アクセル全開! 真・恋姫†無双 第10話 傷つくことを恐れるな!
西涼の戦いから数週間が経つ。
「定軍山?」
「うむ。そうだ」
ヴァリュザが劉備に定軍山の事を教える。
「曹操はそこに軍を派遣するだろう。恐らくだが、夏侯淵が来る」
「何で分かるんですか?」
「未来の知識だ」
「未来?」
「貴様らには良く分からないだろうが、私は少しだが未来の事を知っている」
「本当か?」
「……もしや貴様が桃香様に仕えると言ったわけは……」
「それはお前達の判断に任せる。そしてその定軍山には、黄忠。貴公に行ってもらいたのだが……」
「私ですか?」
「そうだ。念のために馬超にも行ってもらおうと考えている」
「あ、あたし?」
「そして最後の念に私も出る。確実に夏侯淵を消すためにな……」
その頃、魏では軍議が行われていた。
「そう。劉備は益州の周りを次々と取り込んでいるのね」
「はい。荊州も大半は我々が抑えていますし、益州の一部も先日の反撃で手に入れましたが、それが諸侯の反感を買ったようで、黄忠や厳顔、魏延といった主要な将は、劉備に降ったと」
「黄忠ね~」
「黄忠がどうかしたの? 一刀」
「確かに黄忠は弓の名手として名高いが、他の厳顔たちと比べて、殊に警戒すべき相手と言うわけでもないと思うぞ?」
「いや気にしないで、続けてくれ」
一刀はどことなく聞いたことある名前に反応しただけである。
「それで今劉備は? 私達に奪われた領を取り返そうとはしていないようだけれど…」
「南蛮の連中と戦っているとの事です。既に何度か大きな激突があり、そのたびに劉備の側が南蛮を打ち破っているとか」
劉備の話を終えて、次は孫策の話をすると孫策は袁術に奪われていた江東の自領を制圧し、周辺の袁家筋の豪族と戦っているとの事。
そして軍師達が自分達の意見を述べ、結果としては稟の意見が採用され、相手が同盟を組んで一緒に攻めるまで、力を蓄えて待機する方針になった。
一刀と美沙緒は会議を終えるとすぐに街に出ていた。
「ふう……」
会議で聞いた事を一刀は空を眺めながら考えていると季衣がやってきた。
どうやら季衣は秋蘭と流琉が劉備軍が国境辺りで何かしているので偵察に行くことになり、流琉達が帰ってきたら肉料理を作るとの事で買い出しにきたのだ。
一刀が季衣が持っている荷物を少し持とうとする時、二人の前には興行から帰ってきた天和と地和がいた。
「おーい、天和、地和ー!」
「馬鹿! 何大きな声出してるのよ! 周りに気づかれちゃうでしょ!」
「わりいわりい、けどいつ帰ってきたんだ?」
「さっき帰ってきたばかりなんだよ」
「人和ちゃんがいないみたいだけど、報告?」
「ええ、華琳様の所に行ってるわ。だから私達とは別行動」
「何か、頑張ってるみたいだね。軍への参加希望も凄いって聞いたし……」
「華琳様が頑張ってるおかげで、旅して回れる所も増えたしね。また明日からは来たに行くことになってるし、休む暇もないわ」
「そうか…、まあ体壊さないように無理せずに頑張るんだな。これが!」
そんな二人に励ましの言葉を送っていると今度は霞が来た。
霞は南で偵察をしていて帰りに天和達と会ったそうだ。
「そういえば、季衣、秋蘭と流琉はどこに行ったんだ?」
「ええっと、確か定軍山……かな」
その「定軍山」という言葉を聞いて一刀と美沙緒の頭は急に痛み出した。
「ぐわっ!?」
「ううっ!?」
「兄ちゃん! 姉ちゃん! どうしたの!?」
季衣が一刀と美沙緒に詰め寄る!
「やべぇ……ぞ。早く秋蘭…を助けにいか……ねえと……」
「大変……」
一刀は突然倒れ、美沙緒も突然消えてしまう。
「一刀! どうしたの!?」
「一刀!」
「兄ちゃん!」
(これはいったいどういうことだ………)
一刀の意識が途絶える。
「ここは……」
一刀が目を覚ますと、そこは一刀の部屋の天井と眠る美沙緒。そして隣には華琳がいた。
「季衣達が運んだのよ。美沙緒はあなたが意識を取り戻す少し前にまた姿を現したわ」
「そうか……」
「いったいどうしたの? 体は丈夫だと思ったのに」
「分からんが……、俺と美沙緒が倒れてどのくらい経った?」
「二日よ」
「まずいな……、早く秋蘭の所に行かないと……」
一刀が病み上がりでベットから起きようとすると華琳が止める。
「秋蘭がどうしたの?」
「すぐに兵を出すんだな! これが!」
「何よ、いきなり?」
「定軍山は罠だ、このままだと秋蘭が死ぬ!」
「どういう事?」
「……倒れる前に思い出したことがある。俺の世界の歴史だと……定軍山で夏侯淵は黄忠に殺される。……そうなってるんだ」
「秋蘭が……まさか、ありえないわ」
「だが、もし本当に秋蘭が死んだら……ぐっ…」
一刀はいつも以上に疲れというか何かが一刀を襲っているように一刀は感じていた。
華琳は一刀をベットに寝かせて、話を勝手に聞いていた春蘭と季衣は既に飛び出して行き、桂花は凪達に軍の準備をする。
しかし一刀は不安があった。いくら華琳達が早く動いても二日という差がある。馬が速くても馬は疲れる。
しかも蜀にはヴァリュザがいる。黄忠が殺さないにしてもヴァリュザが殺す可能性があるのだ。
美沙緒は一刀に勝手について行くため、美沙緒は意識が無くても問題はない。
一刀は部屋を出るため、扉を開ける。扉の先には桂花が立っていた。
「あんた、私の計算が信じられないって言うの?」
「そうじゃないが、どうしても不安が残ってるから自分で取り除きに行くだけだ」
「あんた、そんな病み上がりの体で行ったら死ぬわよ」
「ふん、それが死なないんだな。これが」
一刀の目には何があっても行くという覚悟を秘めた何かが映っているのを桂花は気づいた。
「いいわよ、死んでも知らないから」
「悪いな…」
「アクセル!」
一刀がアクセルメモリを持つ。
「変身!」
「アクセル!」
一刀はアクセルに変身。
そのまま外に出る。
「さぁって振り切っていこうか!」
一刀がアクセルドライバーの両グリップを両手で持って、外す。
すると一刀、いや仮面ライダーアクセルは変形し、バイクフォームへと変形した。
そしてバイクフォームに変形した一刀は城を出て行った。
「…………馬鹿……」
桂花は出て行く一刀に向けてそう独り言を言った。
「間に合え……」
仮面ライダーアクセルバイクフォームが悪路の荒野を走る!
アクセルの上にはまだ意識が戻らない美沙緒が乗っている。
「とにかく急ぐ!」
アクセルが荒野を駆けていると……。
「!」
「ここから先は通さんぞ」
アクセル達の前に、ヴァリュザ・ガードが立ち塞がったのだ!
「ヴァリュザ!」
一刀が何とか美沙緒をゆっくり下ろすようにバイクフォームからいつもの状態に戻る。
そして一刀はエンジンブレードを握る。
「貴様の目的は夏侯淵を助けることであろう?」
「ちっ、見抜かれてるか……」
「お前は何故歴史に刃向おうとする? 夏侯淵は黄忠に殺される。それは歴史が物語っているのだ」
「へっ、悪いが俺と美沙緒は記憶喪失なんでな。どことなく思い出してきてるけどな……」
「ならば……」
「だからってな……仲間を死なせたくないんだよな! これが!」
「……今度こそここでその命を終わらせてやろう!」
一刀とヴァリュザが激突する!
「ジェット!」
「ふん!」
エンジンブレードをからエネルギー弾を発射する!
「ふうん!」
ヴァリュザがその攻撃を弾き返す!
「スチーム」
今度はエンジンブレードでスチームを出し、周りが白い蒸気に包まれる。
「ふん、目くらましもつもりか?」
「エレクトリック」
「そいえぃ!」
エンジンブレードをトンファーモードにし、そのうえでエレクトリックで電気を帯びたエンジンブレードをヴァリュザに当てようと上から攻撃してくる!
「ギャラー・ホーン!!」
ヴァリュザが上空にいる一刀に向かって強力なキックを放ち、エンジンブレードにあてる。
「ぐぐぐぐぐぐぐっ!!」
「うううううううううん!!」
そして二人の武器と足のつば競り合いが続き、二つの間に小さな爆発が起きる。
「ぬぉ!」
「っ!」
二人は思わず後ろに飛ばされて地面に倒れる。
「ぐわっ!」
「ぬぅ!」
一刀とヴァリュザは起き上がる。
「悪いが俺はここで立ち止まれないんでな」
「だがここで貴様らは終わる」
「そう言うわけにはいかないんだよな! これが!」
「一刀……」
ここでようやく美沙緒が目を覚まし、一刀のところに近づく。
「美沙緒、起きたか」
「一刀、どういうこと? これって……」
美沙緒が目を覚ましたら、目の前には一刀だけでなくヴァリュザがおり、場所が荒野と来て驚くのも無理はない。
「説明はあいつを追い払ったらだ。それより今は……」
「ねえ、一刀」
「何だ?」
「あいつって一度見た技は簡単に見切るけど、そうじゃない技はすぐには見切らないんだよね」
「確かそう言う奴だ」
「だったらさ。あたしが寝てる時に見たと言うか夢で思いついた技なんだけど、いいかな?」
「いいぜ。どういう技だ?」
「まあ一刀は最初にジェットしてくれればいいんだよ。後は美沙緒がやるから……」
「だったら俺は適当に合わせてやる」
「時間は与えん!」
ヴァリュザが一刀達に向かって突撃して行く!
「今よ!」
「ジェット!」
「ふん!」
一刀が振り向き際にジェットのエネルギー弾をヴァリュザに向かって放つ!
「むっ!」
ヴァリュザはそれを弾き返せずにその攻撃を腕で防ぐ。
「はあああああああ!!」
美沙緒の両手の掌からエネルギー波を出し、ヴァリュザに浴びせる。
「ぐおおっ!?」
そしてヴァリュザが美沙緒のエネルギー波くらっている間に一刀が地斬疾風刀のためのエネルギーを溜めていた。
「二人の合わせ技、名付けて『乱黄龍』(らんきりゅう)なんだな! これが!」
地斬疾風刀で生み出したエネルギー刃と美沙緒のエネルギー波が混ざり合い、黄色のエネルギー体の龍が生み出され、ヴァリュザを襲う!
「ぬおおおおおおおおおお!!!」
ヴァリュザははるか後方に飛ばされ、一刀達の視界から消えていく。
「とりあえずは何とかなったな」
「だね」
「さてと……」
一刀は再びバイクフォームになる。
「美沙緒、乗れ」
「うん」
美沙緒がバイクフォームになっている一刀に乗る。
「美沙緒」
「何?」
「前より胸が大きくなったんだな。これが……」
美沙緒は前かがみで一刀の上に乗っているのだ。
そのため美沙緒の胸が一刀の背中(?)に当たっているのだ。
「一刀のエッチ!」
「まあそう言うな。とりあえずは秋蘭を助けに定軍山に行く予定だ。飛ばすからな!」
「うん!」
翌日、定軍山では秋蘭と流琉が黄忠、馬超、馬岱の奇襲を受けてしまい、部隊が半分いるかいないかになっていた。
「たった一晩でこのざまか。それとも、この手勢でよく保ったと言うべきか…」
「敵がいなければ、探して回りたいですけど……」
「こういう時の訓練も受けさせている。敵に囚われたのでなければ、上手くやるだろうさ」
「……ですね」
「いたぞ! 夏侯淵だ!」
そうしているうちに劉備軍の兵達が秋蘭達を見つけてしまった。
「ちっ!」
秋蘭はひとまず叫んだ敵兵を倒し、皆に急ぐよう指示する。
「もはや森の中を逃げ回っても埒が開かんな…」
「なら、出ますか?」
「仕方あるまい!」
秋蘭達は森を出ようとするが、敵兵達の待ち伏せを受ける。
「総員、止まるな! 駆け抜けろ!」
「させないよ! でやあああああああああ!」
「きゃあ!」
馬岱がその道を阻み、流琉をひるませる。
「流琉! ちっ!」
秋蘭は自分に弓が向けられていることに気づき、急いで矢を回避。
お返しとばかり敵に向けるが、その矢は撃ち落とされた。
「私が外した? いや、撃ち落とされたか!」
「良い判断ね。止まっていたなら、私達が全員を射抜いていた所よ」
「その弓の腕……そうか。貴様が……」
秋蘭の前に秋蘭の鬼門とされる黄忠が現れる。
「ええ、初めまして、になるのかしら?」
「そうだな。だが名前は聞いているぞ……黄漢升」
「こちらこそ、弓の名手として名は聞いているわよ。夏侯妙才」
「ならば、どちらが大陸一か……」
「ええ。勝負………と言いたいところだけど、残念。今日は一番を競いに来たのではないの」
「やれやれ。時間稼ぎは無理か」
秋蘭の考えは黄忠に見破られていたのだ。
「あなたたちより、少しだけ経験を積んでるのよね。はっ!」
「くっ!」
二人の弓合戦が始まってしまった。しかも状況的には秋蘭が不利である。
「秋蘭様!」
流琉が秋蘭の身を案じる。
「流琉! 目の前の敵に集中しろ!」
「はい!」
「それは貴方も同じでしょう! 翠ちゃん!」
黄忠の声と共に伏せていた馬超が秋蘭の横から現れた。
「夏侯淵! はあああああああああああ!」
秋蘭は回避が間に合わない!
「なっ!」
「秋蘭様!」
「「乱黄龍!!」」
馬超の槍が秋蘭に届く一歩手前に黄色い影が馬超の前を横切った!
その影が消えると同時に馬超の槍の先端が完全に壊されていた。
「なっ!」
「え?」
「……な……」
皆が突然の事で驚く。皆が馬超の横に通り過ぎた影が現れた場所を見る。
そこにいたのは……仮面ライダーアクセルの一刀と美沙緒の姿があった!
「北郷! 睦月!」
「兄様! それに姉様も!」
秋蘭も流琉も突然の乱入者である一刀と美沙緒の存在に驚く。
そしてすぐに春蘭と季衣もやってきた。
「流琉、大丈夫!?」
「季衣!」
「姉者…どうして、ここに!」
秋蘭達にとっては一刀達もそうだが、それ以上に春蘭達が来たことに驚きがあった。
「なるほど…これが劉備の戦い方と言うわけか」
春蘭が剣を構えると同時に一刀もエンジンブレードを持つ。
「貴様らぁっ! 武人としての恥を知れいっ!」
「行くぞ! 春蘭!」
「エレクトリック」
春蘭と一刀のダブル峰撃ち+電撃付き攻撃により馬超は大ダメージを受けた。
「がはっ!」
「まだまだ行くんだな! これが! 美沙緒!」
一刀がエンジンブレードをトンファーモードにして何度も殴りつける。
そしてエンジンブレードを馬超の体に少しだけだが突き刺す。
「はあああああああ!!!」
美沙緒が氣を溜めた拳の連打を馬超に浴びせる。
「グランドフィナーレだぜ!」
一刀が馬超を殴り上げ、一刀はエンジンブレードをソードモードにする。
「コード……麒麟!」
一刀が跳び上がり、後ろに回転しながらエンジンブレードを馬超に当てた!
この時一刀はエンジンブレードをソードモードにしていたが、刃の向きを逆にしていたため、馬超
は斬られなかったが、斬られたような殴られたような痕が馬超の体に残り、馬超は地に落ちる。
「翠ちゃん!」
「甘い!」
黄忠が馬超に気を取られている隙に秋蘭が矢を射る。
「くっ」
「まだまだ!」
秋蘭はさらに矢を射る。その精度は先ほどとは比べ物にならないほど上がっていた。
「さっきより、精度が…?」
「ふっ…姉者が前を固めてくれるのだ。今の私に、貴公に負ける理由は無いぞ? 黄漢升!」
その時劉備軍の兵がやって来て、華琳の軍が自分達が取り囲んできていることを報告する。
黄忠達は何とか倒れている馬超を連れて撤退し、春蘭が追撃の命令を送る。
「ふぅ…」
「姉者」
「春蘭様! 季衣!」
「待たせたな…秋ら…」
「馬鹿者!」
秋蘭が言った言葉はお礼ではなく怒り。
「へっ!?」
「はぁっ!? それが、危機を救ってやった姉に言う言葉か、秋蘭!」
「当たり前だ馬鹿姉者! もしあいつよりも先に馬超を止めたとしてもあんな無茶な突撃でせっかく北郷が助けてくれた目に矢が当たったらどうするつもりだったのだ! 少しは己の身を省みろ!」
「その時は、お前が私の目になってくれれば良いではないか」
「……」
その言葉に秋蘭は返す言葉が無くなった。
「それでお前の命が救えるのなら、華琳様も喜んでくださるさ」
「馬鹿を言うな!」
「そうですよね、華琳様!」
「え?」
春蘭の言葉と同時に華琳が来た。
「ええ、けれど、秋蘭の言うことももっともよ。もっと己の身を大事になさい、春蘭」
「か、華琳様……」
「お、二人とも無事やったんやな!」
今度は霞が来た。
「霞まで! 華琳様、この事態は……一体?」
「一刀が、貴方の危機だと教えてくれたのよ。帰ったら、よく礼を言っておきなさい」
「そうか。済まないな、北郷」
「いや、いいんだ」
「でも一刀。どうしてここにいるの?」
「確かに。無理に城を抜け出したとしてもここから城までかなり道はあるで」
「まあ寝ている時に思い出したんだよ。このアクセルには馬よりも早く移動できる方法があるって事をな……」
「でもここに来るのに苦労したんだよ」
「何があったの?」
一刀と美沙緒はここに来る前にヴァリュザと遭遇したことを華琳達に教える。
「そう、あの者が……」
「恐らく秋蘭暗殺はあいつの入れ知恵だ」
「何でそう思うの?」
「俺と美沙緒は大事な事を思い出したからだよ。完全じゃないけどな」
「説明なさい」
「ああ、いいぜ。単刀直入で言うと俺と美沙緒、そしてヴァリュザは未来から来たんだな。これが」
「未来?」
「ああ。だがただの未来じゃねえ。こことは別の世界の未来だけどな」
「何故それが言える?」
「曹操とか劉備とか孫策とか主な将は皆俺達の世界じゃ男だったからだ」
「……男……」
「うん」
「それでな、お前達の戦いは『三国志』と言う物語として歴史書にあるんだ。
そしてその物語の中で夏侯淵が黄忠に殺されると言うものがあった」
「秋蘭が危ないと言ったのはそれを思い出したからね」
「まあその時は完全に思い出したわけじゃないけどね」
「それに結構俺の知ってる歴史とは違うからな。張角は病死だったり、董卓は呂布に裏切られたりとか、後は蜀が南蛮を平定した時は既に劉備は死んでいたとか色々食い違いがある」
「そうなの……」
「っても俺も完全に思い出したわけじゃねえ。今のところ華琳達に対して思い出したのはこれくらいだな」
「じゃあ、自分達が何故この世界に来たことは思い出したの?」
「ああ……」
一刀と美沙緒は華琳達に語る。
二人は「ムーン・ロック」の任務で「アルハイム」の本拠地に侵入したのだ。
その任務とはアルハイムで作られた幻影体を触れることが出来る鎧を奪還、あるいは破壊することが任務であった。
その鎧とはヴァリュザが現在着けている物である。その鎧はかなり特殊なもので一度つけたら二度と外すことが出来ないとされている諸刃の剣とも言える代物であった。
そして二人は「ムーン・ロック」とは別の部隊「BBC」の陽動の下、数名の部下と共に「アルハイム」の本拠地に侵入した。
侵入したまでは良かったが、その侵入を察知した「アルハイム」は鎧を奪われるのならと思い、その鎧をアルハイムの最高幹部の一人で攻撃部隊隊長であったヴァリュザに託し、ヴァリュザはその鎧を自ら着たのだ。
そして鎧を着たヴァリュザが「ムーンロック」隊をほぼ壊滅させ、一刀もアクセルに変身して戦うもヴァリュザの圧倒的力に変身が解かれていた。
一刀は敵うまいとして美沙緒を先に外に出し、少し遅れて自分も出たのだが美沙緒が危ない外で待っていたのだ。
「美沙緒! 危ないぞ!」
一刀の言う通りである。今、二人がいるところはかなりの戦場。
二人の近くには巨大なロボット同士が何体もぶつかり合っている。
「一刀を置いていけないよ!」
「ならばここで二人とも果てるか?」
そこにヴァリュザが来た。
「ヴァリュザ!」
「悪いが私はお前達を相手している暇はないのでな……、一気に片付けてやろう!」
そんな時であった!
突然三人の地面に亀裂が走り、地が割れる!
「何!?」
「きゃ!」
「ぬぅ!」
そして亀裂が広がり、その亀裂により広がった穴は一刀と美沙緒を飲み込む。
「のわぁ!」
「きゃああああ!!」
二人はそのまま暗い底に落ちて行く。
そんな時突然光が二人を包みこみ、二人はそこからいなくなった。
「………一体何が?」
ヴァリュザは状況が飲み込めないでいた。
そんな時亀裂がさらに広がり、その穴はヴァリュザも飲み込む。
「くっ!」
そしてヴァリュザと美沙緒、一刀はこの世界に飛ばされてきたのだ。
「そんなことがあったのですか……」
「まあ美沙緒の格好は前からこんな格好してたわけじゃないんだけどな」
「ここに来た時にこんな格好になってたんだもん。驚いたよ。まあ今は結構気に入ってるけどね」
「ところでその『幻影体』とは何なのかしら?」
「華琳達にはちんぷんかんぷんになるだろうけど、一応説明しておくとな…。人間を霊体化した存在だな」
「人間を霊体化?」
「簡単にいえば生身の人間が幽霊になったってことだ。そして幻影体は基本は幻影体同士でしか触れることはできないが、何かと直結させることで幻影体は幻影体でなくても物に触れることが出来、なおかつ攻撃を食らわない存在になる」
「……?」
「まあその何かってのは美沙緒の場合はアクセルドライバーが直結してたんだな。これが」
「でも幻影体はまだあたし達の世界でも確立されてた技術じゃないんだよね」
「それに格好もそうだが、美沙緒は元から幻影体じゃなかった。この世界に来たと同時に幻影体になったと見た方が良いんだな。これが」
「随分大変ね……」
「とまあ俺達が思い出したのはこれくらいだな」
「ではあのヴァリュザの目的は何なの?」
「あいつは基本的に何を考えてるか分からん。命令を聞く機械……つまりはからくりみたいなやつだからな……。だが今回はあいつは自分で考えて劉備のところに行ったみたいだな」
「だから目的はって言われても良く分からないんだよね」
「ならいいわ」
「それと俺は疲れたから後の事は任せるけど良いか?」
「ええ、ゆっくり休むと良いわ」
華琳に言われて一刀と美沙緒は休むことにした。
その頃、黄忠達は……。
「おい、紫苑! 曹操達まで来るなんて、どうなってるんだ!?」
「私が聞きたいくらいだわ。途中までは朱里ちゃんやヴァリュザさんの予想通りに進んでいたのに。……どうして曹操の本隊が来たのかしら……?」
そんな時であった……。
自分達の上に何かが飛んできて、近くに落ちてきたのだ。
「何だ?」
馬超達が近づいて見てみるとそこにはヴァリュザの姿があった。
「ヴァリュザ!」
「どうしてここに!?」
「ぬぅ……無念だ」
ヴァリュザは何とか自力で起き上がり、馬超達から色々聞いた。
「北郷一刀め、既にそこまで思い出したか」
「北郷一刀?」
「確か天の御遣いの人の名前よね?」
「そいつは私と同じ世界の未来から来た者だ。この戦いを既に曹操に言っていたか……」
「あんたは何してたんだ?」
「念のために曹操軍を足止めしようとしたが、その北郷一刀に阻まれ、ここまで飛ばされた。
奴を甘く見ていた……。だが次こそは……」
ヴァリュザは執念の炎を燃やし、黄忠達と共にその場を後にした。
設定(追加修正)
BBC
ムーン・ロックと行動を共にしていた部隊。
特に深い設定は無いが、名前は「ブレイク バスター クラッシャー」と完全に破壊を目的とした部隊。
20~50メートル前後のロボットを数体ずつ持っている。
ヴァリュザ・ガード
アルハイムの最高幹部にして攻撃部隊隊長。
ヴァリュザは元から徒手空拳を得意とした人間であった。
ヴァリュザの赤い鎧は攻撃力や防御力を高めるだけでなく、幻影体を殴ることが出来るものである。
ただし一度着ると肉体と融合し、二度と外すことが出来ない実は試作型の鎧である。
ヴァリュザの目的は現時点では未だに不明。だが何か考えがあるようだ。
幻影体
人が霊体化した存在。本来は幻影体は戦闘に参加させるためのものではなく、病の侵攻を抑えるために人を霊体化させ、病の治療法が完全に分かるまでの処置のために用いるもの。
美沙緒はこの世界に来る前は生身であった。何故かこの世界では幻影体となっている。
幻影体は幻影体同士でしか本来触れることが出来ない。
ただし何かと幻影体化のコントロールを直結させる事で幻影体が幻影体以外のものを触れることが出来るようになる。
美沙緒の場合はアクセルドライバーがコントローラーとなっているが、幻影体の技術はまだきちんとしていない技術のため、不安定なのだ。
おまけ
作者「第10話なんだな。これが」
一刀「もう第10話か」
作者「とりあえず、設定には書いてないが、乱黄龍は本当はあんな技じゃないんだよな。
ただ演出の関係とかでああした」
一刀「そうなのか」
作者「ちなみに次回も前の魏編では書いてなかったものを書いた。それでは!」
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この作品の文章には仮面ライダー×真・恋姫†無双 魏編で使われたものが多々あります。
そして一刀の態度や口調が原作と違うことをご了承してください。
また本作の一刀の設定のため、一刀のパートナーとなるオリジナルキャラクターがいます。