No.136953

真・恋姫†無双 頑張れ一刀くん その15

白蓮が人気だwww

誤字脱字チェックはしていないのでドシドシ報告待ってます。

今回はさらにご都合主義です。

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2010-04-17 20:53:01 投稿 / 全15ページ    総閲覧数:18310   閲覧ユーザー数:13047

「申し上げます! 彭城に潜入中の工作員より緊急報告! 城内に劉備軍の影なし!」

 

「何ぃ!? それはどういうことだっ!?」

 

 

劉備軍が逃げ出した彭城に辿り着いた曹操軍の先行部隊は兵からの報告を受ける。

 

 

春蘭は、いないはずがないと言い張るが、秋蘭は冷静に劉備軍がすでにこの城にいないことを察する。

 

 

そして話は劉備軍がどこに逃げたかという話しになる。

 

 

「奴が依然、赴任していた平原はすでに我らの領土。……他に逃げる場所など無いはずだ」

 

「ふむ……孫策を頼って落ち延びたということも考えられんか?」

 

 

孫策と聞いて、その場の空気が少し変わる。

 

 

「……目の上のコブの劉備を、孫策が受け入れるかなぁ?」

 

 

季衣はそんな空気を気にせずに言葉を紡ぐ。

 

 

「いや、孫策は劉備と同盟を結んでいる可能性があると桂花が言っていたので可能性はなくはない」

 

「もし、揚州に逃げられたとしたら我らは攻め込めんぞ。……少なくとも今は」

 

 

春蘭の言うとおり華琳はまだあの時のことが完全に吹っ切れておらず、今は孫策を攻めないと明言している。

 

 

「しかし、それじゃあ同盟がなくなって劉備軍が呉に吸収されちゃうんじゃないですかぁ?」

 

「確かに季衣の言う通りかもしれんな。領土を持たぬ劉備軍と同盟を組むほど奴らの仲は深くないだろう」

 

 

しかしそれは一人の少年によって深いものになっていた。

 

 

現状では方針を決めることは出来ないので華琳たちのいる本隊に合流することにした。

 

 

 

 

 

秋蘭たちから報告を聞いた華琳は風に意見を求める。

 

 

「……………………………………………………ぐー」

 

 

しかし風は眠っている。

 

 

「風。起きなさい」

 

 

しかし華琳は慣れているのか、怒ることなく起こす。

 

 

「……おおっ」

 

「起きたかしら? ならば所感を述べなさい」

 

 

寝ていたはずの風だが、実はしっかりと話を聞いており、自らの意見を述べる。

 

 

「ふむ。……劉備が逃げて、どこに向かうか。北は我らの領土。南は孫策の領土。東は海。……ならば西しかにでしょうね~」

 

「西……?」

 

 

華琳は風の意見を興味深そうに聞く。

 

 

「荊州辺りが無難かな? とも思いましたが、荊州ではすぐに我らと国境を接することになり、一時しのぎにしかならない。ならば……ふむ。益州辺りが条件に合う土地ではあるでしょうね~」

 

「……そうか! 確か益州で、内乱が起こる可能性を示唆する報告があった」

 

 

風の意見に稟が報告を思い出し、なるほどと頷く。

 

 

「ありましたね~。その争いの隙を突いて益州の城の一部を占拠。その後、兵力と謀略によって益州平定。……おおー、素晴らしい未来予想図です」

 

「住人が減っていることに対しては?」

 

 

華琳は内心で風の洞察力に驚嘆しつつも、質問をする。

 

 

それについては、桃香を慕う者たちがついて行ったと説明する。

 

 

そして考えを纏めた華琳は、春蘭、秋蘭に霞と季衣を連れて、劉備軍追撃を指示する。

 

 

鈍重な劉備軍に、速さの曹操軍が追いつけるかがこの戦いの鍵となる。

 

 

 

 

その頃一刀たちは、

 

 

「おばあちゃん、もう少しで橋に辿り着くからそこを渡ったらすぐだよ」

 

「あたしゃあ、まだおばあちゃんなんて歳じゃないわよ!」

 

「うっ、ごめん」

 

 

 

「おじいちゃん頑張って、あと少しよ!」

 

「ふぉっふぉっふぉ、儂がもうちっと若かったらあんたのような美人さんを口説いたのじゃがな」

 

「あらあら。まだまだ元気みたいね」

 

 

庶民を安心させるために動いていた。

 

 

特に一刀は老若男女問わずに人気者だった。

 

 

「一刀ってば人気者ねー」

 

「そうかな? でもそれでみんなが少しでも癒されるならいいや」

 

「うふふ。それじゃあ私は鈴々たちに合流してくるから、一刀はここにいなさいよ」

 

「ああ。……気をつけてな」

 

「大丈夫よ。それじゃあ行ってくるわ」

 

 

 

雪蓮は去っていき、一刀は再び庶民たちを安心させるために勤しむのだった。

 

 

 

「一刀ちゃんこれ食べて」

 

「あっ、どうも」

 

「一刀! ちょっとこっちに来いや!」

 

「あ、うん」

 

「ぶるわぁぁぁぁぁぁ!」

 

「なんだ!?」

 

 

人気者の一刀だった。

 

 

 

 

「申し上げます! 後方に砂塵を発見しました!」

 

「とうとう来たわね……! 鈴々!」

 

「分かっているのだ! 兵を四つに分けるのだ。一隊は鈴々が。もう一隊は恋、もう一隊がねねで、もう一隊が雪蓮お姉ちゃんなのだ!」

 

「あら? 私のも任せてくれるの?」

 

「当たり前なのだ! 雪蓮お姉ちゃんはとっくに味方なのだ!」

 

「嬉しいこと言ってくれるわね」

 

 

鈴々の指示で部隊が分けられ、庶民たちを逃がすために奔走するのだった。

 

 

 

一方劉備軍に追いついた曹操軍の先行部隊は攻撃しようにも攻撃できず、膠着状態となっていた。

 

 

「一般人を盾にするとは破廉恥な……!」

 

「盾にはしとらんやろ。多分、必死こいて逃がそうとしてるんちゃうか?」

 

「まぁ劉備が庶人を盾にすることはあるまい。……しかしやりにくいことには変わりない」

 

「このまま攻めたら庶民まで巻き込んでしまうからなぁ。……しばらく様子見か?」

 

 

 

霞の言うように庶民を巻き込んでしまうため、秋蘭は一定の距離を保ちながら追尾するよう指示を出した。

 

 

 

 

「報告です!」

 

「どうしたのだ?」

 

 

しばらくの膠着状態が続き、難民たちが橋を渡りはじめたころ、曹操軍に報告が入る。

 

 

「我が軍の先行部隊の一部が突出して、劉備軍に攻撃を始めました!」

 

「なんだと!? そんな指示は出しておらんぞ!」

 

 

春蘭の怒声に怯む兵士。

 

 

「し、しかし一部の者がこの好機を逃すなと言い始めそれに影響された一団が……。幸い、難民たちには攻撃を仕掛けてはおりませんが、このままではどうなることか……」

 

「ぐっ、功を焦ったおろか者めがっ!」

 

「姉者、今はそんなことを言っている場合ではない。我らも前線にむかうぞ!」

 

「わかった!」

 

「お仕置きせなアカンようやな」

 

「わかりました!」

 

 

四人は前線に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

「庶人たちがいるのに攻撃してくるとはなんたることですかー!」

 

「…………ねね、下がる」

 

「れ、恋殿ー!」

 

 

鈴々、恋、ねね、雪蓮は庶人たちに被害が出ないように殿で敵からの攻撃を撃退していた。

 

 

「ホント、部下の手綱くらいしっかり握っときなさいよね!」

 

 

雪蓮は一刀のことがあったので次々に曹操軍の兵士を打ち倒していく。

 

 

 

「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃーーーー!」

 

 

鈴々も民を守るために蛇矛を振るう。

 

 

 

その頃一刀は、

 

 

「くそっ、完全にはぐれてしまった!」

 

 

 

曹操軍の攻撃により混乱した民が、慌てて森に逃げ込んだところ深く入り込み過ぎて完全に孤立してしまったのだ。

 

 

 

 

民の数は百人ほど。数は多くないが疲弊しきっているのでしばらくは動けそうにない。

 

 

「どうするか……」

 

 

庶人たちだけならおそらく襲われることはないだろう。しかし、一刀は違う。見た目は子供でも天の御遣いという肩書を持っているので、敵軍兵士からすれば獲物でしかないのである。

 

 

「とりあえず、ばれないように雪蓮たちに合流するか」

 

 

自分がここにいれば民たちに迷惑がかかると思い、ここから撤退することにした。

 

 

「おばあちゃん、俺が助けを呼んでくるからみんなと一緒にここで待機していて」

 

「馬鹿言ってんじゃないよ! あんたも子供なんだからここで大人しくしてなさい」

 

 

一刀をただの子供としか思っていないおばあちゃんは、それを止める。

 

 

「おばあちゃん。……俺は天の御遣いだ」

 

「あ、あんたみたいな子供がかい?」

 

「ああ。天から呉に舞い降りた御遣いだけど今は同盟を組んでいる劉備のために孫策と共に助太刀に来ている」

 

 

それでも、と反対するおばあちゃんに一刀は説得を続ける。

 

 

「…………わかった」

 

「ありがとう。それじゃあみんなのことよろしくね」

 

 

一刀はそう言って、ここまでの道を思い出しながら走り出した。

 

 

 

「あんたたち! 天の御遣い様が助けに来てくるから安心しな!」

 

 

それを聞いた者たちは安心して身体を休めるのだった。

 

 

 

 

なんとか敵の前線部隊を押し返した鈴々たちは撤退を指示する。

 

 

「ねねは先に後退するのだ。恋と雪蓮お姉ちゃんと鈴々で、殿の殿をするのだ」

 

「……ん。分かった」

 

「任せなさい。冥琳がいたらこんなことできないからね」

 

 

ねねは足手まといになることが分かっているので大人しく後退を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「天の御遣いがいたぞ!」

 

「どこだ!?」

 

「キラキラする服を着ている子供だ!」

 

 

 

 

 

「やっべーーーーーーー!!!!」

 

 

途中で曹操軍の兵士に見つかり、必死に逃げる一刀だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あとは鈴々たちだけなのだ」

 

「……(コクッ)」

 

「そうね。一刀は平気かしら?」

 

 

必死に逃げ惑っているとは微塵にも思わない雪蓮だった。

 

 

鈴々たちは橋を渡ったところに伏兵を配置し、橋の前で待ち構えるのだった。

 

 

そこに鈴々たちの横を強い風が走った。

 

 

「星なのだ!?」

 

「なにかあったの!?」

 

「…………?」

 

 

馬に乗り、わき目も振らず駆けて行く星。

 

 

「今は説明している暇はない!」

 

 

そのまま星は森の中に消えていった。

 

 

「なんなのだ?」

 

「わからないわ」

 

「…………一刀」

 

 

恋はなんとなく察していたのかもしれない。一刀の危機を。

 

 

 

 

「はぁはぁはぁはぁ」

 

「へっへっへ。もう逃げられないぜ」

 

 

一刀は追い込まれていた。体力の少ない体では限界も早かった。

 

 

「こいつを曹操様に渡せば出世間違いなしだぜ」

 

「んだんだ」

 

「ついでにこの服はいただきましょうぜ」

 

 

三人の兵に追い込まれた一刀はなんとか打開策を探すが、何も見つからない。

 

 

しかし蹄の音と共に男たちの体が血を噴いて倒れた。

 

 

「大丈夫か一刀くん!」

 

「星お姉ちゃん!」

 

 

馬に乗り、目の前に現れたのは趙子龍。

 

 

「なんでここに!?」

 

「兵からの報告を受け、気がつけばこちらにむかっていたのだがよかった……!」

 

 

馬から降りて一刀を抱きしめる星。

 

 

(もしやこれは、あの有名なシーン!)

 

 

一刀はまさかあの有名な単騎駆けを体験するとは思わなかったので感動していた。

 

 

そして一刀はここまでの経緯を説明する。

 

 

「なるほど。ならばまず本隊に合流してから救援部隊を出すとしよう」

 

「わかった」

 

 

そして星は、一刀を胸に抱えたまま馬に乗り、槍を構える。

 

 

曹操軍がぞろぞろと現れたからだ。

 

 

「一刀くんがいれば我は無敵、我が槍は無双! 喰らえ、趙子龍の一撃を!」

 

 

趙子龍の単騎駆けが始まった。

 

 

 

 

その頃鈴々たちは曹操軍の武将と激突していた。

 

 

「くくっ、楽しいな恋! 恋がここまで尽くす劉備っちゅう奴を見たくなったで!」

 

「……桃香、好き。…………でも、一刀の方がもっと好き、です」

 

「ならその一刀っちゅう奴をひっ捕らえて顔を拝んでやるわ!」

 

「……させない!」

 

 

恋の殺気が膨れ上がり、どんどん霞を圧倒していく。

 

 

 

「覚悟しろー! ちびっこめー!」

 

「ひょいっと」

 

 

季衣の鉄球を軽々しく避ける鈴々。

 

 

季衣では敵わないとみた秋蘭が季衣を下がらせる。

 

 

 

「なぜ貴様がここにいる孫策!」

 

「桃香と同盟組んでるのと…………この前のお返しよ!」

 

「あれは華琳様が指示したことではない!」

 

「関係ないわよ。配下の手綱を握りきれなかったのは王の責任よ」

 

「ぐっ! 貴様ぁ!」

 

 

何合も剣を交える二人。普段であれば互角であろう二人だが、今この時は雪蓮がやや押していた。

 

 

「私にばかりかまってていいのかしら? あなたの部下が鈴々にやられちゃいそうよ?」

 

「何っ!? くそ! この勝負預けるぞ!」

 

 

春蘭は急いで鈴々の許に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

その様子を森の中から覗いている者がいた。

 

 

「な、なぁ星お姉ちゃん。これは完全に出遅れたんじゃないのかな?」

 

「……そのようだ。出る機会を失ったようだ」

 

 

しばらくここで待機することにした。

 

 

 

 

「数に勝てないのは重々承知なのだ。……けど、来たければ来れば良いのだ」

 

 

そして鈴々は蛇矛を肩に担ぐ。

 

 

「天下無敵と謳われた燕人張飛の丈八蛇矛、一刀がいれば雑兵の一万や二万、地獄に送るのは軽いのだ」

 

 

鈴々の全身から発せられる闘気に春蘭たちは圧倒される。普段なら互角に戦える春蘭だが、鈴々の後ろには絶対に傷付けられない民が、そして一刀がいる…………と思っている。か弱き者を守るために戦う今の鈴々はまさに天下無敵だった。

 

 

「どうしたのだ? 鈴々はまだちょっとしか本気を出してないのだ。……早く来い」

 

 

圧倒される三人を余所に鈴々は不敵に笑う。そして闘気に怯む身体を無理やり動かし春蘭は鈴々に斬りかかる。しかし、赤子の手を捻るようにあっさりと弾かれる。

 

 

それを見た春蘭たちは鈴々の強さに驚愕する。

 

 

これが燕人張飛の強さなのかと……。

 

 

「一回だけで終わりか? じゃあ次は鈴々の番なのだ……行っくぞぉーっ!」

「おりゃーーーーーーーーーーーーーーっ!」

 

 

鈴々の凄まじい攻撃に春蘭は防戦一方。さらに近くにいた兵士を巻き込んだ。

 

 

それを見た秋蘭は慌てて一般兵を下がらせる。

 

 

 

鈴々の武に怯えた曹操軍は今にも瓦解しそうなくらい追い詰められていた。

 

 

 

 

「鈴々お姉ちゃんつえ~」

 

「うむ。今の鈴々に対抗できるとしたら先程の私くらいだろう」

 

 

それは強ち間違いではないくらい単騎駆けの星は強かった。

 

 

 

 

このままでは劉備軍を追い詰めることが無理だと判断した春蘭は後事を秋蘭に託し捨て身の攻撃に出る。

 

 

「でやぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!」

 

「待ちなさい、春蘭っ!」

 

「えっ……!?」

 

「華琳様っ!?」

 

 

しかしその攻撃は華琳の一声により中止した。

 

 

いきなり華琳が登場したことにより驚くのであったが、春蘭は再び攻撃を仕掛けようとする。しかし華琳の叱責により大人しくするのであった。

 

 

そして秋蘭に軍を下がらせ、自ら鈴々の前に立つ。

 

 

「……何考えてるのだ?」

 

「何も。……ただあなたの誇り高さを愛おしいと思っただけよ」

 

 

口説かれたと思った鈴々は、その気はないときっぱり断るが華琳はそういう意味で言ったわけではなかった。

 

 

そして華琳は改めて口を開く。

 

 

「張飛。劉備に伝えなさい。今回は逃がしてあげる。……更なる力をつけて私の前に立ちはだかりなさい。その時こそ決着の時。あなたの理想の力がどれほどのものか……楽しみにしていると。そう伝えなさい」

 

「……もう戦わないのか?」

 

「私たちは徐州を手に入れた。これ以上の戦果は望むべくもないわ。……逃がしてあげる」

 

「……なんか負け惜しみみたいね」

 

 

逃がしてあげると言う、華琳の上から目線に雪蓮が突っ込む。事実この場は完全に鈴々たちが支配しておりこのまま戦うと、曹操軍に甚大な損害が与えられるので負け惜しみと言えば負け惜しみだった。

 

 

そして雪蓮の言葉に華琳のこめかみがピクつく。

 

 

「孫策。……何故ここにいるか分からないけど私が命令を下して今すぐにでも劉備をおいかけてもいいのよ?」

 

「それが出来ないから退くのでしょ?」

 

 

一触即発の雰囲気が漂う二人。

 

 

周りの者は王同士の舌戦に口を挟めないでいた。

 

 

 

 

しかし先に折れたのは華琳。

 

 

「…………こんなところで睨みあってても仕方ないわ。……孫策」

 

「なに?」

 

「先頃の戦いの件、王として深く謝罪するわ」

 

 

そして華琳は頭を下げる。

 

 

その行為に敵味方関係なしに驚愕する。

 

 

それほど王が頭を下げることには深い意味があるのだ。

 

 

「あら? 謝る相手が違うんじゃないの?」

 

 

それは雪蓮がその事についてはもういいと暗に意味していた。

 

 

いつまでも怨嗟に囚われているような雪蓮ではないのである。

 

 

「……なら、北郷一刀に伝えてくれる?」

 

「一刀ならこの先の民の集団のなかにいるはずだか――――」

 

「ここにいるぞー!」

 

 

雪蓮の言葉を遮り、森の中から現れたのは一刀と星。

 

 

もちろん抱きかかえられている。

 

 

「一刀っ!? 何でここにいるのよ!?」

 

「いや、まあ、色々ありまして」

 

 

ここで説明すると長くなるのでとりあえずあとに回して一刀は星から離れて華琳の前に立つ。

 

 

 

 

「北郷一刀…………くん。この度は我が失態によりあなたに怪我をさせてしまったことを謝るわ。……許してほしいとは言わないけど、これは私が望んだことではな――――」

 

「いいよ。許すよ」

 

「えっ?」

 

「俺は曹孟徳がどれだけ誇り高いか知っている。……だから暗殺が意に反することだったってのも分かってる。それに……俺も、雪蓮も無事だったしね」

 

 

一刀は反董卓連合の時に華琳を見て高く評価していた。そして部下が暗殺を決行したことが分かるとすぐさま軍を退き、謝罪をしてきたことから、仕方なく起こってしまったことだと理解していた。

 

 

「だからもうそのことは気にしないでいいよ」

 

「あっ」

 

 

笑顔で言う一刀を見た華琳はあの日からずっと心にしこりとして残っていたモノが消えていくのが分かった。

 

 

「曹操、謝罪も済んだのだし帰ったらどう?」

 

 

その様子を見ていた雪蓮が口を挟む。

 

 

「え、ええ分かったわ」

 

 

いきなり話しかけられ慌てながらも返事を返す華琳。

 

 

「なら私たちも前に追いつきましょう」

 

 

そして雪蓮は一刀を抱き上げ橋を渡っていった。

 

 

ポケ~っとしていた鈴々たちもそのあとを追いかけた。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………命、拾い……したなぁ、恋」

 

 

全身傷だらけで息もあがりきっている霞が虚勢を張る。

 

 

「…………どっちが?」

 

「くくっ、違いないわ。……出来れば戦場で会いたないわ、恋」

 

「……(コクッ)」

 

 

こうして恋もこの場を去っていった。

 

 

 

 

「か、華琳様!」

 

 

ボーっとしている華琳に声をかける春蘭。

 

 

「え、な、なに?」

 

「どうされたのですか放心なされて?」

 

 

秋蘭も同じく気にかける。

 

 

「な、なんでもないのよ! 別に可愛いとか思ってないのよ!?」

 

 

それでは可愛いと言っているようなものだとは気付かないほど一刀の笑顔に衝撃を受けていたのであった。

 

 

 

 

 

 

「なぁ雪蓮」

 

「なによ?」

 

 

一刀を馬の前に乗せ、不機嫌そうにしている雪蓮に声をかける一刀。

 

 

「なんか怒ってる?」

 

「怒ってないわよ!」

 

 

怒鳴られ萎縮する一刀。

 

 

「……なによ。曹操の事知っているなんて言っちゃって……」

 

 

単に嫉妬していただけであった。

 

 

 

 

 

こうして曹操軍から逃げ切った劉備軍。はぐれた難民たちも救援隊により助けられたのであった。

 

 

「一刀くんっ!」

 

「うわっと!? と、桃香お姉ちゃんっ!」

 

「一刀くん、一刀くん、一刀くん~……!」

 

 

一刀たちは無事に合流することが出来たのだった。

 

 

 

 

<おまけ>

 

 

 

単騎駆けの最中。

 

 

「つ、強すぎる!」

 

「くそっ! あのガキを捕まえろ!」

 

「はははは、一刀くんには指一本触れさせぬぞ!」

 

「か、かっこいい星お姉ちゃん!」

 

「今の私に敵う者はこの大陸におらん!」

 

「ホントにかっこいいよ!」

 

「て、照れるではないか!」

 

「あれ? なんか落ちたよ?」

 

「ん?」

 

「なんだぁこの瓶は!?」

 

「メンマが入ってますぜ!」

 

「メンマだぁ? んなもん捨てちまえ!」

 

「ま、待て! それは私の秘蔵メンマ――」

 

パリーン!

 

「けっ、戦場にこんなもん持ってきてっからだ!」

 

「……………………」

 

「せ、星お姉ちゃん?」

 

「……………………」

 

「に、逃げた方がいいよ」

 

「何言ってんだガキが!」

 

「なんか動きが止まってますぜ」

 

「野郎ども、今のうちにやっちまえ!」

 

『おう!』

 

「…………許さん」

 

『ぎゃあぁぁぁぁーーーー!』

 

星の一振りで数十人が吹き飛ぶ。

 

 

本当の意味で天下無敵となった星だった。

 

 

 

完。

 

 

笑。


 
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