大陸一の歌手を目指す少女達と、みんなが笑って暮らせる世界を作る理想を抱く少女達。
彼女達との生活は今まで一人でいた無意識の寂しさを完全に拭い去ってくれた。
しかし、そんな彼女達も自分達の夢、理想の為。
再び旅立ってしまう。
彼女達の夢の為に笑顔で見送ったが、やはり寂しさを感じてしまうのは致し方ないことだ。それでも、村に住み始めた人達との触れ合い、街での店主との取引交渉の舌戦と少しづつ寂しさを埋めてくれる出来事もあり、徐々に寂しさを紛らわせてくれていた。
そんなある日、街を歩いていると一人の少女の姿が。
ある店の前でじっと何かを眺めている。
いつまでたっても動かず、じっと一点を見つめている姿。
さすがに店主の表情が優れない。
少女が店の入り口の真ん中に立っている為、お客さんも入りづらそうにしているからだ。
これはまずい・・・。
そろそろ、店主の堪忍袋の緒が切れそうなのだ。
「すごいお腹なっているよ?」
このままでは少女が怒られてしまう。
なんとかしようと話しかけてみた。
これは、そんなおせっかい魂を炸裂させた一人の自他共に認めるおせっかいとそのおせっかいに救われる少女達のお話である。
桃香達が旅立って一週間経った。
一刀はまた一人の生活に戻ったが、完全に戻ったわけではない。なぜなら、この廃村にようやく住人がきたからである。
「長!芽が出てきましたよ」
「おお!ついに出たんだ。これは頑張ってる証拠だよ。これからも頑張ろう」
「はい!」
元・野盗、現・村人の一人に声をかけられる一刀。そう、この一週間で大分村人とのコミュニケーションがとれて、気軽に話せるようになっていた。そして、村人の一刀の呼び方だが、これは『長』に決定したようである。
この村の領主であり、村長であり、自分達の雇い主であるからだと言う。一刀は主従関係のようであまり好きではないのだが、本人達が譲らない為こうなっているのだ。
「長~!猪がかかってましたよ~」
「おお!今日は猪鍋か?」
「いいですね~!久々のご馳走ですよ」
「どうです?長も一緒に?」
「いいの?じゃ、ご一緒させてもらおうかな。蜂蜜でももって」
「おお!甘くておいしいから好きなんですよ」
こうして村人と気軽に話す、桃香達に会う前には絶対出来なかったことだ。
最初は恐縮してか、本当に主従関係のように畏まっていた村人達だったが、一刀の説得と態度でようやく今のように気軽に話してくれるようになったのだった。
そんなある日。
「ありゃ、香辛料がそろそろ心もとないな・・・買いに行くか」
ということで、久しぶりに街に買い物に行くことにした一刀。そこで新たな出会いがあるということをこの時はまだ知らないのであった。
「ここは相変わらず人がいるね」
香辛料を買いに街にやってきた一刀は、街にいる人の多さに歓心している。一刀の世界に比べればかなり少ないのだが、今過ごしている村には一刀を含め6人しかいない。それに比べれば十分多いと言えるものだった。
「おばちゃん。これとこれ頂戴」
「あいよ。って、あら。あの子まだいるのかい?」
「あの子?」
「ああ、あそこの店の前に立っている女の子さ。さっきからずっとあそこに立って店を見つめているんだよ」
「へぇ~」
一刀は早速香辛料を買う為、店に訪れた。そこで、買うものを店の人に渡して会計をしている最中の会話であった。
「なんか、すごい威圧感だろ?あの子がいるからあんまり客が店に入らなくてね。そろそろ店主がキレることなんじゃないかね。・・・まいど」
「それは大変だ・・・っとありがと」
この言葉で一刀が次に取る行動が決まってしまったといっても過言ではない。香辛料を受け取った一刀はそのまま、店の前にいる女の子に近づいていったのだから。
ぐぎゅるるるる・・・
近づいて初めてわかったこと。それは女の子のお腹が大きな音を立てていることだった。一刀は横目で店の中を見ると、そこには明らかにいらだっている店主の姿が・・・。このままではまずいと思った一刀は女の子に話しかけることにした。
「すごいお腹なっているよ?」
女の子はゆっくりと一刀のほうを振り返る。
「お金ない・・・」
「じゃ、仕方ないね。諦めよう?」
「でも、おいしそう・・・」
「・・・わかった。俺が買ってあげるよ」
おいしそうと言ったときの女の子の切なそうな顔で、一刀は思わず言葉を紡いでしまった。そのくらい女の子顔が悲しげに映って見えた。一刀の言葉を聴いた女の子の顔は一転し、笑顔になる。表情はそんなに変わらないが、雰囲気が明るくなったのでわかった。
一刀は店主を呼ぶとにくまんを数個購入した。さきほどまでイライラ顔だった店主もついに購入するということで笑顔で対応してくる。一刀は自分用に一つ確保すると残りのにくまんを女の子に渡し、店の前から移動することにした。
「恋の名前は姓は呂、名は布、字は奉先。真名は恋」
「真名までいいの?」
「(コク)・・・にくまん買ってくれた」
「そっか。俺は姓は白、名は士、字は北郷、真名は一刀。よろしく恋」
「ん・・・」
自己紹介を済ませ、話はさきほどの一件になる。
「にくまん。ありがとう・・・」
「どういたしまして。お金持ってなかったのかい?」
「お財布持ってくるの忘れた」
「そっか。じゃあ、仕方ないな」
そのように、二人が話していると・・・。
一匹の犬が駆け寄ってきた。
「ワンワン!」
「セキト!!」
名前はセキトというらしい。彼女の一番の友達で一緒にきていたが、彼女があの店の前でじっと見つめている間にどこかへいっていたようだ。恋が頭を撫でると気持ちいいらしく尻尾をパタパタ振っている。
「君はセキトっていうのか?」
「ワン!」
「そっか。あっ!これ、食べるかい?」
「ワフ?・・・ワン!」
一刀は自分の分のにくまんを差し出した。最初は不思議そうに見ていたセキトだが、意味を理解すると喜んでにくまんにかぶりつく。主人と同じようにお腹がすいていたのか、あっという間ににくまんは平らげられるのであった。
「ワン!」
「ははっ、どういたしまして」
なんだが、ありがとうと言われているように鳴くセキトの頭を撫でる一刀。そんな一人と一匹の様子をうっすらと微笑みを浮かべて恋は見ていた。
「何するですか!やめてください」
「「!?」」
何か言い争っているような声が聞こえてきた。振り向くとそこには緑色の髪の帽子を被った小さな女の子が数人の男の子に囲まれているところだった。
一刀は考えるより前にすでに走り出していた。
「うるせぇ、てめぇは生意気なんだよ!」
「ちっと頭いいからって偉そうにしてんじゃねぇよ」
「そうだそうだ」
「自分達の失敗での苛立ちを小さな動物に八つ当たりすることで晴らそうとするお前達が何言ってるんですか!恥さらしですぞ!」
「「「うっせぇ!!」」」
女の子の反論で余計に熱くなってしまった男達。そんな男達を前に臆するどころかこちらも熱くなっている女の子。旗から見ると小さな子供達の喧嘩にしか見えない。が、男の方は明らかな大人なのだ。腕力に任せられたら女の子に勝ち目はない。そうなる前に止めなくてはと、一刀は全力で駆けた。
「てんめぇ・・・もう我慢ならねぇ!やっちまぇ!」
「ひぅ!」
ついに我慢の限界を超えた男が拳を女の子に振り下ろす。振るわれる暴力に恐怖し、体が硬直してしまった女の子には避けられそうになく、小さな悲鳴を上げて襲いくる衝撃を覚悟するしかなかった。が、女の子に届いたのは痛みではなく、少しの圧力と暖かな感触だった。
「つぅ・・・一瞬、息が詰まったぞ」
「え?」
女の子が目を開けると痛みに顔を歪めた一刀の姿が、自分を両腕で抱きしめている光景だった。そう、ギリギリのところで一刀は間に合っていたのだ。
「あ、あの・・・大丈夫ですか?」
「てて・・・ああ、大丈夫だよ」
自分を庇ってくれた一刀を心配する女の子。それに対して一刀は少し本音は漏れてしまったが、軽い打撲程度なので問題ないとして大丈夫と答えた。それでも、尚も心配そうに見上げる女の子に一刀は大丈夫だからと頭を撫でると、殴りかかってきた男達に振り向き立ち上がる。
「おい・・・殴ることはないんじゃないの?」
「邪魔するなよ。これは俺達の問題だ!部外者はすっこんでろ!」
「じゃ、俺はお前に殴られたから関係者だな?」
「お前が勝手にしゃしゃりでてきただけだろうが!」
「おいおい・・・ここは通行止めされているわけじゃないんだぞ。人くらい通るだろう?」
一刀の言葉に冷静になれない男達。一刀も女の子に殴りかかった男達に怒りを抱いている為、どうしてもおちょくり口調になってしまっている。男達の怒りが爆発する寸前。横からの衝撃で吹き飛ばされた。
「なめてんじゃねぇええええええええええええええ!!」
ガボッ・・・
「「「「「・・・・・」」」」」
一人の男が叫んでいる最中、横からきた人の拳によって殴り飛ばされ、家の横にあった桶に頭からつっこんだ。第三者の介入と男の哀れな姿に呆然となる一同。そして、男を殴った人物を見れば・・・。
「この子をこんなにしたのはお前らか?」
一匹の犬を左手に抱いた恋だった。その傍ではセキトもいて男達に牙をみせてうなり声をあげている。恋はさきほどの純粋な顔はなりをひそめ、今は大きな悲しみと怒りに満ちた表情をしている。だが、一刀は恋が抱いている犬のほうも気になった。
「うわ!大変だ。早く手当てをしないと!!」
恋に抱かれていた犬は血だらけでぐったりとしていたのだ。
「この子、つらいって・・・」
「わかってる。でも、今ここで出来ることなんてたかが知れてるな。早く医者につれてかないと・・・」
「この街に犬を見てくれる医者なんていないですぞ!」
「君達のところは駄目かな?」
「私の家はこの街にはありませんぞ。宿をとってますが、治療できるものはありませんですし」
「恋も同じ・・・」
「・・・なら、家につれてこう。気休め程度だけど治療は出来るから」
「ついてく」
「私もですぞ」
「ワンワン!」
一刀の言葉に同意し、ついてくることになった二人と一匹。犬の状態のこともあるし、早速移動しようとしたのだが、ここで忘れていた男達が邪魔をする。
「てめぇら・・・ただで帰れると思ってるのか?」
「男は袋にして、女のほうは俺らの気がすむまで遊んでやるさ」
今まで忘れていた男達が一刀達の前に立ちはだかる。急いでいるときにと小さく舌打ちをする一刀だが、恋が一歩前に出る。
「先にいって・・・」
「一人じゃ危ないよ」
「あなた様一人では危険ですぞ!」
「大丈夫・・・負けない!」
「「でも!!」」
「この子が心配・・・私じゃ、手当てできないからいって」
恋の身を心配する二人だが、恋の決心は変わらない。恋は動物が大好きな純粋で優しい女の子なのだ。そんな彼女の目の前には大好きな動物をいじめた奴らがいる。怒りを抱かないわけがないのである。一刀はこの場を恋に任せることにした。恋が彼の知っている呂布ならばこんな奴らに負けるはずがないのだから。
「・・・わかった。絶対、追いかけてくるんだよ?」
「(コク)セキトがいるから大丈夫」
「ワンワン!」
「そっか。じゃ、頼んだ!」
「絶対無事に追いついてきてくだされ!」
一刀と女の子は恋を残し、犬の治療の為に一刀の家へと全力で駆ける。
そんな一刀達を追いかけようにも恋がいる為追いかけられない男達だったが、彼らには余裕が生まれている。確かに一刀達を逃がしたのは頭にくるが、目の前には美少女が一人残ったのだ。この時点で彼らの頭には一刀達のことなんてすでになく、恋にこれから行おうとしていることへ想いを馳せるだけであった。
「ついに観念したのか?」
「へへ、一人減っちまったがあっちはガキだしな」
「じゃ、楽しませてもらおうか」
荒い息と共ににやついた顔で近づいてくる男達。しかし、彼らは気づいていない。自分と相手が圧倒的な強さの壁が存在していることを。本来、彼らは逃げねばならなかった。なぜなら、彼らが相手しようとしているのは・・・後に飛将軍と言われる天下無双の猛将、呂布なのだから。
「あの子の傷の分・・・お前達を叩きのめす」
今、男達に怒りの鉄槌が下されようとしていた。
「はっ・・・はっ・・・」
「はぁはぁぜぇはぁ・・・」
一刀と帽子の女の子は必死で走っている。一刀の腕の中にいる一匹の犬を助ける為に。
その途中で一刀は気づいた。
「って、そっか。君。君がとってる宿へ案内してくれないか?」
「なんで・・・ですか?今は・・・その子・・・を・・・・助ける・・・為・・・に・・・一刻・・・を争・・・うという・・・のに・・・」
全力で走って息も絶え絶えな女の子は、それでも必死に一刀へと返事をしていた。
「俺の家へ行くより、君の宿へ行って薬や包帯を買って手当てをしたほうが早いからだよ」
「そう・・・いうこと・・・でしたら・・・こっち・・・です・・・」
「わかった」
一刀の言葉を理解した女の子は急遽、進行方向を変えて一刀を案内する為に先頭を走るのだった。二人はやがて、女の子の取っている宿へと辿り着く。一刀は家の前で抱えていた犬を女の子へと手渡す。
「俺はこれから薬を買ってくるから、君はこの子を見ててあげて」
「わかり・・・ました・・・」
本来ならついていきたいところだったが、正直疲れすぎて動く気力もわかなくなっていた。
それでも、腕の中にいる犬を落とさないように優しく、しっかりと抱きしめると宿へとハ入っていった。
「ちょっと染みるけど、我慢してくれな」
「・・・!?ワンワン!!ゥゥゥゥゥ・・・」
「そんな唸らないでくれって」
しばらくすると薬や包帯を買ってきた一刀が戻ってきて、早速手当てを始める。消毒するときに傷に染みたのか犬が唸るということもあったが、なんとか手当てを終わらせることが出来た。
傷は思ったよりも軽く、一刀でも治療が出来るレベルであったが、それでも多くの出血があった為、放っておいたら命の危険があっただろう。手当てを終え、一命を取り留めた犬はそのまま寝てしまっていた。いろいろあって疲れていたのだろう。そこに、ドアをノックする音が聞こえた。
「はい・・・」
「あの子はどうなった?」
女の子がドアを開けるとそこにはさきほどと変わらぬ様子の恋がいた。第一声は犬を心配する言葉である。それだけで彼女の優しさが感じられた。
女の子は犬はもう大丈夫で、今は疲れて眠っていると答えると恋は安心したように笑顔を見えるのだった。
「恋は大丈夫だったの?」
「ん・・・圧勝」
「そっか。これでも心配したんだぞ?」
「大丈夫。恋、強い」
「強いのはわかるけど、心配なものは心配なの」
恋はわからないようで首を傾げていた。一刀は呂布の強さを知っている。が、この世界ではいくら強い呂布でも女の子なのだから。男として心配になってしまう一刀だった。
「あ、さきほどは助けて頂きありがとうございました」
恋がセキト(さきほどからずっと傍にいた)を伴って部屋に入り、椅子に座った後。一緒に犬を手当てした女の子が口を開いた。
「私は姓を陳、名を宮、字を公台と申します」
「君が・・・俺は姓を白、名は士、字は北郷だ。よろしくね。陳宮ちゃん」
「恋は、姓を呂、名は布、字は奉先。よろしく」
この子が呂布の配下として有名な陳宮かと思ったが、すぐに考えをやめて一刀も自己紹介をするのだった。
そのころ、恋と戦った男達は。
地面に倒れ付して誰一人立ち上がることが出来ずにいた。
「くそがぁ・・・このままで済むと思うなよ」
倒れていた男達の内の一人が建物の壁を使い、なんとか立ち上がることが出来た。その頭にはもう犬のこと、女の子のこと、一刀のことなどなく、ただ自分達を叩きのめした恋のことしか考えていない。心に大きな怒りを抱えながら、彼は自分の屋敷に戻るのだった。
話を戻して。
三人はそれぞれ自己紹介を済ますと、犬がどうしてこうなってしまったのかを話し始めた。
「私はちょうど、仕官先を求めてこの街へとやってきました。そこで、さきほどの男達がこの犬に暴行を加えている現場に遭遇したのです。あまりの行動に私もすぐにカッとなってしまい、あのような状態に・・・」
「そっか、あの人達は君のことを悪くいっていってたけど、それはなんなの?」
「そ、それは私も怒りで我を忘れてしまっていたので・・・よく覚えていません・・・」
陳宮は申し訳なさそうに俯いてしまった。怒りで我を忘れてしまうほどいじめられていた犬のことを心配出来るということは、いい子なのは間違いないだろう。
「その話はおいといて。これからのことについて話そうか。まず、この子をどうするか?」
一刀は今は眠っている犬に視線を向ける。話の展開から、宿をとっている状況の陳宮や恋よりも、自分の家を持っている一刀が連れ帰って怪我が治るまで面倒を見るというのが最良の選択だと思うが。
「恋が育てる・・・」
「恋が?でも、ここにいつまでいるの?宿をとってるってことはこの街に住んでいるわけじゃないんだろ?さすがに怪我してる状態で連れまわすのは危ないよ」
「大丈夫。怪我が治るまで留まる」
「宿に?お金は大丈夫?」
「・・・・そうだった。どうしよう?」
「陳宮ちゃんはどうかな?」
「私ですか?私は仕官先があるわけでもないので、時間には余裕がありますがお金に余裕があるわけではないので、あまり長い期間は滞在出来ないですぞ」
二人とも世話は出来るけど、宿をとっているだけのお金がないようである。残る選択肢は一つしかない。
「わかった。俺がその子を連れて帰って面倒を見よう」
一刀の家に連れ帰って面倒を見るという選択肢しか。一刀としてはここで見捨てるという選択肢は端から存在していない。もう、彼のおせっかい魂がこの子の面倒を見せろと叫んでいるのだ。だが、動物好きなら絶対負けないこの人も黙っていられない。
「待って。恋も一緒に行く」
「恋も?」
「その子が心配だから」
一刀のことを信用していないわけではない。しかし、やはり自分の目で確かめないと心配で仕方ないらしい。恋の想いを理解した一刀も断る理由がない為すぐに了承したのだった。
「わかった。一緒に行こうか」
「うん」
「あの・・・私も一緒にいってもいいですか?」
「陳宮ちゃんも?」
「はい。私もこの子のことが心配なので」
ということで二人とも一刀についてくることになりました。
そんな話をしていると、なにやら外が騒がしくなってきた。なにやらお祭りでもやるのかな?とあまり気にしていなかった一刀だが、恋は雰囲気が変わりなにやら警戒するようなしぐさを見せている。
「・・・誰かこっちにくる。殺気を感じる」
「殺気!?どうしてだ?」
「あっ!!」
殺気を向けられるくらい恨まれる覚えのない一刀だが、陳宮はなにやら思い出したように声を上げた。
「何か知ってるの?陳宮ちゃん」
「さきほどの男達ですが、この街の役人でして。誇り高い奴らなので・・・仕返しにと兵をよこしたのではないかと・・・」
「・・・私兵っていいのか?」
それよりも、恨まれる要素は心当たりがありました。しかも、さきほど遭遇したばっかりという間近っぷり。
「って、のんびりしてる場合じゃないな。早くここから出よう」
「ですな。すぐに準備します」
「恋も・・・」
「恋はどこで宿をとってるの?」
「ここの隣の部屋・・・」
「ご近所さんだった!!」
なんと恋の部屋は隣だったと驚愕の事実があったが、それはそれ。今は素早くここから脱出することが先決である。恋にも荷物を纏めてもらうことにして、宿を出る準備を進めるのであった。
「許さん!俺をコケにしやがって!!この街の者どもの前で辱めてやらねば気がすまん!!さあ、行け!我が精鋭達よ!」
恋に倒された男が、大声で檄を飛ばす。対して、飛ばされた方はというと物静かに、かつ迅速に行動を起こす。
「ここか・・・」
「ああ、気をつけろ。多少腕に覚えがあるらしいからな」
「御衣」
十数人の男達が宿に入ってくる。事前に対象の内一人には武に心得がある者ありという情報を手に入れていたが、たった一人の凄腕がいても大人数には叶うまいと思っている。それでも、彼らは訓練の中で油断をしてはいけないと教えられている為、形だけは慎重に行動しているように見せていた。見るものが見ればそれは慎重になっているとは言えないお粗末なものだったのだが。
彼らは確認作業がおざなりであり、まるで警戒していない。本当に警戒していれば、中から物音が全くしなかったり、人がいる気配を感じないなど、部屋にはもう誰もいないのではないかと疑問に思う要素があったのだから。
そんなことに全く気づかない男達は・・・。
「行くぞ!突入!!」
合図によって一斉に突入を開始し・・・。
「貴様らが働いた無礼。許してはおけぬ!大人しく・・・っていない!?」
男達が突入したときにはすでに、もぬけの殻になっていると初めて気づき、しばらく呆然と立ち尽くすのであった。
ちなみにそのころには、一刀達はすでに街を脱出に成功しており、一刀の家に向かって急いでいた。
「はっ・・・はっ・・・恋。後ろは?」
「大丈夫。追手はいない」
「はぁ・・・はぁ・・・すいません。私は・・・限界が・・・」
「ワンワン!!」
街から脱出した一刀達だったが、まだ安心は出来なかった。もしかしたら、追ってくる可能性があったからだ。そういうわけで街から出た後も走っていたが、一番体力のない陳宮に限界が来た為、走るのをやめて歩くことで体力の回復と少しでも距離を稼ぐことにしたのだった。
そして、走る→体力回復の為歩き→再び走るということを繰り返し、後ろから追手がくることもないまま一行は一刀の村の前まで無事にたどり着くことが出来たのだった。
「やっとここまできた・・・ここまでくれば安心だ」
「はぁはぁ・・・ついたのですか?・・・・私は疲れましたぞ」
「・・・お腹すいた」
「くぅ~ん」
いろいろあって疲れた一刀と陳宮、体力にはまだ余裕があるがお腹がレッドゾーン突入な恋、そんな恋が心配なセキトと少し元気がない一行。そんな三人と一匹が村の入り口付近にたどり着いたとき。
「む~・・・」
「これは・・・」
「困りましたな」
村の前で蜂の大群を見つめて途方にくれる人を見つけるのだった。
お久しぶりです。
今回は問題なくスムーズに投稿です。
体調も、先日フットサルをやって全身筋肉痛以外問題ないですし。
睡眠もちゃんと5時間はとってるので大丈夫!!
ははは。私もやれば出来るんですよ!!
さて、ちょっと私の小話でも・・・
実は今、PS2で三国志ⅨWithパワーアップキッドをやってます。
時代は呂布の兗州強奪と小覇王出陣。
長沙からスタートで、現在、呉以外の南の都市を全て制圧してます。
北は許昌までw
私の使っている軍師は周喩で、エースは黄忠隊です。
ってか、黄忠すごいですよ!弩兵の攻撃ことごとくガードしてくれるんです。
頼りになるね!
さらに黄忠隊のメンバーは他に厳顔さん、そして、黄蓋さん。
宿将三人衆でお送りしております。
まさに、弩兵無双!これに黄祖やら、太史慈やらいたら、完全に弩兵部隊ですよねw
あと、武将に地味に孫策さんいるんですけど。あまり出番がががが・・・。
そういえば、孫策さんは小覇王って言われてますけど、最初聞いたときに曹操よりも格下に感じる名前だなと思いました。
だって、覇王と小覇王なんですもん。
子供か!?とか思ったりwww
今はもうどっちもすごい人ってわかってるんですけどね!
では、話を戻して。
今後の進行予定など。
えっと、今回呂布、陳宮。最後になぞの三人(バレバレ)が出てきましたが、この話が終わったらついに!!
ようやく!
やっと!
一刀君のこの世界にきた理由の人を登場させたいと思います!!
これ以上は今後の本編で!
では、また執筆頑張りますので、応援よろしくお願いします。
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第六話の投稿です。
動物・・・可愛いですよね?
鹿に矢を刺したり、ペット捨てたり、そんなことする人がいますが。なんなんですかね?
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