加わったんだし別に良いじゃ」

 

「黙りなさい!!」

 

ジローの異議はリロットの怒りに油を注いだだけのようだった

 

そして日も暮れようといった頃

 

「ふぅ・・・これくらいで勘弁しておいてあげるわ」

 

その言葉を聞いてジローが嬉々として立ち上がり

 

「よし、じゃぁチロの歓迎会を」

 

「座りなさい!!」

 

再び座り込んだ

 

「これからはああいったことのないように!!わかった?!」

 

「「はい・・・」」

 

二人は疲れと足の痺れも相まって元気なく返事を返した

 

「よく聞こえなかったんだけど・・・わ・か・っ・た?」

 

「「はいっ!!」」

 

「ふぅ・・・分かってんだか分かってないんだか・・・・・・」

 

「ま、とりあえずお小言はおしまい!!チロの歓迎会をやるわよ!!」

 

嬉しいはずの提案にジローは焦ったように異議を唱えた

 

「ちょ・・・リロット!!それは団長たるこのオレが言うべきはずの言葉だろ?!」

 

そんなジローを尻目にリロットは続ける

 

「さて・・・せっかくの歓迎会なんだし、ちょっと奮発して今日の晩御飯は高級ネコ缶としましょう」

 

そんなリロットの言葉にいの一番に反応したのは意外にもタントだった

 

「ぼ、ぼくネコ缶が大好きなんだな・・・・・・」

 

「チロ!!ジロー!!早く来ないとタントに全部食べられちゃうわよ?」

 

 

 

そう言われても長時間の正座のおかげで立ち上がることすらままならないチロとジローだった

 


 
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