No.138630

仮面ライダー×真・恋姫†無双 蜀編  クロスロード

BLACKさん

これは仮面ライダー×真・恋姫†無双 蜀編の本編の続編にあたる作品ですので、本編を読まないと分からない部分が存在します。その事をご了承下さい。
またオリジナルキャラもいることをご了承ください。

2010-04-25 10:06:36 投稿 / 全22ページ    総閲覧数:4947   閲覧ユーザー数:4440

 

 

三国同盟が成立してから三年が経った。

三国は均衡を保ち、三国の王達も仲良くし、皆が平和に暮らしていた。

そんなある時であった。

 

魏の都、許昌でとんでもない事件が起こったのだ。

 

「華琳さんが!?」

「誘拐された!?」

 

その事を聞いた蜀の王である劉備、真名を桃香と言う。そしてもう一人、天の御遣いとされ仮面ライダー電王、仮面ライダー響鬼、仮面ライダー龍騎に変身し、三国同盟の成立のきっかけを作った男、北郷一刀は驚く。

 

「はい……。いつものように夜は自分の部屋で寝ていたそうです」

「そして、次の日になったら突然華琳さんがいなくなっていたそうです」

 

諸葛亮の朱里、鳳統の雛里が皆に報告をする。

 

「突然……部屋を抜け出したとかでは無くてか?」

 

関羽の愛紗が尋ねるが……。

 

「それは無いだろう。いくら華琳とて警備の眼を掻い潜るのは無理であろう」

「それに春蘭や桂花がいるから、どこに行ってもあの二人が勘付くと思うけどな……」

 

趙雲の星、張遼の霞が反対意見を言う。

 

「それに曹操が抜け出す用事って何かあるのかよ?」

「思い当たらないわね。そんな用事無いと思うけど……」

「まあ華琳は何を企んでいるか分からんからの」

 

馬超の翠、黄忠の紫苑、厳顔の桔梗も似たような意見を言う。

 

「……とりあえず、許昌に行ってみるか……。俺が先に行くぜ」

「ご主人様……」

「お兄ちゃん、大丈夫なのか?」

 

愛紗と張飛の鈴々が心配そうに一刀を見る。

 

「なぁ~に、後で皆も来るんだろ。俺が先に少し様子を見るだけだ。あんまり心配するなって」

 

そして一刀は一人でマシンデンバードに乗り、許昌に向かうが……。

 

 

「うん?」

 

一刀は許昌に行く道の途中で何か不審な影を見かけたので、マシンデンバードを降り、近くの森を歩いてみると……。

 

「…………」

「………」

 

誰かが何かを話している声が聞こえてくるが、何を言っているかは分からない。

一刀がこっそりと近づく。そして一刀はとんでもない物を目にする!

 

「!」

「はっ!」

 

どこからか一刀の居る足場を爆破攻撃をし、一刀の足場は崩れる。

 

「どぅわああああああああ!!」

 

一刀は崖へと真っ逆さまに落ちて行った。

 

「これでいい」

「では次の作戦に移ろう」

 

その影達はその場を去った。

 

 

一刀が出かけて二日後、桃香達は遅れて許昌へと向かおうと準備していた。

 

「よし、皆のもの準備は出来たな」

「応よ!」

「それじゃあ……」

 

桃香が出発の号令をかけようとしたその時、兵士達の周りに突然霧がかかる。

 

「なんや?」

「霧?」

「何故急に……」

 

皆が突然の霧を警戒する。

そして霧の中から何かの影が何体か現れる。

その影の正体は数十体の怪人ゲルニュートと怪人のイマジンが二体と仮面ライダー幽気スカルフォームであった。

 

「あれは……」

「ゲルニュート!」

「それに仮面ライダーもいるのだ」

「やれ!」

 

幽気が命令をするとゲルニュート達が愛紗達に向かって襲いかかって来る。

 

「皆のもの、行くぞ!」

『応っ!』

 

愛紗が先陣を切って、ゲルニュート達を迎え撃つ。

桃香は恋こと呂布が守る。

前の大戦でゲルニュートと戦ったことのある愛紗達はゲルニュートを倒すことにそんなに時間はかからなかったが……。

 

「きゃあっ!」

『!』

 

突然桃香の悲鳴が聞こえた。

皆がその方を見ると、そこには地面に倒れている恋と仮面ライダー幽気に捕まっている桃香の姿があった。

 

「桃香様! 貴様、桃香様を放せ!」

 

愛紗が怒りに任せて青龍偃月刀を振り下ろそうとするが!

幽気は突然変身を解く。

そこに現れたのはなんと……!

 

「お、お前は……」

「華琳……」

 

そこに現れたのは行方不明になったはずの華琳こと曹操であった。

 

「ふん。攻撃できないようだな」

 

しかしその華琳の声はいつもの声では無く、明らかに男の声であった。

 

「華琳では無い?」

「いや、この肉体は曹操のものだ。俺がその肉体を使わせてもらっているだけだ」

 

そう言うと華琳の体は再び仮面ライダー幽気のものに変わり、愛紗を斬ろうとする!

 

「!」

 

愛紗は何とか青龍偃月刀でその攻撃を防いだ。

 

「………っは!」

「フルチャージ」

 

幽気がライダーパスをベルトに通し、フリーエネルギーをチャージし、幽気の剣にエネルギーが溜まり、その強力なエネルギーを地面に叩きつけた。

そしてエネルギーは地表を進み、衝撃波となって愛紗達にぶつかろうとした!

 

『ぐわぁっ!』

『きゃあっ!』

 

皆がそのエネルギー波の爆発に巻き込まれる。

 

「くそ……」

「体が……」

 

爆発の衝撃が強すぎたためか、皆が体が痺れたかのように地面に倒れて動けずにいた。

 

「俺がとどめを刺しておくとしよう」

 

一体のイマジンが倒れている愛紗達に近づこうとすると……。

突然汽笛が鳴る音が聞こえてくる。

 

「この音は……」

 

皆がその汽笛が聞こえてくる方を見る。

その音は空から聞こえ、空の一部の空間が光り出し、そこから電車が現れたのだ。

 

 

「デンライナー……」

「でもなんか色が違うのだ」

 

鈴々達の知っているデンライナーとは違い、先頭車両がデンライナーゴウカのものだが、車両の側面は青色であった。

そしてデンライナーが通り過ぎた所に一人の仮面ライダーが姿を現した。

 

「また仮面ライダー……」

「電王?」

「電王にしては見たこと無いのだ」

「ご主人様ではないのか?」

 

その仮面ライダーは愛紗達を無視して幽気やイマジンの方を見る。

 

「カウントは……10、いや5でいいな」

「ふざけんな! 手前!」

 

先ほど愛紗達に襲いかかろうとしたイマジンが謎の仮面ライダーに向かって突撃していく。

 

「5……4……」

 

謎の仮面ライダーは宙を舞うことでイマジンの攻撃を避ける。

 

「3……2……」

 

謎の仮面ライダーは着地と同時に自分の持っている大剣でそのイマジン縦に斬った!

 

「ぐわあああ!」

「1………」

 

イマジンは敗れ爆発した。

 

「0だ」

 

謎の仮面ライダーが予告した通り5秒でそのイマジンを倒した。

 

「さてと、次は誰が相手?」

 

謎の仮面ライダーが大剣を肩にかけるように幽気達の方を向く。

 

「………」

「もういい。北郷一刀もいない今、次の作戦に移るぞ」

 

どこからともなく声が聞こえてくる。

その声が消えると同時に幽気達の後ろからまた電車が来るがデンライナーとはまた別のもので電車そのものが透けていた。

そしてその電車に包まれるように幽気とイマジン、そして桃香はいなくなった。

 

「桃香様!」

「まさか華琳があのようなものに攫われるとは……」

「今、あの声言ってましたよね」

「ご主人様はもういないと……」

「信じられない……」

「ご主人様……」

「主………」

「じいちゃん、信用もらえてないな」

 

そのじいちゃん発言をしたのは謎の仮面ライダーであった。

 

「じいちゃん?」

「貴様、ご主人様を今なんと……」

「じいちゃんなんだからじいちゃんって言って悪くないでしょ」

「なんだと?」

 

謎の仮面ライダーが変身を解く。

そこから現れたのは一人の青年。顔立ちはどこか一刀に似ており、服はなんと一刀の来ていたポリエステルの制服であった。

しかしその制服は皆の知っている物とは違い、古さが出ていた。

 

「貴様、何者なのだ?」

「それは私が説明します」

 

そこに一人の少女が姿を現す。

 

「お主は確か……管輅」

「詳しくはデンライナーで……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    仮面ライダー×真・恋姫†無双  蜀編  クロスロード

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管輅はデンライナーを呼び寄せ、皆がデンライナーの食堂車に入る。

 

「彼は北郷一刀さんの孫の北郷矢刀(ほんごうやと)さんです」

「孫……」

「ねえ、お兄ちゃんっていつおじいちゃんになったのだ?」

「主とていつかは歳をとる。ならばおじいさんになってもおかしくなかろう」

「なるほどな~」

 

皆が一応納得していると……。

 

「お主、ご主人様の孫だと言ったな」

「あ………」

 

蒲公英こと馬岱が嫌な予感がした。

 

「ご主人様は一体誰と……!」

 

愛紗がすごい形相で矢刀の襟元を締め上げるように問い詰める。

 

「お、おい……」

「言えー! ご主人様は一体誰と!?」

「お母さーん」

 

食堂車と別の車両にいた璃々が食堂車に入って来る。

 

「璃々」

「璃々?」

 

紫苑の璃々発言に矢刀が璃々の方を見る。

 

「母さん!」

「?」

『え?』

 

皆が矢刀の母発言に驚く。

愛紗もさすがに驚いて矢刀を締め上げていた手を放す。

矢刀は何とか愛紗から離れて璃々の所に行く。

 

「君、名前は?」

「璃々だよ」

「やっぱり……母さん」

『えーーーーーーーーーー!?』

 

その事に皆が驚きを隠せなかった。

 

「璃々が矢刀さんの母ですか?」

「ああ、璃々って俺の母さんの幼名だからな。間違いないさ」

「と言う事は……」

「紫苑は矢刀の祖母と言うことなのか?」

「まあ母さんの母さんだからそうなんだけどさ……。後、母さんはもう一人母さんが言ってたけどね」

「ほぅ~。誰のことだ?」

 

桔梗がそう言っていると…。

 

「いや、厳顔さん、あなたのことだけど……」

「わしじゃと?」

「うん」

 

桔梗は矢刀に言われてあることを思い出す。それは一刀と紫苑と璃々と四人で街を歩いていた時のことである。

璃々が桔梗に対して母と思って良いのかと聞き、桔梗は承諾。それ以来璃々にとっては桔梗も母であるのだ。

 

「と言うことで厳顔さんも俺にとってはおばあちゃんってわけ」

「ふむ……璃々が認めた以上、仕方ないの」

 

そんな中、愛紗が紫苑の方を睨むように見る。

 

「では紫苑、お前が…ご主人様と……」

「なんか愛紗が怖いのだ……」

「落ちつくのだ愛紗……」

 

それでも愛紗は落ちつかない。

 

「落ちつきなよ、関羽さん。黄忠さんは俺の祖母でもじいちゃんの奥さんじゃないよ」

 

矢刀が真実を言う。

 

 

「なんと……」

「では誰がご主人様と……」

「あなたのお義姉さん」

「……桃香様!?」

「うん」

 

矢刀がうなづく。

 

「はは、そうか……」

 

愛紗は脱力したかのようにその場に座り込む。

 

「大丈夫? 関羽さん……」

「大丈夫……大丈夫だ……」

 

愛紗が大丈夫だと言うが、とても大丈夫そうには聞こえない声で答える。

 

「あれは絶対大丈夫やないな」

「うん」

「俺でも分かるよ」

「しかし、何故主の孫であるお主がここにおるのだ」

「では説明しましょう」

 

管輅がようやく説明に入る。

 

「実は別の世界での出来事ですが、先ほどあなた達が戦った仮面ライダー……仮面ライダー幽気と言うのですが、その幽気は元々この世界の人間なのですが、別の世界に連れて来られ、その大戦で何とか生き延びてこの世界に戻って来たのです」

「別の世界ね……」

「その幽気は何体かのイマジンと呼ばれる怪人を連れてこの世界の五胡の国に戻ったのです」

「五胡!?」

 

五胡とはかつてこの世界で最後の大戦の相手となったもので未来から来たとされる五胡の人間の拓跋部がこの世界の時代の五胡の長であった軻比能をけしかけ、ゴルドラとシルバラに変身し、三国に戦いをけしかけたのだが、電王に変身した一刀が別の世界でアギトに変身する一刀の協力を得て、何とか五胡を退けたのだ。

 

「元々幽気に変身していた五胡の人間の名は呼廚泉と言います。

呼廚泉はこの世界の曹操をさらい、この世界に来た北郷一刀さんをどこかにやってしまったのです」

「どこかとは?」

「それは今私の知り会いに探してもらっていますが、生きているはずです」

「そうか……」

「ですが、問題は呼廚泉です。呼廚泉は幽霊列車を使い、曹操と劉備を何かに利用するつもりなのです」

「何かってなんなのだ?」

「それはまだ分かりません。とりあえずこのデンライナーであの幽霊列車を可能な限り追いましょう」

「と言うことでよろしく」

 

矢刀が皮肉るように言う。

 

「まあなんかあるといけないから、俺一人で良いよ。ばあちゃん達はのんびりしてて良いから……。この仮面ライダーNEW電王に任せればいいの」

「なんだと?」

 

その言葉に最初に反応したのは魏延である焔耶であった。

 

「だって俺から見たら皆古い人だもん。いくら強いからって、さっきの仮面ライダーに負けちまったからじゃないか」

「むっ……」

「だがそれは桃香様や華琳が人質に取られていたからで……」

「本当に強い奴だったら、人質取られながらも人質を助けようとしながら戦おうと思うけど……」

「では我々は人質を助けられないとでも言うのか!?」

「さっきの戦いを見てたらそう思うけどね……」

「貴様!」

 

焔耶が矢刀の襟元を持とうとするが……。

 

「ぬぅっ!」

 

矢刀が焔耶の腕を捻るように持つ。

 

「悪いけど、俺、じいちゃんと違って生身でもそんなに弱くないから……」

「貴様! 放せ!」

「まあとりあえずは幽霊列車を追うより先に許昌に行って魏の将達に事情を話しておきましょう。呉の人達には既に事情は話しています。

あなた達がいない間は呉の人達がこの大陸を守ってくれますよ」

 

そしてNEWデンライナーは許昌に行き、魏の将達に事情を説明。

 

「ならば私が華琳様を助けに行く!」

「いいえ、私よ!」

 

夏侯惇の春蘭に荀彧の桂花が率先して、愛紗達に付いて行こうとする。

 

「少し待って下さい。いくら呉の人達に大陸の守りを頼んだとはいえ、蜀の将の人達はほとんどが居ないのですよ。

ですから魏の人達全員が行くとなると少し問題が……」

「と言う事は行ける人数は限られると言うことですか?」

「そう言うことです」

「では誰が行こうか……」

 

そして魏の将達全員で話し合い、話しあった結果行くことになったのは春蘭、桂花、夏侯淵の秋蘭、楽進の凪、許緒の季衣、典韋の流琉が付いていくことになった。

 

 

それからNEWデンライナーは時を駆け廻り、幽霊列車を探す。

そしてNEWデンライナーは幽霊列車を捕捉した。

 

「よし、なら俺が行くぜ!」

 

矢刀はライダーパスを持ち、デンオウベルトを腰につけるが、そのデンオウベルトは一刀のものとは違い金色であった。

 

「そのベルトは?」

「NEWデンオウベルトさ。変身」

「ストライクフォーム」

 

矢刀は変身し、仮面ライダーNEW電王ストライクフォームに変身した。

 

「さてと……」

 

矢刀は走り出し、マシンデンバードが収容されている先頭車両に入り、マシンデンバード共に飛びだして行ってしまった。

マシンデンバードが飛び出してしまったために、NEWデンライナーは走行を止めてしまった。

 

「ああ、止まったのだ!」

「おい、ちょっと! 戻ってこいよ!」

 

翠達が怒鳴るも矢刀には聞こえず、矢刀はそのまま進んでしまった。

矢刀は幽霊列車のレールに飛び乗り、幽霊列車を追うが、幽霊列車はものすごいスピードで矢刀を突き放す。

 

「ちっ、なかなか早いな……」

 

そんな時、幽霊列車の一番後ろの車両から何からしら砲撃が放たれ、矢刀はレールから落とされる。

 

「ぐわっ!」

 

矢刀は時の砂の所に落とされ、幽霊列車から一体のイマジンと仮面ライダー幽気スカルフォームが矢刀の所に降りる。

 

「やろうってことか……」

 

矢刀は背中に背負っている大剣マチェーテディを手に持つ。

本来この剣はイマジンの変形した姿なのだが、一刀もだが味方のイマジンはいない。

そのためこの剣は管輅がくれた剣なのだ。

 

「カウントは……7だな」

 

矢刀が突撃していき、イマジンが矢刀に突撃仕返そうとする。

 

「7……6……」

 

イマジンの拳と爪攻撃を矢刀は巧みにかわす。

 

「5……4……3……」

 

矢刀はマチェーテディを下から上に振り上げ、イマジンを斬る。

 

「2……1……」

「ぐわぁああああああああ!!」

 

イマジンは爆発する。

 

「0だ」

 

矢刀が幽気の方を見る。

 

「さてとその体は曹操かな? それとも劉備かな?」

「どちらだと思う?」

「……劉備かな」

「正解だ!」

 

幽気が剣を振るう!

 

「おっと!」

 

矢刀は攻撃を避ける。

 

「カウントは……結構時間かかりそうだな」

「いいや、掛からん」

 

矢刀は突然後ろから攻撃をくらう!

 

「ぐわっ!」

 

矢刀が後ろを向くとそこにはこの騒動の元凶、呼廚泉がいた。

 

「お前が倒れるからな」

 

呼廚泉はコマみたいなものをいくつか取り出し、それを矢刀に向かって鞭のようなものでコマを回して放つ。

その巧みなコマさばきにより矢刀は苦戦を強いられてしまう。

 

「少しまずいかな……」

 

そんな時NEWデンライナーが到着し、愛紗が降りてくる。

 

「矢刀、無事か?」

「愛紗さん……どうやってここに?」

「管輅と凪のお陰だな」

 

愛紗が言う管輅と凪のお陰と言うのは、動けなくなったNEWデンライナーを動かすために何かあった時のためにマウンテンバイクが置いてあり、そのマウンテンバイクをマシンデンバードが置いてあった所に置き、凪がマウンテンバイクをこいでNEWデンライナーを動かしたのだ。

そのため凪はいつも以上に疲れたとして、今はNEWデンライナーの食堂車で休んでいる。

 

「さすがに数では不利か……。退くぞ!」

 

呼廚泉が退却指示を出し、幽気はさきに幽霊列車に戻る。

 

「さらばだ」

 

呼廚泉も幽霊列車に乗り、幽霊列車はその場を去った。

 

「逃げられた……うん?」

 

去っていく幽霊列車から何か紙きれのような物が落ちてくる。

 

「これは……桃香様の字だ」

「ばあちゃんの?」

「なになに、『三十年前の三ヶ月前の洛陽に行って……』だと」

「三十年前の三か月前の洛陽か……」

 

そして矢刀達はNEWデンライナーに乗り込み、今から三十年前の三か月前の洛陽に向かった。

 

 

ここはある世界の花が大量に咲き、様々な草が生い茂っている草原。

 

「こんなものか……」

 

そこには愛紗が薬草を採りに行き、薬草を摘み終えたところであった。

 

「さてとそろそろ帰るか。一刀もそろそろ帰って来るかもしれない……」

 

愛紗が籠に摘んだ薬草を入れて、帰ろうと立ち上がった時であった。

 

「うん?」

 

その草原に自分以外に人間がいて、その人間がうつぶせに倒れていることに気付く。

愛紗は籠を放り投げ、その倒れている人間の下に駆け寄る。

 

「大丈夫ですか?」

 

愛紗がその人間を揺さぶるが反応がない。

そして愛紗がその人間を仰向けにし、顔を見ようとし、愛紗は驚いた。

 

「なっ!? 一刀!?」

 

愛紗はその人間が一刀の顔をしていたことに驚く。

しかし……。

 

「いや、この一刀は私の知っている一刀では無いな」

 

その愛紗の知っている一刀は、倒れている一刀よりも筋肉が出来ているのだ。

実は一応だがもう一人別の一刀を愛紗は知っているのだが、その一刀と比べたら服も違う上に身長が低いのだ。

 

「とりあえず運ぶとしよう」

 

愛紗は籠を手に持ち、倒れていた一刀を背負い、自分達が住んでいる村へと運んだ。

 

 

そして愛紗は倒れていた一刀を連れて家に運んだ。

 

「お帰り愛紗ちゃん」

 

そこにはその世界の桃香がいた。

 

「桃香、済まないがこの男を診てくれないか」

 

愛紗がベッドに背負っていた一刀を下ろす。

 

「一刀さん!?」

「多分、我々が良く知る一刀殿では無いだろうが……」

「とりあえず診てみるね」

 

この桃香は医学に精通しており、ある拳法の技を応用して人々を可能な限り救っているのだ。

 

「………」

「どうだ?」

「大丈夫だよ。少し体を強く打った痕はあるけど、秘孔をついたからその痕も直に無くなるよ」

「そうか……。しかし、この一刀は一体……」

 

それからしばらくして、愛紗と桃香が良く知る一刀が家に戻って来た。

この一刀は北斗神拳と呼ばれる恐るべき暗殺拳の正統伝承者である。

そして北斗の掟を破ったとされる長姉、華琳と戦い、華琳の野望を打ち砕き、華琳は愛による大陸の統治をし、その世界の一刀は華琳の手助けをしているのだ。

 

「ただいま……」

「あ、おかえり。一刀」

「どうしたんだ、二人とも」

「一刀さん、実はね……」

 

愛紗と桃香は帰って来た一刀に説明した。

 

「なるほど……」

 

そしてタイミングが良いのか悪いのか、同居していた蓮華、小蓮、白蓮、麗羽、斗詩、猪々子、天和、地和、人和が皆帰って来たのだ。

 

「たっだいまー!」

「? どうしたの一刀?」

「実はな……」

 

そして帰って来たばかりの一刀と愛紗と桃香は帰って来た皆に説明した。

 

「別の世界ってやつから来た一刀なの?」

「多分そうね」

「しかしこいつもお前ほどじゃないけど、筋肉はあるな」

「鍛えればなかなかのものにはなりますわね」

「でもこの人何者なんでしょうね?」

「さぁ~?」

 

皆がそうこう話していると……。

 

「おーい、誰かいるか?」

 

家の外から声が聞こえてくる。

 

「誰か尋ねてきたのかな?」

「人和ちゃん、開けて来て」

「はいはい」

 

人和は天和に言われて玄関を開けた。

 

「どなた……」

 

玄関から入って来た男はなんとこの世界で何度も「通りすがりの破壊者」と名乗っていた別の世界の一刀であった。

 

 

「一刀!」

「少し邪魔させてもらうぜ」

 

入って来た一刀は玄関の扉を閉める。

 

「何の用だ?」

「いや、この世界に別の俺が来てないか聞こうと思ったんだが……」

 

入って来た一刀はベッドで眠っている一刀を見る。

 

「当たりのようだな」

 

家に入って来たばかりの一刀は眠っている一刀に近づく。

 

「おい」

「なんです?」

「こいつの持ち物は?」

「ああ、それならここに……」

 

愛紗がそう言うと眠っている一刀の持っていた荷物をやって来た一刀に見せる。

 

「ライダーパスに変身音叉音角、それに龍騎系のカードデッキ、しかも紋章無しか……」

「それ見たこと無いんだけど……」

「そりゃあ、そうだろ」

 

それを見た破壊者の一刀は空いている椅子に座り、ポケットから何かを取り出す。

それは携帯電話である。

 

「何それ?」

「携帯電話って奴だ。まあこの世界じゃ使えないけどな」

「では何故出す?」

「この世界じゃ使えない。それはあくまでこの世界とで使おうとするからだ。

別の世界との通信には使えるんだよ。ってもこの携帯はかなりの特別性なんだけどな」

 

破壊者の一刀は携帯電話を使って、あるところに通信を入れる。

 

「どこに連絡するの?」

「俺が行ったことのある世界だ」

 

 

ここは破壊者である一刀が作った写真館である。元々は董卓である月の実家だったのだが、月と月の両親の承諾により写真館となったのだ。

そしてこの世界は破壊者の一刀が元々いた世界とかなり近く、隣り合わせとなった世界である。

そのためその世界の一部の技術は破壊者の一刀のいた世界、つまりはその一刀の正史の世界の技術が使われているのだ。

そして写真館にある電話が鳴る。

 

「どうも~、月の写真館で~す」

 

たまたま写真館にいた李典こと真桜が電話に出る。

 

「ああ、真桜か。俺だ、俺」

「俺俺詐欺なら古いです~」

「誰が振り込め詐欺の昔の名称を言えと言ったんだ?」

「冗談やがな~、一刀~」

「真桜。東王父いないか?」

「東王父? 今はおらへんな。それよりも今、どんな世界におるの?」

「あのな、遊びで行ってるんじゃないっつの」

 

その破壊者の一刀は仮面ライダーディケイドに変身する一刀である。

ディケイドの一刀は自分達の世界を脅かす存在、南華老仙を倒した後、様々な世界を巡る旅をしている。

ディケイドの一刀が北斗神拳伝承者の一刀の世界に行く、数日前の事であった。

 

「何? 電王の俺が居る世界の俺がいなくなった?」

 

ディケイドの一刀は管輅からそんなことを聞いたのだ。

 

「はい。その世界に居る私から伝わりました」

「しかし、何でまた? あいつもあのアギトとかに変身する俺くらいには強いんじゃないのか?」

「それは分かりませんが、とりあえずいなくなってしまったのです」

「だったら探しに行かないといけないんじゃない?」

 

そこに仮面ライダーディエンドに変身する管輅の仲間、東王父が来る。

 

「しばらくは俺が写真館に居てやるからさ」

「……分かった。探してきてやるよ」

 

こうしてディケイドの一刀は主に電王に変身する一刀を探しに出かけたのだ。

 

「今はかなり世紀末的だった世界に居る。今は平和だけどな」

「それより、そろそろ帰って来てくれへんか? 凪や明命、寂しがっとるで」

「分かった。この件が終わったらしばらく一緒に居てやるから……」

「あ、帰ってきよったで」

 

東王父がどこからか帰って来て、真桜と電話を代わる。

 

「やあ、一刀。いなくなってた一刀は見つかったかい?」

「見つかったから電話してるんだよ。一応確認のためだが、ライダーパスと響鬼の変身道具、そんで紋章の無しの龍騎のカードデッキ持ってる奴って……」

「大当たり。いなくなったお前だよ」

「そうか。悪いな確認のためにわざわざ」

「いいさ。暇なんだし……」

「それじゃあな」

「ああ……」

 

一刀は電話を切る。

 

「さてと……」

 

東王父がどこかに出かけようとする。

 

「どこ行くんや?」

「野暮用……」

 

東王父は真桜にディエンドライバーを見せて、写真館を出る。

 

「またえらいことになりそうやな」

 

真桜は頭を思わず掻いた。

 

「さてと、こいつの身元は分かったが……」

 

ディケイドの一刀は携帯電話をしまう。

 

「この人が目を覚まさないと何が起こったか分からないからね」

「そうだな」

「う……う………」

 

 

三十年前で三カ月前の洛陽に到着した愛紗達。

洛陽にある一つの小屋に何とか皆で入るが、その小屋に全員が入るにはかなりきつかった。

 

「俺は外に出てくわ。情報収集は任せる」

 

矢刀はそう言って、すぐに小屋の外に出て行った。

 

「情報収集か……」

「確かにあいつらが何のためにこの時代に来たのかが分からぬからな」

「とにかくは情報は必要ね」

「では私が……」

「あなたはダメよ」

 

春蘭が行こうとするも桂花に止められる。

そして情報収集には朱里、雛里、桂花、凪が行くことになった。

情報収集に行っている間は暇なので、皆、近くの山で稽古をするして待つことにした。

愛紗は稽古組の中から出て行き、一人で稽古しようと滝壺あたりで特訓をしようとしたらそこには先客がいた。

矢刀であった。矢刀は木刀を振っていたのだ。

 

「愛紗さんか」

「似ておられるな、ご主人様や桃香様に……」

「結局俺も負けちまったからな。じいちゃんとばあちゃんみたいに情けないところが?」

「違う。少し座らぬか?」

 

愛紗は岩の上に座り、矢刀も別の岩の上に座る。

 

「お主がご主人様達に似ていると言ったのはそのこっそりと努力したりするころだ」

「こっそりとした努力?」

「ああ」

 

一刀は仮面ライダーの力があるとはいえ、生身で戦わなければいけない時が起こるかもしれないので、一刀はそんな時に皆に迷惑をかけないようにこっそりと鍛錬を積んでいた。それを愛紗はこっそりと見ていた。

桃香も似たようなものである。桃香は政務を苦手であっても政務を放棄せずに、学問を朱里達に学んでいたりして愛紗達を見返そうとしていたりしていた。

 

「そうなんだ……」

「ああ」

 

愛紗が青龍偃月刀を持つ。

 

「お主の稽古の相手になってやろう」

「いいの?」

「実は私が一人で来たのはお主を探していたのだ」

「そうかい……」

 

愛紗と矢刀がその場で稽古を始めた。

それから夜になり、皆が小屋に戻り、情報収集に行っていた組からある情報を得た。

 

「霊帝が?」

「はい。どうやら明日、霊帝が街を見るために城から出てくるそうです」

「つまり呼廚泉は霊帝を早い段階で殺すことで……」

「歴史を変えようとしてるんでしょうね」

「何としても阻止せねば!」

「ええ」

「でもあまり目立った行動は……」

「どうせ我らはこの時代の人間ではないのだ。それにまだ皆生まれておらんだろう」

「仮に生まれていたとしても、三十年も歳を取らない人はいないわね」

「だったら多少の無茶は出来るな」

「でも周りに危害がないようにしてください」

「歴史が変わるからか……」

「そうです」

 

そして皆が明日の朝に備えようとするが……、厠に行きたくなった蒲公英が厠に行くため、外に出た。

 

「思ったより寒いな~」

 

蒲公英が厠に行こうとすると、何やらこの街に住んでいる人達ではなさそうな人達が集まっていた。

 

「なんだろう?」

 

蒲公英は興味範囲で盗み聞きするととんでもないことを話していることを知った。

 

「大変だ……」

 

しかもそこには華琳や桃香の体を乗っ取っていたゴーストイマジンがいた。

蒲公英は何とか音を立てずに急いで小屋に戻った。

 

「大変だよー!」

「ん……どうしたのだ?」

「あいつら、霊帝の暗殺を考えてたんじゃないよ!」

「何!? どういうことだ!?」

「あいつらは霊帝を見るために来る人達を殺すのが目的なんだよ! しかも今からでも攻めてきそうなんだ!」

「ならば……我らは迎え撃つぞ!」

 

 

蒲公英に伝えられたことにより、愛紗達は街で警戒をする。

そして呼廚泉やゴーストイマジンに唆されたり、元から襲撃を考えていた賊達が洛陽に侵入。

街を襲うとしたが……。

 

「はああああああ!!」

「ぐわぁああああああ!!」

 

愛紗達が武器を振るい、街の人達を賊から守る。

 

「皆さん。家から出ないでください!」

「危険です!」

「は、はい!」

 

洛陽の住人達は皆、家に閉じこもる。

愛紗達は数に押され始める。

 

「このままでは被害が……」

 

そんな時どこからか音声が聞こえる。

 

「カメンライド、レンゲル!」

「カメンライド、ギルス!」

「カメンライド、ドレイク!」

 

その音声と共にどこからか仮面ライダーレンゲルと仮面ライダーギルスと仮面ライダードレイクライダーフォームが姿を現し、街を襲おうとする賊達を攻撃する。

 

「貴様らは?」

「………」

 

その仮面ライダー達は黙ったまま賊達を倒していく。

 

「さてと、後は一刀に任せるとするか」

 

その仮面ライダーを召喚した人間、東王父はその場から去った。

そして召喚された仮面ライダー達と共に何とか賊を全滅させる。

それと同時に召喚されたライダー達も消えていった。

 

「やはりあの程度ではダメか……」

 

そこに現れたのは仮面ライダー幽気スカルフォームであった。

 

「貴様ーーーーーーーーー!」

 

愛紗が真っ先に斬りかかろうとするが……。

突然仮面ライダー幽気は変身を解き、そこから現れたのは桃香であった。

 

「どうした? 戦わないのか?」

 

ゴーストイマジンが取りついているため桃香の髪はピンクだけでなく、白も混ざっていた。

 

「くっ……」

「ふん」

 

ゴーストイマジンに取りつかれた桃香は先ほどまで持っていた剣とは少し違う剣を出し、愛紗を斬りつける。

 

「があっ!」

「愛紗!」

 

愛紗からは血は流れていないが、服が少し切られていた。

 

「これは……」

「血は流れてないが、斬られた痛みはあるだろ?」

「我らをなぶり殺しにしようとでも言うのか?」

「ああ、そのつもりだ」

 

そしてゴーストイマジンは桃香の体を変身させないまま、桃香を止めようとする皆に斬りかかる。

皆、桃香を可能な限り傷つけないように戦おうとするが、ゴーストイマジンはお構いなしに桃香の体を使う。

そのうえ、皆の武器では桃香を殺す恐れも無いわけではない。そのため、あまり手出しできないでいたのだ。

ほぼ無抵抗の状態でゴーストイマジンに斬られ続ける皆。

しかしなおも立ち上がり続ける愛紗達。

 

「お前達、そんなに斬られたいのか?」

「違う! 私達はただ桃香様を助けたいと思っているだけだ!」

「そのためには自分の命も犠牲にすると? 下らんな」

「下らなくはない!」

「我らは主君をお守りする将!」

「だが自分の命を捨てようとは思っておらぬ!」

「命は……どんな命だろうが、戦いで失ってはいけないのだ!」

「それをご主人様や…桃香様は教えてくれた!」

「だから助ける!」

「そうか……」

 

ゴーストイマジンは桃香の体を仮面ライダー幽気スカルフォーム変身させる。

そして幽気はゴーストイマジンが持っている剣を取り出す。

 

「死ねえ!」

 

幽気が剣で愛紗に斬りかかる!

 

『愛紗ーーーーーーー!』

『愛紗ちゃーーーーーん!』

 

皆が愛紗の名を叫ぶ!

 

 

しかしその剣が愛紗に届くことはなかった。

 

「な、何……?」

 

愛紗の体に剣が到達する前に幽気の体が突然止まったのだ。

 

「愛紗ちゃん、ありがとう」

 

その声の主は桃香であった。

 

「貴様……貴様の意識は確かに奥底に……」

「愛紗ちゃん達の呼びかけで起きれたんだよ! 私の体から出て行って!」

 

桃香の言葉により、ゴーストイマジンは桃香の体から離れて行き、その影響で幽気の変身が解け、元の桃香に戻った。

 

「桃香様!」

 

倒れそうになる桃香の体を愛紗がささえる。

 

「愛紗ちゃん……皆……ごめんね。心配掛けて……」

「いいのです! 桃香様が無事なら!」

 

愛紗や他の皆の目から涙が浮かびそうになったが……。

 

「こうなったら!」

 

ゴーストイマジンは無理矢理桃香を愛紗から離す!

 

「桃香様!」

「呼廚泉!!」

 

ゴーストイマジンが呼廚泉の名を叫び、そこに呼廚泉が呼び寄せた幽霊列車がゴーストイマジンと桃香を連れていく。

 

「桃香様!」

「すぐそこだ。付いてくるが良い」

 

幽霊列車は街を去る。

 

「追うぞ!」

 

愛紗達は街を出た幽霊列車を追う!

 

 

愛紗達は幽霊列車を追って、街はずれの山に入った。

そこにはゴーストイマジンに呼廚泉。そして大量のゲルニュートにイマジンが数十体おり、それらは皆十字架に磔にされている桃香と華琳を中心に展開していた。

 

『桃香様!』

『華琳様!』

 

皆が自分達の主君が磔にされているのを見て、叫ぶ!

 

「動くな。動くとこの二人の命はないと思え」

 

ゴーストイマジンが剣を桃華と華琳につきつける。

 

「貴様ーーーーーー!」

「ふふふ……」

 

そんな時であった。

突然、ゲルニュート達の近くに銀色の壁のオーロラが現れ、そこから現れたのはディケイドの一刀、北斗神拳を学んだ一刀、そしてこの世界の桃香や愛紗達の君主である一刀であった。

 

「ご主人様!」

「お兄ちゃんが三人いるのだ!?」

「どういうことなの?」

「…………一刀さんが三人……」

「なんか皆特徴が少しずつ違うね」

「貴様、死んだはずだ!」

「勝手に殺すなよな」

 

蜀の一刀が言う。

 

「俺はお前達に落とされた直前、突然さっきの銀色のオーロラを通ってな。こっちの俺の世界に飛ばされただけだ」

 

蜀の一刀が北斗の一刀の方を指さす。

 

「だが貴様らが来ても同じだ。貴様らが動けば……」

「天破活殺!」

 

北斗の一刀は北斗神拳奥義の一つ、天破活殺の闘気を放ち、その闘気はゲルニュートやイマジン、そしてゴーストイマジンが命中する。

 

「へへへへへんりー!」

「絶叫オフ楽しかった!」

「ブレイカーーーーーーー!」

 

ゲルニュートやイマジン達は酷い断末魔を上げる。

 

「なんだと!? ぐわぁああああああ!!」

 

ゴーストイマジンも天破活殺で秘孔を突かれたことにより爆発する。

 

「………」

 

そして爆発の隙をついて、北斗の一刀は急いで桃香と華琳の下へ走り、二人を十字架から解放して、その場を逃げ去った。

 

「………。まさか生身でここまで出来るものがいるとはな……」

 

呼廚泉がゴーストイマジンの持っていたライダーパスを手に持ち、ユウキベルトをつける。

 

「変身」

「ハイジャックフォーム」

 

 

呼廚泉は仮面ライダー幽気ハイジャックフォームに変身した。

 

「でやがったな。幽気のハイジャックフォーム」

「ふん!」

 

呼廚泉は手に持っていた鞭のような物で、地面をたたく。

すると先ほど倒されたイマジンやゲルニュートが甦っただけでなく、前にディケイドの一刀が破国を作った外史で戦った事のある怪人が何体か甦ったのだ。

 

「嫌な能力だ」

「甦りやがった……」

「あれは一体……」

「ご主人様! 桃香様!」

「華琳様!」

 

一刀達の所に愛紗や春蘭達がやって来た。

 

「愛紗ちゃん!」

「春蘭……」

「ちょうどいい。お前達」

「な、なんだお前は……」

 

北斗の一刀の口には出せないようなとても強い雰囲気に思わず春蘭も怯んだ。

 

「劉備と曹操を連れて離れていろ」

「お前達はあいつらのせいで疲れてるからな。思うように力は出ないだろ」

「離れていてくれ。二人とも…」

 

蜀の一刀が華琳と桃香に言う。

 

「………いいでしょう。春蘭」

「はっ!」

「私と桃香の護衛を頼むわ。桂花、秋蘭、凪、季衣、流琉もお願いね」

『はっ!』

「お願いします」

「桃香様を頼んだぞ」

「任せてよ」

 

そして桃香達は安全な所に下がる。

 

「さてと……」

 

三人の一刀が一列に並ぶ。

右にはディケイドの一刀、真ん中には蜀の一刀、左には北斗の一刀が立つ。

 

「いくぞ」

「ああ」

「倍返し以上の倍返しといこうか」

 

ディケイドの一刀はディケイドドライバーを腰につけ、蜀の一刀はデンオウベルトを腰につけ、ケータロスをベルトに付ける。北斗の一刀は天龍呼吸法を使う。

ディケイドの一刀はディケイドのライダーカードを、蜀の一刀はライダーパスを手に持つ。

 

「「変身!!」」

 

ディケイドの一刀はライダーカードをディケイドドライバーに挿入する。

 

「カメンライド」

 

ディケイドライバーから待機音が鳴り響く。そしてディケイドの一刀はディケイドライバーを元に戻す。

蜀の一刀はライダーパスをベルトに通す。

そして北斗の一刀は自分の上着を掴む。

 

「ディケイド!」

「超クライマックスフォーム」

「はああああああああ!!」

 

ディケイドの一刀は仮面ライダーディケイドに変身!

蜀の一刀は仮面ライダー電王超クライマックスフォームに変身!

北斗の一刀は上着を投げ捨てる!

 

「俺も混ぜてくれよ、じいちゃん達」

 

そこにようやく矢刀がやって来る。

 

「お前は?」

「話は聞いてるぜ。俺の孫だそうだな」

「ああ」

 

矢刀はNEWデンオウベルトを腰につける。

 

「変身」

「ストライクフォーム」

 

矢刀は仮面ライダーNEW電王に変身する。

そしてNEW電王も一刀達の所に並ぶ。

 

「ご主人様!」

 

愛紗達も一刀達の少し後ろに一列に並ぶ。

 

「たったこれだけの人数で我らを止められるとでも?」

「止めてやるさ」

「俺達がな」

「お前達に今日を生きる資格はない」

「そのためのカウントは……なしだ!」

「いくぞ!」

『おうっ!』

 

一刀達は突撃し、それに応じるように呼廚泉は怪人達に突撃命令を出す。

 

「いけ!」

『うぉおおおおおおおおお!!』

 

怪人達も突撃していく。

 

 

「はああああああああ!!」

 

最初に攻撃したのは愛紗であり、青龍偃月刀を大きく振り、怪人達をなぎ倒す。

 

「さすが愛紗なのだ。鈴々も負けないのだ!」

 

鈴々も蛇矛で怪人達を貫く。

 

「さすがだな」

「我らも負けずにはいられんな!」

 

蜀の将達も負けないように怪人達を打ち負かしていく。

 

「おのれーーーーー!」

「こうなれば、一斉に!」

「あーーーーーーたたたたたたたたたたたたた!! おおおおおおわったあああああああああ!!!」

 

怪人達に向かって北斗の一刀は北斗百裂拳を怪人達に当てる。

 

「りょりょりょおおおおおおおおつ!」

「ふぇふぇふぇふぇふぇーーーーーーーーーいと!」

「かかかかかかかかねがねええええええええ!!」

「ふりふりふりりんぱっ!」

「スクスクスクリュー!」

 

怪人達はまたしても酷い断末魔を上げて爆発する。

 

「やるな……」

「あれが北斗神拳。怪人にも効くとはな……」

「さてと……俺達もやろうか」

 

ディケイドとNEW電王、そして電王が幽気と対峙する。

 

「来い………」

 

呼廚泉はサヴェジガッシャーをソードモードにする。

 

「うりゃああ!」

 

まずはディケイドが仕掛けた。

ディケイドがライドブッカーをソードモードにし、サヴェジガッシャーに当てる。

 

「そりゃああ!」

 

次に電王がデンガッシャーをソードモードにして振ろうとするが……。

 

「甘い!」

 

呼廚泉は空いている手で鞭を振るい、電王に当てる。

 

「ぐわっ!」

「じいちゃんだけじゃないぜ!」

 

次にNEW電王がマチェーテディを呼廚泉に当てようとするが……。

 

「ふん!」

 

呼廚泉はサヴェジガッシャーを当てていた、ディケイドを何とか退け、回転蹴りでNEW電王を退ける。

 

「やるな……」

「だが俺達はまだまだやれるぞ!」

「はああああ!」

 

そんな一進一退の攻防がしばらく続く。

 

 

そしてある時にディケイドがパンチ、電王がキックを当てようとするが……。

 

「ふううううん!」

 

呼廚泉は鞭で二人を払いのけようとするが……。

 

「悪いが……」

「その手は食わないぜ」

 

二人は体を宙に回転させることで鞭を避けたり、防御し、二人はそれぞれの剣を持つ。

 

「うりゃあ!」

「どりゃあ!」

 

二人が空中から剣で呼廚泉を斜めに斬りつける。

 

「ぐぅ!」

「おい、矢刀!」

「最後の一撃、お前が決めな!」

「ああ!」

 

矢刀がNEWデンオウベルトにライダーパスを通す。

 

「フルチャージ」

 

矢刀の右足にフリーエネルギーが溜まっていく。

 

「はあ!」

 

矢刀はマチェーテディを地面に刺し、右足を前に飛び蹴りを繰り出す。

 

「ライダーーーーキーーーーーーーック!!」

 

NEW電王である矢刀の右足から放たれたライダーキック「ストライクスパート」が幽気ハイジャックフォームの呼廚泉の体に直撃する。

 

「ぐおおおあああああああ!!」

 

呼廚泉は派手に後ろに吹き飛び、体からは電流が走り、次第に変身が解除された。

 

「おのれ……ここまでとはな……」

 

そんな時幽霊列車が呼廚泉の下にやって来る。

 

「幽霊列車」

「まだやるってのか?」

「いや、そう言うわけじゃないな」

 

ディケイド一刀が電王一刀と矢刀を制止させる。

 

「どういうことだ?」

「幽霊列車は名前の通り幽霊の列車だ。そして本来の用途は死者をあの世に送るためのものだ」

「そうなのか」

「…………うあっ」

 

呼廚泉は倒れ、幽霊列車は呼廚泉の体を透きとおると共に呼廚泉の体を乗せ、空間に歪みを発生させて去っていった。

あの世に帰っていったのだ。

 

 

「終わったな」

「ああ」

 

一刀達は変身を解く。

 

「ご主人様ーーーーーーー!」

 

そこに北斗の一刀や愛紗達、そして桃香達がやって来た。

 

「おお、桃香……」

「ご主人様!」

 

桃香が蜀の一刀にいきなり抱きつく。

 

「おわっ! 桃香……」

「良かった……。本当に良かった……」

 

桃香の目には涙が流れていた。

 

「本当に……本当に……」

「また心配掛けてごめんな」

「もう……いいよ……」

 

その様子をただ黙って見る周り。

その沈黙を最初に破ったのは矢刀である。

 

「……ねえ、とりあえずそれは後にしてくれない? じいちゃん、ばあちゃん」

「じいちゃん……」

「ば、ばあちゃん……」

 

事情を一応聞いている一刀はともかく、まだ事情を聞いていなかった桃香は開いた口が閉じなかった。

 

「まだ事情を説明してなかったな……」

「? どういうことだ?」

 

実は北斗の一刀もきちんとは聞いていなかった。

 

「……仕方ねえ……」

 

 

そして皆、元の時間に変えるためにNEWデンライナーに乗り、食堂車で桃香はようやく事情を知った。

 

「そうなんだ。矢刀って私の孫なんだ」

「そう言う事」

「ところでさっき愛紗ちゃんから聞いたけど、なんか私やご主人様をあまりいい目で見てなかったそうだけど……」

「ああ、あれね……」

 

矢刀は少し黙る。

そしてようやく口を開ける。

 

「気分的な問題だな」

「え?」

「まあ正確な答えは違うよ。正確には俺の名前と俺とじいちゃんがよく比べられたことだよ」

「名前?」

「うん。矢刀って名前はね……、俺の時代じゃダサい名前なんだ」

「ダサい名前……」

「それでその名前を付けたのがじいちゃん。そのせいで従兄弟達にはからかわれたりした……」

「従兄弟達?」

「じいちゃん、俺以外にも孫いるから。それも結構な人数」

「ご主人様……」

 

愛紗の後ろからものすごい黒い闘気が感じられる。

 

「愛紗……」

(この闘気……華琳以上だな……)

 

北斗の一刀はその黒い闘気が自分の知っている北斗神拳を学んだ華琳の持つ闘気以上だと感じる。

 

「それでじいちゃんの孫で一番年上なのが俺なんだ。ちなみにその次が愛紗さんの孫の鬼刀(きと)って奴。

俺の今の年齢は18歳でその鬼刀はまだ10歳なんだよな」

「そうなのか……」

「それで一番年上なんだけどな、どうもじいちゃんと違って武芸はともかく、文学が出来てないとか色々比較されたんだよ。

それでじいちゃんやばあちゃんと比べられるのが嫌だから、本人を見たら絶対見返してやると思っただけだよ」

「そっか……。ごめんね。皆、私達をそんなに美化してたんだ」

「実際そんなにすごくないのに……」

「そうでもないさ。皆からあんなに慕われてるし、あのイマジンに取りつかれてたのに体を取り戻したんだからばあちゃんはすごいよ。それにじいちゃんも……」

「えへへ……」

「………」

 

そして皆で色々雑談をする。

 

「ところで呼廚泉の目的ってなんだったんだろ?」

「簡単です」

 

管輅が説明した。

 

「あそこにはあなた達の祖となる人達がいたのです。祖でなくとも関わりがある人物もいます。その人間達を殺すことで歴史を変えようと呼廚泉は考えました。それをこの世界での特異点である劉備さんと曹操さんに…」

「桃香と華琳が特異点……」

「はい、この二人のお陰で世界は平和の道を行きました。そのため世界は二人を特異点と認めたのです」

「特異点が自分を消すようなことをしたら歴史が変わる以上の事が起こるからな」

「そうです。そしてあわよくば五胡の天下にしようと呼廚泉は考えたようですが…」

「仮面ライダーはそれを阻止したってことだな」

「はい……」

 

 

 

「では、そろそろ帰ろうと思うのだが……」

 

北斗の一刀が帰りたいと言う。

 

「そうだな。俺はともかく、お前は俺が連れて来たんだ。俺もいい加減帰るとするか……。それじゃあな」

「……機会があればまた会おう」

 

ディケイドの一刀が北斗の一刀を連れてNEWデンライナーを去った。

 

「さてと……とりあえず俺も自分の時代に帰るか」

 

そしてNEWデンライナーは矢刀の時代に行き、矢刀を適当な場所に下ろし、NEWデンライナーは蜀の一刀の時代へと帰っていった。

 

「ふぅう……」

 

矢刀がNEWデンライナーから降りて歩いていると……。

矢刀の前には一人の少々歳の言った男性と女性が一人ずつと10歳くらいの少年がいた。

 

「ただいま、じいちゃん、ばあちゃん、それに鬼刀」

 

四人は笑いながら、家に帰るのであった。


 
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