No.137289

真・恋姫無双アナザーストーリー 雪蓮√ 今傍に行きます 第10.3話

葉月さん

琳の別荘最終日になります。
さて、部屋に閉じ込められた一刀に更なる悲劇が襲い掛かる!
一体何が!
次回からは夏休み明けのお話になります

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2010-04-19 01:28:22 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:7314   閲覧ユーザー数:5700

真・恋姫無双アナザーストーリー 

雪蓮√ 今傍に行きます 第10.3話

 

 

 

 

【一刀とひと夏のバカンス・最終日】

 

「……」

 

「……」

 

見詰め合う二人

 

「……」

 

一人は冷や汗を流し顔を引きつらせ

 

「……」

 

もう一人は肩を震わせ何かを抑えるように両肘を力強く掴んでいた

 

この時間の凍りついた空間に今まさに爆弾が落ちようとしていた

 

「ん~一刀~……ふふふ♪」

 

「「っ?!」」

 

「うぅ~か、ずと君……そこは……やん♪」

 

「お、落ち着け、琳!これは寝言だ!俺はまだ何もしてない!」

 

「まだ?!まだってことは何れすると言うことよね!」

 

一刀はベットから逃げ出したかったが両腕を雪蓮と優未が抱いて寝ているので動けずに居た

 

「ふ、二人とも起きて!ってなんで、二人が俺の部屋で寝てるんだよ!」

 

「ん、一刀……激しすぎるわ……すぅ、すぅ」

 

「何が?!」

 

「……も、いっぱいで入らないよ……くぅ、くぅ」

 

「いっぱいって何?!」

 

雪蓮と優未の寝言でさらに混乱する一刀

 

「そう……『随分』とお楽しみだったようね一刀。……私の別荘で」

 

「り、琳!だから俺は何もしてないって!第一、俺は簀巻きにされてここで!」

 

「あら、ならなんで簀巻きにされて寝てないのかしら?」

 

「うっ?!そ、それは、だな……と、とにかく、俺は無実だ!」

 

「あからさまに話をそらしたわね……まあいいわ、覚悟は出来ているのでしょうね?」

 

琳は不敵な笑みを見せ何処からともなく、あるものを取り出した

 

「っ?!ってかどっから出してるんだよ。そんなでかいの!物騒でしょ?!」

 

「あら、これは模造よ本物はちゃんと自分の家に保管してあるわよ」

 

「いやいやいや!そう言う問題ではなくてですね?!」

 

「うぅ……なによ、うるさいわね…………あら、琳じゃない」

 

「も~、折角いい気分で寝てたのにうるさいな~……やば」

 

流石に大声で騒いでいるせいもあり、雪蓮と優未は目を覚ました

 

「やっと起きたようね。なぜ、あなた達がこの部屋に居るのかしら?昨日言った筈よね?」

 

「なんだったかしら?優未あんた覚えてる?」

 

「え~寝起きに聞かれても頭まだ動いてないよ~、なんだっけ~?」

 

「『今日は誰も一刀の部屋に入らせない』と言わなかったかしら?」

 

「ああ、そんなこと言ってたわね」

 

「そう言えば~そんな事言ってたような」

 

「え?そうだったのか?!」

 

一刀は自分の知らないところで言われていたことに驚いていた

 

「そのことなら破ってないわよ。ね、優未」

 

「え?ああ、うん。破ってないよ」

 

「なんですって?」

 

琳の眉がピクッと動いた

 

「あなたは『今日は』って言ったのよ?なら日付が変わればもう『今日』ではなくなるわ」

 

「はぁ~、そう言う所ばかり頭が回るのね、あなた達は。」

 

「ふふふ」

 

「えへへ~♪」

 

琳はおでこに手を当てて首を振る

 

「もいいわ、朝食が出来てるから下りて来なさい。桃香も愛紗も待っているわ」

 

琳は部屋から出て行った……一刀の部屋に大鎌を置いて

 

「これどうしろと?」

 

「ほらほら一刀、早く食べに行くわよ」

 

「そうだよ。ほらほら!」

 

「ちょ!着替えさせてくれよ!」

 

一刀は引っ張る雪蓮と優未に着替えさせてと伝える

 

「仕方ないわね、早く着替えなさいよ

 

「ほらほら、早く着替えて~」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……あ、あの」

 

「なにかしら?」

 

「着替えたいから部屋から出て行って欲しいんだけど……」

 

「あら、私たちの事は気にしないで着替えていいのよ」

 

「そうそう、空気だと思って」

 

「なんなら着替えさせてあげようか?」

 

「なっ!自分で出来るから!」

 

「遠慮しないの♪ほらほら」

 

「いいから!雪蓮たちも着替えてきなよ!」

 

「ああん!一刀君を着替えさせたい~~~~!」

 

一刀は雪蓮と優未を部屋から押し出した

 

「ふぅ……早く着替えないと。また乗り込んでこれたらたまったもんじゃない……」

 

一刀は急ぎ着替え下に降りていった

 

「ぶーぶー!一刀着替えるの早すぎ~」

 

「そうだよ~」

 

雪蓮と優未は降りて来てそうそうに一刀に文句を言った

 

「何のことですか?」

 

「え?一刀のき「わーわーわー!なんでもない!なんでもないから!気にしないで愛紗!」……ぶー」

 

「は、はぁ、そうですか」

 

慌てる一刀に雪蓮は口を尖らせ、愛紗は気の抜けた返事をするのだった

 

「ホント、朝から騒々しいわね。早く席に着きなさい」

 

すでに席に座っていた琳は、少し呆れながら席に着くように諭した

 

「は~い。私、一刀君の隣がいい~♪」

 

「雪蓮と優未は一刀から一番はなれたところよ」

 

「「え~~~~っ!?なんでよ!!」」

 

打ち合わせしたかのように見事にハモる雪蓮と優未

 

「別にいいのよ?朝食『抜き』でも」

 

「ぶー、琳ケチ~」

 

「あら、優未は本当にいらないようね。一刀、優未のぶ「わー!食べる!食べるよ!」なら、文句なんて言うんじゃないの」

 

文句を言いながらも雪蓮と優未は席に着く

 

雪蓮と優未は一刀に一番遠く、一刀の隣には桃香と琳が座った

 

「あ、あの、私はなぜここなのでしょうか?」

 

愛紗は桃香の隣の席であったが疑問を琳に問いかけた

 

「簡単よ。あなた、昨日一刀の部屋に行ったわよね?」

 

「なっ!そんなことで!」

 

「やっぱり……はぁ、材料が少なくなってたからもしかしたらと思ったら……」

 

「うっ!で、ですが、部屋には入っていません!……ただ、一刀さまがお腹を空かせているのではないかと心配になり……」

 

愛紗の声は段々と小さくなっていき最後のほうは桃香でも聞き取り辛くなっていた

 

「愛紗は悪くないんだ。俺が、お腹減ってるって言ったのがいけないんだから、余り責めないでくれよ」

 

「一刀さま~~」

 

「そうだよ。愛紗ちゃんは悪くないよ!ご飯の食べさせなかったのがいけないんだから~」

 

「あら、桃香は私が悪いといいたいのね?」

 

「ええ?!そ、そう訳じゃ……あれ?そうなのかな?」

 

「いや、俺に聞かれても……」

 

「はぁ、もういいわ、この話はもうお仕舞い。今日で帰るのだから最後くらいは各々楽しみなさい」

 

「「は~い」」

 

全員が返事をして合意した

 

「それじゃ、頂きましょう」

 

「「いただきま~~す!」」

 

「んっ!これうまいな?誰が作ったんだ?」

 

「それは私だよ!」

 

「へ~、対したもんだよ。桃香はジャム作るのうまいんだな」

 

「ええ、本当に美味しいわね。今度、分けて欲しいわ」

 

「えへへ♪持ってきて良かった♪」

 

桃香は食事をしている一刀を見て

 

…………

 

『桃香、美味しいよ』

 

『本当?一刀さんの為に頑張って作ったんだよ!』

 

『そうだったのか、ならご褒美をあげないとね。なにがいいかな?』

 

『ええ?!ご褒美だなんてそんな!私は一刀さんとこうして朝食を一緒に出来るだけで嬉しいよ』

 

『それが俺の気が納まらないよ……そうだ、桃香』

 

『な、なに?』

 

『ご褒美のキスをあげるよ。おいで』

 

一刀は桃香の腰を引き、目の前に抱き寄せ

 

『か、一刀さん……』

 

『愛しているよ、桃香……』

 

見詰め合う二人はやがて近づき……

 

「きゃーー!ダメだよ!一刀さん!」

 

「へ?俺なにかした?」

 

「……え?」

 

桃香は現実に戻り一刀たちが桃香を見ているのに気づくと

 

「な、なんでもないよ!ホント、なんでもないから!あ、これ美味しそう!パクッ!……っ?!熱っ!」

 

「ちょ、桃香!どうしたんだ?はい、お水」

 

「ふぁ、ふぁりがほう、かふとふぁん……」

 

水を受け取り、舌を冷やす桃香

 

「……桃香の隣も失敗だったかしら……」

 

「ん?なにがだ?」

 

「なんでもないわよ」

 

「それより、今日は15時にはここを出るから帰るしたくは早めに済ませてしまいなさい」

 

「琳、所でさ……行く時に持ってきた荷物なんだ「勿論、あなたが持ってくれるのよね一刀?」……はい、喜んで持たせていただきます……」

 

「よろしい」

 

こうして、賑やかな朝食が済み、各自帰り支度をすませて海へと遊びに行った

 

「ん~!これでこの綺麗な海も見納めか」

 

一刀は浜辺で伸びをして海を見ていた

 

「一刀ちょっと来なさい」

 

「ん?……琳か、どうした?」

 

「ちょっと来なさい」

 

「お、おい。そんなに引っ張らなくても」

 

琳は一刀の手を取り歩き出すとパラソルが刺さっているシートの前まで来た

 

「これを塗ってちょうだい」

 

「なぁんだそんことか……はぁ?!な、なんで俺が?!雪蓮たちでもいいだろ!」

 

「いいから、早く塗りなさい……ほら、早くしないと肌が焼けちゃうでしょ」

 

琳はシートにうつ伏せに寝転び塗る体勢に入った

 

「うぅ……なんで俺が……」

 

一刀は琳の横に座り日焼け止めを塗り始めた

 

「……ちょっと、もっとしっかり塗りなさいよ」

 

「む、無茶言うなよ。これで一杯一杯だよ」

 

「まったく、だらしが無いのね……もっと上も塗りなさい」

 

「うえぇ?!」

 

「声が裏返るほどうれしいのかしら?」

 

「うぅ……嬉しいDEATH」

 

「なんか最後が英語ぽかったけど、まあいいわ。ほら、早く始めなさい」

 

「了解……っ?!」

 

「ん……中々うまく塗るじゃない……」

 

琳は気持ち良さそうに目を瞑りながら感想を行った

 

(ふふふ、なんだかんだ言っても一刀も男ね)

 

「……んっ、いいわよ。腰の辺りも塗って頂戴」

 

(ぁ……な、なんだか手つきがいやらしくないかしら?)

 

「ちょ……か、ずと?何処を触って、きゃん!」

 

琳は可愛らしい声で悲鳴を上げた

 

(な!そ、そこは脇の下じゃない!何処まで塗るつもりなのよ一刀は!)

 

「か、一刀、これ以上するとただではっ?!ちょ、そ、そこは!んんっ?!」

 

(そんな……か、一刀が私のむ、胸を?!やっ……こ、声が出ちゃう……)

 

琳は手で自分の口を押さえて声が出ないようにしていた

 

「……んっ!、ぃゃぁ~、お、お願い……か、ずと……ゃめ、て……」

 

(こ、これ以上されたら……ぁ、れ?止まった?)

 

琳は悶えていたがそこでぴたりと手の動きが止まり振り返る

 

「なっ?!」

 

「はぁい、琳」

 

そこに居たのは一刀ではなく」

 

「優未?!なぜ貴女が!それより一刀は!」

 

「一刀君なら雪蓮に後ろから羽交い絞めにされてるよ。ほら」

 

優未が指を指す方を見ると胸を押し当てられて身悶えて口を押さえられている一刀が居た

 

「ん~?!んんっ!ん~んん~~っ!」

 

「何言ってるか判らないわよ一刀♪……あ、もしかしてもっと胸を押し当てて欲しいとか?もう、エッチなんだから一刀は♪」

 

「んん~~~~っ!」

 

一刀は全力で首を振るがお構いなしに雪蓮はさらに力強く後ろから抱きしめた

 

「ちぇ~、私が一刀君を抑えたかったのに……雪蓮たらじゃんけん強すぎだよ」

 

「ふふふ♪私の勘は天下一品よ」

 

雪蓮が得意げに胸を張るとさらに一刀の背中に胸が押し当てられ、卒倒寸前の一刀だった

 

「……どういうことかしら?」

 

「え?じゃんけんで負けた方が琳のむ、ねを……あ、あはははは、も、もしかしなくても怒ってる?」

 

「あら、優未には怒っているように見えるのかしら?」

 

優未は今までに感じたことのない命の危機を感じた

 

「……えっと、雪蓮どうし……て!雪蓮に一刀君も居ない?!ちょっと!置いていかないで「何処にいくのかしら?」……えっと、そのお手洗いに……」

 

「なら、私も一緒に行こうかしら?その後、じっくりと……ふふふふふふふふ」

 

琳にしっかりと肩を抑えられ逃げられなかった優未は、琳に引き摺られて別荘へと連れて行かれてしまった

 

「ふぅ、危ない危ない」

 

「うぅ……俺の理性の方が限界寸前だった」

 

「あら、別に私は襲われても良かったのに♪」

 

「笑顔で答えるなよな……はぁ、優未のやつ大丈夫かな……」

 

「操は失ったわね。成仏しなさい、優未」

 

「ちょ!縁起でもない事……ん?操?え、えええ?!り、琳てそっち系だったのか?!」

 

「あら、今まで気づかなかったの?じゃ、一刀はどう思ってたのよ」

 

「え……理想が高そうな女の子?」

 

「なぜ疑問系なのよ……まあ、間違っては居ないけど……一刀はもう少し女の子の気持ちをわかる努力をしなさい」

 

「?努力するよ」

 

「よろしい♪さて、桃香たちと混ざって遊びましょ」

 

雪蓮は一刀の手を取り桃香と愛紗が遊んでいる浅瀬に向かった

 

「やあ、桃香に愛紗。俺達も一緒に遊んでもいいかな?」

 

「あ、一刀さん!うん、勿論だよ!ね、愛紗ちゃん」

 

「ええ、私も喜んで」

 

「ありがとう」

 

一刀は微笑みながら感謝を言うと桃香と愛紗の頬がほんのりと赤くなった

 

「そ、そう言えば、琳さんと優未さんは?」

 

桃香は恥ずかしさを隠すためにここにいない二人を訪ねた

 

「……優未の尊い犠牲の元私達はここに居るのよ」

 

「「え?」」

 

「ああっ!優未と琳は必要なものがあるからって別荘に取りに行ったよ!」

 

一刀が慌てて言い直した

 

「?そうなんだ……あ、今からビーチバレーしようかって愛紗ちゃんと話してたところなんだけど一刀さんと雪蓮さんどうかな?」

 

「俺は構わないよ」

 

「私もそれでいいわ」

 

「では、今膨らませるのでお待ちください」

 

「あ、それなら俺がやるよ。結構、空気入れるの大変だからね」

 

「一刀さんありがとう!それじゃ私達で砂にコートの線書いちゃお!」

 

一刀がビーチボールに空気を入れている間に桃香たちは線を引き始めた

 

「よし、出来たぞ!」

 

「こっちも終わったわよ」

 

「それじゃ、組み分けだね!じゃんけんでいいかな?」

 

「そうね。ペアはじゃんけんで決めましょう」

 

そこで雪蓮の目がキラリと光った

 

(ふふふ、一刀の勝敗で私が勝つか負けるかすれば……)

 

しかし、雪蓮の思い通りになることはなく

 

「それじゃ、俺と雪蓮でじゃんけんするな」

 

「ええ?!」

 

「ん?どうかしたか雪蓮」

 

「え?いや、なんで私とじゃんけんを?」

 

「?隣に居たからだけど……なにか不味かったか?」

 

「な、なんでもないわ……それじゃはじめましょ」

 

(とほほ……まさか、こうなるなんて~~~!)

 

雪蓮は心の中で泣いた

 

その横で、愛紗と桃香は一刀たちのじゃんけんを凝視していた

 

結果、一刀と雪蓮の勝負は直ぐについた

 

だが……桃香と愛紗はというと……

 

「「あいこで、しょ!あいこで、しょ!」」

 

「ねえ、一刀」

 

「な、なに?」

 

「まだ決まらないの?」

 

「俺に言われても……」

 

そう、桃香と愛紗はかれこで10分近くじゃんけんをしていたのだ

 

「あいこで、しょ!あいこで、しょ!」

 

「このままじゃお昼までこのままなんじゃないの?」

 

「さ、流石にそれはない……と、信じたいな」

 

一刀は苦笑いを浮かべながら勝負を見守っていた

 

結果……

 

「ふえ~ん、勝負が決まらなかったよ~」

 

「無念です……一刀さま」

 

結局、勝負がつかずお昼を迎えたのだった

 

「一刀さんとペア組みたかったのに、残念だよ……」

 

桃香は本当に残念そうに肩を落として歩いていた

 

「それは、私も一緒です一刀さまと一緒に組みたかったです」

 

愛紗も歩きながら残念とばかりにポニーテールがいつも以上に垂れていた

 

「まあまあ、二人とも勝負が付かなかったのは仕方なかったけど、お昼の後もまだ時間はあるんだからさ」

 

一刀は桃香と愛紗の頭を撫でて二人に微笑みかけた

 

「一刀さま……」

 

愛紗のポニーテールが嬉しそうに風に揺れていた

 

「か、一刀さん……」

 

二人は顔を赤くして一刀を見つめる。

 

「ぶー!私だって一刀と組みたかったのに」

 

「え、そうだったのか?」

 

「そうよ。一刀と組んで桃香と愛紗を負かしたかったのに~」

 

「いひゃい、いひゃい」

 

雪蓮は口を尖らせながら一刀の頬を抓った

 

「わわ!一刀さんを苛めちゃダメです!」

 

「別に苛めちゃいないわよ。ただ、一刀の鈍さに呆れただけよ」

 

「「あ~……」」

 

桃香と愛紗は納得したように声をそろえた

 

「酷いな~。俺、そんなに鈍くないぞ?」

 

「「「……」」」

 

「な、なんで皆して黙るんだ?!」

 

「さ、二人とも行きましょ」

 

「ええ、そうですね。さ、桃香さまも」

 

「うん」

 

雪蓮、愛紗、桃香はスタスタと一刀をおいて別荘に戻っていった

 

「ちょ!待ってよ!雪蓮!愛紗!桃香~!」

 

一刀は三人を追いかけるように走っていった

 

「……」

 

琳は優雅にお茶を飲みその横で優未が机に突っ伏していた

 

妙に琳の肌がツヤツヤしていたのは気のせいだろうか

 

「だ、大丈夫か、優未?」

 

「か、一刀君~~~!私、穢されちゃったよ~~~!」

 

「あら、失礼ね。最後の方は気持ちっ「それ以上言うな~~~!」……はいはい」

 

「あらら、大変だったわね優未」

 

(ピクッ)

 

「しぇ~~れ~~ん~~~~!私を置いて逃げるなんて酷いよ!」

 

優未は椅子からユラリと立ち上がり雪蓮を睨み付けた

 

「だって、琳を怒らせると怖いんだもの♪」

 

「じゃ、なんであんなこと言い出したんだよ~~!」

 

「え?それは、面白そうだから?」

 

(プチッ)

 

「今、何か切れる音が……っ?!ゆ、優未?お、落ちつこう?な?」

 

優未から怒りのオーラを感じ、一刀は落ち着かせようとした

 

「……いくら一刀君でも、今日は許せないよ」

 

「とにかく落ちつこう!雪蓮!ちょっと席をはずしてくれ!」

 

「はぁ、わかったわよ。琳たちも一刀に任せて行くわよ」

 

「わかりました。では、我々は昼食の準備をしてしまいましょう」

 

「そうだね。それじゃ、一刀さんよろしくお願いします」

 

キッチンへ向かう雪蓮たちに優未は

 

「雪蓮、待ちなさいよ~~!」

 

それを無視して出て行くと優未はさらに不機嫌になる。

 

最後に琳が出て行きざまに

 

「別に優未の操なんて奪ってないから安心しなさい」

 

「「なっ!」」

 

一刀と優未は声をそろえ、顔を赤くした

 

「ふふふ、じゃ、ごゆっくり……」

 

琳は微笑みながら部屋を出て行った

 

「……」

 

「……」

 

二人きりになったが押し黙る二人

 

「……」

 

「……」

 

琳が出て行きざまに言った言葉が場の空気をすでに変えてしまっていた

 

「「あ、あの!」」

 

「「あっ……」」

 

「「お先にどうぞ」」

 

ことごとく同じ言葉を言う二人

 

「うぅ~!一刀君が先に言って!」

 

「そ、それじゃ……ほごん。……雪蓮も悪かったけどさ、きっと優未に元気が無かったから思うよ」

 

「え?」

 

一刀の一言に優未は驚きの顔を見せた

 

「なんか、ここ最近、元気が無いなって思ってたんだよね。何かあったの?」

 

一刀は夏休みの間、たまに部活に来る雪蓮と優未を見ていたが、何処かいつもの元気がないと一刀は感じていた

 

「何かあったのか知らないけどさ、相談出来ることなら聞くから遠慮なく言ってよ」

 

「一刀君……」

 

(もう……なんで一刀君はこういうところばっかりよく気付くのかな……ずるいよ)

 

「ありがとう一刀君……でも、平気だから気にしないで!」

 

優未は笑顔で答えていたがいつもの笑顔でいられたか自信はなかった

 

「……うん、そっか、なら安心した。でも、いつでも相談に乗るからね」

 

一刀は笑顔で答え優未の頭を撫でた

 

「えへへ……これでも一刀君より年上なんだけどね」

 

優未は恥ずかしそうに頬を染めていたが振り払うことはしなかった

 

「それじゃ、次は優未だね」

 

「……え?なんだっけ?」

 

「いや、俺に聞かれても……」

 

「あはは、忘れちゃった」

 

優未は舌をチロッと出してウィンクをした

 

「ははは、優未らしいな」

 

「も~!私らしいってどういうことだよ~!一刀君のバカッ!」

 

優未は一刀に背を向けて歩き出し扉のノブに手をかけた

 

「あ、優未。待ってよ」

 

「ふ~んだ!」

 

(ガチャッ)

 

「「「あっ」」」

 

扉を開けるとそこには雪蓮と桃香、その後ろで愛紗と琳が呆れていた

 

「……」

 

「は、はぁ~い」

 

「え、えへへ……」

 

「な、何……何してるんだよ~~~~!」

 

「ふふふ、優未が怒ったわ。逃げるわよ桃香!」

 

「ひゃっ!ゆ、優未さん、ご、ごめんなさ~い!」

 

「待て~~!今日という今日は許さないんだから~~!」

 

優未は雪蓮と桃香を追いかけて行ってしまった

 

「まったく、騒がしい娘たちね」

 

「そうですね」

 

「ははは、でも優未と雪蓮は楽しそうだけどね」

 

一刀たちは雪蓮が逃げていった方を見ながら笑っていた

 

「さ、昼食を作ってしまいましょ、一刀も手伝ってくれるのよね?」

 

「ああ、手伝うしか能が無いからな」

 

一刀は微笑みながらキッチンへと向かった

 

「なんで、色恋には疎いのかかしらね一刀は」

 

「ええ、人の気持ちには敏感ですが、色恋になると鈍感になりますね」

 

「はぁ、考えてもあいつの考えはわからないわね」

 

「そうですね。そこが一刀さまのいいところなのかもしれませんが」

 

「お~い!琳、愛紗どうしたんだ?」

 

「一刀が待ってるわ。行きましょ愛紗」

 

「ええ」

 

琳と愛紗は微笑みながらキッチンへと向かった

 

「つ、疲れた~~~~」

 

「ゆ、優未がいつまでも追いかけてくるからでしょ」

 

「しぇ、雪蓮がいつまでも逃げるからだよ~」

 

「わ、私はなんだかおまけみたいだったような気がしたけど……」

 

雪蓮たちはソファーに座り肩で息をしながらぐったりとしていた。

 

桃香に限っては体力が無いせいか少し顔色が悪くなっていた

 

「だ、大丈夫か桃香?顔色悪いぞ」

 

一刀は桃香に水を渡す

 

「あ、一刀さん……ありがとう……んっんっんっ……ぷはっ!い、生き返る~~」

 

「ちょっと~私にはお水ないの~」

 

「一刀く~ん、私にもお水~~~」

 

「はいはい、少々お待ちをお嬢様方」

 

「あ、一刀さん私にももう一杯お願いします」

 

「了解、桃香も災難だったな」

 

一刀は桃香からコップを受け取りキッチンへと戻っていった

 

「はぁ、あなた達もホント騒々しい娘ね。少しは落ち着きというものはないのかしら?」

 

一刀と入れ違いに琳が入ってきたと同時に呆れながら雪蓮と優未を見た

 

「なによ。桃香だってあの時乗り気だったじゃないの」

 

「そう捲くし立てたのは誰だったかしらね、雪蓮?」

 

「誰だったかしら?」

 

雪蓮はとぼけた様に首を傾げる

 

「はぁ、昼食が出来ているからこっちに来なさい」

 

「一刀からお水貰うまではいや~」

 

「私も一刀君からお水貰わないと一歩も動けない~」

 

「わ、私はもうちょっと休めば動けるかも」

 

三者三様の答えが返ってくる

 

「そう、なら雪蓮と優未は要らないのね。桃香は落ち着いてから来なさい。なんなら一刀に抱っこをさせましょうか?」

 

「「ちょっと!」」

 

「ふええ?!そ、それは流石に恥ずかしいですよ。か、肩を貸してくれるくらいなら……」

 

「そう、わかったわ。連れて行き方は一刀に任せ「ちょっと琳、桃香と対応が違うんだけど?」……桃香を引っ張りまわしたあなたが良くもまあそんなことが言えるわね」

 

「ぶーぶー!えこ贔屓だ~!」

 

「……本格的にお昼は要らないようね。あなた達は……」

 

琳のこめかみに一本の血管が浮かび上がった

 

「ほ~い、お水をお持ちしました。お嬢様が、た……何かあったのか?」

 

「なんでもないわ。一刀その水は私が持っていくから、桃香を連れて行って頂戴。まだ、足がフラフラするそうよ」

 

「そうなのか?わかった。それじゃこれお願いするね」

 

一刀は琳にお盆を渡し桃香の元へと向かった

 

「大丈夫か、桃香?」

 

「う、うん、肩を貸して、ひゃっ!か、一刀さん?!」

 

「え?どうかした?」

 

一刀は桃香が言い終わる前に抱きかかえて立ち上がった

 

「そ、その肩を貸してくれれば大丈夫なんだけ、ど……」

 

「そんな、フラフラするんだろ?だったら無理しちゃダメだぞ」

 

「う、うん……ありがとう一刀さん」

 

桃香は恥ずかしさのあまり俯いてしまった

 

それを雪蓮と優未は羨ましそうに見ていた

 

「それじゃ、先に言ってるぞ琳」

 

「ええ、私も直ぐに行くわ」

 

桃香を抱きかかえ部屋を出て行く一刀を見送り

 

「さて、一刀がお水を持って来てくれたわよ。飲めば歩けるのよね?」

 

「くっ……そう言った手前、そうせざるをえないなんて……不覚だわ」

 

「いいな~桃香……私もお姫様抱っこしてもらいたいよ~」

 

「あなた達は、本当に欲望に忠実ね」

 

「そんなに褒めないでよ琳ったら」

 

「褒めてないわよ。はぁ~、さっさと水飲んで来なさい。そうでないと本当にお昼抜きにするわよ」

 

琳は机にコップを置いて部屋から出て行った

 

(まったく、雪蓮と優未にも呆れたものね。あれで年上だって言うのだから疑ってしまうわ)

 

琳は手元に残ったコップを飲み干しダイニングへ戻った

 

「ふぅ~、ご馳走様。もうお腹一杯!」

 

優未は満足そうにお腹を擦っていた

 

「さて、午後は残り少ないけれどどうしましょうか?」

 

「私ビーチバレーやりたいです!」

 

琳の発言に桃香が答えた

 

「桃香もう大丈夫なのか?少し休んでたほうがいいと思うぞ?」

 

一刀は心配そうに桃香に言った

 

だが、桃香も譲ろうとはしなかった

 

「そうですよ。桃香さま、一刀さま言うとおり、もう少しお休みになられたほうがよろしいかと思います」

 

「そうね。外は日差しも強いのだし無理する必要はないわ」

 

「で、でも……」

 

それでも食い下がる桃香に一刀は

 

「それじゃ、みんなで時間までごろごろしてよう!」

 

「「「え?」」」

 

「だって、桃香一人残して遊びに行けないし、桃香もみんなと一緒に居たいだろうからさ。だったら部屋で遊べる何かでもよくないか?」

 

「そうね。それが私も良いと思うわ」

 

一刀の意見に賛同する雪蓮

 

(でも、みんなじゃなくて『一刀』と一緒に居たいんだと思うけどね)

 

雪蓮は一刀を見ながらそう思っていた

 

「どうかな、桃香?」

 

「え?……うん、それならいいかな」

 

「よし!なら何するか。俺、トランプくらいしか持って来てないんだけど、誰か何か持って来てるか?」

 

「あ、だったら数字を書いた棒でお「却下よ」……まだ、最後まで言ってないのに却下しないでよね琳」

 

「どうせ、くだらないことに決まってるんだから聞かなくてもいいわ」

 

琳はバッサリと雪蓮を切り捨てた

 

「ぶーぶー!いいわよ。ね、一刀ならいいよね?」

 

「えっと……なんだか嫌な予感がするから俺も却下で」

 

一刀は苦笑いを浮かべて拒否した

 

「うぅ~一刀まで……」

 

雪蓮は両手を床に着けうな垂れた

 

(ちっ、私がずっと王様になって一刀とむふふ♪な展開にしたかったのに)

 

雪蓮は恨めしそうな目で一刀を見ていた

 

(流石に王様ゲームなんて雪蓮の独壇場になっちゃうよ!流石は琳ね)

 

何処と無く琳を褒める優未

 

「私がいくつかボードゲームを持って来ているわよ。それでいいならもって来るわよ?」

 

「お!それならみんなで出来そうだな、しかし、良くそんなの持ってたな」

 

「ここら辺は余り雨は降らないのだけれど、もし雨が降った時用にと思ってね、一応持って来ておいたのよ」

 

琳は立ち上がり部屋へと取りも行き、数分もしないうちに戻ってきた

 

「さあ、それでははじめましょうか」

 

こうして、時間までボードゲームをして遊んだ

 

「はぁ……雪蓮強すぎだぞ」

 

「ふふふ、サイコロ運も強いみたいね私♪」

 

結果は雪蓮の圧勝だった

 

「これからは運を使うゲームには雪蓮を誘うのはやめましょう」

 

「琳たらひど~い。一刀もそう思うよね」

 

「ごめん……これだけは否定できない」

 

「ぶーぶー!一刀までそんなこと言うなんて!」

 

雪蓮は拗ねて一刀の背中に抱きついた

 

「ちょ!なんで抱きつくんだよ!」

 

「ふふふ、それは~一刀を困らせるためだったりして♪」

 

「こ、困らせるって!あ、当たってるから!は、離れて!」

 

「わざと当ててるのよ。一刀ったら耳まで赤くして可愛い♪……ふぅ~」

 

「ひぅ!」

 

「ひぅ!だって一刀は本当に面白いわね。ほら、もう一回……ふぅ~」

 

「うぅ……や、やめてくれよしぇ「はむっ」れぇぇぇ?!」

 

一刀は雪蓮に止めるように言おうとして振り向こうとした瞬間に耳たぶをあま噛みされて叫んでしまった

 

「ふふふ、かふほのひひたふ、フニフニしてておいひ~」

 

「ちょ!や、やめ!く、くすぐったいよ雪蓮!」

 

それでもやめようとしない雪蓮に回りは

 

「「……」」

 

「……っ」

 

「ふぇ~」

 

無言の殺気を放つ二人に、般若の仮面が後ろに浮かび上がる人、もう一人は何かをメモっていた

 

「愛紗、優未……判っているわね」

 

「ええ、雪蓮殿はお任せください」

 

「なら私と優未で一刀を担当するわよ」

 

「了解……」

 

三人は立ち上がると一刀と雪蓮の前に立った

 

「「え?」」

 

「ふふふ、今回は逃がさないわよ雪蓮……愛紗!」

 

「はっ……では、雪蓮殿少々お付き合いいただきましょうか」

 

「え?ちょ、ちょっと!「いいですね!」……はい」

 

雪蓮はそのまま愛紗に連行されていってしまった

 

「ふぅ、助かったよ琳、ゆう、み?あ、あのなんで笑っているのでしょうか?」

 

「ふふふ、何ででしょうね、優未」

 

「えっへっへ~それは直ぐにわかるよ。か・ず・と・君♪」

 

その後、一刀と雪蓮は帰る時間まで説教をされていたのは言うまでも無い

 

駅までの帰り道

 

「うぅ……愛紗があんなに怖かったなんて思わなかったわ……」

 

雪蓮はぐったりしながら歩いていた

 

「やっと、私が怯える理由が雪蓮にもわかってくれたか!」

 

優未は嬉しそうに答えた

 

「ええ、流石にあれはやばいわね」

 

(冥琳以上の迫力があったわね。今度からはそんなに冥琳の説教は怖くなくなりそうかしら?……それは無いわね、その前に帰れるかどうかも判らないのだし)

 

「か、一刀さん平気ですか?」

 

「あ、ああ……これくらい……なんとも無いさ」

 

一刀はと言うと全員の荷物+なぜか琳を乗せて歩いていた

 

「ふん、これくらい当然の罰よ。そうよね、一刀?」

 

「そ、そう……だな…………ぐっ」

 

「が、頑張ってね一刀さん!駅までもう直ぐだよ!」

 

「駅まではまだ1kmもあるわよ」

 

「もう、琳さん!一刀さんを励ましてるのにそんな事言わないでくださいよ~」

 

桃香は頬を膨らませて抗議をしたが

 

「そんな気休めな事を言ったって現実は変わらないのよ」

 

「それでもですよ~。そんなのだと琳さんは一刀さんに嫌われちゃいますよ」

 

「なっ!なんでそう言うことになるのよ!」

 

「そ、そうだよ桃香。琳見たいな可愛い子が俺の事好きになるわけないだろ?」

 

「「「……」」」

 

一斉に黙る、誰かが思った『こいつ何とかしないと……』と

 

「それに琳ならきっと理想の男性に逢えるさ。こんなに可愛いんだからさ」

 

「……バカ……あなた以外好きになれるわけないじゃない」

 

琳は小さな声で答えた

 

「え?な、何か言ったか?」

 

「っ?!さっさと歩きなさいと言ったのよ!」

 

「りょ、了解……しょっと!」

 

一刀は力を入れなおして歩きを少しだけ早めた

 

「琳さんももう少し正直になればいいのに」

 

桃香は苦笑いを浮かべながら頬を赤くしている琳を見ていた

 

やがて、人通りが増えてきた一刀を見て驚く人たちが出てきた

 

「あ、あの琳さん……」

 

「なにかしら?そろそろ降りていただけると……」

 

「あら、ここからが本当の罰なのだから降りるわけ無いじゃない」

 

「で、でもさ、桃香たちが恥ずかしいだろうし……」

 

「桃香たちならすでに先に行ってしまったから安心しなさい」

 

「……え?…………あ」

 

一刀が見たのは先に歩きすまなそうにしてる桃香と愛紗だった

 

雪蓮と優未はと言うと一刀を見てニコニコと笑っていた

 

「ガクッ……早く駅に着かないかな……」

 

「駅まではまだあるわよ。ほら、愚痴言っていないで歩きなさい」

 

「トホホ…………」

 

一刀は早く駅に着くことだけを祈り歩き続けた

 

「や、やっと着いた~~~~!」

 

一刀は駅に着き座り込んだ

 

「あら、宅配を手配するのだからもう少し歩いてもらわないと困るわよ」

 

しかし、無常にも琳はあそこまで歩けと指を指す

 

「もうこうなりゃ自棄だ!うおぉりゃ~~~!」

 

一刀は最後の力を振り絞り運送屋の前まで運んだ

 

「はぁ、はぁ、はぁ、ここでいいんだろ?」

 

「ええ、ご苦労様。はい、これをあげるから飲んで休んでいなさい」

 

琳はキンキンに冷えた缶ジュースを一刀に渡し店の中へと入っていった

 

「ご苦労様です一刀さま」

 

「ああ、流石にこれ以上は荷物持てないよ」

 

「わ~……一刀さんの腕パンパンだよ?」

 

「少し休めればこれくらいなら直ぐに治まるよ」

 

「しっかし、琳も酷いことするわよね。あの人通りの中を歩かせるなんて」

 

「うんうん、あれじゃ、女王様と奴隷って感じだったよね」

 

「すごくシャレになってないよ。雪蓮、それに優未も」

 

一刀は苦笑いを浮かべた

 

「待たせたわね。今、手配を済ませたわ。電車もそろそろ来る頃だからホームに行きましょう」

 

「そうですね。……一刀さま、立てますか?」

 

「ああ、大丈夫だ……よっと、それじゃ行こうか」

 

「あっ、一刀さん荷物……」

 

「これくらいの量なら駅まで運ぶよ」

 

一刀は笑顔で答えていたが腕の筋肉はピクピク動いていた

 

「まったく、変なところで無理しちゃって」

 

雪蓮は微笑みながら一刀の後ろを歩いていた

 

ホームに着くと丁度、電車がホームに入ってきた

 

「ジャストタイミングだね!……私達が座るのは……あ、この車両だよ!」

 

桃香は腕を振って一刀たちを呼んだ

 

「は~……落ち着く……」

 

席に着くと一刀は大きく息をついた

 

「さて、ここで誰が一刀の隣に座るのかしら?」

 

「「「……」」」

 

一刀以外が一斉に黙り二つの席を交互に見る

 

「ここはやはり、じゃんけ「ちょっと待ちなさい」どうかしましたか琳殿」

 

「行きに優未と桃香は横に座ったのだから、私か愛紗、雪蓮の誰かではなくて?」

 

「む~、そう言われると反論出来ない……」

 

「あはは、そうですね。それじゃ、私と優未さんは端っこに座りましょうか」

 

優未と桃香は残念そうに端に座った

 

「ぶー、帰りも一刀君の横が良かったな~」

 

「まあまあ、優未さん。仕方ないですよ」

 

「それでは私達三人で席を決めるのですが……」

 

そこで一刀が両手を出した

 

「一刀さまこれは?」

 

「この手のひらの中に飴玉が一つ入ってるからどっちに入ってるか当てて」

 

「なるほど、当たったほうが横の席、と言うわけね」

 

「ああ、さあどっちだ」

 

「私は右手よ」

 

「では、私は左手にしましょう」

 

琳と愛紗はお互い違う手を選び

 

「さ、雪蓮はどっちかな?」

 

「ん~……私は……こっちよ」

 

雪蓮が選んだ手は……

 

「ふふふ♪」

 

「くっ……無念」

 

「……」

 

結果、雪蓮は右手を選び、一刀の隣を勝ち取った

 

琳は頬を赤くして黙りこくっていた

 

「一刀は帰ったらまた部活なの?」

 

「……あ、ああ、そうだね……」

 

「そっか、また優未と行ってもいいかしら?」

 

「……ああ」

 

電車の規則正しい揺れに、一刀と雪蓮以外がみんな疲れて眠っていた

 

「くー、くー」

 

「すー、すー」

 

桃香と愛紗はお互いを支えあうように寝て

 

「すー、すー……ん~」

 

優未は窓の淵に寄りかかりながら眠り

 

「くー、くー」

 

琳は一刀に寄りかかって眠っていた

 

「ふふふ、みんな疲れてたのね」

 

「……」

 

「……一刀?」

 

一刀からの返事がなく横を見ると一刀もいつしか眠っていた

 

「一刀も疲れてたのね……ふふふ、色々あったものね」

 

雪蓮はこの三日間を思い返して笑った

 

「……んっ……」

 

「っ?!」

 

一刀は頭の重みか琳が寄りかかっているせいか雪蓮の方に体を片寄らせ雪蓮の肩に頭を乗せた

 

「……本当に一刀は眠っていても私のして欲しいことをしてくれるのね……」

 

雪蓮は一刀の頭を撫でると一刀の頭に雪蓮も頭を寄せ目を瞑った

 

(お休み……一刀…………)

 

雪蓮もまた、微笑みながら眠りに就いた

 

葉月「は~い!次回のさざ「言わせないわよ!」っぶは!」

 

雪蓮「まったく……油断も隙もないわね」

 

葉月「いてて……行き成りなんですかグーで殴るなんて!」

 

雪蓮「葉月が言っちゃいけないことを言おうとしたからよ」

 

葉月「ちぇ……さて、気を取り直して今回のお話は如何だったでしょうか」

 

雪蓮「ちょっと琳の話がやばすぎないかしら?」

 

葉月「あ~……自分としては一刀にオイルを塗られる琳を描きたかったのでとても満足してるんですが……やっぱり不味いですかね?」

 

雪蓮「それは、読者に判断してもらうしかないわね……最悪、掲載取り消しよね」

 

葉月「ですよね……本当はもっと過激な「言わせないわよ!」グベラ!」

 

雪蓮「少しは場所を選びなさい葉月」

 

葉月「はい……すいません……で、ですが、最後は良かったですよね!」

 

雪蓮「まあ、琳が居なければ最高に良かったわよね」

 

葉月「そこは我慢してくださいよ。てか、三人シートのボックスって普通無いですからそこらへんはツッコんじゃダメですよ」

 

雪蓮「あえで、自分から言ったわね……まあ、次回からは夏休み明けの話になるのね」

 

葉月「はい、まだ内容は言えませんが、そろそろ重要な話を織り交ぜていこうかと考えては居ます」

 

雪蓮「そういいながら、この三日間の話でも軽く触れてなかったかしら?」

 

葉月「そこは、まあ、話の展開で、ね?」

 

雪蓮「まあ、いいわ。それじゃ次回からは優未がメインみたいになるのかしら?」

 

葉月「そこらへんもまだ未定です優未メインなのか雪蓮から見た優未なのかはたまた、一刀から見た優未なのか、どうなるかは私の頭しだいです!」

 

雪蓮「要は、無計画なのね」

 

葉月「ぐはっ!い、痛いことを……」

 

雪蓮「まあ、楽しみにしている人達も居るのだからしっかりと書きなさい」

 

葉月「はい、頑張って書かせていただきます」

 

雪蓮「そうそう、700人近い人があなたの事をお気に入りに入れてくれているのだからしっかりとね」

 

葉月「本当に感謝です!こんな、お話にこれだけの人がお気に入りに入れていただけたことはとても感謝しています!」

 

雪蓮「そうね。文才はまったくないどね」

 

葉月「それは言わないでください。自分が良くわかっていますから……」

 

雪蓮「さ、次回もみんなを楽しませるようなお話を書きなさい」

 

葉月「がんばります!では、みなさん」

 

雪蓮「来週(?)も見てね~~」

 

葉月「じゃんけ「だから言わせないわよ!」っぽ、ぶはっ!」

 


 
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